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GRI対照表(内容索引)の構成(2)

 前回投稿に引き続きGRI対照表(内容索引)の構成についてご説明します。GRIスタンダードに準拠するGRI対照表(内容索引)の構成を、便宜的に次の四つに区分しました。

  1. 利用に関する声明と利用したGRI1

  2. 一般開示事項

  3. マテリアルな項目

  4. 該当するGRIセクター別スタンダードの項目のうちマテリアルではないと判断する項目

 今回は「3.マテリアルな項目」と「4.該当するGRIセクター別スタンダードの項目のうちマテリアルではないと判断する項目」を取り上げます。
 
 また、GRIスタンダードを参照する場合のGRI対照表(内容索引)の構成についても最後にご案内します。

3.マテリアルな項目
 マテリアルな項目(マテリアリティ)の情報開示に関する部分は、GRIスタンダード改訂版(2021年)において変更がありました。最初の開示事項は「3-1 マテリアルな項目の決定プロセス」です。マテリアルな項目の決定をどのように進めたか、誰が、いつ、どのような過程に参加したかについて説明が求められます。報告書やウェブサイトのどこに情報が掲載されているかを示します。

 次は、「3-2 マテリアルな項目のリスト」です。上記のプロセスで決定されたマテリアルな項目がどこに提示されているかを示します。従来のGRIスタンダード(2016年)では、マテリアルな項目のリストは、開示事項102-47として、一般開示事項に含まれていました。改訂版では一般開示事項の一部ではなく、マテリアルな項目の情報開示の一部として扱われることになりました。

 なお、3-1と3-2は省略できません。必ず情報開示しなければなりません。

3-1と3-2にかかる開示イメージ

 続いて、マテリアルな項目ごとの情報開示となります。この部分は改訂版で構成が変わりましたので、注意が必要です。まず、一行目の、[マテリアルな項目]の部分に、3-2のリスト提示されたものと同じマテリアルな項目を記入します。リストに提示された名称と、[マテリアルな項目]の部分の名称は同じでなければならないです。報告書内での掲載も含めて、それぞれが同じ名称であることを確認してください。

 そして、各々のマテリアルな項目の下に、これに紐づく開示事項を整理して提示することになります。まずは「3-3 マテリアルな項目のマネジメント」について情報開示します。「マネジメント」といわれてもイメージがつかみにくいかもしれませが、具体的には、当該項目に関する組織の方針、マイナスなインパクトを防止・軽減するための措置、進捗を評価する指標の設定などを含みます。詳しくは「GRI3:マテリアルな項目 2021」での解説でご確認ください。

 次に、各マテリアルな項目に紐づく項目別の開示事項を列記します。たとえば、マテリアルな項目Aには、「201:経済パフォーマンス 2016」と「304:生物多様性 2016」が紐づく、マテリアルな項目Bには「301:原材料 2016」と「308:サプライヤーの環境アセスメント 2016」が紐づく、マテリアルな項目Cには「404:研修と教育」が紐づくといった具合です。
これまで本邦企業では、項目別の開示事項は、該当する項目を番号ごとに整理して列記しているケースが多かったです。たとえば、[経済シリーズ]として201、202、203、[環境シリーズ]として301、302、303、[社会シリーズ]として401、402、403といった具合です。改訂版では、こうした整理は適切ではなく、開示事項をマテリアルな項目に紐づけて列記することが求められます。つまり、マテリアルな項目のパフォーマンスを説明するために、項目別開示事項を使うという使われ方になります。

3-3にかかる開示イメージ

 本邦企業の中には、マテリアルな項目ごとにKPIを設定し、毎年のパフォーマンスを報告しているところがあります。改訂版のGRI対照表(内容索引)では、このKPIとしてGRIの項目別開示事項を利用することが求められます。もちろん、GRIスタンダードでの項目別開示事項ではく、各社が独自に作成したKPIをマテリアルな項目に紐づけて報告することも可能です。ただ、これらの独自のKPIもGRI対照表(内容索引)の中で整理することが要求されます。

 仮に、マテリアルな項目として、「水資源の保全」、「資源の効率利用」、「人材育成と多様性の拡大」等のように具体的な概念を設定している場合は、これらに紐づくGRIの項目別開示事項を決定することは比較的容易だと思います。一方、「まちづくり」とか「経済・社会・環境の調和」といった広く抽象的な概念を設定している場合は、これらに紐づくGRIの項目別開示事項を決定することは困難な作業になるかもしれません。

 なお、マテリアルな項目に関する開示は、全て省略が可能です。その場合は理由と説明を所定箇所に提示することが求められます。また、GRIセクター別スタンダードの対象となっている業種の場合は、当該スタンダードでの参照番号を表の一番右の行に記入します。

4.該当するGRIセクター別スタンダードの項目のうちマテリアルではないと判断する項目
 最下段はGRIセクター別スタンダードの利用に関する情報開示です。GRIセクター別スタンダードでは、セクターごとに「想定されるマテリアルな項目」が列記されています。当該セクターの企業は、これらが自社にとってマテリアルな項目かどうかを判断し、マテリアルな項目と判断すれば情報開示することになります。一方、これらが自社にとってマテリアルではないと判断した場合、その理由を説明することになります。その説明を記載する場所がここです。

 一行目の[GRIセクター別スタンダードの名称]の部分に、該当するセクター別スタンダードの名称を記載します。その下に、マテリアルでないと判断した項目と、そのように判断した理由の説明を記載します。

マテリアルでないと判断した項目の開示イメージ

「参照」報告のケース
 最後に、GRIスタンダードを参照して報告する場合のGRI対照表(内容索引)の構成を説明します。従来「参照」のケースでGRI対照表(内容索引)の作成は不要でしたが、改訂版では作成が必要になりました。

 一行目はGRIスタンダードの「利用に関する声明」です。「準拠」の場合と同様に、報告対象期間とともに、GRIスタンダードを「参照」した報告である旨をここに示します。二行目は利用したGRI1の年度です。2023年1月以降の報告であればGRI1:基礎 2021と記載します。

 続いて、利用したGRIスタンダードの名称とそれぞれの開示事項、掲載場所を列記します。報告に際して利用した項目別スタンダードを提示するだけで、その整理の仕方について特段の指定はありません。つまり、「準拠」の場合と異なり、マテリアルな項目を提示し、開示事項とそれとを紐づけることは求められていません。

GRIスタンダードを参照して報告する場合の開示イメージ

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2月は全2回に渡り、「GRI対照表(内容索引)の構成」をお届けしました。 

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