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シンガポール人の「公共の場を清潔に保つ」意識は変わったか(前篇)

久しぶりにシンガポールに出かけて、集合屋台ホーカーズセンターの壁に「テーブルを自分で片づけないと罰金」という張り紙を見つけた。さすが Fine Singapore(「素敵な」fineと「罰金」をかけてある)である。

罰金制度は2022年初めに導入されたらしい。

最初の違反は「警告」だが、二度目の違反は300シンガポール・ドル(約3万3千円)の罰金、三度目以降は最高2000Sドル(約22万4千円)の罰金が課される

Most patrons at foodcourts, coffee shops seen returning trays on first day of rule enforcement, The Straits Times, January1.2020.

というからかなり高額だ。

1990年代のマクドナルド

思い返せば最初に訪問した1995年ごろ、シンガポールのマクドナルドでは「自分でトレイを片づけるひとは素敵」というキャンペーンをしていた。

当時駐在していた友人はシンガポールを「政府が風紀委員みたいな国」と言っていたが、たしかに学校の教室にあった「整理整頓」の張り紙を思い出させる。

マクドナルドはセルフサービスのはずだが、シンガポールではテーブルに残された飲み物やトレイを片づける係の店員がいた。日本とはずいぶん違うのを感じた。

2000年代のシンガポール

2000年代になってからも状況はあまり変わらない。シンガポールのファストフード店では、年配の店員がテーブルを片づけるのが常だった。

日本からの旅行者が自分でトレイを返そうと立ち上がったら、「わたしがやりますよ」と店員に声をかけられて驚いた、という話も聞いた。

一方で、「セルフサービス」を掲げる店はその後もどんどん増えてきた。人件費が上がるにつれて、片づけのためにひとを雇っていられない、という飲食店側の事情もあったのかもしれない。

ただ、シンガポールは一般家庭でも外国人メイドを雇って食事やそうじを頼むお国柄である。セルフサービスがすぐ浸透するようにはちょっと思えなかった。

*後篇につづく


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