スタンド・バイ・ミー(1986)

映画。

生まれて初めて見た。

最初は、不良少年4人のお馬鹿旅、という印象しかなく、目を背けたくなるシーンも多々あったけども、背景の山や河、壮大な自然のど真ん中を突っ切る線路がなんとも詩情豊かでどこか懐かしく、郷愁をそそるものだった。

線路を伝って上っていくというコンセプトも、なんだか生命の根元への探索みたいで。

加えてバブルの香りのする、同時並行で登場する一回り上の怖そうな青少年たち。そうそう、一昔前の悪いお兄さんは、こんな感じで、本当に手がつけられない感じの触ると怖そうな雰囲気だったなぁ。。と色々思い出してしまった。

そして、ラスト、皆が旅を終えてそれぞれに離散し、最後にクリスと別れるときのシーン。

遠ざかっていく彼の背中がフッと消え、現在の主人公による訃報のモノローグと共に鳴り出す「スタンド・バイ・ミー」。

演じる彼(リバーフェニックス)自身の境遇とも重なる、儚さ。(彼は映画公開7年後に亡くなっている)

劇中、あれほど主人公を励まし、肩を叩き、生への勇気を取り戻させてくれたクリスも、主人公が大人になった今や、もういない。

そこで思い出されるのは生命力あふれる主人公や不良たちと対局にあり、旅の目的でもあった(小説の原題は“The Body”でもある)「死体」。死体を前に、あれほど強く生きよう、一緒に頑張ろうと勇気づけ、掛け替えのないちからをくれた彼も、もう向こう側へ行ってしまった。

かえっては来ない。

けれど、彼の思い出はいつも主人公のそばにいて、辛い時が来るたびに主人公を支え続け、そばに居続ける…そんな願いがテーマソングの歌詞には込められている気がする。

最初は、こんなものかと思って見終えた映画であったが、見終わって暫くしたらじわじわと心に染み込んできて、テーマソングを聞いていたら涙が止まらなくなった。

いま、そばにいて勇気づけてくれる人たちも、いつ、あちら側に行ってしまうかわからない。人の命は儚い。

生きている間に、共有した時間、思い出、くれた言葉、できるだけ大事にして生きていきたいと思わされ、涙が流れた。

うまく描けなかったけど、私のなかではいまを意識させてくれた名作です。

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