オフラインが食品ロスを防いだ話(2019年10月号)
※本記事はIDCJ SDGs室がこれまでのメールマガジンで取り上げた特集です。掲載内容はメールマガジン発行当時の状況に基づきます。
買い物してレジで精算する際、以前より忙しくなった。マイ・ショッピングバッグを準備し、財布からポイントカードを出し、スマホで会員アプリを立ち上げてバーコードを表示する。加えて、電子マネー決済の処理。うしろに人が並んでいると、一連の動きをスムーズに展開することに気を配る。会社帰りに通勤用のバッグを持っていたりすると手が足りず、ポイントカードを出すのが面倒。だけど、出しておかないと後悔するので努力する。
10月に入り、消費税が引き上げられたばかりの週末。行きつけのスーパーで一通り商品をカゴに入れレジに並び、バッグもカードもスマホも準備万端。残るは、レジ脇のQRコードをスキャンをして支払うだけという段階で、電子マネー決済のアプリを立ち上げる・・・が、しかし、なかなかオンラインしない。「あ〜、すみません。今日つながりにくいんですよね〜」とレジの店員に云われ、レジ待ちのおばあちゃんにちょっと頭を下げて、スマホ見つめながら待つこと約十秒(意外と長い・・・)。で、ようやく繋がったタイミングでQRコードをスキャンして、「よし、今だ!」と思って支払金額を入力したのに、支払完了の通知が返ってこない。
レジの店員に「あ〜、ダメですね〜。今日混んでるみたいですね〜。現金支払いでよろしいですかあ?」と云われたが、あいにく現金の持ち合わせがない(汗)。もう一度アプリ立ち上げようかなと思ったけれど、レジ待ちの人たちの厳しい表情に抗うことはむずかしく、「もう一廻りしているうちにつながるかも知れないから、出直します」と告げて、再び食品売場へ舞い戻った。しかし、今更何かを買い足す必要はない。ただ、ブラブラしながら電子マネー決済のアプリと格闘し、「お!繋がった」と確認したところで再びレジ待ちに並ぶ。4番目だった。
ようやく自分の番を迎え、商品をもう一度全てスキャンし直す。スキャンした商品が同じ配置でカゴに戻されることに感心した。さて、支払うとなった段階で、いざ勝負!しかし、残念なことにまた繋がらない(涙)。これを2回繰り返した。もう1回トライしようかな、どうしようかなと思ったけれど、時間も意気地も尽き、結局諦めてしまった。
電子マネー決済やモバイルペイメントといったキャッシュレス化は貨幣製造の抑止につながり、二酸化炭素の削減効果が期待される(目標13“気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる”に対応)。加えて、金融サービスにアクセスしにくい層(貧困者、零細規模の事業者など)に対し、画期的な貨幣移転・交換の手段を提供し金融包摂の実現を助ける(目標8“すべての人々のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワークを推進する”に対応)。
このような(↑)理解で、キャッシュレス化はSDGs目標達成手段として必要かつ有効なのだと信じる。さはさりながら、このレジで味わった「取り残された感」をどこに持って行けばよいのだろう。SDGsの理念は「誰一人取り残さない(No one will be left behind)」ではなかったのか?
疲れた気分で自宅に戻ると、妻も別のスーパーで買い物をして帰って来たところだった。ショッピングバッグを覗くと、お総菜(30%引きシール付)やアボカド(お買い得品)、貝割れ大根(冷蔵庫に在庫多数)などだった。お総菜とアボカドは、さっきまで自分で買おうとしていたものと重なっていたので(冷や汗)、「ああ、買わずに済んでよかった・・・」と内心ほっとした。目標12“持続可能な消費と生産のパターンを確保する”にこじつけて、食品ロスを未然に防ぐことが出来のだから、結果オーライと自分に言い聞かせ、「取り残された感」が薄まった。
参考:
SDGsの各ゴールについて解説:
□Goal8「働きがいも経済成長も」
□Goal12「つくる責任つかう責任」
□Goal13「気候変動に具体的な対策を」
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