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〇〇年に1度の大雨???

私は職業柄、
道路のU字溝の設計や施工を
してきました。

U字溝を設計するには
溝に流れてくる水の量を計算する必要があります。


計算式はややこしいので省きますが、
必要となる主な情報は
「流域面積」・・・地上に降った雨がその溝に流れ込む土地の面積
「降雨強度」・・・雨の強さ
などがありますが、
この2つに注目してみます。
他にもありますが、ここでは省略します。

流域面積は昔とほぼ変わらないはずですが、
昔と今ではかなり違うところがあります。
それは、土の状態なのか?アスファルトなどで覆われているか?

土は水を浸透させることが
できますが、
アスファルトでは浸透させることが
できません。

それを係数にして表す表があります。
数字が大きいほど浸透しません。

宅地と道路は【0.9】

山地はなんと【0.3】
その差は驚愕の3倍です。



次は降雨強度を見ていきましょう。

土木工事設計要領 第Ⅲ編 道路編 抜粋

参考までに福岡県では、降雨強度を110mm/時間
としてU字溝の大きさの設計をします。

近年の降雨量は、どうなっているのか?
年々と増えていっています。

ニュースでは、
〇〇年に1度の大雨と
すぐにその記録を塗り替え
道路が冠水する場面が流れます。

果たして、
最近の土砂崩れや道路の冠水
河川の急激な増水の原因は、
雨の量が多くなっただけでしょうか?


1970年代からすると
雨の量は多くなってはいます。
しかし、
U字溝の設計をする際の計算は、
かなり安全側に設定しているので
大雨に耐えうるはずなのに。

なのになぜ道路が冠水するのか?
なぜ河川の水が急激に増えるのか?

1点目は、
様々な場所をアスファルトやコンクリートで覆い
地下に雨水を浸透させることが
できる面積を減少させてきたからです。

写真でも一目瞭然 緑が極わずか
現代の居住地の状況

2点目は、
森林を放置していること。
間伐されないことで
木の根が育たず、山全体の保水力が減少します。
それが洪水、土壌の侵食や流出の原因となっています。
また、適切に管理されている森林と比べ
二酸化炭素の吸収量も減ると言わています。

手つかずで藪化


これらを改善すれば
身近な水路や河川の氾濫を防ぎ、
防災につながると思うのですが、

近年の洪水対策は、
河川の断面を大きくするため
土砂を掘削したり、
堤防の浸食防止のために
コンクリート製品で保護する。


原因部分に手を加えるどころか、
もっともっと利便性、安全性と言って
道路拡充、大規模開発をし
環境悪化の方へ向かっています。

まるで、いたちごっこのようです。

もうそろそろ
自然環境と本氣で向き合い
工事のやり方や手法を変えていかないと
自然環境は崩壊し、人々の暮らしも
崩壊していきます。

誰かに任せっぱなしではなく
地域は地域で力を合わせて、
大切な自然環境を守り
その豊かで美しい自然を
子孫に残し、つなげていきましょう!

最後まで
読んでいただきまして
ありがとうございます。

正ちゃん(*^_^*)

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