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#9 Maxで重要な「順序」③タイミングの微調整 : deferlow | Max サウンドプログラミングの可能性

このシリーズでは、音楽や映像、アートやイベントなどいろんな分野で活用されているプログラミング環境「Max」を中心に、サウンドプログラミングについて紹介していきたいと思います。

Maxでプログラミングを行う際に重要な「順序」について複数回にわたって書いていきます。
前回はtriggerオブジェクトについて紹介しました。今回はタイミングを微調整するオブジェクトを紹介します。
わりと「奥の手」的なものではありますが、覚えておくと役立つ時があるかもしれません。

deferlow (defer) オブジェクト

deferlow というオブジェクトがあります。
このオブジェクトを通ったデータは時間の優先度が下がり、後回しになります。
簡単な例を見てみましょう。

deferlowの挙動の例

前回の引き算のパッチの「3」への接続に、deferlow オブジェクトをくっつけてみました。
本来なら引き算オブジェクトの右インレットに入るデータは 1, 3 の順で上書きされ、5 - 3 = 2 になるはずですが、deferlow オブジェクトがくっついたことで 3 の送信が後回しになり、5 - 1 = 4 が先に計算されているのがわかります。

注意したいのが、deferlow オブジェクトは優先度を下げるため、割り込み処理の内容などによって遅延時間が変わります。したがって精密な時間コントロールには向いていません。

遅延時間が毎回変わる

また、 defer というオブジェクトもあり、こちらは Overdrive モードでのみ効果のある、deferlow と似た働きをするオブジェクトです。


Maxを用いて創られた音楽


田中文久 FUMIHISA TANAKA
ソニフィケーションアーティスト、サウンドプログラマー
東京芸術大学音楽環境創造科、同大学院修士課程修了。音楽に関する様々な技術やテクノロジーを駆使し、楽曲制作のみならず、空間へのアプローチや研究用途、最近では、あらゆるものを音に変換する「ソニフィケーション」を用いた制作・研究・開発等、音楽の新しい在り方を模索・提示している。

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