Types of drinkers

「世の中には大きく分けて二種類の酒飲みがいる。一つは自分に何かを付け加えるために酒を飲まなくてはいけない人々であり、もう一つは自分から何かを取り払うために酒を飲まなくてはならない人々だ。」

私はこの文章が好きだ。

➊一般的にひとくくりにされることの多い酒飲みを分けている。

➋シンプルな二項対立の文章になっている。

➌「何かを付け加える」と「何かを取り払う」が全く異なるものであるのにも関わらず、「体験の回避」という点で全く同じことを言っている。

特に三点目がいい。

「体験の回避」とは、ネガティブな思考・感情・感覚・記憶と戦い、回避・コントロールすることをいう。

「何かを付け加える」ために酒をのむというのは、物足りなさや虚無感を紛らわせるために酒を飲むことをいい、「何かを取り払う」ために酒をのむというのは、不安やさみしさなどのストレスを取り払うために酒を飲むことをいう。

つまり、「何かを付け加える」の「何か」はプラスをさし、「何かを取り払う」の「何か」はマイナスを指しているが、どちらも同じように酒を飲むという絶対値を自分の感情に加えることで、感情の埋め合わせをしているのである。

この文章は、酒飲みをきれいな二項対立で二つに分けているのにも関わらず同じことを言っているという点で直観と論理を見事に分離させている。(直感的には全く異なるのに、論理的には全く同じことを言っている)

僕はこういう共感と差異を併せ持ったものが「面白い」ということだと思う。


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