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様々な角度から楽しむ!コーヒーインストラクター福島の COFFEE QUEST 〜vol.3 産地編2〜

みなさんこんにちは。アイデアプラスのディレクター兼休日コーヒーインストラクターの福島です。

コーヒーを通じて様々な角度・視点から物事を捉えることの重要性について考えていくこのシリーズ。今回は以下3つの視点からコーヒーを考えていきたいと思います。

1. 品種によって味も変わる?
2. 収穫した後の処理方法でも味わいが違う?
3. 輸送も品質に関係してくる?

コーヒー農園1コーヒー農園は山の斜面にあることも多い


1. 品種によって味も変わる?

コーヒーの品種の話の際によく引き合いに出されるのが、お米の品種です。植物の「種」に該当するのが、お米だとタイ米に代表されるインディカ米や日本米に代表されるジャポニカ米。その下の区分である「品種」に該当するのが、コシヒカリやあきたこまちといったところになります。
コーヒーではまず、3大品種として「アラビカ種」「カネフォーラ種(ロブスタ種)」「リベリカ種」があります。

「リベリカ種」はほとんど生産量がなく、世界のコーヒー栽培はその6~7割が「アラビカ種」、3~4割が「カネフォーラ種(ロブスタ種)」が占めています。カネフォーラ種は一般的にはその1品種であるロブスタ種の名前で呼ばれることが多いので、ここでもロブスタ種としてご紹介します。

日本米とタイ米とでは味や食感が全く異なるのと同様、アラビカ種とロブスタ種も味わいに明確な違いがあります。一般的なレギュラーコーヒーの味で皆さんが想像するもの、それがアラビカ種です。苦味や酸味を伴い、中にはフルーティな風味やスパイシーな風味のものなども。一方ロブスタ種は、焦げた麦茶のような風味で酸味はなく苦味が強いのが特徴。カフェインがアラビカ種の2倍以上あります。何度かロブスタ種のコーヒーを飲んだことがありますが、お世辞にも美味しいと思えるものではありませんでした。

味覚の上ではアラビカ種に劣るロブスタ種ですが、世界の生産量の3~4割も占めているのには理由があります。

・安価なため、インスタントコーヒーや缶コーヒーなどに使われることが多い。
・病気や害虫に強い。
・苦味やコクが強いので、エスプレッソやアイスコーヒー用のブレンドに重宝されることも。

一見、その味の特徴からアラビカ種が優れた品種でロブスタ種は劣った品種と思われがちですが、ロブスタ種にも強みや用途があるのですね。

ちなみにロブスタ種の生産量が多い国は、ベトナム・インドネシア・ブラジルなど。ベトナムコーヒーといえばコンデンスミルクをたっぷり加えた甘く濃厚な飲み物。これは苦味が強いロブスタ種のコーヒーを使っているため、それを飲みやすくするために考案された飲み方だそうです。

ベトナムコーヒーTeeFarmによるPixabayからの画像

そしてアラビカ種には多くの品種があります。「ティピカ」「ブルボン」という2代品種を中心に様々な品種が突然変異や自然交配などで増えたり、人工的は交配により作られたりしてきました。たくさん実をつける、収穫しやすいように高く成長しすぎない、病気に強いなど、より栽培しやすい形になるよう品種改良がされてきています。ではアラビカ種の主な品種をご紹介します。

【ティピカ】二大原品種のひとつ。
【ブルボン】二大原品種のひとつでティピカの突然変異で生まれた。
【ゲイシャ】1930年代にエチオピアのゲイシャ村で発見された品種で、中米に渡った後2004年のパナマの品評会で1位をとり一躍世界的に有名に。独特の柑橘系フレーバーが特徴。
【ハイブリッドティモール】東ティモールで発見された、アラビカ種とロブスタ種の交配種。さび病という病気への耐性を持つ。
【ブルボンポワントゥ(ローリナ)】ブルボン種の突然変異種でカフェインが通常品種の半分しかない。

コーヒーの花1コーヒーの花は白く、ジャスミンのような香りがするらしい

コーヒーの木1


2. 収穫した後の処理方法でも味わいが違う?

コーヒー豆はコーヒーノキという植物の実の中にあるタネ。そのタネを実から取り出すための処理を精製と言うのですが、その方法は様々で味にも影響を与えます。最近では専門店だけでなくまちなかのカフェでも、同じ産地で精製方法を選べるお店が増えてきました。
タネを取り出すためには乾燥させる必要があり、どの段階で乾燥させるかで精製方法が分かれます。主な精製方法を4つご紹介します。

<ナチュラル(乾燥式)>
実のまま乾燥させる方法です。古くから行われている精製方法で、水を大量に使う必要がないので、水が豊富でない地域で採用される場合が多いようです。果肉がついたまま乾燥させるので風味が強く酸味はマイルドになる傾向があります。

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<ウォッシュト(水洗式)>
実を採取したらすぐ果肉を取り除き、タネのまわりのヌルヌル(ミューシレージ)も取り除いた後、乾燥させる方法です。最も広く取り入れられている方法で、多くの生産国で採用されています。クリーンでスッキリ爽やかな風味になる傾向があります。

画像6ミューシレージを除去(楽しそうにやっています!)

画像8天日乾燥

<パルプトナチュラル(半水洗式)>
果肉を取り除いたあと、ミューシレージを除去せず乾燥させる方法です。水をたくさん使わずウォッシュトの精製度の高さを実現させるためにブラジルで始まった精製方法ですが、中米諸国ではパルプトナチュラルの派生であるハニー製法によって風味の差別化を目指しています。味はナチュラルとウォッシュトの中間で、適度なコク・複雑さがありながらナチュラルよりはすっきりクリーンな印象になります。

※ハニー製法※
ミューシレージリムーバーという機械でミューシレージを少しだけ除去して乾燥させる方法。ミューシレージをどれくらい残すかで風味が変わる。明確な定義はないが、主に次のようなバリエーションがある。
・ブラックハニー:半分以上ミューシレージを残し、レッドハニーより長い時間乾燥
・レッドハニー:半分以上ミューシレージを残し、乾燥
・イエローハニー:半分以上ミューシレージを除去し、乾燥
・ホワイトハニー:ミューシレージをほとんど除去し、乾燥

Mリムーバーミューシレージリムーバー

<スマトラ式>
ミューシレージを水で除去するところまではウォッシュトと同じですが、完全に乾燥させる前にパーチメントと呼ばれる内果皮を除去し、その後本乾燥させます。雨が多く長時間乾燥させるのが難しいインドネシアの気候に合わせた精製方法です。

以上の精製方法を図にまとめてみました。

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以上のように精製方法は生産地の都合(気候風土や設備条件など)だけでなく、品質や差別化といった消費者も見据えた上で様々な方法が選択されています。
今度コーヒー屋さんに行った時は是非、精製方法にも注目してみてください。

3. 輸送も品質に関係してくる

コーヒー豆が出荷できる状態になった後、どのように消費地に届くのかは産地によりさまざまです。まずは港に集められ、それから各国に主に船便で輸送されます。産地が内陸国であったり(アフリカのエチオピア・ルワンダ・ブルンジ、南米のボリビアなど)、港まで距離があったりすると船に積まれるまでに時間がかかってしまいます。

また、産地と出荷先の国までの距離が長ければ船に揺られる時間も長くなります。コーヒー豆が乗せられているコンテナがリーファーコンテナという低温に保たれたコンテナなら良いのですが、通常のコンテナに長時間乗せられるとコーヒー豆は劣化してしまいます。

コーヒー豆の輸送で品質を劣化させないために重要な役割を果たすリーファーコンテナですが、コストが上がってしまったり、またエチオピアなどはリーファーコンテナを積載できる車体がほとんどないなど、課題も多いようです。

【まとめ】

以上、3つの視点からコーヒーの生産に関わるポイントを見てきました。これらをまとめると以下のことが言えます。

①視点を変えると優劣が逆転することがある(アラビカとロブスタ)。

②前工程が後工程や最終結果にどんな影響を与えるかを考えることは重要である(コーヒーでは収穫後の精製処理方法によって最終的な味わいが変わってくる)。

③輸送という脚光を浴びにくい工程も品質に影響を及ぼす。どんなささいな工程でも気を抜かずに改善することが高品質を保つために重要である。

これらのことは、コーヒーにも仕事にも共通して言える、"最終的なアウトプットをコントロールする"ために重要な視点です。

以上、今回はコーヒーの栽培から輸送までという視点からコーヒーの魅力に迫ってみました。同じ産地であっても、精製方法や輸送方法が異なるだけで、品質や味に違いが生まれてくるというのも、コーヒーの面白さだと思います。

何か新たな気づきや発見はありましたでしょうか?次回以降の記事ではまた違った角度でコーヒーの魅力をご紹介していきますのでお楽しみに!


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