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素人の考古学―北部九州装飾古墳6/8(具象壁画系1)巡り

北部九州装飾古墳5/8(抽象壁画系2)巡りの続き。

(6)-1壁画(具象画)系(福岡県 五郎山古墳)
 直系約35m、高さ5.5m、2段築成の円墳。周溝を備える。
埋蔵施設は南西方向に開口する横穴式石室で、全長約11.2mの複室構造。
玄室は長さ約4.5m、幅約3m、高さ約4m。
壁面には赤・緑・黒の3色の顔料を用いて人物(巫女・力士・弓を引く人など)や動物(鳥・馬など)、船、弓、靫など多くの図柄が描かれている。
出土遺物は金環や玉類、刀子、須恵器など。
6世紀後半の築造。国指定史跡。公園内に保存・復元整備されている。

(福岡県 五郎山古墳)

<五郎山古墳の絵画が意味するもの>
 腰石には右端に靫や鞆、弓などの弓に関する道具が描かれている。中央部には上から烏、同心円文、靫、船が描かれ、右端と中央の絵の間には、冠をかぶった人物や矢が刺さった動物、スカート状の着物を着た人物などがみられる。中央部の鳥の左には動物が描かれ、この動物を狙うように、右下に矢を構えた人物がいる。その下には鎧兜を身に着け、太刀を持った騎馬人物、その左右に動物が上下に描かれている。
祈るようなポーズの人物、さらにその左下には両手両足を広げた人物が描かれている。これらの最下段には梯子状の旗か盾を持った騎馬人物がみられる。
左端には切妻造りの屋根を持つ家、動物が上下に描かれている。腰石の上に置かれた方形の石には同心円文、その右側に左手を腰にあて、右手を挙げたポーズをとる力士と思われる人物、その下にも動物と人物が描かれている。
 馬に乗って弓を引く人物や、武器が特に大きく描かれている。また波よけ板を持つ船が6艘描かれ、その船の中央には四角い箱が乗っている。船の上には珠文が配置されていることから、星の瞬く夜の海を渡って棺が死後の世界にわたっている様子を示しているようだ。このことから、被葬者の権威や死者への鎮魂の物語が描かれていると想像される。
(パンフレット)より
                                               以上
                                              小兵衛

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