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いくつもの視点を持つこと

医療デザイン勉強会はほぼ毎月開催されています。
今回のテーマは『看護x写真』でした。

ゲストにお招きしたのは、看護師カメラマンの須藤ゆみさん(▶note)です。

須藤さんは病院勤務の看護師なのですが、その傍らで写真を撮影していますそんな須藤さんの目指す、看護と写真が作り出す医療の新しいカタチについてのお話を伺いました。

勉強会の内容

いつもは勉強会の動画をアーカイブしていますが、事情によりお見せすることができません。ごめんなさい。

ですので、なるべくこの記事で内容を復習できるようにしたいと思います。

もし、お時間がないという方は、勉強会を1枚の図に凝縮したこちらのグラフィックレコードをご覧ください。


(グラレコはPTの豊原さんです ▶ note

今回はこのような内容でお話しいただきました。

1. プロフィール

看護師カメラマン yumi
・病棟看護師として勤務
・カメラマン:休日を利用して撮影
・看護 × 写真 → 病院での写真展を2度開催
・チーズケーキとさつまいもが好き

2. 自分の夢は?

夢 ≠ 職業
夢を職業と考えるのをやめた。
そして、私はどう在りたいか、どう生きていきたいのかと考えた。

そこで行き着いたのが『半径1.5m以内の人の笑顔を守る』だった。
手を伸ばした距離がちょうど1.5m。

まずは自分の身近な大切な人を大切に出来るようにしたい。
そのために、自分自身が笑顔でいられるように。
そして目の前の人を笑顔に。

そのように行動していって、
結果的に笑顔の輪が広がったら良いなという考え方。

3.看護学生カメラマンの誕生

看護×写真で笑顔のきっかけになりたい。
看護学生時代からカメラマンとして活動していたので、自分が学んでいる看護と写真の組み合わせで周囲の人を笑顔にしたいと思うようになった。

4. バイタルを撮る

大事にしているのバイタルを撮ること。

看護師として測定しているバイタルサインと、
写真では人が活き活きとしている状態(バイタル)を撮ることを掛け合わせている。

人物写真を撮ることが主で、最近ではコロナ渦という厳しい状況でも忘れたくないの家族の思いを形にすることも。

5. 病院での写真展

これまでに2つの写真展を開いたそうです。
自身のnoteや各種メディアに紹介されていますので是非ご覧ください。
お仕事のご依頼はこちらからどうぞ!

「アスリートの笑顔展」

写真展「病院のまなざし」

今回のお話で、
・看護 × 写真の可能性
・専門職 × 〇〇の可能性
をより多くの方に広げていきたいとのことでした。

感想

『看護師として血圧、脈拍など生命兆候としてのバイタルサインを計測』
『カメラマンとして活き活きとした姿(バイタル)を撮影』
どちらもバイタル=生命そのものなのだが、視点が変わるということが大事だなと思いました。

視点を変えてみていくことで、気付かなかったことやより笑顔にできるきっかけが見つかるのです。

そして、その『手の届くところの笑顔』なんですけれど、そもそも自分や身近な人が笑顔になれなければそれ以上の広い範囲の人を笑顔にすることなんてできません。

私自身も、なすべきこととの一つとして、『地域の人の健康、特にサルコペニアやフレイルから守ること』としています。

そのためには自身が(心身ともに)健康であって(だから体を鍛えています)、初めて地域の高齢者の方々にメッセージを届けることができると思っているので、とても共感しました。

医療とデザイン、医療と写真

医療だけではプラスにすることは難しいのです。

世の中にはいろいろなサービスがありますが、医療の特徴はスタートラインが基本的にはマイナスであることです。

病気や障害といったマイナス面を如何にして元の状態に、0に近づけるかというのが目的のサービスです。

それをプラスにするのは難しいですし。

でも、写真はもしかしたらプラスにできるポテンシャルがあるんじゃないかなって思いました。

デザインもそうかもしれませんが、医療に何かを掛け合わせることで、別の次元へ昇華できる可能性というものを感じました。

目的と手段の区別と他者との共有

何事にも共通することですが、デザインで物事の掛け合わせをするときに、目的と手段の区別を明確にし常に他者と共有することは大切。
それによって信頼関係が築け、相互の能力を引き出し合えるのだと思うのです。

そう言ったときに、ゆみさんが写真や看護は手段であり、笑顔をつなぐことが目的とおっしゃる潔さみたいなものに、そこに至るまで本当に真摯に向き合われたんだろうな、ということと、同時に、ユミさんとお仕事するまわりの人たちも安心して関わり、楽しく充実したお仕事に取り組むことができているんだろうな、と想像しました。 

北川@日本医療デザインセンター理事

文脈と背景

また、笑顔をつなぐというのは、多くの方が全力で物事に向き合っている時こそ忘れがちな感情の発露を捉える素晴らしい視点で、ユミさんだから見つられる瞬間は唯一無二ですよね。 こんなにその時々を大切に向き合ってくれる方がいるのは、みなさんにとって大きな支えになると思います。 

そして、デザインをする上で、物事の文脈や背景を捉えることが、関心や理解を深め次へのアクションに繋げる1歩になり、社会にとって確実に必要な情報です。 

北川@日本医療デザインセンター理事

目指すもの、その先

医療もデザインも、そしてゆみさんの写真も目指すところはよりよい生活を目指しています。

ただ、一つの視点からではたどり着くのにすごく時間がかかってしまったりすることも多いような気がします。

もしこれらの視点を併せ持つことができたら、今までに見られなかった場所にたどり着けるかもしれない。

看護師としてみていた患者さんの表情も、カメラのファインダー越しにみた表情はまた別のものであったとゆみさんはおっしゃってました。

新たな視点を得ることはよりよい未来への近道?なのかもしれません。

チームならば、いくつもの視点をすでに持っている!?

また、職種が変われば、1人の患者さんへの見方も変わるし、チームで医療するって事は、それこそ多角的な視点を得られます。

個人がいくつもの視点を持つ事も大事だけど、我々は、他職種をリスペクトしてチームで医療をしていますから、すでに別の、さまざまな視点を得ているのではないでしょうか?

個人としても、チームとしても色んなの見方ができる事は、医療にとって有益なことです。

個人がさまざまな属性を持つ、チームとしてさまざまな属性を持つそうやって医療はよりよいモノになっていくのだと思いました。

多角的にモノやコトを見ること

デザイン思考で重要なのが「多角的にモノやコトを見ること」である。
須藤さんは、写真を撮るときの「姿勢」「見方」が、そのまま看護に活かされており、看護での対人支援が写真撮影にも活かされている。

それはすなわち、医療従事者が、表現活動をおこなうことはその人自身の職能を伸ばすことにつながる可能性を秘めている。医療と表現活動は、トレードオフの関係ではなく、相互に活かし合える関係ということになる。

さらにはそれが、患者さんの体験(Patient Experience)や医療従事者の働き方デザインにもつながっており、須藤さんの写真展覧会の成果からは、患者さんのご家族を始めとする、地域のステークホルダーにまでハートフルなつながりを生み出しているのが驚きだった。

写真 x 医療デザイン が持っている可能性はとてつもなく大きい。

桑畑@日本医療デザインセンター代表理事

須藤ゆみさんについて

須藤さんへの応援メッセージ

『好きなことを仕事にする』という社会全体に漂う善かれとされる風潮に圧されずに、ご自身が大切とされることを見付け選択をされたことに共感しました。

ぜひ将来を描く子どもたちや若者にも伝えてほしいな、と思いました。
きっと彼らが将来を描くときの勇気になると思います。

北川@日本医療デザインセンター理事

日本医療デザインセンター勉強会

当センターの勉強会は基本的には毎月第3木曜日の夜に行っています。
詳しい内容などにつきましたては日本医療デザインセンターのWebサイトやSNSでご確認下さい。

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では、また!

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