![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/111747009/rectangle_large_type_2_e2b65dc7c4bb02bfce52e375aa34af60.jpeg?width=1200)
サステナビリティ・レポートの構成要素(6)目指す姿
各企業が発行するサステナビリティ・レポートの中で、将来の時点で、自社がどのようになるべきか、なりたいかのイメージを提示するケースが増えています。「目指す姿」、「ありたい姿」、「目指すもの」、「2030ビジョン」など表記は様々です。それぞれ2030年、2050年といった将来の時点で、自社の役割は何なのか、サステナビリティ課題にどう貢献しているのかというメッセージが示されています。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
目指す姿
また近年になって、パーパス経営、パーパスプランニングといった考え方も注目されています。これは何のためにこの会社があるのかという自社の存在意義を明確にして、経営の指針や戦略を構築するものです。2030年や2050年における「目指す姿」などを描くという作業は、将来にわたり企業が持続的に発展するためには、その時点において自社の存在意義は何なのか、どのような役割を担えば存在を認めてもらえるのかを明らかにする作業とも言えます。
この「目指す姿」を明らかにすることで、将来に向けた具体的な取り組みを論理的に整理することが可能となります。環境や社会面の取り組みをただ漫然と進めるのではなく、「目指す姿」に至るために一つ一つに取り組んでいるという意識を醸成することができます。
また、将来の「目指す姿」を提示することで、それに至るための努力を促すことにもなります。
バックキャスティングという言葉を聞かれたことがあるでしょうか。これは目標とする将来像を描き、次にそれを実現するための道筋を将来から現在へさかのぼって考えるアプローチを指します。この対極にあるのが、フォアキャスティングであり、現在の延長先上に将来を見据えるアプローチとなります。バックキャスティングを採用するほうが、現状の制約にとらわれない自由な発想から、イノベーションが生まれやすいと考えられています。
なお、「目指す姿」の表現方法には特に定型的なスタイルはなく、本邦企業の各種報告書の中で多種多様に表現されています。大まかに分類すると、「① 将来の自社の役割を示す」、あるいは「② 将来に自社が実現したい社会を示す」ケースの二つが多いようです。典型的な事例を下記に示します。
① 将来の自社の役割を示す
食と健康の課題解決企業(2030年に目指すもの:味の素グループ「サステナビリティデータブック2022」)
食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となる(2027年の目指す姿:キリングループ環境報告書2022)
世界の人々の健康に貢献し続けるヘルスケアカンパニーへの進化(目指す姿:ヤクルト「サステナビリティレポート2022」)
豊かな社会と自然の循環にコミットする“命を支えるプラットフォーマー”(めざす姿:クボタ「統合報告書2022」)
② 将来に自社が実現したい社会を示す
すべてのモノ・情報・心がつながる世の中を(SDGsコンセプト:ソフトバンク「サステナビリティレポート2022」)
一人ひとりの価値観が尊重され、社会や人とのつながりも大切にされる「自律協働社会」(実現したい社会:コクヨグループ 「統合報告書 2022」)
生きる歓びを分かち合える世界の実現(2055年に私たちが創り出したい世界:大和ハウスグループ「サステナビリティレポート2022」)
サステナブルな暮らしを”あたりまえ”に(パーパス:ユニリーバ「Unilever Annual Report and Accounts 2021」)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
次回は「サステナビリティ・レポートの構成要素(7)目標値」についてご説明します。
**********************************
IDCJ SDGs室では、毎月1,2回発行しているメールマガジンにて、SDGsの基礎からトレンドまで最新情報を配信しております。メールマガジン登録ご希望の方は、以下よりご登録ください。購読は無料です。