【Podcast まとめ】第5回 教科書は「鐘」の音?その秘密とシミュレーションをお届けする理屈編 | 発車ベルチャンネル
タイトル
第5回 教科書は「鐘」の音?その秘密とシミュレーションをお届けする理屈編
概要
長い歴史の間淘汰されず、何かを知らせる音…元祖発車ベル開発の教科書として辿り着いたのは「鐘」でした。
鐘の音色の特徴とはなんでしょう。何故発車ベルに必要な考えだったのでしょう。
鐘の音に含まれる音程を重ねた音のシミュレーションもお聴き頂きます。
必聴の理屈編です。
はじめに
元祖発車ベルチャンネル!このチャンネルでは、井出 音 研究所 所長、井出 祐昭が、元祖発車ベルを開発したスタッフを代表して、当時のことをお話しいたします。
今日はですね、ちょっと難しいですよ。
(元祖発車ベルのカギは)鐘の音、鐘の音と言っているんですね。
鐘の音色、鐘の響きと言ってもいいと思うんですけど、この正体をついにばらそうかということをやってしまいたいと思います。
何故鐘の音が教科書に?
なんで鐘になったかということなんですけどね。
この仕事を始めた時に、ものすごい長い間持っている音で、しかもそれは何かを知らせる音っていうのは、何があったのかということを調べてみたわけですね。
例えば、煙なんかでこういう、あげる、のろしっていうことで伝えるっていうこともあるように、アフリカなんかでは、割れ目太鼓というですね、木の幹をそのままスリットを入れて叩くとボーンってものすごく遠くまで遠く音があったりとか、トーキングドラムっていうですね、言葉をしゃべるように叩けるドラムがあったりとかして、そうやって遠くとすごくコミュニケーションしてたんですね。
それで、もう一つですね、ものすごく長く持っている何かを知らせる音っていうのがあるんです。
これが鐘の音なんですね。
鐘の音はお知らせ音の原点
教会の鐘とか、お寺の鐘とか、いろんなものがあって、実際、材質とか大きさとか、その中の形状とか、それが建ててある建物とか、その街の様子とか、いろんな要素が入ってきて、さまざまな響きがあるんですけども、ところがですね、共通したこともあるんですよ。
それを今日は音で確認していただきたいと思います。
で、鐘の音っていうのはですね、下手すると数千年も淘汰されないで、時を知らせるとか、そういうことで来たわけですね。
だから言ってみるとこれがですね、信号、何かを人に知らせる音の原点ではないかということで、これが教科書になったわけですね。
相反する要素が一つの音色に
どういうことかというとですね、鐘をついた途端にバシッとかバシッっていうですね、ものすごく立ち上がりの強い、殴ったような音がするわけですね。
で、それだけだと、多分あんまり長く持たなかったと思うんですけども、その後ボヨヨヨヨンっていうですね、優しい抱きしめるような音があると。
つまり、昔よくあった笑いながら怒るとかですね、怒りながら笑うとか、あるいは平手打ちした後抱きしめるとか、そういうですね、相反する要素が一つの音に入っているわけですね。
こういうことが必要だったんじゃないかと。
個性がありながらも調和する
もう一つは、新宿駅でいうと、その当時は12番線あったのかな?ということで、電車の入ってくるのとか出てくるのがもうバラバラなんですね。
普通のメロディーをやっちゃったらですね、ものすごく不協和音になって、一個一個いいにしても全体としてすごい気持ち悪い空間ができるわけです。
これが今ですね、世の中そこら中で起こっていることなんですけれども。
そういうことをどうやってクリアしたらいいかと。
個と調和ですね。電車によっていろんな色があって、それは何番線かって決まっているように、音でも個性をつけて、しかも混じり合っても嫌な響きにならないと。
この難問をどう解決するかということで、ここでも鐘が出てくるんですよ。
例えばね、除夜の鐘とかっていうのを思い出すと、いろんなお寺があって、それぞれいろんな音色を持った鐘がバラバラに出てくるわけですね。
だけど、うわぁ気持ち悪いとかいう風にならないわけです。
なんか調和している。
それには共通した要素があるからなんですけれどもね。
共通しつつ、それぞれが独立していると。
こういうような要素があるからこそ、個と調和というのができているわけですね。
これも今言ったように、鐘っていうことの音色の特徴になっているということなんです。
鐘の音シミュレーション実験
そういうことがあってですね、鐘に注目しまして、いまだにですね、鐘の波形っていうのはすごい綺麗なんですけれども、これは私たちの教科書として、いろんな交響空間の音をやっているわけです。
これはちょっと非常にリスキーな挑戦なんですけれども、サインという音は、時報の音なんですけれどもね。その周波数のその高さの音しかない音なんです。
それを何の変哲もない音を積み重ねていって、それが鐘の音になるかどうかということなんですけれれどもね。
実はこれは鐘の音というのを研究したことがありまして、それによって鐘の音が低い音から高い音までどんなふうに重なっていくかと、これを実験してみました。
はい、それではどうぞ。
なんか鐘になってませんか?
もう何の変哲もない、時砲みたいな音が重ね方によって、こういうふうに鐘の音になると。こういうものを、これから出てくる実際に使われたベルにかなり応用しています。
ピアノで鐘の音を作れるか?実験
で、最後にもう一つ、こういう鐘の曲というのが世の中に結構ありまして、
それを今度はピアノの曲なんですけれども、
その響きというのをですね、ちょっと聴いていただきたいと思います。
それではどうぞ。
ということで、今日は鐘の秘密というようなことをちょっとやってみました。
これを言うのは初めてなんですけれども、こういうような理論的な背景があるということですね。
ということで、来週はですね、またちょっと戻って、
作っていった最中の様々な音をまた聴いていきたいと思います。
空間オーディオつくりました
なんとですね、この新宿の空間をですね、今の技術で表しちゃおうということで、ちょうどいい技術ができたんですね。
これAppleの空間オーディオというものなんですけれども、Apple Musicにちょっと入らないといけないんですけどね、それとAirPodsというイヤホンみたいなもの。それの組み合わせでですね、実はこの新宿駅の発車ベルがいろんな方向から聞こえてきたりとか、自分の頭の上を通り過ぎたりとか、そういうちょっと面白い体験ができます。
そういうものをリリースしましたので、ぜひこちらもお聴きください。
概要欄にリンクを貼っています。
それではまた来週。
次回のPodcast放送は本日11月18日(月)0:00公開中!
タイトルは「第6回 ハープとクリスタルマリンバの未公開発車ベルコンサート」
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