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#3 「元祖・発車音」誕生のきっかけは? | 元祖発車音 開発秘話 新宿駅の音

今でこそ多くの駅で聞かれる発車メロディや発車サウンド。
その元祖である、「JR新宿駅・渋谷駅の音(1989-)」について、当時の開発プロジェクトリーダーである「井出 研究所」所長・井出 祐昭が、開発秘話や制作エピソードを語ります。

TOKYO MORNING 1989 (井出 研究所)

「元祖・発車音」誕生のきっかけは?

プレゼンテーションや放送設備の現地検証を勝ち抜き、いよいよ「元祖・発車音」の開発が始まりました。ところで、そもそも、発車音を新しくしようと考えたきっかけは、何だったのでしょうか?


当時、新宿駅に行くとどういう状況だったかというと、もうプロレス状態!

駅員さんのしゃべりというか、がなりというか、あれがもうプロレスのリングの上でやっているような感じで、ひずみがとにかくすごくて…。
注意喚起を声でやっちゃっているようなところがありました。

あと、発車ベルも「プルルルル…」みたいな、結構やかましいタイプのものでした。
昔は「音楽をやっている人は、発車ベルの発生源の近くに行かない方がいい」ということが、よく言われていました。
それぐらい、とにかくやかましいし、帯域も結構きついところに来る。
JRのお客様相談センターみたいなところにも、「発車ベルがやかましい」という苦情がたくさん来ていたそうです。

当時の分厚い資料の中に「音響測定データ」がびっしり。
耳への負担や聴こえ方には強いこだわりがありました。

そのように、音に対する苦情がけっこう出ていたので、JRも音についての問題意識がそもそもあったのかもしれない。
提案したのはこちらだと思いますが、苦情があったこともあり、JR側も音の問題についてニーズが高かった。
こちらとしてはクリーン作戦として「駅の空気をよくしたい」という意図があって、その辺りが合致した、フィットしたという感じだと思います。


「元祖発車音 開発秘話 新宿駅の音」では、皆様からの質問を募集しております。
井出所長に聞いてみたいことがございましたら、note記事へのコメントまたは公式Xへのリプライでお寄せください。


次のお話


井出 祐昭 HIROAKI IDE
サウンド・スペース・コンポーザーSound Space Composer

ヤマハ株式会社チーフプロデューサーを経て、2001年有限会社エル・プロデュースを設立。最先端技術を駆使し、音楽制作、音響デザイン、音場創成を総合的にプロデュースすることにより様々なエネルギー空間を創り出す「サウンド・スペース・コンポーズ」の新分野を確立。
主な作品として、30周年を迎えるJR新宿・渋谷駅発車ベル、愛知万博、上海万博、浜名湖花博、表参道ヒルズ、グランフロント大阪、東京銀座資生堂ビル、TOYOTA i-REALコンテンツ、TOYOTA Concept-愛i、SHARP AQUOS、立川シネマシティ、世界デザイン博など。
またアメリカ最大のがんセンターMD Anderson Cancer Centerで音楽療法の臨床研究を行う他、科学と音楽の融合に取り組んでいる。最近では、日本ロレアルと共同で髪や肌の健康状態を音で伝える技術を開発。米フロリダ州にて行われた化粧品業界のオリンピックである第29回IFSCC世界大会、PR分野の世界大会であるESOMAR 2017にてグランプリを受賞。メディア出演・講演多数。


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