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理詰めで誰でも面白いストーリーが作れる 4 エンタメ神髄 予想させて裏切る

面白いストーリーを作るための、充分な量と質の理論を提供する連投テキスト。
4回目である今回は、面白さについての理解を深めるべく、エンタメの本質について述べる。


予想が裏切られる驚き

エンタメ系物語作品について述べた前回からの流れで、
エンタメ系物語作品を含む全てのエンタメには、一つの共通点があるということを指摘しておきたい。
全てのエンタメの共通点とは、予想が裏切られる驚きを提供するという点だ。

エンタメ系物語作品以外のエンタメには、例えば、曲芸、手品、アトラクション、漫才等がある。

一輪車に乗りながらのジャグリングという曲芸をイメージしていただきたい。
しかも、ジャグリングするのはボールでもスティックでもなくナイフで、刃にも柄にも大量の油が塗られていてツルツル滑る。
さらに本数は十本としたら?
「そんなのできるわけないよ。絶対失敗してケガしちゃうって」
観客は、意識的にせよ無意識的にせよ、そのような予想を立てる
しかしパフォーマーはその予想を裏切って、無傷で成功して見せる。
そして巻き起こる拍手喝采。

アトラクションのバンジージャンプではどうか。
ジャンプ台の先端に立ち、遥か下方を見下ろした時、その人は予想するだろう。
「この命綱が無かったら絶対死ぬわ」
恐怖は不安をエスカレートさせ、
「この命綱が切れたら絶対死ぬわ」
緊張がさらに不安を掻き立て、
「これたぶん命綱切れて死ぬわ」
となる。
決死の覚悟で飛び降りてみると、見事予想は裏切られ、頑丈な命綱に救われる。
いまだかつて味わったことの無い安堵や生きていることへの感謝・喜びで、その胸は満たされるだろう。

漫才もまた例外ではない。
漫才師らの掛け合いを聴きながら、観客は無意識のうちに、次のセリフを予想している
とは言えそれは、厳密・精確な予想ではない。
展開されている話題、直前のセリフ、そして常識や経験則。
それらを予想の材料として、極めてぼんやりと大まかに、次のセリフを予想しているのだ。
そして実際に飛び出したセリフが、予想していた範囲内から大きく逸脱していた場合、予想を裏切られた驚きと共に、爆笑が湧き出して来るのだ。

このように全てのエンタメは、予想させて裏切るという構造を持っているのだ。

予想が裏切られると面白い

前回のテキストで述べたように、面白さとは、好奇心をくすぐることである。
予想が裏切られた時、人は驚く。
単に驚いて終わりとなるケースも稀にはあるだろうが、大抵の場合はそれでは済まない。
「なぜ?」
という疑問が湧いてくるのだ。

自分の立てた予想が外れたのはなぜかと、人は考え、探り始める
例えば曲芸ならパフォーマーの熟練の技や、それを実現した努力に思いを馳せるだろうし、
手品ならタネや仕掛けの存在をあれこれと想像するだろう。

それらの疑問や洞察は、最低限の好奇心が無ければ生じない。
つまり、予想を裏切られた驚きが、そのまま好奇心へ転じるということ。
予想を裏切られた驚きは、面白さに直結するということだ。

エンタメ系物語作品における予想

曲芸とアトラクションと漫才とでは、観客の予想の種類が異なっていた。
曲芸では可能か不可能かという予想、
アトラクションでは身の安全に関する予想、
漫才では次のセリフに関する予想といった具合だ。

ではエンタメ系物語作品においては、受け手はどのような種類の予想を立てるのだろうか?
それは、次の展開(発生する出来事や、登場人物の言動等)に関する予想である。

「たぶん次はこうなるだろうな」
「この後主人公はああするだろうな」

といったことを、意識的にせよ無意識的にせよ予想しながら、受け手はエンタメ系物語作品を鑑賞している。
その予想が裏切られることで驚き、疑問や洞察や好奇心が生まれ、面白いと感じる。
その点は、他のエンタメと同様である。

まとめ

全てのエンタメは、予想させて裏切るという構造を持っている。
人は予想が裏切られると驚き疑問洞察好奇心が生まれる。
つまり面白いと感じる。

エンタメ系物語作品においては、受け手は次の展開を予想しており、その予想が裏切られると面白いと感じる。

ちなみに、エンタメ系物語作品における「次の展開の予想」については、主人公の目的の成否(達成されるか否か)を焦点化すると、予想の強度や明確度が増す。
次回のテキストでは、この目的という概念について掘り下げていきたい。

今回のテキストは以上である。
最後まで読んでくださったそこのあなた、本当にありがとうございましたm(__)m

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