『言語学クエスト:ことばの世界をめぐる冒険』③

引き続きタネ本は、ことラボ りょ(2024)『言語学クエスト -ことばの世界をめぐる冒険- 』です。今回も、Chapter1「音の草原」からのメモです。今回は、【回転寿司はなぜ「すし」じゃなくて「ずし」になる?】という話。

(1)連濁:単語を2つ合わせて複合語を作るときに、後ろの単語の頭が濁音    
       になること
例)カ行→ガ行 ・・・ かざるま
  サ行→ザ行 ・・・ ひと
  タ行→ダ行 ・・・ はな、あち、ひと(が足りない)
  ハ行→バ行 ・・・ ふでこ、たび

連濁が起こるメカニズムには、声帯が震える有声音と、声帯が震えない無声音が関わっています。例えば、「はな(鼻)」と「ち(血)」を合わせて「はなち(hanati)」という言葉を作ったとします。tの音がaとiに挟まれていますが、a(有声音)→ t(無声音)→ i(有声音)となっています。言語は隙あらば楽をするクセがあるので、「面倒だからtも有声音にしてしまえ!」ということで「はな(hanadi)」になると。ふむふむ。

(2)複合語なのに連濁しないだと!?
①外来語の場合は連濁しない
例)カ行→ガ行 ・・・ *スマホ―ス、
  サ行→ザ行 ・・・ *少年ッカー
  タ行→ダ行 ・・・ *簡易ント
  ハ行→バ行 ・・・ *大ール

②漢語 (漢字の音読みをもとにして作られていることば) の場合は連濁しない
 ちなみに、
・音読み:昔の中国の発音をもとにした読みで、聞いても意味が分からない
・訓読み:漢字の意味を表す日本の読みで、聞いたら意味が分かる事が多い
例)カ行→ガ行 ・・・ *しゅっつ(出血)
  サ行→ザ行 ・・・ *イタリアじゃ(イタリア車)
  タ行→ダ行 ・・・ *うんてんじゅ(運転手)
  ハ行→バ行 ・・・ *だいっけん(大発見)

「だいばっけん(大発見)」の例を考えている時に思ったんですけど、例えば「発見」が音読みか訓読みかを見分けたいときは、複合語を作ってみて「連濁するかどうか」で判断できますね。「だい+ばっけん」にはならないから、「はっけん」は音読みで漢語なのか、みたいな。

ちなみに、(1)で連濁していた「かざ+るま」「ひと+と」などは、和語(日本に昔からあることば)だそうです。

何か、今回初めて「音読み」と「訓読み」をしっかり理解しておけば、読みやすかったり、日本語の仕組みを理解したり、日本語と中国語のつながりを読み解く面白さが感じやすかったりするんだろうなぁと思いました。連濁を探しながら運転したり、休日を過ごしたりするのも楽しみですよね('ω')。

いいなと思ったら応援しよう!