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デンマークにおける離婚後の分担子育てと父親の関与
この文献はオープンアクセスです。原題名、原著者名は以下の通りです。
掲載書:Frontiers in Psychology
原題名:Shared parenting and father involvement after divorce in Denmark
原著者:Kristian Sandberg
なお、これまでco-parentingを共同子育てと訳出してきたので、本論文では、childcare、parental caregivingを育児、shared parentingを分担子育て、joint physical custodyを共同身上監護、parenting timeを養育時間、caregiving timeを育児時間と訳出しています。
デンマークにおける離婚後の分担子育てと父親の関与
クリスチャン・サンドバーグ
スカンジナビア諸国は、父親の関与とジェンダー平等が世界的に最も高い水準にある国々の一つとして特徴づけられており、分担子育ての研究にとって興味深いサンプルとなっている。デンマークには数多くの研究があるにも拘らず、デンマークのデータは国際的な議論において明らかに欠落している。これは研究者がデンマーク語での発表を好むためでもある。ここでは、1960年代以降のデンマークにおける父親の関与の増加と、ここ数十年にわたる分担子育ての増加について概観する。更に、デンマークの法律、省庁のガイドライン、離婚後の子育て慣行の決定や助言に関与するデンマークの主要な公的機関および民間機関や団体のガイドラインについても検討する。これらをデンマークの研究結果は勿論、国際的な研究結果とも関連付けて考察する。全体的に、デンマークのガイドラインや慣行には分担子育てや父親の大幅な関与に対する幾つかの留保事項があるが、これは相当数の科学者が正当化されると考えておらず、入手可能なエビデンスの大半も支持していない。従って、公的な法律や慣行にも拘らず、増加する分担子育てに向けた社会的な移行は、ほぼ自発的に起こっているように思われる。政治家が、両親の離婚後の子どもが、社会一般で経験するのと同程度の父親の関与を経験することを望むなら、法律かつ/または省庁のガイドラインの改訂が必要であろう。
キーワード
分担子育て、共同身上監護、父親の関与、離婚、メンタルヘルス、ウェルビーイング、二重居所、父子関係
1. 背景と定義
スカンジナビア諸国は、ジェンダー平等と育児に対する父親の関与の程度が高いことから、離婚後の家族構成と分担子育ての研究にとって興味深いサンプルを形成している。スウェーデンだけでなくノルウェーからも、国際的に多数の研究が発表されている。しかし、スカンジナビアの3番目の国であるデンマークのデータは、国際文献に著しく欠けている。これは研究が行われていないからではなく、寧ろ研究がデンマーク語で発表されているため、スカンジナビア以外の読者が容易にアクセスできないためである。本稿の主たる目的は、デンマークにおけるここ数十年間にわたる分担子育ての発展を詳細に分析することによって、この状況を改善することである。具体的には、デンマークにおける監護権と養育時間の発展に関する文献を、このテーマに関する国内および国際的な研究の文脈でレビューし、この研究をデンマークの法律、公式ガイドライン、および法的慣行と関連させて議論する。このレビューでは、分担子育ての歴史的増加が自発的に起こったのか、それとも法律や専門家ガイドラインによって促進されたのかを検証し、共同身上監護が法的推定であるべきかという問題を提起する。
このテーマに関する科学文献では、ある程度特定の社会や法律に縛られた一連の用語を使用して養育時間について論じている。例えば、英語の文献では、アメリカの法制度の用語である共同監護(JC)と単独監護(SC)がよく使われる。これらは、監護が身上か法的かを更に詳しく指定して、単独身上監護/共同身上監護(SPC/JPC)と単独法的監護/共同法的監護(SLC/JLC)に区分し得る。JPCとSPCは、子どもがそれぞれの親と過ごす時間に基づいて定義される。古い研究の中には、JPCは、子どもがそれぞれの親と少なくとも25%の時間を過ごす(即ち、両親と過ごす時間が少なくとも25%~75%に分かれている)と定義するものある(Bauserman, 2002)。一方、最近では、子どもがそれぞれの親と少なくとも35%から50%の時間を過ごすと定義されることが多くなっている(2007年から2018年までの40件の研究の定義の概要については、Steinbach, 2019 を参照)。JLCは、子どもの人生に関する主要な決定に関与する法的権利を指し、親と子どもが実際に一緒にいる頻度に関する規則を定めるものではない。それでも、実際には、法的監護権を持つ親は、持たない親よりも平均して子どもと過ごす時間が長くなるという関係が当然存在する。私は主に、明確な定義がされている研究について議論するときにこれらの用語を使用する。
デンマークの法律と実務における用語と定義は、多くの点でアメリカの制度に類似しているが、幾つかの面では異なる。その違いは、法的に、監護権、居所、訪問の3つの領域に分けられる。デンマークの法律(「Forældreansvarsloven」)では、監護権は法的監護権のみを指し、90%以上のケースで共同監護であると推定されている(Ottosen, 2016, p.37)。同法律では、居所は子どもが居所登録されている場所を指し、(第3節で説明するように)これはほぼ常に1か所である。2019年以降、法律では両親の同意を条件に共同居所が技術的に認められているが、幾つかの理由から、法的意味が殆どない、あるいは全くないと主張されることがある。例えば、法律では、共同居所は自発的にしか導入できず、一方的に取り消すことが可能で、裁判では成立せず、そして、例え共同居所を導入していたとしても、公的記録では、子どもは殆どの場合、1か所にのみ居住していると形式的に記載される。同居親は、別居親よりも多くの権利を有しており、例えば、子どもと一緒に国内のどこにでも転居する権利などが含まれる。訪問は通常、(任意に、メディエーションまたは裁判により)14日間における特定の日数として設定される。例えば、各親と7日間を均等に分割することを7-7の取決めと呼ぶ。日常会話では、通常、7-7だけが分担子育てと見做される。デンマークの科学的研究では、分担子育ては「均等分割の取決め」(「lige deleordning」)または単に「分割の取決め」(「deleordning」)と呼ぶことが多く、通常は8-6、7-7、および同様の分割だけを含む(例えば、Ottosenら, 2018, p.102;OttosenとStage, 2012, p.14)。法的には、同居親は通常、8-6または7-7の分割でもう一方の親に養育費を請求することはできない。各親と30~35%を過ごす時間の取決めを、往々にしてJPCと呼んできた国際文献と比較し、JPCに相当するデンマークの取決めは、各親と過ごす時間が43%(8-6の分割)以上と比較的高く定義されている。定義の違いによる混乱を避けるため、私はデンマークの研究やガイドラインについて議論する際には一般的にJPCという用語を避け、より具体的な定義が必要な場合は、より広い意味での「分担子育て」(この概念全般について議論する際にも使用する)または「均等な時間/均等な養育時間」を使用する。
本稿では、まず、デンマークの男性と女性のここ数十年間の親の育児時間の変遷について概観する。次に、離婚後の男性の育児分担¹を社会一般の育児分担と比較し、両者には大きな差がある(離婚した男性は社会一般の男性よりも育児分担が少ない)ことを明らかにする。その後、デンマークの法律と公式ガイドラインがこの差にどう影響するかを検証する。離婚後の父親の関与の減少が子どもに悪影響を与えるかどうかを検討するために、デンマークの法律とガイドラインの文脈で、このテーマに関する国際的研究文献およびデンマークの研究文献の両方をレビューする。このレビューは、育児時間における全体的な影響に焦点を当てているが、例えば、離婚に幼い子どもや両親間の激しい葛藤が関与している場合など、特定の状況も考慮する。最後に、離婚後の父親の関与の増加についての子どもの見解に関する研究を報告し、研究者や専門家の合意声明を紹介する。
¹ 簡潔にするため、本稿では「離婚」という用語を使用しているが、一部の研究では別離した未婚のパートナーも対象としていることに留意する必要がある。これは、レビューしたデンマークの研究にも当て嵌まる。デンマークでは婚外子の割合が高いため、この対象は適切であると考えている。
2. 労働分担の変化
他の多くの国と同様に、デンマークでも労働分担と親の役割は過去2世代で劇的に変化し、歴史的に嘗てないほど均等な分担に近づいている。まずこの変化を調べ、次にそれを子どもの居所の変化と離婚後のそれぞれの親と過ごす時間とで比較する。
デンマークでは過去60年間で、全体的な時間の使い方と、女性と男性のそれぞれの時間の使い方の両方で、各々に劇的な変化が明らかに見て取れる。Bonke(2012)は、この発展の概要を示し、費やされる時間を仕事(有償労働)、家事 (育児を含む家庭での無償労働全般)、余暇(睡眠を含む)に分けている。Bonke(2012, 表4.3)の、1964年から2009年までの男性と女性の各カテゴリーに費やされた時間のデータを使用すると、多くの観察結果から、男性の家事分担の推移を計算できる。例えば、Bonke(2012, 表4.3)によると、1964年にデンマーク人男性は1日あたり平均6時間(年間を通じて)働いていたのに対し、2009年には4時間になり、その分だけ家事に充てられる時間が1対1で増え、家事は1日30分弱から2時間17分に増加した。これは、男性の家事分担が10%から40%に増加したことに相当する(図1)。興味深いことに、男性の家事に費やす時間が1時間45分増加した結果は、平均して約45分ほど女性の家事時間が減少し、専門労働時間が増加しただけであった(Bonke, 2012, 表4.3)。2018年のデータを含む最近の報告書では、男性が家事の46%を担うという傾向が続いていることが示されている(BonkeとWiese Christensen, 2018. 表3.3)。全体的に、余暇時間は長年にわたって僅かに増加しているが、家電製品が増えているにも拘らず、家事に費やされる総時間も増加している。問題は、余った時間をどのように使うかである。
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子どもがその答えの重要な部分を占めているようである。2008年には、父親と母親はどちらも、1987年の父親や母親よりも、1日あたり約30~40分多く子どもの主な育児に費やしていた(Bonke, 2009, 表5.2)。この期間、父親の分担は33%から39%に増加し、その分担は子どもの年齢に拘らず比較的安定していた (Bonke, 2009, 図5.2)²。従って、父親の家事分担は、子どもの世話分担とほぼ一致しているようである(図1参照)。父親の育児時間の平均増加の大部分は、父親が活動的な日により多くの時間を費やすより、寧ろ特定の日に育児に積極的に参加する父親が大幅に増加したことに起因することに留意されたい。具体的には、特定の日に父親が育児に時間を費やす割合は、1987年の31%から2009年の61%に倍増したが、「活動的な」日に費やす時間は1時間11分から1時間27分にしか増加しなかった。驚くかもしれないが、この数字は、2001年と2009年において父親が子どもと過ごした平均時間が、1987年の母親が子どもと過ごした時間よりも長いことを示している。二次的な育児(別の活動をしながらの育児)も含めると、父親は、親の教育レベルの差が6年以下の場合は約50%の育児を担っており、教育レベルの差が大きい場合は2001年に既に40%の育児を担っていた(Bonke, 2009, 表5.6)。
最近の報告書によると、社会一般では、男性の19%と女性の27%が特定の日に育児をしており、それぞれ2時間54分と3時間16分を費やしており、活動的な日には全体的な貢献度はほぼ同じ(47%)であるが、活動的な日が少ないため、男性の全体的な貢献度は38%になっている(BonkeとWiese Christensen, 2018, 表5.4)。親だけを調査すると、年少児にはより多くの育児時間を費していたが、父親の育児の割合は年少児(7歳未満)と年長児の両方で38%~39%であった(BonkeとWiese Christensen, 2018, 表5.5)。
父親の関与が全般的に増加しているのは勿論、母親と父親の両方が子どもと過ごす時間が増加している傾向は、例えば、デンマークを含む13か国の西欧諸国のデータを用いた研究(Dotti Sani と Treas, 2016)において、他の西欧諸国でも見られる。この研究のグラフに基づくと、例えば、アメリカ、カナダ、ノルウェー、オランダ、イギリスなどでは、2000年から2010年にかけて父親の育児分担は約35%と計算できる。
全体として、母親と父親の両方が以前よりも子どもと過ごす時間が大幅に増えていると言える。デンマークの父親は2009年と2016年に主たる子どもの養育の約40%「だけ」しか担っていないにも拘らず、父親はそれより1世代から2世代前の母親よりも子どもと過ごす時間が増加している。更に注目すべきことに、図1は45%を下回る漸近線を示しており、主たる養育は40%を超えていないように見えることである。これは、何らかの理由で養育責任の完全な均等配分が妨げられていることを示しており、恐らく、男性の活動的な養育日が女性と同じ日数に達していないことが主たる理由であろう。
² 例えば、2008年では、1歳未満の子どもの場合、父親が1日1.7時間、母親が1日2.45時間を主たる養育に費やしていた。10歳では、父親が1日約35分、母親が1日約55分を費やしていた。
3. 離婚後の変化
父親が子どもと過ごす合計時間および相対時間の増加は、デンマークおよび国際的に、離婚後の監護権にある程度反映されている。例えば、アメリカのウィスコンシン州の概要では、SCが常に最も一般的な監護形態だったが、そのような取決めをしている子どもの割合は、1988年の約80から2008年の約40%に減少した(Cancian他, 2014)。この期間中、父親と主に同居する子どもの割合は5~10%でほぼ変わらず、一方、均等な共有監護と不平等な共有監護は約5%からそれぞれ約25%と20%に増加した。スウェーデンでは更に大きな増加が観察され、共同居所と均等な養育時間をで暮らす子どもの割合は約1%から30~40%に増加した(Bergströmら, 2015)。他の類似国の最近の数字では、JPCにおいて同様の発展を示しており、ノルウェーでは2002年の10%から2012年の約30%に増加し(KitterødとWiik, 2017)、ベルギーのフランドルでは1990年代初頭の約10%から2006~2008年の33%に増加している(Sodermansら, 2013)。2009年の記事では、カナダは僅か9%と報告されており(SwissとLe Bourdais, 2009)、オーストラリアも僅か8%と報告されている(Cashmoreら, 2010)。
デンマークにおける居所および訪問に関する最近の数字は、例えば、デンマーク社会科学研究センターの出版物で報告されている。同センターは4年毎に(2010年、2014年、2018年、2022 年)、デンマークの子ども-(両親が離婚した子どもを含む-の福祉とウェルビーイングに関するレポートを発表しており、分担子育てに完全に特化した研究レポートを時々発表している(2011年と2012年)。そのような出版物の1つでは、1995年に生まれた子どもを追跡した縦断的研究が報告されている。ここで、OttosenとStage(2012, 図3.3)は、居所がほぼ常に母親とともに登録されていた-月齢4~5か月の子どもの場合は100%、7歳で92%、15歳では88%-と報告している。2018年の報告書では、非対称性の変化は僅かで、7歳で88%、15歳で83%であった(Ottosenら, 2018, 図5.1.3)。2022年の報告書では、子どもが母親(53%)または父親(6%)と暮らしているか、両方の親と均等に暮らしているか(41%)でグループ分けしている(Ottosenら, 2022, 表5.1.5)。これは、均等な時間の取決めをしていない子どものうち、90%(53%/(53%+6%))が母親と同居していることを意味している。彼らは、子どもが均等な時間の取決めで暮らしている割合は、居所が正式に父親とともに登録されている場合に最も高く、その割合は2009年から2021年の間に徐々に増加したと指摘している(Ottosenら, 2022)。これは、分担子育てを実践している、2人の子どもを持つ親の多くが、子どもを1人ずつ各々の親に登録しているためと思われる(Ottosenら, 2022, p. 236)。従って、子どもが登録されている父親の居所の、僅かではあるが歴史上重要な増加は、単に分担子育ての増加を反映している可能性が高い。実際、父親と同居している(母親とも同居していない)と報告している割合は、2009年以降6~8%前後で安定している(Ottosenら, 2022, 表5.1.5)。
更に、OttosenとStage(2012, 図3.4)は、このコホートでは、均等な養育時間の取決めで暮らしている子どもの割合は年齢によって異なり、11歳(約18%)でピークに達し、3歳と15歳(どちらも約8%)ではより稀であると報告している。限られたコンタクト、週末のコンタクト、および充実したコンタクト(それぞれ毎月1~3泊、4~6泊、および7~11泊)は、どの年齢層でも一貫してより多く見受けられた。一般的に、2009年における分担子育てスキームで取決めていた割合は15%で(Ottosenら, 2022, 表5.1.3)、デンマークは父親の社会的関与が一般的に高いのに反し、多くの類似国と比較して相対的に低い順位であった。この割合は、2013年には29%、2017年には37%、2021年には41%に急速に増加した(Ottosenら, 2022, 図5.1.3)。この10年未満での大幅な増加は、年少の子どもを除く、全ての年齢層で見られた。年少の子どもの場合、例えば、3歳の子どもの分担子育ての割合は2013年の36%から2017年の21%に減少した(Ottosenら, 2018, 図5.1.4)。この報告書の背後にいる研究者たちは、この減少は、年少の子どもの分担子育てに対する公式の推奨、またはこのカテゴリーのサンプル数が少ないことによるランダムな変動に関連している可能性があると推測している(Ottosenら, 2018, p.108)。報告書に基づいて、離婚後の父親の育児の分担を社会一般と比較して推定することが可能である。
2012年の報告書では、子どもが15歳だった2011年に実施した最後の測定に基づいて、様々な訪問グループについて比較的正確な定義が提供されている(最初の測定は、子どもが4~5か月だった1996年)。各年齢層における母親もしくは父親のそれぞれと暮らす居所の割合、各年齢層における各訪問グループの子どもの割合、および子どもが各親と何泊過ごしたかを知ることで、離婚後に子どもが父親や母親と過ごした時間をかなり正確に推定することができる³。子どもが父親と過ごした時間は、どの年齢でも約20~25%である。従って、約10~20年前の離婚後の日常的な育児は、主に母親が提供していたと推測できるが、その程度は社会一般における父親と母親の育児に基づいて予想されるものとは大幅に異なっていた。離婚後、子どもが母親と過ごした時間は父親と過ごした時間の3~4倍であった(75~80%対20~25%の分担)。一方、一般の母親が提供していた主たる育児は、社会一般の父親の「ほんの」1.5倍であった(60%対40%の分担)。換言すれば、2009~2010年頃の離婚後の父親の育児分担は、1975年の平均的な父親の家事分担よりも少なく、社会一般における進展より約30~40年遅れていた。
2014年、2018年、2022年の報告書に基づく同様の計算は、訪問グループをより緩く主観的に定義していたため、やや正確性に欠ける。例えば、後者の報告書では、「コンタクトなし」、「分担子育て」(完全にまたはほぼ完全に均等な時間を意味する)、「その他」に分かれており、斯くして後者は2012年の報告書の3つの中間的な取決めをカバーしている。2022年の報告書には全ての年の数値が含まれているため、この報告書のみに基づいて推定を行うことができる。2012年の報告書で「その他」の取決めで暮らしていると報告された子どもを3つの訪問グループに均等に分けると仮定すると、離婚後の父親の育児分担は、殆どの年齢の子どもで2013年には30%を僅かに下回り、2017年には30~35%程度になると推定されている。ただし、年少の子どもは再び例外で、父親の育児分担は2013年に30%近くあったのに対し、2017年には25%にまで低下している。より正確な 2011年の父親の育児の推定値は、様々な年齢層で、2009年の推定値より概ね -1.5%高く、2013年の推定値より3~8%低いことから、等分という仮定は比較的間違いないと思われる。
2022年の報告書(Ottosenら, 2022)のデータを使用すると、2021年の父親の育児の全体的な割合は、一般的に約33%と推定できる。割合は年齢層によって異なり、3歳の子どもは25%、11歳と15歳では約35%である。斯くして、全体として、2021年の離婚後の子どもの育児における父親の分担は、1987~2001年の期間の平均的な父親の関与[Bonke(2009)によると、その割合は33~34%であった]と一致した。つまり、分担子育てがこれほど大幅に増加したにも拘らず、それは社会一般における進展から「ほんの」20~35年後のことであった。とはいえ、特に3歳の幼児の場合は、離婚後の父親の関与は1970年代における社会一般の割合と一致していた。
原則として、離婚後の父親の育児への関与が、子どもや親の希望、子どものニーズ(および子どものニーズに対する親の認識)、家族法制度の実践など、一般的な社会の発展から数十年遅れている理由は数多く考えられる。全ての視点に共通するのは、子の最善の利益のために行動したいという願望のようであるが、それが何であるかについては様々な認識が存在する。以下では、この分野におけるデンマークの機関や当局の現在の推奨事項を検討し、その後、それらを最近の科学的研究やコンセンサスと関連付ける。
³ 例えば、3歳では、28%の子どもが平均5泊の「週末のコンタクト」であり、94%が母親と暮らしている。そのため、このような子どもの場合、父親が提供する月間宿泊数は、1か月を30日とすると、5泊 x 0.94+25泊 x 0.06 = 6.2泊、割合に換算すると20.7%(即ち、6.2/30=20.7%)の養育をしていることになる。3歳の子どもの全ての訪問カテゴリーにおいて、父親が養育を提供した割合は、子どもの16%(コンタクトなしカテゴリー)で6%、子どもの31%(限られたコンタクト)で11.9%、子どもの28%(週末のコンタクト)で20.7%、子どもの17%(充実したコンタクト)で32.4%、子どもの8%(均等時間)で50%であった。これらの割合を加えると、3歳の子どもの養育はその19.9%を父親が担っていることになる。
4. デンマークの法律とガイドライン
居所と訪問に関して、デンマークの法律(「Forældreansvarsloven」)は著しく曖昧である。第4条は、意思決定は子の最善の利益に基づいて行われなければならないと規定しているが、身体的暴力に関するもの以外は、これ以上の更に詳細な規定はない。第17条は、裁判所は、両親が同意しない場合に子の居所を決定する権限を有することを規定している。重要な点は、第18a条は、共同居所は自発的にのみ設定でき(従って当局は決定できない)、一方の親が取り消し得る(もう一方の親が同意するか否かに関係なく)と規定していることとである。訪問に関しては、第19条は、子(即ち、親ではない)は別居親との訪問権を有することを規定し、第21条は、その範囲は子の状況の評価に基づいて設定すると規定しているが、その具体的な方法を明記していない。第42条は更に、社会問題担当大臣がこれらの側面に関する規則やガイドラインを設定できることを規定しており、これは実際に行われている(社会・住宅・高齢者省, 2023)。
これらの省庁ガイドラインの多くは、複雑な事件(例えば、暴力、精神疾患、薬物乱用を含む事件)の手続きと考慮事項に関連している一方で、両親が同意しない複雑でない事件で居所と訪問を決定するための具体的なガイドラインに割かれているスペースは相対的に少ない。居所については、省庁ガイドラインの第4.2章で主に、親子のアタッチメント、親の個人的特徴、および意思決定の結果として転居する可能性に対する子どもの反応に重点を置くことができると規定している。ゲートキーピング行動(ガイドラインの第2.2章によると、主に訪問の妨害)も、暴力や暴力の目撃のリスクと同様に考慮される可能性がある。訪問については、ガイドラインの第5章に、子どもの年齢と発達、子ども自身の意見、日常生活と活動、以前のコンタクト、両親間の協力、両親の個人的特徴、自宅間の距離、兄弟とのコンタクト、その他の実際的な事項に基づいて決定すると記載している。どのような取決めも設定できると記載されているが、均等な時間については、通常、子どもの学校生活や社会生活に影響を与えないことが求められ、両親が協力して2つの家の連続性を生み出し、子どものコンタクトのニーズに関して柔軟性を持ち得ることが決定的な要件である。3歳未満の子どもについても、具体的なガイドラインが定められている。例えば、生後5か月以内は、頻繁に、但し1時間未満の短い訪問を設定し、年齢とともにこれを増やすことができるとされている。9~12か月頃には、宿泊型訪問を開始できる。法律と省庁のガイドラインは、両方の親が共同居所に同意しない限り、1人の親だけが子どもと同居し、裁判所がどちらの親と同居するかを決定できることを主に定めている。均等な訪問時間の決定以外には、判決を導く明確な規則はないが、考慮される可能性のある(または考慮されない可能性のある)幾つかの要素が列挙されており、裁判所と、以下に説明する家族法庁(「Familieretshuset」)に多くの決定権が委ねられている。
この家族法庁は、両親が離婚の際に最初に遭遇する機関であり、多くの場合、唯一の機関である。この機関は、例えば、離婚申請を取扱い、当事者間の調停を行い、監護権や訪問の取決めに関する助言を提供し、子どもとの面談を実施し、一時的に居所指定権や訪問権を割当て、事件を裁判所に送致することができる。大多数の家族は、公的機関の関与なしに訪問計画を設定するが、設定しない堅固な少数派-23〜30%(Ottosen、2016、p. 59)-の場合、そのプロセスはこの家族法庁で始まる。この機関はまた、親が訪問計画の選択に関する情報を求める最初の場所となることも多い。この機関は法律と省庁のガイドラインに従って行動するが、法律やガイドラインが設定する曖昧な枠組みを考慮して、独自のガイドラインも公開している。これらのガイドラインは、デンマークの法制度の仕組みを理解する上で中心的な役割を果たす。なぜなら、より明確で、最初のメディエーションや計画決定の基礎を形成し、それゆえ法制度内の一致した見解をほぼ反映しているためである
この家族法庁は最近、訪問ガイドラインを更新した(2022年11月)(Familieretshuset, 2022a)が、以前の文書はまだウェブサイトに掲載されており(Familieretshuset, 2022b)、Googleの検索エンジン経由でウェブサイトにアクセスすると、この文書を参照することになる。 どちらの文書でも、両親の人間関係は勿論のこと、子どもの年齢、両親との以前のコンタクト、両親の住居間の距離、両親の協力する能力に重点が置かれている。以下で、この両方のガイドをレビューする。2023年3月にガイド文書が新しい日付で更新されたが、それ以外に、2022年11月のガイドからの変更は確認できなかった。
以前のガイドでは、訪問と居所に関する非常に具体的な推奨事項が幾つか記載されていた。幼い子どもには、一緒に暮らす主たる監護者が必要であると述べている。当初はもう一方の親と一晩過ごすことは推奨されないが、徐々にコンタクトを延長し、1歳から3歳の間に宿泊を試みることができる(即ち、省庁のガイドラインが言及しているよりも少し遅い時期になる)。3歳から6歳の子どもについては、コンタクトと宿泊の回数を増やすことができ、それが子どもにとって上手く行くようなら、分担子育てに取り組むことができる。6歳から12歳の子どもについては、子どもの希望に耳を傾けることが重要になり得るという事実を除けば、訪問計画に関する具体的なニーズについては何も言うことはないと述べている。12歳以上になると、子ども自身が分担子育てを望まないことが一般的であると述べている。更に、両親間の葛藤が激しい場合は、子どもは主に一人の親と一緒に暮らすべきであると述べている。
全体的に、以前のガイドラインは、主たる監護育者(居住統計を考慮すると通常は母親)との関係に焦点を当てており、その後、状況が許せば、もう一方の親(通常は父親)との関係を徐々に築くことも、築かないこともできる。幼い子ども、年長の子どもの両方に関し、葛藤のある離婚、または両親の協力が理想的とは言えない離婚において、分担子育てに対して非常に慎重な姿勢を示している。OttosenとStage(2012, 表 4.2)によると、デンマークの離婚全体の44%で協力が「妥当な/許容できる」レベルに満たず、59%の両親は「広範囲にわたる協力」をしていない。年齢と協力/葛藤の両方を考慮すると、この推奨事項は、事実上、分担子育ては、どの時点においても、約15~20%の少数の子どもにしか適していないというものである。この割合は、10年以上前の分担子育ての実際の普及率に相当する。また、分担子育ての効果については、親の協力が不可欠であること以外、あまり知られていないとも述べている。これらの推奨事項を考慮すると、2017年以降、3歳の子どもの分担子育てが減少していることは驚くべきことでない。
2022年11月に更新されたガイドライン(Familieretshuset, 2022a)では、研究によると、既に両親との密接なアタッチメントを有する子どもの多くは分担子育ての恩恵を受けるが、それが常に正しい解決策であることを意味するわけではないと述べている。特定の年齢に関しては、徹底的に書き直され、焦点を主たる監護者と1つの家から、人間関係(複数)をより重視することに移している。0〜3歳の幼児については、ガイドラインでは、子どもは複数の監護者とアタッチメントを形成でき、両親が日常の子育てに従事する場合は、どちらの親も重要な役割を果たすことができると述べている。しかし、幼い子どもには予測可能性と親しみやすさが必要であり、子どもが一方の親と同居し、もう一方の親と頻繁かつ短時間のコンタクトを持つことで、これに対応できることが依然として強調されている。3~6歳の子どもについては、連続した宿泊回数を増やすことができると明記している一方、6~12歳の子どもは(重要な)監護者からより長い時間離れることができると述べている。ガイドラインでは、この年齢では分担子育てがより一般的であり、多くの子どもがその恩恵を受けていると述べている。年長の子どもは、一般的に分担子育てを望まないと再び説明している。
最近のガイドライン(Familieretshuset, 2022a)では、研究は、幼児(0~3歳)の分担子育てに関する知識が不十分であるが、どの要因が決定的であるかはまだ不明なものの、3~6歳の子どもに有害には見えないことを示していると要約している。年長の子どもについては、具体的に研究結果に言及していない。親の協力は、様々な訪問計画に様々な形で影響を与えるものではなく、一般的に重要な要素として言及しており、親同士の葛藤が激しい場合には子どもは主にたる一人の親と暮らすべきであるという記述を削除した。それにも拘らず、子どもに尋ねてみると、両親の協力は分担子育てで上手くやっていけるかどうかに非常に重要であると答えていることが強調されている。また、読者が関連する研究を参照できるように参考文献も掲載している。
全体的に、家族法庁は、主たる監護者の重要性を強調する見方から、両親との子育て関係の重要性に変わったようである。幼児には不均等な養育を必要であるという記述は、研究が不明確である、あるいは分担子育てにより子どもが害を受けることを示していないという記述に置き換えられた。確かに、最近のガイドラインは、分担子育て全体に対してより寛容であること(省庁のガイドラインよりも寛容であるように見える)を示しているが、子育て計画の具体的例は、依然として、幼い子どもが一方の親の家に住み、徐々にもう一方の親と会う機会を増やし、学齢期頃に分担子育てに近づけるようになるものの、10代になると分担子育てを止める可能性が高いという前提に基づいている。親同士の協力と低葛藤に関する発言も、分担子育てに関連してトーンダウンしており、現在ではより独立した重要な要素として捉えているように見えるが、葛藤のある事件における分担子育てに消極的であることを示すような慎重な記述が依然として幾つか存在する。しかし、一般的に分担子育てに対する否定的な態度または消極的な態度は少ないにも拘らず、殆どの家族に対する一般的な推奨事項として分担子育てを提示しておらず、研究は分担子育てを肯定的に支持していると一度言及しているだけで、その後に一般化しないように促す文章が続いている。
国家機関に加えて、少なくとも2つの別の主要なデンマークの組織、Mødrehjælpen(「母親の助け」を意味する)とBørns Vilkår(「子どもの状態」を意味する)が離婚に関する支援と助言を提供している。これらの組織は同様の意見を述べている。例えば、Børns Vilkårは「子どものウェルビーイングにとって最も重要なのは、子どもがどこに住み、どこで眠るかではなく、あなたの協力、葛藤のレベル、子どもに対する応答性です」と書き、分担子育てには広範な協力が必要であることを強調している。それにも拘らず、Børns Vilkårは比較的幼い子どもに関連して分担子育てについて言及しており、一例として、4歳の子どもが分担子育てを突然必要とするかもしれないと述べている(Børns Vilkår, 2023)。興味深いことに、10代の子どもに関しては、毎週家を行き来するのではなく、(別居親と会う回数が減るのと裏腹に)月に1~2回の交代が必要になる可能性があると述べている。このように、Børns Vilkårの推奨事項は、家族法庁の以前のガイドよりも分担子育てに明らかに寛容なように見えるが、依然として新しいガイドよりも前提条件として協力を重視しているようである。Mødrehjælpenの推奨事項は、古いガイドと完全に一致しているようで、分担子育ては親と子どもに大きな負担をかけ、とりわけ両親の良好な協力が必要であると書いている(Mødrehjælpen. 2023)。
総合すると、デンマークの法律と省庁のガイドラインは比較的曖昧で、主に考慮される可能性のある側面のリストを提供している。しかし、決定的に重要なのは、両親が同意しない場合、子どもの居所は一方の親にのみ記載でき、事実上この親が主たる監護者となることを法律が定めていることである。この親には更なる権利があり、子どもは少なくとも半分の時間をこの親と過ごす必要があるため、子どもは彼らに優先的にアクセスできる。これは、分担子育ては、両親に意見の相違がある場合、訪問に関する規則を通じてのみ実践できることを意味する。その文脈において、省庁のガイドラインは、均等な時間に関し両親間で協力するという厳しい要件を課しており、両親の相互決定以外でこれを確立することは困難であることを意味する。居所や訪問に関する最初の決定に助言したり、決定に参加する他の組織は割と保守的であり、一般的に分担子育てをデフォルトの解決策として推奨することを控えている。以下では、最新の研究をレビューし、それをデンマークの法律やガイドラインに関連付ける。主な焦点は省庁のガイドに当てているが、これは、推奨事項の観点から最も詳細で明確であり、最新のガイドが特定の参考文献リストを提供しているためである。
5. 監護権が子どものウェルビーイングに与える影響
JCの研究では、離婚直後とその後の人生における、子どもの全般的なウェルビーイング、メンタルヘルス、及び学力の両方に関する多くのパラメーターを測定してきた。初期のメタ分析(家族法庁のガイドの文献リストに掲載)は、コンタクトの頻度は一般的に子どものアウトカムとは関連がないことを示しており(AmatoとGilbreth, 1999)、この調査結果は、デンマークと海外の文献の両方で、例えば、OttosenとStage(2012, p.78)の分析で、今でも頻繁に言及されている。その後、この研究結果は複写、拡大され、コンタクトの質(例えば、父子関係や育児活動への関与)が頻度よりも重視されることが多くなった(AdamsonsとJohnson, 2013)。しかし、コンタクトの頻度はコンタクトの量を表す意味のある尺度ではなく、実際には「質」の尺度は量を反映していると指摘されている(Fabricius, 2020)。例えば、週に2時間しかコンタクトがない子どもは、コンタクトの頻度が月に4回と評価されるが、週毎に交互にそれぞれの親と暮らす子どもは、月に2回と評価される。対照的に、質の変数には、別居親が子どもを寝かしつけたり、一緒に宿題をしたりする頻度が含まれ、勿論、これは泊り掛けの頻度が多いほど頻繁に起こる。また、親密な関係を築き維持するには時間が必要であり、量がなければ質を保つのは難しいと指摘されている(Adamsons, 2018)。
コンタクトの量を直接調べると、結果は全く異なっていた。2件のメタ分析(どちらも家族法庁は参照していない)で証明されているように、JCの子どもは通常、SCの子どもよりも大幅に成績が優れている。33件の研究の初期のメタ分析で、Bauserman (2002) はJCとSCとを比較し、幅広いパラメーター、即ち、一般的な適応、家族関係、自尊心、感情的および行動的適応、離婚特有の適応において、JCの子どもはSCの子どもよりも成績が優れている(更に、両親が揃った家庭の子どもと有意に差がない)ことを見出した。その後のメタ分析では、JCは父子関係の改善、育児ストレスの軽減、親同士の葛藤の低減、再訴訟率の低下、全体的な適応の改善にも関連していることも見出した (Bauserman, 2012)。
殆どの研究が、SCとJCを二分法的なカテゴリーとして対比しているが、均等な時間に向けて段階的な増加も検討されている。16件の研究のメタ分析では、JPCに関するメリットは多数あり、それぞれの親の家で少なくとも40%の時間を過ごした子どもの方が、一方の家で30~39%しか過ごさなかった子どもよりも効果が大きいことが見出された(Baude ら, 2016)。同様に、約 148,000 人の子ども(離婚した家庭の約 46,000 人の子どもを含む) を対象としたスウェーデンの研究では、心身症の症状が育児時間の関数として徐々に減少することが分かった(Bergström ら, 2015)。これらの研究のどちらも家族法庁は参照していない。
デンマークでは、Ottosenら(2022, 表5.2.6)は、親と信頼関係にある子どもの割合が居所によって異なると報告している。信頼関係とは、子どもが本当に気になる話題について親と話すのが「簡単」または「非常に簡単」であると子どもが報告したかどうかと定義された。父親と一緒に暮らす子どもは、通常、両親の揃った家庭または共同居所の家庭よりも母親と信頼関係にある可能性が低く、母親との居所の取決めにおける父子関係も同様であった。信頼関係の総量は、共同居所の場合に非常に多く、両親の揃った家庭とほぼ同じである。共同居所は、単独居所と比較して、一方の親との信頼関係の割合が僅かに低下することと関連している可能性があるが、これは、もう一方の親との信頼関係の割合が大幅に増加することで補われ、信頼関係の総数は増加する。親が自分を気遣っていると子どもが感じているかどうかを調べたところ、同様の効果が見られた(Ottosenら, 2022, 表5.2.8)。ここに、分担子育ての家庭と両親の揃った家庭の数値はほぼ同じであったが、単独居所の家庭では別居親の数値が大幅に低下し、同居親の数値は増加しなかった。結果として、共同子育ての取決めで暮らす子どもは、両親のそれぞれと気遣う関係を持つ割合が高く(約85~94%)、単独居所の取決めで暮らす子どもは、一方の親に対する割合が最善の状態では共同居所の場合と同様に高かった(69~95%)ものの、もう一方の親に対する割合は遥かに低かった(47~83%)。
このように、文献では、幅広いパラメーターにおいて、均等な養育時間と子どものウェルビーイングの間には一貫して正の相関関係があることがわかっており、均等な養育時間は両親の揃った家庭に見られるものと同様の最適な親子関係に関連している。この調査結果の一貫性から、その後の懐疑論は、JCに因果効果があるのか、それともその効果が、相互葛藤が低く、裕福で教育を受け、機智に富んだ両親や、年長の子どもがJCを自己選択するなどの他の要因によるものなのかに焦点が当てられた。それ故、研究では、均等な養育時間自体が因果的で肯定的な効果を持つかどうかを調べるために、ますます洗練された設計でこれらの要因を分離しようとした。以下の章では、提案された交絡因子に関する文献をレビューする。
6. 親同士の葛藤の影響
離婚の文脈における親同士の葛藤は、交絡因子として提案されているだけでなく(低葛藤がJPCの利点の原因であるという主張)、監護権の種類と相互作用する因子としても提案されているため、特に興味深い(高葛藤のカップルの場合、子どもにとってSCが最善であるという主張)。これは上記の全ガイドラインで具体的に言及しているが、同時に、離婚後の葛藤のレベルはよく変化し、葛藤が何年も続くことは滅多にない。例えば、離婚前と離婚直後-監護権や居所が決定されるとき-は、葛藤のレベルが比較的高くなるが、その後は低下する(FabriciusとBraver, 2006)。OttosenとStageの2012年の分析によるデンマークのサンプル(N = 919)では、2007年に葛藤を報告した監護親のうち、2011年にも葛藤を報告した親は一人もおらず、一方で、以前は葛藤を報告していなかった別の監護親が、今回は葛藤があると報告している(OttosenとStage, 2012,表4.4)。一般的に、葛藤を報告する割合は2007年時点で既に非常に低く(約4%)、これは殆どの離婚が何年も前の出来事であるという事実に関係していると思われる。そのレベルは全ての訪問カテゴリーで4~5%だった(「訪問なし」は例外で、この場合、両親間のコンタクトは通常存在せず、従って葛藤の可能性がなかった)。
興味深いことに、Bausermanは2002年に既に葛藤を調査しており、それがJCのプラス効果を和らげることを見出さなかったが、当時のデータはまばらだったとも指摘している(Bauserman, 2002)。Nielsenは、JPCに関する60件の定量的研究のレビューで、より徹底した調査を実施した(Nielsen, 2018)。彼女は、研究をアウトカムと、研究で考慮し付加的要因(例えば、葛藤)に応じて分類した。Nielsenが報告した数値に基づいて、図2に、肯定的、中立的(有意でない)、および混合的アウトカムを示した研究の割合を示した(否定的な結果のみを示した研究は報告されていない)。この図には、幼児の計算を含めるために、Nielsen (2021) の情報を追加している。図2は、研究の大多数が、一般的な場合(60件の研究のうち45件)および葛藤を考慮した場合(19件の研究のうち14件)の両方で、JPCにおいてウェルビーイングが向上したと報告していることを示している。Nielsenは、エビデンスの詳細な検討に3ページを費やし、葛藤の減少がJPCの利点を説明するという見解を支持する研究は殆どないと結論付けた。
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Mahrerら(2018)は、葛藤に関する11件の研究の詳細なレビューを実施した。彼らは、離婚後2~3年以内-即ち、監護権や居所が最初に決定されるとき-の葛藤は、JPCで暮らす子どものアウトカムの悪化とは関係がないことを突き止めた。彼らは、統計的に葛藤のレベル(および、父親とのコンタクトが殆どまたは全くない場合と父親とのコンタクト時間が25%以上の場合とを比較した研究において、SCにおける父親とのコンタクト時間の長短)を統制した研究では通常、JPCのアウトカムが依然としてより良好であると述べた。彼らはまた、育児の質の影響も調べ、例えば、少なくとも一方の親が質の高い子育てを実践すれば、葛藤の悪影響から子どもを保護できると結論付けた。政策と実践の点では、離婚時に葛藤関係にあることを理由に分担子育てを禁止する政策を支持する一貫した調査結果はないと結論付け、他の要因(子育ての質など)をより重視すべきだと主張した。最後に、主に昔の研究で葛藤の悪影響が見つかっており、これらの研究の幾つかはJPCではなく、代わりにSCにおける父親とのコンタクトの増加を調査していたことは言及する価値がある。これは、葛藤が不均等な養育時間と組み合わさった場合に、養育時間が均等な場合は勿論、父親とのコンタクトが全くない場合(それ自体がアウトカムの悪化と関連している)と比較し、主として悪影響を及ぼす可能性を浮き彫りにしている。
家族法庁は、NielsenやMahrerらのレビューではなく、代わりにSteinbach (2019)、BermanとDaneback (2022)による別の2つのレビューを参照している。Bauserman、 NielsenとMahrerと比較すると、彼らは幾分異なる視点を採用している。
BermanとDaneback (2022)は、分担子育ての利点については全般的なコンセンサスが存在すると主張している。未だに、このコンセンサスは、親同士の葛藤がない場合、両親が協力できる場合、子どもが4歳以上の場合にのみ適用されており、それ故科学者は分担子育ての支持者と反対者という2つの陣営に事実上分かれている。彼らは葛藤のトピックに1段落を割いており、入手可能な論文の一部のみを参照している。葛藤は行動問題および心理社会的問題を増加させる(従って、一般的にマイナス要因である)と述べ、5つの研究を参照して、二重居所は一部の子どもにとって葛藤に曝される悪い解決策になり得ることを強調している。彼らは、葛藤を考慮した場合のJPCの利点を示すNielsenが特定した14件の研究のうち1件だけを参照している。それにも拘らず、彼らはその後、-例えば-NielsenとMahrerのレビューを参照して、葛藤のマイナス効果は両親との関係を持つことによるプラス効果を遥かに上回る、葛藤はそれが長引く場合にのみ有害である可能性があると主張する人もいると述べている。検討の章では、控えめに、葛藤が少ない場合に子どもは二重居所から利益を得ることができると結論付けている。この結論は、この点についてはコンセンサスが得られていない、議論は依然と続いていると強調したレビューの前半部分とはやや対照的なように思われる。
Steinbach (2019)も同様に、両親が協力し、葛藤のレベルが低い場合のJPCの利点については現在コンセンサスが得られていると述べている。一般的にJPCの利点を示している研究のレビューで、Steinbachは、潜在的な交絡因子に焦点を当てることが多く、例えば、ある研究(JablonskaとLindberg, 2007)における利点は、親しい友人の数と学校満足度を統制すると有意ではなくなったと述べている。しかし、これらは非常に慎重な統制変数と思われる。なぜなら、JPCが一般的なウェルビーイング、心理的問題、身体的健康、認知発達に因果関係があるとすれば、SCは広範囲の学業上の困難や社会的困難をもたらす可能性があると容易に想像できるからである。これが事実であれば、これらを統制することは、アウトカム指標を統制することと同じである。葛藤に関する文献に関連して、Steinbach は理論的検討に1つの段落(357頁)、実証的研究に 1つの段落(360頁)を割いている。彼女は、2件の定量的研究、および混合結果が得られた1件の定性的研究 (McIntosh, 2009; Cashmoreら, 2010; Vanasscheら, 2013)は勿論、プラスの効果がある1件の研究 (SpruijtとDuindam, 2009) を引用している。従って、Nielsen(2018)が肯定的な効果を示していると報告した14件の研究のうち、Steinbachのレビューに含まれているのは1件だけ(SpruijtとDuindam, 2009)であり、Steinbachは、Nielsenが「混合結果」と分類した研究は否定的な結果が判明したと述べている。
総合すると、Steinbach(2019)とBermanとDaneback(2022)のレビューでは、葛藤に関する文献に比較的少ないスペースしか割かれていないのに対し、Nielsen(2018)とMahrerら(2018)では、かなり多くのスペースが割かれている。スペースの多さはレビューの質と同義ではないが、レビューで特定された全ての研究について、より詳細な検討や言及が可能になる。これにより、読者が各立場のエビデンスの相対的な強さを自分で判断しやすくなるかもしれない。4件のレビューの結論もかなり異なっている。Nielsen と Mahrer らは、葛藤のレベルではJPCの利点を説明できず、葛藤が存在するからといってJPCを妨げるべきではないと主張している。対照的に、Steinbach と Berman と Danebach は、コンセンサスは得られていないと報告している。斯くして、家族法庁は、葛藤が存在する事案のJPCについて肯定的な見解を最も伝えていない2件の文献レビューに言及しているが、JPCについてより肯定的な見解を示す2件のレビューについては触れていない。
7. 収入、教育、親子関係の影響
親の収入や既存の親子関係などの他の要因も調査されている。図2に示すように、Nielsen (2018) は、これら2つの要因ではJPCの利点を説明できないことを見出した。更に、スウェーデンの多くの研究では、教育やその他の変数を統制している。例えば、Bergströmら (2018) は、親の教育レベルと出生国を統制した後、JPCのプラス効果を発見した。Fransson ら(2018)は、親の教育や出生国は勿論、子どもの性別や年齢を統制した場合でさえ、分担子育てで暮らす子どもの(経済、社会関係、健康、文化や余暇時間に関する)生活環境は、単独監護の親のもとで暮らす子どもの生活環境よりも良好であることを発見した。Bergströmら(2015)は、JPCの利点は、認識されている富、(現在の)親子関係は勿論、両親の年齢と出身国を統計的に統制した後でも維持されていることを発見した。後者は、親子関係が一緒に過ごす時間に関係している可能性が高いため、かなり慎重な統制変数である。Ottosenら(2018)によるデンマークのレポートでは、JPCのプラス効果は存在したが、親同士の関係と親子関係を統制するモデルでは消滅した。しかし、彼らはこの点に関して、それぞれの親と過ごす時間は無関係であると結論付けることはできないと正確に述べている。なぜなら、人間関係を築くには時間が必要であり、彼らの分析では父親との関係と母親との関係はウェルビーイングに対してそれぞれ別のプラスの影響を与えていることが示されたためである。
8. 子どもの年齢の役割
上記のデンマークの推奨事項の全てで言及されているもう1つのトピックは、子どもの年齢である。ここでは、JPCの利点がないことを示す初期の研究は勿論、理論的な理由もあった。しかし、最近の研究は概して肯定的である。3〜5歳の3,656人の子ども(両親が離婚した子ども287人を含む)の研究で、Bergströmら(2018)は、JPCで暮らす子どもは、-両親の教育レベルと出身国を統制した場合でさえ-主にまたは専ら一方の親と暮らしている子どもよりも心理的問題が少ないことを発見した。Nielsen(2021)は、特に幼児を調査した6件の研究の結果を報告し、検討した(図2参照)。彼女は、そのうちの2件の研究が議論の余地があると述べ、110人の研究者や専門家による合意声明 (Warshak, 2014) で批判されていることを指摘した。1つ目の研究 (McIntoshら, 2010) は、標準化されていないテストを使用していること、結果の解釈に疑問があること、同棲したことのない代表的でないカップルのサンプルが少ないこと、そしてプラス効果について言及していないことで批判された。2つ目の研究 (Tornelloら, 2013) も、暴力、虐待、メンタルヘルス問題の発生率が高い貧困地域に住む少数派の親の代表的でないサンプルで、標準化されていないテストを使用していることで批判されている。この研究でも、否定的な結果が強調され、一方で肯定的で有意でない結果は無視されるか軽視された。残りの4件の研究 (Solomon, 1998; Pruettら, 2004; FabriciusとSuh, 2017; Bergströmら, 2018) では、(均等な時間まで)父親と一緒に夜を過ごすことが多い乳児、幼児、未就学児は、主に母親と一緒に夜を過ごす子どもよりも全体的に良い結果であると結論付けた。
Nielsen(2021)が言及したごく最近の研究の1つは、幾つかの興味深い洞察を提供している。FabriciusとSuh(2017)は、両親が離婚した若年成人の子どもと両親との関係を、0〜2歳の間のコンタクトの程度との関連で調査した。彼らは、幼少期までの父親との宿泊と均等な養育時間を含むコンタクトが、若年成人の両親に対する関係にプラスの効果を与えることを観察した。言い換えれば、両方の親のもとで-3歳前に-近しい数の宿泊をしていた研究参加者は、全体的な若年成人と親との関係が最も良いことを観察した。その効果は、子どもが1歳未満のときの宿泊で見つかったが、2歳の子どもは更に顕著であった。この結果は、その後の児童期や青年期の親子の時間、親の教育レベルと離婚5年後までの葛藤を統制した後も維持された。父子関係は、養育時間が均等になるまで徐々に改善していった。対照的に、母子関係は、父親と過ごす頻度が14日間に0〜1泊と1〜2泊の間で主に改善し、その後の1〜2泊と6〜7泊の間では変わらなかった。従って、早期の均等な父子コンタクトは、母子関係に悪影響を与えることなく、より良い持続的な父子関係に関連しているように見える。この研究で使用された尺度の1つ(「重要性」、即ち、子どもがそれは親にとって重要であると感じるかどうか)は、その後、子どものメンタルヘルスに関連していることがわかった(Vélezら, 2020)。
Franssonら(2018)は、このトピックに関する最近のスウェーデンの研究の短い概要記事を公開した。彼らは、幼児に関する概要に3件の疫学研究と1件の面接調査を含めた。疫学的研究に基づいて、例えば、JPCで暮らす幼児は、SPCで暮らす幼児よりも心理的問題や行動上の問題が少ないと結論付けた。面接調査では、面接を受けた親の24%が当初JPCに同意しておらず、そのうちの何人かがもう一方の親の子どもの世話をする能力を信頼していなかったことがわかった。それにも拘らず、大多数は最終的にJPCに満足し、子どもがJPCから恩恵を受けていると感じていた。彼らは、良い結果の説明の一部として、父親の関与によるプラス効果に焦点を当てた。
この概要記事の後、別のスウェーデンの研究が発表された。Bergströmら(2021)は、心理的ウェルビーイング、JPC、両親の協力の関連性について、両親が離婚した642人の子どもを含む12,845人の3歳児を調査した。彼らは、親の教育レベルを統制した場合でさえ、JPCで暮らす3歳の子どもは、一般に心理的な問題が少ないことを発見した。両親の協力を統計的に統制した後、その調査結果はかなり意外なことに、異なる離婚カテゴリーの子どもの間に有意差はなかったが、両親の揃った家庭の子どもはJPCで暮らす子どもよりも優位に成績が悪かった。これは、協力のレベルを統制することは保守的すぎる可能性があることを示している。なぜなら、両親は一般的に子どものために離婚すべであると主張する人は殆どいないからである。追跡調査分析はより有益で、良好な協力は一般にメンタルヘルスの改善と相関するが、その恩恵は両親の揃った家庭とJPCが最も受けることを示した。換言すれば、子どもが専らあるいは主に一方の親と暮らしていた場合は、両親の協力関係が良いか悪いかに拘らず、心理的ウェルビーイングは、ほぼ同程度悪かったが、JPCや両親の揃った家庭では、子どもは両親の積極的な協力から恩恵を受けた。Bergströmらは明確に言及していないが、心理的問題に関してJPCが親の良好な協力の恩恵を享受する前提条件であると推測できる。強調すべきは、SPCまたは不均等な子育ての構成は、親同士の協力が不十分な場合、より良いウェルビーイングを提供することは確認されていないことである。従って、家族法庁の以前のガイドで言及されていたような、良好な協力関係にない場合、SPCまたは不均等な育児はより良い選択であるという根拠はなかった。
Steinbach(2019)はレビュー記事で、スウェーデンの研究が記事の他の場所で言及されているにも拘らず、幼児に関する2件の研究(McIntoshら, 2013; Tornelloら, 2013)の結果だけを要約している。2件の研究は、JPCに対するエビデンスを提供するものとして引用されているが、結論は議論の余地があることが認めている。JPCの支持者の立場は、アタッチメント理論からの理論的根拠に基づいていると説明しつつ、非常に幼い子どもの世話には感情的なサポートだけでなく、世話をする能力も必要であるという発言が伴っている。対照的に、BermanとDaneback(2022)は、より広範な文献のレビューを強調し、両方の親の家に宿泊することに問題はないと結論付けているが、更なる研究が必要であると結論付けている。寧ろ驚くべきことに、彼らは他の場所でBergströmら(2018)の1件の研究を参照しているが、幼児に関する調査結果との関連では言及していない。彼らの考察の章では、彼らはまたもやより保守的であり、4歳未満の子どもの結論を引き出すには研究があまりにも少な過ぎると書いている。
上記の4件のレビューのうち、家族法庁は後者の2件だけを参照しているが、そのうち少なくとも1件は非常に限定的で、どちらもJPCについて比較的慎重な見方をしており、肯定的なアウトカムを示した個々の研究については言及していない。ただし、家族法庁は Bergström ら (2018) による1件の研究を追加で挙げているが、2021年の研究 (Bergströmら, 2021) は挙げていない。同様に、省庁のガイドラインは、JPCに対して最も懐疑的な見解を持つレビューで取られた視点とより一致しているように見える。
9. 因果関係
ランダム対照試験を行うことは明らかに不可能であるため、様々な訪問の取決めの因果関係を確立することは非常に困難である。代わりに、研究者は因果関係について推論を行うため、非常に様々な方法論を使用してきた。例えば、親のリロケーションは、一方の親とのコンタクトの量が突然劇的に変化することが多いため、転居が親子関係に与える影響を調べることができる。Braverら (2003) はこれを調査し、一方の親がリロケーションした子どもに悪影響があることを発見した。このような子どもは、(どちらの親が転居したか、また自分自身が転居したかどうかに関係なく)離婚中により大きな内なる混乱を経験し、それをより不快に感じ、非監護親からのサポートをほぼ失うことを感じていた。更に、2人の良いロールモデルがいることもそれほど感じていなかった。追跡対照分析では、その影響が転居前に存在した葛藤や暴力によるものではないことが確認された (Fabricius と Braver, 2006)。
自己選択は通常、因果関係説明の代替案と考えられているため、別の研究では自己選択の程度を調べ、説明要因としてこれを除外しようと試みてきた。例えば、両親が当初分担子育てに反対していた場合に、分担子育てのメリットは消滅したかどうか、即ち、両親が分担子育てを自ら選択したのか、(恐らく不本意に、あるいは裁判所の判決後に)分担子育てを受け入れたのかどうかを調べることができる。Nielsen (2017)は、JPC家庭の大部分(40~82%)が監護権の取決めに関して当初は葛藤状態にあった(1980年代と1990年代の)4件の研究を特定した。これらの研究におけるJPCで暮らす子どもは、依然としてSPCの子どもよりも成績が良く、JPCの自己選択でメリットを説明できないことを示していた。これらに加えて、FabriciusとSuh(2017)の上述した調査結果は、分担子育てについて合意がなかった場合でも当て嵌まった。
10. 子どもの視点
デンマーク語の研究文献では、定性的研究で子どもの視点に重点が置かれていることが多く、これは家族法庁のガイドにも反映されている。200頁を超える大規模な定性的研究では、28人の非ランダムに選ばれた子どもと24人の親、4人の成人した子どもへの面接を通じて、分担子育ての取決めにおける子どもの経験を調査している (Ottosen ら, 2011)。このトピックに関する国際的な文献と同様に、この研究では、両親と均等に過ごすことで受ける利点と欠点について、子どもから多様で微妙な報告が寄せられているが、広く一般化することは困難である。しかし、殆どの子どもが、均等に過ごすことは良いことだと報告していることは注目に値する-自発的に確立されたかどうかに拘らず(Ottosenら, 2011, 135-136p)。より代表的な概要を得るには、より大規模で定量的な調査を調べることが有益である。Fabricius と Hall (2000) は、幼少期に両親が離婚した若年成人800人の大規模なサンプルを対象に子どもの視点を調査した。研究参加者自身が何を望んだか、両親が何を望んだか、実際はどうだったか、そして参加者と両親が一般的に子どもにとって何が最善だと思うかを尋ねた。参加者と父親の希望は概ね一致していると報告された一方で、それぞれの親と実際に過ごした時間は母親が認識していた希望と一致していた。同様に、子どもにとって一般的に何が最善かという認識では、参加者の大多数が-父親と同意見で-両親と均等に過ごすことが最善であると報告したのに対し、母親は父親と過ごす時間が短い方が良いと考えていると報告した。実際、分担子育てを経験した参加者の93%が、両親と均等に過ごすことが子どもにとって最善であると報告したのに対し、両親と均等な時間を過ごしたことのない子どもは、(0~4のスケールでそれぞれ4と3の評価に相当する)子どもにとって父親と均等に過ごすか、父親とかなり長い時間を過ごすことが最善であると報告した。
このトピックについては、デンマークで大規模な定量調査も実施されている。OttosenとStage (2012, 表4.6) は、11歳と15歳の子どもの様々な種類の訪問の取決めについて、1,354 人の子どもが父親や母親ともっと一緒に過ごしたいと望んでいるかを調査した。彼らは、子どもを以下のいずれかのグループに分類した:訪問なし(全く訪問していない)、限られた訪問(訪問はあるが、月に3泊未満)、週末の訪問(月に最大6泊)、充実した訪問(月に最大11泊)、分担子育て(両親とほぼ均等の時間を過ごす;通常は7日または14日ごとに家を移動する)。11歳の子どもの数字は、訪問のある全てのカテゴリーについて図3に示した。実際に父親と過ごした時間よりも多く父親と過ごしたいと望む子どもは、実際に母親と過ごした時間よりも多く母親と過ごしたいと望む子どもよりも、かなり多かったことは明らかである。この満たされていない欲求は、宿泊日数の増加に応じて減少した。しかし、分担子育ての場合でも、父親と過ごす時間をもっと増やしたいと望む子どもは、母親と過ごす時間をもっと増やしたいと望む子どもの2倍であった。子どもの約90%が母親と同居していたことを考えると、この違いは、かなり少数ではあるが、父親と殆ど一緒に暮らしたいが、代わりに両親と均等の時間を過ごすという子どもがいたことを反映している可能性がある。15歳の分布は、分担子育てで暮らすほぼ全員(約95%)が母親とは時間は勿論、父親との時間にも満足していたことを除いて、11歳の分布とあらゆる点で類似していた。
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OttosenとStage (2012)は、満足度は一般的には宿泊が増えるのに伴って高くなり(父親と母親の違いについては言及していない)、全体的な満足度は15歳のほうが高かったと結論付けている。2つ目の結論は詳しく見る価値がある。11歳と比較して15歳の満足度は、各訪問カテゴリーで、各カテゴリーに何人の子どもがいるかは考慮せずに個別に検討すると、確かに高かった。例えば、父親にもっと会いたいと望む子どもの割合は、4つのカテゴリーの各々で4%、11%、7%、17%減少し、明らかに不満が大幅に減少した。しかし、このような結論には問題がある。なぜなら、11歳から15歳までの多数の子ども(約200人)が、(10代の子どもは分担子育てを望まないというガイドラインに従って)「限られた訪問」に誘導され、そのカテゴリーに属する子どもが最も不満度が高かったためである。Ottosen and Stage (2012)が示した数字を用いると、父親にもっと会いたいと願う子どもの合計割合は、-訪問のカテゴリーに関係なく-11歳で33%、15歳で30%と計算できる。不満を抱く子どもの全体的割合は、11歳と15歳で比較的に類似していた。1つの解釈は、父親と過ごす時間を減らしたいと願う子どもの願いは、子どもが年齢を重ねるにつれて満たされたが、より均等な取決めを望んだ子どもの願いは依然として満たされず、父親と過ごす時間が更に短くなるリスクがあったため、平均して父親と過ごす時間が減ることと相まって、不満は非常に似たレベルになったというものである。
従って、全体的に、デンマークでも国際的にも、子どもの希望は、父親と一緒に過ごしたい場合よりも母親と一緒に過ごしたい場合の方が遥かに考慮されるようであり、同時に、子どもは、監護権や訪問権の決定に関して、母親が自分たちや父親よりも遥かに大きな権限を持っていると感じている。この問題はデンマークの研究で明らかだが、表のリスト以外では報告されていない。恐らくこの理由から、家族法庁はこの問題に言及しておらず、省庁のガイドラインにも記載されていない。
11. 合意報告書と専門家の評価
幾つかの国際的な専門家グループが合意報告書やパネルディスカッションの結論を発表しているが、これらは家族法庁の参考文献リストには掲載されていない。110人の研究者と専門家による最新の合意声明(Warshak, 2014)に、殆どの北欧諸国が代表者を派遣したが(例えば、スウェーデンは5人の専門家を代表者として派遣した)、デンマークはしっかり欠席していた。報告書は次のように結論づけている。1)分担子育て(文献では通常、各親と少なくとも35%の時間を過ごすことと定義)は、非常に幼い子どもを含む全ての年齢の子どもにとって規範であるべきである。2)4歳未満の子どもは、宿泊する機会を両方の親と持つべきである。週に数回、数時間だけ一緒に過ごすという選択肢は、親子関係にストレスを与える。乳児や幼児は、泊り掛けを含めた、両方の親との頻繁なコンタクトをすべきではないというエビデンスは存在しない。3)通常は殆どの親や子どもに推奨事項を適用する。例外-例えば、親が子どもをネグレクトする場合-を以て、大多数のルールを規定すべきではない。分担子育てに対するこの非常に肯定的な見方は、デンマークの法律および利用可能な全てのガイドラインとは全く異なる。
葛藤に関して、報告書は分担子育てを排除すべきではなく、その代わりに葛藤の軽減に焦点を当てるべきであると結論づけている。これは、例えば、両親が子どもを引き渡すために会う回数を減らす(例えば、一方の親が子どもを保育園に預け、もう一方の親が子どもを迎えに行く)などの実際的な対策を通じて行うことができる。この報告書は、葛藤を、分担子育てを避ける正当な理由と見做すことの危険性を強調している。なぜなら、葛藤を正当な理由と見做すことは、一方の親に葛藤を生み出し、維持する動機を与え、事実上、子どもをそうでない場合よりも高いレベルの葛藤に曝すことになるからである。また、分担子育ては子どもを葛藤に曝す代わりに、実際には葛藤の影響から子どもを守る可能性があることも強調されている。この推奨事項は、殆どのデンマークのガイドラインと非常に対照的である。
BraverとLamb (2018) は、12人の一流の国際研究者による分担子育てに関するパネルディスカッションを報告している。12人の研究者全員が、共同子育てが子どもにもたらすメリットはもはや疑う余地がなく、次のような分野でメリットが見られることに同意した。1)うつ病、不安、不満足感の軽減、2)攻撃性の低下とアルコールや薬物乱用の減少、3)学業成績と認知能力の向上、4)身体の健康の改善、5)喫煙率の低下、6)父親、母親、継父母、祖父母との関係の改善。彼らは、メリットは自己選択によるものではなく、分担子育てには因果関係のあるプラスの効果があると結論づける文献を参照した。パネルでは、共同子育てを法的推定とすべきかどうかという問題も取り上げた(現在、スウェーデン、ベルギー、アメリカの4つの州(アリゾナ州、アーカンソー州、ケンタッキー州、ウェストバージニア州)でのみ適用されている)。実際に、この法的推定では、具体的な状況によって不適切とならない限り、分担子育てがデフォルトの取決めとなる。専門家は(全員一致ではないが)そうあるべきだと評価した。規範の遵守を免除するには、虐待やネグレクト、両親の家が離れすぎていること、誘拐の脅威、過度のゲートキーピングなど、正当な理由が必要であることが合意された。専門家の大多数はまた、葛藤を理由に分担子育てを妨げることがあってはならないこと、分担子育ての取決めには当事者の同意が必要ではないことに同意した。更に、パネルは、彼らの推奨事項が現在の慣行と一致しておらず、慣行よりも優先して検討すべきであると指摘した。確かに、これらの推奨事項とデンマークの法律やガイドラインの間には、ここでもかなりの隔たりが存在する。
前述のように、分担子育てが法的推定となることは未だ稀れであるが、法的推定を実行している事例の1つを様々な専門家が評価している。Fabriciusら (2018) は、裁判官、弁護士、メンタルヘルススタッフ、調停裁判所スタッフを含む家族法に携わる4つの専門グループに、2013年におけるアリゾナ州の法律変更に関する経験について質問した。デンマークの方式では、家族法庁のスタッフが当事者間のメディエーションや子どもとの面接など、調停裁判所スタッフと同様の業務を行っている、ほぼ同様のグループで構成される。専門グループはいずれも法律を否定的に評価しておらず、殆どが全体的に肯定的な評価を下した。特に子の最善の利益に関しては、弁護士とメンタルヘルススタッフは中立的に評価したが、調停スタッフと裁判官は肯定的に評価した。調停裁判所スタッフの肯定的な見方は特に興味深い。なぜなら、遥かに多くの離婚した夫婦と会い、その最も代表的な割合を占めるグループだからである。
デンマークの専門家に関しては、デンマーク社会科学研究センターの研究者は、2011年と2012年頃に分担子育てに関して多くの懸念を抱いていたようであるが、その後の出版物ではその立場はより中立的であるように見える。例えば、Ottosenら (2011, p.12) は、分担子育ての実践計画や管理が子どもにとって更なるストレス要因であり、そのため子どもが丈夫であること、子どもがその取決めに対処できるようになるためには様々な他の要件が整っていなければならないことを強調している。彼らのウェブサイトの記事は、2012年の報告書から、このグループの普及率の低下に基づいて、均等な養育時間は10代の子どもには適していないと結論付けている(ただし、均等な時間で暮らす10代の子どもの満足度が他の取決めの10代の子どもよりも高かったことは述べていない)。同様に、2011年の出版物の序論的な文献レビューでは、分担子育てに対して比較的慎重な姿勢を示している。この報告書は、コンタクトの頻度(コンタクトしている時間ではない)に関する調査結果に言及し、親同士の葛藤がある場合、コンタクトの頻度が高いと子どもに悪影響を与えると報告した記事(ただし、反対の立場のエビデンスや、均等な時間が葛藤を減らすという見解のエビデンスはない)を参照し、全体として、コンタクトの質は重要だがコンタクトの頻度は重要ではないと結論付けた(Ottosenら, 2011, p.26)。文献では結論が出ていないと要約し、分担子育ての利点に言及した場面では、自己選択による潜在的な交絡因子を強調したり、葛藤がないことが要件であると強調し、量より質を重視する見解を示す参考文献が続いていた(Ottosenら, 2011, p.30)。報告書の最後の要約では、均等な養育時間が最善の効果を発揮するには、自発的(裁判所が強制するものではない)でなければならないこと、広範にわたる協力が必要であること、そして最後に、幾つかの結果から、幼児にとっては問題があることが示唆されていると述べている(Ottosenら, 2011, p.33–34)。全体的に、この立場は、両親に葛藤がなく十分に協力し合っている6~11歳前後のデンマークの子どもの15~20%に対してのみ分担子育てを推奨するというデンマーク当局の最近の立場とよく一致している。
2022年の出版物は、全体的にレビューの範囲が遥かに狭いものの、分担子育てに対してより中立的または肯定的な見解を示している。これは、より多くのエビデンスが利用可能になり、今では注意する理由が減ったことを反映していると考えられる。とはいえ、追加変数を統制した場合、均等な養育時間のプラス効果は存在しなかったという2018年の出版物の調査結果を、著者らが以前に因果関係の結論を導き出さないよう警告していたことについて触れずに報告している (Ottosenら, 2022, p.228)。対照的に、この報告書は均等な養育時間のプラス効果を提示していながら、因果関係の結論を導き出さないよう警告している(Ottosenら, 2022, p.236)。最も肯定的な見解は、恐らく2018年の出版物で表明されたもので、親子関係、親の収入、葛藤を考慮すると分担子育てのプラス効果が残ると主張するBaude らは勿論、Nielsenの研究を強調している(Ottosenら, 2018, p.247)。
12. 結びの考察
過去60年間にわたり、デンマークにおける父親の育児の役割は、周辺的な関与から主たる育児の約40%を担うようになり、同時に1世代前、2世代前の母親よりも多くの時間を子どもと過ごすようになった(この記事の第2章を参照)。社会全体で育児の役割が高まっているにも拘らず、離婚後の父親の育児分担は社会の発展から数十年遅れている(第3章)。全ての側面に明確な科学的コンセンサスが存在するわけではないが、大半の研究は、父親の関与が、均等な育児時間を含むまで増加することに関連する利点が報告されている(第5~9章)。同様に、多くの専門家が大多数の事案で分担子育てを推奨している(第11章)。これは将に、子ども自身が分担子育てに最も満足していると報告し、後に成人期においてこの分担子育てが子ども全般にとって最善であると評価しているのと同じである(第10章)。特にデンマークでは、かなりの割合の子どもが父親ともっと一緒に過ごしたいと報告している(第10章)。
因果関係を立証することはできないが、デンマークにおける離婚後の共同養育への緩やかな移行は、それに対する慎重な姿勢を反映した法律やガイドラインと重なっている。具体的には、現在の法律やガイドラインは解釈の余地がかなり大きく、子どもが両方の親とコンタクトする権利について最低限の枠組みしか設定していないにも拘らず、分担子育てには特別な要件を課している。法律では、親同士の意見が一致しない場合、一方の親が居所指定権を保持することが定められており、事実上、デフォルトで不平等な出発点が確立されている。省庁のガイドラインでは、訪問計画としての均等な養育時間には、最近の合意声明とは一致しない、比較的厳格で具体的な(両親の協業に関する)要件が幾つか追加されており、これが両方の親の相互合意なしに均等な養育時間を確立することを困難にしている。デンマークで最も重要な機関である家族法庁のガイドラインは、ごく最近まで、大多数の子どもの分担子育てに反対することを推奨していた。要するに、分担子育てへの社会の移行は、公式の推奨事項や分担子育てに反対する法的枠組みにも拘らず、自発的に生じたと言える。デンマーク社会科学研究センターの研究者は、この変化は主に文化的なものであり、法律や構造的変化によって促進されたものではないことに同意している(Ottosenら, 2022, p.236)。また、分担子育ての唯一の歴史的減少-2013年から2017年の間に3歳児において36%から21%に減少-は、当局の推奨事項に関連していたと推測している。センター自体は、2011年と2012年の出版物では比較的慎重な姿勢をとっているようだが、2018年の出版物で特に、2022年の出版物ではある程度、より肯定的な姿勢が見られる。
最新の家族法庁のガイドラインはそれほど保守的ではないが、それでもなお、幼児と親同士の葛藤に関する研究に最も少ないスペースを割き、分担子育てに対する最も否定的な見解を表明しているレビュー記事を厳選して参照している。殆どの家庭における分担子育てに対する肯定的な姿勢を裏付けるエビデンスがあると主張するレビューはリストに載っておらず、主要な国際研究者や専門家の声明も載っていない。子どもは一般的に父親と過ごす時間をもっと望んでいることを示す定量的研究も言及していない。父親とのコンタクト頻度の効果が殆どまたは全くないと報告している研究を参照しているが、全体的なコンタクト期間のプラスの効果を多数報告している研究は参照していない。
総合すると、現在のデンマークの制度ガイドラインや法律や法的慣行は、研究エビデンス、子どもの報告、および社会慣行が正当化する実態よりも、分担子育てに対する消極的な姿勢を反映しているようである。これはデンマークに特有のことではないが、国際的には例外というよりは寧ろ規則のようである。それでも、デンマーク社会における父親の育児への関与度は高く、デンマークのジェンダー平等が一般的に比較的高いことを考えると、この状況は特に驚くべきものである。一般的に社会における父親の育児への関与は40~45%であるが、実際には、離婚後に30~35%に減少することが、全体的にほぼ完全な平等を達成する上での主な制限要因であると考えられる。
デンマークの慣行に研究と専門家の意見の反映が遅いのは、明確なエビデンスがない限り、伝統的な慣行から逸脱することを避けるという慎重な原則に一部起因している可能性がある。また、デンマークの有力な研究者が比較的慎重な姿勢をとったことが影響している可能性もある。この文脈で注目すべきは、現在の議論は分担子育てが最良のアウトカムに関係しているかどうかではなく、因果関係があるかどうかに焦点が当てられており、主な代替説明は、両親に関連する交絡因子を考慮するとコンタクトの程度は問題にならないというものである。従って、両親が同意しない限り、母親とだけ一緒に暮らすことが子にとって最善であるという立場から逸脱すると、主として二重居所の効果を得られないリスクがあると主張できる。対照的に、その効果が因果関係にある場合、現在の慣行からの逸脱を控えることで、何万人ものデンマークの子どもが、親子関係、発達、メンタルヘルスに悪影響を与える、そして彼ら自身も望んでいない子育ての取決めを強いられることになる。
この文脈で言及しておくべきことは、離婚は伝統的な解決策がある伝統的な出来事ではなく、デンマークで僅か50~60年前に一般的になった出来事である。母親の単独居所や不均等な養育時間の解決策は、殆どの場合、それ自体が大規模な社会実験であり、経験的証拠に基づくものではなく、当局はそのようなエビデンスを踏まえて修正することを恐れるべきではない。特に興味深いのは、分担子育ては、子どもが良好な父子関係と良好な親同士の協力の恩恵を受けることができるのに対し、他の取決めはこれらの恩恵が減少するか完全に失われるように見えることである。対照的に、偏った子育ての取決めは、分担子育てでは不可能な独自の何かを提供するものではないようである。特に、離婚前における父親の育児への関与が高い社会では、法的推定としての分担子育てが、離婚に関連した親子関係の広範囲にわたる否定的な変化を防ぐ最も効果的な方法ではないかどうか検討する価値がある。訪問計画に関する省庁のガイドラインの更新は、(正式な二重居所がない場合の)均等な養育時間を確立するために同様の機能を果たす可能性がある。また、家族法庁スタッフがガイドラインを更新し、既存の規則の範囲内で養育時間の格差を縮小する余地もあるようである。勿論、このような変更は、当事者がそれが最善であるという合意があれば、別の取決めを選択できること、または当局が多くの事案でその取決めに反対する判決を下す可能性を排除すべきではない。
著者の貢献
著者は、この研究の唯一の貢献者であることを確認し、出版を承認した。
謝辞
原稿草稿に関する有益な議論とコメントをいただいたニーナ・マリー・ホルム・コーレンベルグ 、スザンネ・ヒョルト 、ヤン・カー・クリステンセンに感謝します。
利益相反
著者は、潜在的な利益相反と解釈される可能性のある商業的または金銭的な関係なしに研究が行われたことを宣言する。
発行者注
この記事で述べられている全ての主張は、著者自身の主張であり、必ずしも著者の所属組織、または発行者、編集者、査読者の主張を代表するものではない。この記事で評価される製品、またはその製造元が行う主張は、発行者が保証または承認するものではない。
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