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様々な角度から楽しむ!コーヒーインストラクター福島の COFFEE QUEST 〜vol.2 産地編〜

みなさんこんにちは。アイデアプラスのディレクター兼休日コーヒーインストラクターの福島です。

コーヒーを通じて様々な角度・視点から物事を捉えることの重要性について考えていくこのシリーズ。今回はコーヒー豆の産地をテーマにコーヒーの面白さを以下の3つの視点から深堀りしていきたいと思います。

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1.国や地域によって風味が異なる

コーヒー生産国と聞いて、まずどこを思い浮かべるでしょうか?

ブラジル?エチオピア?インドネシア?

生産国の名前はいくつか思い浮かんでも、それぞれどんな特徴のあるコーヒーなのかピンとくる方は少ないのではないでしょうか。

前回、イタリアでコーヒーにはまったお話をしました。イタリアから帰国後、様々なお店でコーヒーを飲むようになった私ですが、最初にぶつかった壁が「色々なコーヒーが産地ごとに売っているけど、どれがどれだかさっぱりわからない」でした。

「前に行ったお店ではブラジルが美味しかったから、このお店でもブラジルを頼んでみよう。あれ?いまいちだな...そもそも前飲んだものがどんな味だったかよく覚えていない...」

そんな悩みが綺麗に晴れるきっかけとなったのが、ある自家焙煎店で開催された飲み比べワークショップでした。複数のコーヒーを同時に飲むことでそれぞれの違いが明確になり、「こんなに違いがあったのか!」という驚きと感動の体験ができました。

自分の中でそれぞれのコーヒーの違いの解像度を上げるポイントは、1つ基準となるものを設定すること。そして自分にとってわかりやすい言葉で表現すること。

例えば基準とするコーヒーをAとして、「BはAより苦い」「CはAより酸っぱい」「DはAより重い」「EはAより香りが良い」など。さらにそれをマトリクス図にプロットすると自分のコーヒーマップができてとてもわかりやすくなります!
ですが、そこまでやるのはなかなか大変なので、まずは自分の言葉で表現してみてください。では地図を見ながらご紹介していきたいと思います。

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コーヒーの生産エリアは主に赤道を中心として北回帰線から南回帰線までの範囲の、熱帯・亜熱帯と呼ばれる地域に集中しています。さらに、多くの地域で標高1000m以上の高地で栽培されています。

これは、コーヒーという植物が年間一定の気温で平均20度くらいの気候を好むためです。コーヒーの生産エリアを大きく3つに分けて、エリアごとの特徴や主な生産国などを見ていきましょう。

<アフリカ>

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コーヒー発祥の地=エチオピアを擁するアフリカ。全体的に酸味・風味・個性が強めです。特にエチオピアはイエメンと並んで「モカコーヒー」という名前で親しまれ、少し発酵したような独特な香りと紅茶のような華やかな風味が特徴。飲んだら一発で他のコーヒーとの違いを実感できます。

また、個人的に好きなのはケニアで、高品質なものはストロベリーやブルーベリーのような重厚感のあるリッチで華やかな風味を味わえます。火山性の土壌と高い標高が豊かな酸味のもとになっているようです。

<アジア>

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アジアは何といってもインドネシアのマンデリンが有名です。雨が多く収穫したコーヒーを乾燥させるのにあまり長い時間をかけられないため、2度に分けて乾燥させる独特の処理を行っていることが、マンデリン特有のスパイシーな風味に繋がっていると言われています。

インドネシアの他にも図のように様々な国でコーヒーが生産されていて、日本ではほとんど出回っていませんがフィリピンやオーストラリアでも生産されています。特にフィリピンはバリスタの世界大会などでも使われたりするくらい品質が高いものがとれるようです(残念ながらまだ私は飲んだことがありません)。

アジアのコーヒーで私が好きなのはインドネシアのスラウェシ島でとれるトラジャという銘柄のコーヒー。苦味とコクが特徴のマンデリンとは違い、柔らかい甘みがあり爽やかな風味が特徴です。

<中南米>

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図では「苦味と酸味のバランスが良い」と書きましたが、中南米は特に生産国が多く一括りにするのが難しいエリアでもあります。苦味も酸味もマイルドなブラジル、苦味も酸味も強く飲みごたえのあるコロンビア、綺麗な酸味と軽い飲み口のパナマなど。

私は中米コスタリカのコーヒーが特に好きです。コスタリカのコーヒー農園はそれぞれ個性を出すためいろいろな栽培・生産上の工夫を行っています。コスタリカの様々な農園のコーヒーを飲むと、ひとえにフルーティーといっても柑橘系、ベリー系、ピーチ系、アップル系など様々な方向性があるというのが実感できて非常に面白いです。

以上のように国や地域ごとに異なる特徴があるのですが、単体で飲んでもピンときづらいので、是非同時に複数の産地のコーヒーを飲み比べてみてくださいポイントは同じお店で焙煎度の近いもので比較すること。そうすることで産地の違いが際立ちます。

2.輸出用か国内消費用かで質が変わる

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今度は少し視点を変えて、ある国で生産されたコーヒー豆がどう消費されるかを考えてみましょう。

山口県の下関はふぐで有名ですが、一級品のふぐは東京をはじめとした都市部の高級料亭などに優先的に流れるため、地元では高品質なふぐがあまり食べられないそうです。

同じようにコーヒーも高品質な豆は欧米を中心とした消費国に優先的に流れるため、コーヒー生産国内で飲まれているコーヒーは輸出用に回せなかった低品質なものが中心です。それどころかコーヒーを飲む文化があまりない生産国も多く、自分たちが作ったコーヒーがどんな味なのかよくわかっていない生産者も少なくないといいます。

日本をはじめとする消費国のコーヒーバイヤーの中には、生産者に自分たちの作っているコーヒーに誇りをもち、より品質を高めてもらうために、生産者にそこでとれたコーヒーを焙煎・抽出して実際に味わってもらう取り組みをしている人たちもいます。

3.グレードによって質が変わる

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次は豆のグレードについてみていきましょう。

1つの生産国でとれたコーヒー豆全てが同じ扱いをされるわけではなく、高品質のものから低品質のものまでグレードがつけられ、グレードごとに流通するのが一般的です。グレードは生産国ごとに違います。以下に主なものをご紹介します。

<ブラジル>
欠点豆の多さと豆の大きさでグレードが決まり、最高グレードは「No.2」です。なぜかNo.1はありません。絶対に100点をつけないM1の採点者のようですね(笑)。ブラジルの他にタンザニア、ジャマイカ、ハワイなども欠点豆と豆の大きさでグレードが決まります。

<グアテマラ>
標高の高さでグレードが決まり、標高が高いほどグレードも高くなります。標高の高い場所ほど昼夜の温度差が大きく厳しい環境になります。厳しい環境で育つ野菜があまく美味しくなるようにコーヒーも厳しい環境ほどおいしい成分がぎゅっと詰まった高品質の豆になりやすい傾向があります。

グアテマラでは標高1300m以上で採れたものに最高グレード=SHB(ストリクトリーハードビーン)がつけられます。他にもホンジュラス、エルサルバドル、ニカラグアなど中米諸国の多くは標高でグレードが決まります。

<エチオピア>
欠点豆の多さでグレードが決まります。300g中の欠点豆が3個までのものが最高グレード=G1となり、G2・G3・G4とグレードが下がっていきます。エチオピアの他にインドネシアも欠点豆の数でグレードが決まります。

以上のように欠点豆の数、豆の大きさ、標高の3点がグレードを決める主な基準となっています。但しこれらは生産国での品質基準であり、消費国側の品質基準ではないことに注意が必要です。

上記でご紹介した基準には味や香りに関係する項目は一切入っていませんね。どれも味の品質に影響があると考えられているものが基準にはなっていますが、高いグレードだから味の品質も高いとは必ずしも言い切れません。

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では、消費側目線での品質基準はないのでしょうか。

実は一部の生産国ではカップオブエクセレンス(COE)というコーヒーの品評会が行われています。カップオブエクセレンスでは、何人もの審査員が出品されたコーヒーを味見して共通の評価シートに点数をつけていきます。例えば「甘さ」「酸味」「風味」「後味」など項目ごとに点数がつけられ、合計点によってランキングが決まります。

そして全世界でネットオークションにかけられ、高い順位のものから高値がついていきます。一般的な商社などを通して販売されるものよりかなり高値になるのですが、その売上金が直接生産者に渡るため、高品質のコーヒーが欲しい消費者にとってはもちろん、生産者にとっても良い、WIN-WINの取り組みと言えるのではないでしょうか。

※カップオブエクセレンス開催国
2020年はコロナの影響で一部中止になっているようですが、2019年は以下の11カ国で開催されたようです。
【中南米】ブラジル・グアテマラ・ニカラグア・エルサルバドル・ホンジュラス・コロンビア・コスタリカ・ペルー・メキシコ
【アフリカ】ルワンダ・ブルンジ (2020年はエチオピアで初開催)

【まとめ】

以上、3つの視点からコーヒー産地を見てきました。これらを少し抽象度を上げてみるとどのようなことが言えそうか、考えてみました。

1.生産国の気候風土の違いで味が大きく変わるコーヒー。どんな環境で生まれたのか?育ったのか?を紐解くと、特徴の違いとその要因がわかってきます。

2.立場が変わると見えてくるものも違います。取引先の立場に立つとどうか?外注先の立場に立つとどうか?お客さんの立場に立つとどうか?立場ごとに重要なことや価値の高低が変わってくるかもしれません。

3.品質がどのような基準で決まっているのか。同じグレードを示していても、評価の基準が違うこともあります。何故その基準を採用しているのか。誰にとって価値があるのかなど、ただ数字に引っ張られることなく見極める力も重要だと感じます。

以上、今回は産地という視点からコーヒーの魅力に迫ってみました。何か新たな気づきや発見はありましたでしょうか?次回以降の記事ではまた違った角度でコーヒーの魅力をご紹介していきますのでお楽しみに!

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