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#2 キーワードは「新宿ルネッサンス」 | 元祖発車音 開発秘話 新宿駅の音

今でこそ多くの駅で聞かれる発車メロディや発車サウンド。
その元祖である、「JR新宿駅・渋谷駅の音(1989-2001) 」について、当時の開発プロジェクトリーダーである「井出 研究所」所長・井出 祐昭が、開発秘話や制作エピソードを語ります。

TOKYO MORNING 1989 (井出 研究所)


企画提出から採用まで

放送機器を刷新する目的の企画募集に対して、「新宿ルネッサンス」をキーワードに、発車音など芸術系の要素を含む企画書を提出した特別ヤマハチーム。(#01参照)

企画書の提出から採用まで、その道のりはどのようなものだったのでしょうか?


企画の提案から採用までの道のりは、全然順調ではありませんでした。
JR側も、まったく新しいことを百何十万人が乗り降りするところでやるというのは結構勇気がいるので、簡単にはいかない。
企画書を出してから本当にやるというまでは、1年以上もかかりました。

プレゼンテーションで使用した企画書が、いまだに残っています。
どちらかというと、放送設備のプレゼンというよりは、プロデュースのプレゼンのような感じでした。
「新宿ルネッサンス」という考え方もあって、新宿文化を強調したような企画書でした。

当時の企画資料

プレゼンテーションの場には、自分はいなかったように思います。
当時の部長で、すごい方がいて。兵法を勉強している方で、グサッと伝えるのも上手いので、その方が話しました。
気が合う方で、井の頭公園で一緒にお酒を飲んだりもしました。

当初は「放送設備」という、ハード側の設備に関する側面が強かったので、プレゼンテーションを経て色々と設計したりして、一回現地で検証をしてみようという段階になりました。
そのときに勝ち残っていたのが、たしか4社くらいだったように思います。
ホームを4分割して、どの音響設備が一番いいか?という聞き取り調査をやりました。

ヤマハの場合は、それ専用のスピーカーまで作っていました。
駅に置くものって、病院と一緒で、結構規格が厳しいんです。
落ちちゃいけないので、ねじの仕様が特殊だったり、上に取り付けるときの強度など、超ヘビーデューティーな仕様が求められる。スピーカーのケーブルを挿すコネクタの部分も、そのままというわけにはいかない。
そういった部分もクリアしつつ作ったスピーカーが最後まで勝ち残り、ヤマハが担当することになりました。


「元祖発車音 開発秘話 新宿駅の音」では、皆様からの質問を募集しております。
井出所長に聞いてみたいことがございましたら、note記事へのコメントまたは公式Xへのリプライでお寄せください。

次のお話



井出 祐昭 HIROAKI IDE
サウンド・スペース・コンポーザーSound Space Composer

ヤマハ株式会社チーフプロデューサーを経て、2001年有限会社エル・プロデュースを設立。最先端技術を駆使し、音楽制作、音響デザイン、音場創成を総合的にプロデュースすることにより様々なエネルギー空間を創り出す「サウンド・スペース・コンポーズ」の新分野を確立。
主な作品として、30周年を迎えるJR新宿・渋谷駅発車ベル、愛知万博、上海万博、浜名湖花博、表参道ヒルズ、グランフロント大阪、東京銀座資生堂ビル、TOYOTA i-REALコンテンツ、TOYOTA Concept-愛i、SHARP AQUOS、立川シネマシティ、世界デザイン博など。
またアメリカ最大のがんセンターMD Anderson Cancer Centerで音楽療法の臨床研究を行う他、科学と音楽の融合に取り組んでいる。最近では、日本ロレアルと共同で髪や肌の健康状態を音で伝える技術を開発。米フロリダ州にて行われた化粧品業界のオリンピックである第29回IFSCC世界大会、PR分野の世界大会であるESOMAR 2017にてグランプリを受賞。メディア出演・講演多数。

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