【連載小説】『お喋りな宝石たち』~竹から生まれし王子様~第二部 第二十話「全てが新鮮? 」
第二十話「全てが新鮮? 」
「お腹痛いの? 」
心配そうに瑠璃を見る小さな王子を抱きしめると、
この子だけは何としても守らなければ!
魔力を蓄えるために宝石料理を口に運んだ。
「そういえばさ、
さっき宝飾品はあなた達しか作れないって言ってたでしょう。
どんなものが作れるの? 」
瑠璃が聞くと、
「何でも作れるぞ。ネックレス、耳もの、髪飾り?
石と魔法で作る」
モルガがカップ麺を食べながら言った。
ということは………
彼らにたくさん作らせて売れば大儲け?
とりあえず幾つか試作品を作ってもらうか。
この子たちの飲食代だって馬鹿にならない。
十四人分だよ。
宝石料理食べればいいのに、
焼き肉だのカップ麺だのお菓子だの。
お祖母さん、せっかくの家だけど、
本当に負動産だよ………
王子を守って育て上げる前に破産する………
瑠璃はため息をつくとビールをグイッと飲んだ。
――――――――
「瑠璃~これなんだ~? 」
フレアが洗濯機を見て言った。
くるくる回る衣類を不思議そうに眺めていた。
ここにきてから見るものすべてが新鮮なのか、
とに角あちこちくっ付いてきては、
「あれなに~」
「これなに~」
と聞いていた。
「お洋服を洗う機械」
瑠璃が説明する。
「お洋服? 洗うの? 」
フェーンの言葉に、
そうか。この子達って、いつも同じ服?
フォスには魔法で王国の衣装みたいなものを着せてるけど、
妖精は変わり映えしない?
瑠璃がその事を言うと、
「同じじゃない。微妙に違うぞ。宝石が布にも練り込まれ、
服全体に宝石が散りばめられているんだ」
ネルが頬を膨らませた。
そうか。あの煌めきは宝石か。
なんと豪華なお洋服を普段から着ているんだ。
「一応着替えてるのね。じゃあ、脱いだ服は? 」
瑠璃が笑った。
「脱ぐ? 」
エメが首を傾げるので、
「だって脱がなきゃ着替えられないでしょう? 」
「違うよ。こうするの」
レモンが杖を振って自分の今着ているドレスから、
違う色のドレスに変えた。
「魔法で着たい服を考えて想像するでしょ。
すると~」
ラピスもその横で違うドレスに変更させた。
「ほおほおほお~」
瑠璃が驚いた顔でその洋服を見た。
アニメの魔法少女の変身シーンみたいだなぁ~
面白い。
瑠璃が笑った。
「瑠璃だって着たい服を自分で考えて想像すれば、
魔法で出来るよ」
「無理無理~」
アレクを見ながら瑠璃が首と手を振った。
「そんなことないよ。魔法もかなり上達してるし」
その話を聞いて、
ちょっと待てよ。
それができれば衣服代が浮く?
洗濯代も浮く?
瑠璃はにやりと笑うと、
ふむ。その訓練もするか、
とブザーが鳴った洗濯機の中身を取り出した。
瑠璃の衣服は激安ショップで購入して、
自分でリメイクして、
それで着まわすことが多い。
ブランドにこだわりもないので、
自分の作ったアクセサリーが、
服に合わせられればそれでよかった。
妖精たちに指摘され、
これからはそんな魔法も練習しようと考えた。
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