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#9 「鐘の音」に辿り着くまで① | 元祖発車音 開発秘話 新宿駅の音

今でこそ多くの駅で聞かれる発車メロディや発車サウンド。
その元祖である、「JR新宿駅・渋谷駅の音(1989-)」について、当時の開発プロジェクトリーダーである「井出 研究所」所長・井出 祐昭が、開発秘話や制作エピソードを語ります。

TOKYO MORNING 1989 (井出 研究所)

「鐘の音」に辿り着くまで ①

「元祖・発車音」開発において、「鐘」の音が参考にされたということは、当時の新聞やメディアなどでも多く取り上げられました。(当時の新聞記事の画像はこちら
では、どのような経緯で「鐘の音」に辿り着いたのでしょうか?


一番最初作り出した時には、「いまの発車音をもとにして、だんだん音楽要素をいれていく」というやり方で取り組みました。
例えば、音色を変えたり、音の形を変えたり、といった方法です。
その時だけでも100個くらい作ったと思います。

ですが、やっている最中に、世の中に出ていくときにも、開発者の自分たちとしても
「なんでこの音なのか?」
ということがしっかりわかって説明できないといけないのではないかと考えました。

ですが、世界中探しても電車のベルの情報はなかったのです。
これは困ったなと。

新しいものを創る時、論理を一つ飛ばさないといけない、ということがあります。
今までのものをだんだん変えていったらいいかといえば、そういう訳でもない。
今までとは違う理論を入れなければならない。
それはなんだろう?

そんな時は、過去の歴史を振り返ってみると分かるのです。

まず
・音で
・時間や何かの開始や終了を表現しているもので
・少なくとも1000年以上それが淘汰されないできたもの
って何なのかなぁと、何か月も考えました。

(次回に続く)


「元祖発車音 開発秘話 新宿駅の音」では、皆様からの質問を募集しております。
井出所長に聞いてみたいことがございましたら、note記事へのコメントまたは公式Xへのリプライでお寄せください。


井出 祐昭 HIROAKI IDE
サウンド・スペース・コンポーザーSound Space Composer

ヤマハ株式会社チーフプロデューサーを経て、2001年有限会社エル・プロデュースを設立。最先端技術を駆使し、音楽制作、音響デザイン、音場創成を総合的にプロデュースすることにより様々なエネルギー空間を創り出す「サウンド・スペース・コンポーズ」の新分野を確立。
主な作品として、30周年を迎えるJR新宿・渋谷駅発車ベル、愛知万博、上海万博、浜名湖花博、表参道ヒルズ、グランフロント大阪、東京銀座資生堂ビル、TOYOTA i-REALコンテンツ、TOYOTA Concept-愛i、SHARP AQUOS、立川シネマシティ、世界デザイン博など。
またアメリカ最大のがんセンターMD Anderson Cancer Centerで音楽療法の臨床研究を行う他、科学と音楽の融合に取り組んでいる。最近では、日本ロレアルと共同で髪や肌の健康状態を音で伝える技術を開発。米フロリダ州にて行われた化粧品業界のオリンピックである第29回IFSCC世界大会、PR分野の世界大会であるESOMAR 2017にてグランプリを受賞。メディア出演・講演多数。


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