ドヴォルザークの交響曲第8番

さて、一旦はいままで書いたものを雑多に投稿していきたいと思います

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交響曲第8番 ト長調 作品88(アントニン・ドヴォルザーク)

ドヴォルザークの交響曲第8番はアマチュアオケ界隈では散々な言われ方をしている曲かもしれません。

「ダサい。」

アマチュアだけではありません。私の手元にあるスコアでも散々な言われ方をされています。

“ドヴォルジャークはベートーベンのような厳格な自己批判の態度を持たなかったので、しばしば冗長に流れたし、また自然児らしく深さも足りなかった*”

一方で、同時にこのような評価もうけています

“素朴な詩情にあふれ、しかもチェコの民族的精神に富んでいるので、特別な美しさを見せている, こうして(中略)詩的で民族主義的な大作曲家となることができた*”

*全音楽譜出版社『DVORAK SYMPHONIE 9』

 

この交響曲第8番はドヴォルザークがチェコの民族的精神に富むといわれる所以となった曲でもあります。

実はそれまでのドヴォルザークはブラームスの影響を強く受けており、「ドイツ風」の作品を多く書いていました。

実際に第7番までの交響曲と第8番を聞き比べると曲風が異なることがわかります。

第8番の詳細を楽章ごとに見ていきましょう。

第1楽章

力強い序奏部にはト短調の情熱的なメロディが展開されます。その後、フルートによる明るい第1主題が登場し、牧歌的なメロディに形を変えて主部の中心的な役割を担います。第2主題はロ短調で表情豊かに現れ、展開部では主題が劇的に変容します。再現部では第1・2主題が再び奏でられ、鮮やかなコーダで締めくくられます。

第2楽章

ハ短調の静かな序奏が導入され、ヴァイオリン、フルート、オーボエによる繊細なソロが交互に現れます。中間部では長調に転じ、感情豊かな旋律が広がります。静かに静まる終結部で、深い感銘を受けることでしょう。

第3楽

3拍子のワルツ風の軽快なリズムが魅力です。愉快なメロディが転がるように展開され、中間部では独特の旋律が耳を引きます。再び軽快な主題が戻り、ト長調の力強なコーダで幕を閉じます。

第4楽章

トランペットの響きとティンパニのソロによって幕を開け、チェロによる美しい主題が登場します。変奏が主題を取り巻き、ブラームスの影響を感じるソナタ形式の展開が見られます。トリルや速いパッセージが鮮やかに響き渡り、華やかなコーダで曲は華麗に締めくくられます。

ある説**では、この4楽章は“チェコの英雄がハプスブルク帝国と戦い勝利する”様子を描いているといわれており、悪名高いオーボエの第二主題はハプスブルクの侵攻を表しているそうです。

**宇野 哲之『ドヴォルジャーク《交響曲第8番作品88》第4楽章に関する研究』

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