インディアナ州の養育時間ガイドライン
この記事は「Indiana Parenting Time Guidelines」を翻訳したものです。このガイドラインでは、単独身上監護権を有する同居親が子どもと非監護親との交流に最低限確保すべき時間を明記しており、基準を設けずに裁判所が命令する日本の面会交流との違いに驚きました。
ここで紹介している養育時間ガイドランは2022年1月に改正されたものであり、以前との違いをインディアナポリスの弁護士は次のように整理しています。
①特定の条項に解説を追加し、条項の趣旨を理解しやすくした
➁「平行養育モデル」を「共同(共有)養育モデル」に見直し
③パンデミックを想定し、養育時間の「振替」規則を改良
④「最低限の養育時間」を拡充する際の判断要素の明記
⑤転居の通知時期を転居90日前から30日前に見直し
⑥子どもと非監護親とのアクセス(電話等)ツールを見直し
⑦子どもの受渡しに関するコメントの追加
⑧休日や長期休暇における養育時間の改良
ガイドラインには大変細かな規則が記載されていますが、些細なことで両親が葛藤を高めないために、そうしているのだと思います。日本の法律は大雑把で、個々の裁判官の考えで異なった命令を下すので、よく言えば柔軟性に優れていると言えますが、基準が不明確なうえに標準化されていないデメリットの方が多いように思います。
インディアナ州裁判所規則
インディアナ州の養育時間ガイドライン
2022年1月1日までに受領した改正を含む
規則
養育時間の規則 養育時間の規則と指針の採択
インディアナ州最高裁判所は、家庭関係委員会により起草され、インディアナ州司法会議理事会により採択されたインディアナ州養育時間ガイドライン、およびインディアナ州司法会議家庭関係委員会により提示されたその後の全ての修正を、本法人の養育時間規則およびガイドラインとしてここに採用するものとする。
ガイドライン
前文
インディアナ州の養育時間ガイドラインは、通常、それぞれの親と頻繁に、有意義に、継続的に接触することが子の最善の利益であるという前提に基づいている。両方の親による養育が重要な意味を持ち、子どもの発達とウェルビーイングに大きな影響を持つことが前提となっている。また、本ガイドラインは、両親が世帯を別々にしている場合、養育時間の予定を組むことはより困難であり、関係する子どもの最善の利益を促進するために、両親間の粘り強い努力とコミュニケーションを必要とすることを認めるものである。このガイドラインの目的は、各家庭の固有ニーズや状況に応じて調整することができるモデルを提供することである。これらのガイドラインは、子どもの発達段階に基づいている。インディアナ州司法会議の家事委員会のメンバーは、訪問に関する最新の関連文献、他の地域の訪問ガイドライン、児童発達専門家や家族法の専門家の意見を検討した上で、ガイドラインを作成した。委員会のメンバーはまた、裁判官、弁護士、子どもと関わる精神衛生の専門家に対する調査、裁判資料のレビュー、公聴会などのデータも参考にした。
両親が離れて暮らす子どもは、親子関係に関連した特別なニーズを持っている。子どものニーズと親の状況に対処する能力は、子どもが成長するにつれて変化する。親は、養育時間について交渉する際に、これらのニーズを考慮する必要がある。親は柔軟に対応し、子どもの固有ニーズと彼らの状況に対応する養育時間の合意を作成する必要がある。親と弁護士は、常に協力の精神を示すべきである。インディアナ州養育時間ガイドラインは、親と裁判所が独自の子育てプランを作成する際に役立つよう作成されている。当事者が独自の養育時間の合意を作れない場合、このガイドラインは、親が子どもと頻繁に、有意義で継続的な接触を維持するために確保すべき最低限の時間を示している。
A.子どもの基本的ニーズ
より責任ある子育てを保証し、子どもの健全な適応と成長を促進するために、それぞれの親は子どもの基本的なニーズを認識し、それに対処すべきである。
両親が離れて暮らすことを決めたのは、子どものせいではないことを知ること。
それぞれの親と自立した関係を築き、維持し、それぞれの親から継続的な世話と指導を受けること。
どちらかの親の味方をする必要がなく、親同士の葛藤から解放されること。
一方の親に対立するもう一方の親を操るような立場に立たされることなく、それぞれの親とリラックスした安心できる関係を持つこと。
それぞれの親と定期的かつ一貫した時間を楽しむこと。
それぞれの親が子どもと過ごす時間に関係なく、それぞれの親から経済的な支援を受けること。
それぞれの親の世話を受けている場合は身体的に安全で適切に監督され、親の監督を受けていない場合は、安定した、一貫した、責任ある育児取決めをすること。
他の重要な大人(祖父母、義父母、その他の親族)との有意義な関係を築き、維持すること。ただし、これらの関係が、子どもと両親との主要な関係を妨げたり、取って代わったりしない限りにおいてである。
B.ガイドラインに続く解説の目的
ガイドラインの多くには、ガイドラインをさらに説明したり、ガイドラインの背後にある子ども中心の哲学を示す解説が付されている。解説は強制力のある規則ではないが、ガイドラインを適用する際のガイダンスを提供するものである。
解説
用語「養育時間」の使用 本ガイドラインでは、親が子どもと過ごす時間の重要性を強調するために、「訪問」という言葉の代わりに「養育時間」という言葉が使われている。非監護親が子どもと「訪問」するという概念は、継続的な親子関係の実態を伝えるものではない。
最低限の時間の概念 当事者が合意に達することができない場合に、非監護親が子どもと過ごす時間は、ガイドラインが示す時間を最低限確保しなければならないという概念である。これらのガイドラインは、裁判所が子どもと過ごす時間に上限を課していると解釈すべきではない。これらのガイドラインは、任意のケースで子の最善の利益となり得るように養育時間を増やすまたは減らすことに対し、両親が合意すること、または裁判所が許可することを妨げるものではない。全ての養育時間の問題に対処する際、両親は感性、柔軟性、合理性を発揮する必要がある。
養育時間計画や養育時間カレンダー 両親が実際に1年間の養育時間のカレンダーや予定表を作成することは、しばしば役に立つ。この中には、当事者が一年間の養育時間をチャートにしたカレンダーを含むことができる。一年先を見通すことで、親が休日、誕生日、学校の休暇を見込んで計画することが可能になる。養育時間カレンダーは、子どもと親の特殊なニーズを認識し、合意の上で、ガイドラインから逸脱した予定を組むことができる。両親が養育時間の予定表を作成するのに役立つオンラインカレンダーは、次のサイトで見ることができる。https://public.courts.in.gov/PTC/#/.
C.適用範囲
1.一般則
このガイドラインは、父子家庭のケースや、一人が主な身上監護権を持つ共同法的監護を含む、全ての子どもの監護の状況に適用される。しかし、ファミリーバイオレンス、薬物乱用、子どもとの逃避の危険性、あるいは子どもの身体的健康や安全を危険にさらす、あるいは子どもの精神的発達を著しく損なうと裁判所が合理的に考えるその他の状況を伴う状況には適用されない。そのような場合、一方または両方の親が法的、心理的、薬物乱用または感情的な問題を抱えている可能性があり、これらのガイドラインを採用する前に対処する必要があるかもしれない。そのような場合に必要な支援は、このガイドラインの範囲外である。
2.改正
この改正が採択された日より前に発行された養育時間命令は、最新の養育時間命令が発行された日に有効だった養育時間ガイドラインに従って執行されるものとする。インディアナ州の養育時間ガイドラインの変更は、それだけで既存の養育時間命令の改正の正当な理由にならない。しかし、裁判所または手続きの当事者は、ガイドラインの発効日以降、養育命令を変更する際に、このガイドラインを参照することができる。
解説
インディアナ州の養育時間ガイドラインの現在の変更が子の最善の利益になることに同意する親は、その同意書を裁判所に提出し、承認を得る必要がある。親はインディアナ州の養育時間ガイドラインの一部または全部の変更に同意することが可能で、合意書において具体的に記述する必要がある。
3.前提
インディアナ州の養育時間ガイドラインは、全てのケースに適用されることを前提としている。当事者または裁判所のどちらかがこのガイドラインから逸脱し、養育時間が以下に定める最低限の時間より短くなる場合、その逸脱がなぜそのケースで必要または適切であるかを示す書面による説明を添えなければならない。裁判所は、親がこれらのガイドラインの最低限の時間よりも多くの子どもとの時間を与えられる理由について、書面による説明を行う必要はない。
解説
書面による説明は、「事実認定と法的結論」ほど正式である必要はないが、逸脱の理由を記載する必要がある。養育時間のガイドラインは最低基準であるため、親と裁判所は、最良の養育時間計画を検討する代わりに、これらのガイドラインを「初期値」にしないことが推奨される。
第Ⅰ章 養育時間に適用する一般規則
A.コミュニケーション
1.親同士のコミュニケーション
両親は、常に自宅と職場の住所、電話番号、電子メールアドレスを互いに通知し合うものとする。この情報に変更があった場合は、もう一方の親に書面で通知するものとする。子どもに関する全てのコミュニケーションは、親同士で行うものとする。いかなるコミュニケーションも、事情がそうでない場合を除き、相応な時間および場所で行うものとする。親同士で書類や金銭的な情報を交換するために子どもを利用してはならない。
2.子どもとの一般的なコミュニケーション
子どもと親は、もう一方の親から干渉されることなく、私的なコミュニケーションを行う権利を有するものとする。一方の親がもう一方の親をスパイしたり、報告するために子どもを利用することは決してあってはならない。それぞれの親は、子どもがもう一方の親を尊敬し、愛するように励ますものとする。親は、常に子どもの前または近くで互いを否定するような発言を避けなければならず、親族または友人によるそのような行為を断固阻止しなければならない。
3.電話による子どもとのコミュニケーション
両方の親は、子どもと相応な電話連絡ができるものとする。どちらかの親が子どものいる住居に電話をかける場合、もう一方の親に邪魔されることなく、相応な時間に、相応な期間、相応な間隔で、子どもとの電話によるコミュニケーションを行うものとする。親が留守番電話、ボイスメール、テキスト、電子メールのいずれを使用しているかにかかわらず、子ども宛に残されたメッセージは、子どもに速やかに伝え、電話をかけ直せるものとする。
解説
親は、子どもが電話を受けることができるように、電話をかける時間を指定することに同意する必要がある。通話にかかる費用は、通話を開始した親が負担すべきである。もちろん、子どもはどちらの親にも電話をかけることができるが、相応な時間帯、頻度、そして遠距離通話の場合はかけた親の費用負担となる。
許容できないコミュニケーション妨害の例としては、親が電話に出ることを拒否したり、子どもや他の人が出ることを拒否したりすること、親がもう一方の親と子どもとの電話での会話を録音すること、電話の電源を切ったり、着信拒否機能を使用したり、その他、もう一方の親が子どもと電話で連絡を取ることを拒否することが挙げられる。親は、子どもに対する罰として、もう一方の親との通信に使用する電話、タブレット、その他のデバイスからのアクセスを制限することができるが、そのような罰は、もう一方の親との通信を妨げるものではない。
4.郵便による子どもとのコミュニケーション
親と子は、テキスト、電子メール、ファックス、およびカード、手紙、小包を、もう一方の親に妨害されることなく、個人的にコミュニケーションする権利を有するものとする。
解説
親は、郵便によるコミュニケーションに障害を課すべきではない。例えば、監護親が地方に住所を持つ場合、親はその住所に郵便物を受け取るための郵便箱を維持すべきである。子ども宛の郵便物を受け取った親は、速やかにそれを子どもに届けなければならない。
5.電子的コミュニケーション
上記と同じ規定が、あらゆる種類の電子的コミュニケーションに適用される。ただし、これらの規定は、子どものインターネットへのアクセスに相応な制限を課す親の権限を妨げるものと解釈してはならない。
6.緊急時の通知
緊急時の通知のため、子どもが両親のどちらかと共に地域外に旅行する場合は、以下のいずれかをもう一方の親に提供するものとする。旅行日、目的地、子どもまたは旅行中の親と連絡が取れる場所の旅程、または子どもまたは親の居場所を知っている利用可能な第三者の名前と電話番号。
7.親と子の間のコミュニケーション
各親は、子どもともう一方の親との間に好ましい関係を促進するよう奨励されている。従って、コミュニケーションは常にオープンで前向き、かつ頻繁に行うことが重要である。手紙、電子メール、ビデオチャットやスカイプなどのより技術的に進んだ通信システムなどの他の形態による連絡は当然ながら、定期的な電話連絡も、親子関係を維持するための重要な手段である。いかなる者も、親子間の相応な電話やその他の通信手段を遮断したり、そのような通信を監視または記録してはならない。子ども宛ての通信を受け取った親は、速やかにそれを子どもに届けるものとする。双方の親は、携帯電話番号、固定電話番号、電子メールアドレスに変更があった場合、最新の番号をもう一方の親に速やかに提供するものとする。
解説
子どもにとって、両方の親とできるだけ多くの接触を持つことは重要である。親子間の相応なコミュニケーションを妨害することは、そのコミュニケーションの監視を含め、もう一方の親と子どもの関係を破壊するだけでなく、子どもにとっても破壊的なことである。もう一方の親へのアクセスや接触を遮断しようとする行為は、これらの養育時間ガイドラインに違反する可能性がある。このような行為は、制裁、養育時間の変更、場合によっては監護権の変更につながる可能性がある。この禁止事項は、両方の親に等しく適用される。
B.養育時間の実施
1.交通手段の責任
両親の間に別段の合意がない限り、子どもを受け取る側の親は、予定された養育時間の開始時に子どもの交通手段を提供し、もう一方の親は予定された養育時間の終了時に子どもの交通手段を提供しなければならない。
解説
両親の同席 両親は交換時に同席するべきであり、自ら子どもを送り届けるように全ての相応な努力をするべきである。親が交換に立ち会うことができない場合、あるいは親以外の者が子どもを送り届ける必要が生じた場合、可能であれば、事前にもう一方の親にその旨を伝えるべきである。このような場合、交換に立ち会う人、または子どもを運ぶ人は、子どもが慣れ親しみ、安心できる責任ある大人であるべきである。親が第三者を交換会に連れてくることを選択した場合、その人物が交換での葛藤を高めることにならないように注意する必要がある。
要因としての距離や費用 両親の居住地が離れており、長時間の運転が必要な場合、両親は、子どもの交換場所について合意すべきである。交通費は、距離、両親の経済力、距離がある理由、その時のそれぞれの両親の家庭環境など、様々な要素を考慮して分担する必要がある。
両親間の敵意 両親の間に敵意があり、両親の住居で子どもを交換することが不可能な場合、子どもの交換は中立的な場所で行われるべきである。交換のために警察施設を利用することは、両親の間に保護命令が存在する場合、あるいは両親の間に身体的暴力や脅迫行為が繰り返された履歴がある場合にのみ検討されるべき極端な措置である。警察施設の代わりに、当事者は、子どもの安全と円滑な移行を確保するために、他の公共の場所(例:ガソリンスタンド、レストラン、食料品店)を利用することが推奨される。
2.時間厳守
各親は、予定された養育時間の開始時と終了時に、子どもを交換できるように準備し、子どもを時間通りに出迎え、送り返すものとする。両親は、子どもの適時交換を妨げるような状況にある時は、できるだけ早く連絡を取るものとする。双方の親は、交換が遅延するときはいつでも連絡を取る義務がある。子と一緒に居る親から交換が遅れる旨の連絡がなく、子どもの引き取りまたは送り返しが相応な時間内に行えない場合、交換の時間と条件は、遅れに責任がない親にとって都合のよい時間と場所で再調整することができる。
解説
時間を守ることは、子どもに対する礼儀の問題であり、子どもの安心感やウェルビーイングに影響する。親は、約束の時間に子どもを送迎するよう、あらゆる努力をすべきで、大幅に早めたり、遅らせたりしてはならない。しかし、親は、予定時刻に余裕を持たせなければならない状況が発生することを認識する必要がある。何が不相応な時間であるかは、事実に基づいて判断される。両親は、不相応な時間を構成するものを養育計画に含めることが推奨される。
3.衣服
監護親は、子どもと一緒に適切で十分な清潔な衣類を持たせ、非監護親は、その衣類を清潔な状態にして返却するものとする。それぞれの親は、子どもに適切な衣類を提供できるよう、特別な活動については、できるだけ事前に他方の親に通知するものとする。
解説
子どもに適切な衣服を着せることは、双方の親の責任である。非監護親は、自分の家に子どものための基本的な衣類を用意しておくとよいであろう。
4.住居のプライバシー
親は、一方の親の住居に財産的利害関係があるかどうかに拘らず、一方の親の明示的な許可がある場合を除き、一方親の住居に立ち入ることはできない。従って、両親の合意がない限り、子どもは適切な住居の正面玄関で引き取るものとする。子どもを引き渡した者は、子どもが安全に家の中に入るまで、その場を離れてはならない。
C.予定した養育時間の変更
はじめに
両親は、既存の養育スケジュールの変更が必要とされる場合があることを認識すべきである。両親は、お互いに、また子どもと接する際に、合理的な判断を下すべきである。両親は、養育時間のスケジュールを立てる際に柔軟であるべきであり、それぞれの親との頻繁で有意義かつ定期的な接触による子どもへの利益、子どもとそれぞれの親のスケジュールを考慮すべきである。
1.予定したる養育時間を予定通りに行う
養育時間は権利であると同時に責任でもあり、予定された養育時間は予定通りに行われるものとする。両方の親は、養育時間の命令に従うことに共同責任を負う。子どもが養育時間を決定してはならない。親が予定していた養育時間中に子どもの身の回りの世話をすることができない場合、その親は代替の養育を提供するか、予定していた養育時間を行使しないことによって生じる子育てにかかる相応な費用を支払うものとする。
解説
親は、子どもが一貫した継続的な養育時間を経験することが重要であることを理解する必要がある。子どもは、予測可能な方法で各親と時間を過ごすことを当てにする権利があり、ルーチンが確立され、それが続いていくと適応がより良くなる。予定していた養育時間を一貫してキャンセルする親は、子どもがその親の人生の優先事項ではないという非常に有害なメッセージを子どもに送信する。子どもを失望させるだけでなく、一方の親が予定していた養育時間を自発的にキャンセルすることで、もう一方の親の計画が妨げられたり、養育費やその他の費用がかかったりする可能性がある。
親は、養育時間の命令を守るために、共同かつ平等な責任を共有する。子どもはこの責任を何ら共有しておらず、この決定の重荷を背負うことを許されるべきではない。E.3節も参照のこと。
養育時間を拒否する容認できない言い訳は以下の通り。
子どもが不当に外出をためらったり、拒否している
子どもが軽い病気である
子どもがどこかに行かなければならない
子どもが家にいない
非監護親のサポートが遅れている
監護親が子どもの外出を望んでいない
天候が悪い(ただし、天候によって移動が危険な場合を除く)
子どもが着ていく服がない
監護親が設定した前提条件を、もう一方の親が満たせていない
2.スケジュールの調整や「振替」時間
通常の家庭生活の範囲外や、調整を必要とする親の管理外の出来事のために、確立された養育スケジュールを調整する必要があるときはいつでも、その状況に気づいた親が、できるだけ事前にもう一方の親に通知するものとする。軍事訓練の義務や毎年の仕事の義務など、調整を必要とする可能性のある定期的なイベントは、それらの予定されたイベントの公開と同時に通知すべきである。その後、両方の親は、養育スケジュールについて相互に受け入れられる調整を試みるものとする。
調整により、一方の親が子どもとの予定していた養育時間を失う場合、「振替」時間が可及的に速やかに行使されるべきである。もし、両親の間で「振替」時間に同意できない場合は、時間を失った側の親が、失った日から1ヶ月以内に「振替」時間を選択しなければならない。「振替」時間は、ガイドラインで定義されているように、予定を入れていた休日や特別な日をもう一方の親から否定する機会ではなく、既に予定していた活動を妨害してはならない。
「振替」養育時間は、日常生活の需要を考慮しながら、親子関係の維持に役立てることを目的としている。「振替」養育時間は、真の緊急事態がない限り、親が事前に計画を立てなかったことが原因である場合には尚更、日常的に使うものではない。
解説
病気、強制的な仕事、または軍隊の義務、または結婚式、葬式、同窓会などの特別な家族のイベントのような親が制御できないイベントや活動のために予定していた養育時間を調整せざるを得ない場合がある。それぞれの親は、調整が必要な場合、子どもが家族行事に参加できるように、あるいは、親との養育時間の「振替」を受けられるように、もう一方の親に便宜を図らねばならない。子の最善の利益を考慮した上で、養育時間を失った親は「振替」時間の見送りを決断することができる。
親が自発的に行った、休暇やその他の自発的な活動への参加などの通常の養育時間の行使を妨げる決定は、両方の親が調整とその後の「振替」時間に便宜を図る合意をしない限り、「振替」養育時間の対象にしてはならない。そのような事象は、もう一方の親に追加の養育時間を与える機会をもたらす可能性がある。
3.均等な養育時間を行使する当事者は、一度に3日以上の「振替」養育時間の追加を、通常予定している養育時間と併せて行使することはできないため、親は、通常の養育時間と振替養育時間を繋げて連続10日以上行使することはない。このような追加日は、可能な限りガイドラインで指定されている休日や特別な日以外に行使されるべきである。
4.追加の養育時間の機会
親または責任ある世帯の家族以外の者が子どもの世話をする必要が生じた場合、もう一方の親が保育を提供することが、利用できる時間と住居間の距離を考慮して現実的であれば、育児を必要とする親は、まず、もう一方の親に養育時間を追加する機会を提供するものとする。もう一方の親は保育を提供する義務を負わない。もう一方の親が保育を提供することを選択した場合、費用はかからず、養育費に影響を与えないものとする。追加の育児時間を行使する親は、当事者が別途合意しない限り、必要な交通手段を提供するものとする。
解説
追加の子育て時間の機会を提供する規則は、子どもは、同一世帯の家族構成員ではない保育者と一緒にいるより、寧ろ親と一緒にいることでより大きな利益を受けるという概念を促進するものである。同一世帯の家族構成員とは、血縁、婚姻、養子縁組により子どもと関係のある、その世帯に住む成人した人と定義されている。また、この規則は実用的であることも意図している。親の仕事の予定やその他の通常の活動により、同一世帯の家庭構成員ではない保育者を雇ったり、手配したりする必要がある場合、もう一方の親に保育を提供する機会を与えるべきである。距離、交通手段、時間によっては、この規則が現実的でない場合がある。子どもの交換の引き金となる親の不在期間は、当事者の状況によって異なる。両親は、保育時間の量と、申し出が必要な状況について合意しておく必要がある。この規則は、ガイドラインが対象とする全てのケースに適用することを前提にしているが、当事者または事実審裁判所は、裁量の範囲内で、逸脱が必要または適切であると判断することができる。そのような逸脱は、書面による説明を伴わなければならない。シェルトン対シェルトン, 840 N.E.2d 835 (インディアナポリス 2006)を参照。
本節を、「第一拒否権」と誤って呼ぶことがある。本節を、「追加の養育時間を行使する機会」と呼ぶ方がより正確である。
D.情報交換
はじめに
両親は、自分の子どもに関する情報を入手し、共有すべきである。両親は、様々なサービス提供者から、子どもに関する情報を率先して入手すべきである。それぞれの親は、子どもの学校、医療機関、その他のサービス提供者と関係を築く責任がある。両親が積極的に情報を入手し共有することを怠ると、子どもは不便を感じたり、恥をかいたり、身体的・精神的な損害を受けることがある。
1.学校記録
インディアナ州の法律では、両方の親は子どもの学校記録に直接アクセスする権利がある(インディアナ州法§20-33-7-2)。それぞれの親は、もう一方の親に頼ることなく、自分自身で学校情報を入手する必要がある。一方の親は、もう一方の親が子どもに関して学校関係者と直接連絡を取る権利を妨げてはならない。非監護親は、子どもの危険に関する特別な事情がない限り、緊急連絡先として記載されるものとする。
2.学校行事
それぞれの親は、もう一方の親がアクセスできない情報を含め、学校行事に関する全ての情報を、もう一方の親に速やかに通知するものとします。一方の親は、もう一方の親が子どもの学校行事に関して学校関係者と直接連絡を取る権利を妨げてはならない。養育時間を行使する親は、子どもを学校関連の活動に送迎する責任を負うものとする。
解説
子どもの行事について知っているそれぞれの親は、もう一方の親に、その日時、場所、行事を速やかに知らせるべきである。一方の親が学校行事に出席できないという理由だけで、子どもが学校行事に出席する機会を否定するべきではない。子どもは、参加可能な親と一緒に行事に参加することが許可されるべきである。予定した養育時間を、子どもが練習やリハーサルを含む学校関連の活動に参加させない言い訳に使ってはならない。
3.その他の活動
それぞれの親は、親および家族の参加を許可する、子どもの生活における組織的な行事を全て、もう一方の親に速やかに通知するものとする。一方の親は、もう一方の親が子どもの活動に志願したり参加したりする機会を妨げてはならない。子どもの活動が一方の親と一緒にいる時間に行われる場合、その親が活動への交通手段を提供する最初の機会を持つものとする。
解説
それぞれの親は、その活動が子育て時間中に行われない場合でも、子どもが関与する他の活動に参加する機会を持つべきである。これには、教会の行事、運動会、スカウトなどの活動も含まれる。両親のサポートがあれば、子どもはこれらの経験をより楽しむことができると理解することが重要である。
親は課外活動の予定を立てるとき、バランスをとるよう心がけなければならない。適度な量の課外活動は、子どもの人生を豊かにし、これらの体験を共有することを通じ親子の絆を強めることができる。一方、これらの活動への過度の参加は、養育時間の質を低下させることになりかねない。両親は、これらの活動が、どちらかの親との養育時間を不当に侵害しないように注意する必要がある。
遠征を伴う活動(即ち、バスケットボール、野球、ソフトボール、サッカーなど)への子どもの参加に、特別な配慮が必要である。費用、家を離れる時間、子どもへの要求などを考慮し、子どもの活動や社会経験とバランスをとる必要がある。
4.健康情報
インディアナ州法の下では、両方の親は、子どもの医療記録に直接アクセスする権利(インディアナ州法§16-39-1-7)、及び精神保健記録直接アクセスする権利(インディアナ州法§16-39-2-9)を有する。
a. 子どもが病状評価または治療を受けている場合、監護親はその事実を非監護親に連絡するものとする。
b. それぞれの親は、医療処置を必要とする子どもの緊急事態または病気について、ただちに相手に通知するものとします。
c. 子どもが処方薬を服用している場合、または医療指示を受けている場合、監護親は、非監護権が養育時間を行使しているときは常に、十分な量の薬と説明書を提供するものとする。医療従事者からの医療指示は、これに従わなければならない。
d. 医療従事者が要求する場合、監護親は、子どもの医療従事者に対して、医療従事者が非監護親と子どもの状況について話し合う権利を含め、非監護親に子どもに関する全ての情報を継続的に公開することを許可する書面による承認を与えるものとする。
解説
それぞれの親は、子どもに処方される継続的な治療や処置について情報を得、それに参加し、薬が処方通りに投与されていることを確認する責任がある。子どもの病状評価または治療には、医療、歯科、教育、およびメンタルヘルスのサービスが含まれる。
5.保険
子どもに保険をかける親は、もう一方の親に、現在の保険証、給付説明書、および各親が居住する地域の保険会社承認または健康維持機構認定の医療機関のリストを提供するものとする。保険会社が特定の書式を要求する場合、被保険者の親はその書式をもう一方の親に提供するものとする。
解説
認定医療命令により、親が医療保険提供者と連絡を取ることを許可する場合がある。。
E.問題解決とリロケーション
1.一般的な意見の相違
養育時間やこのガイドラインの要件に関して意見の相違が生じた場合、双方の親は、法廷に出る前に紛争を解決するために、メディエーションを含む選択肢について話し合う努力をするものとする。
2.メディエーション
裁判所の訴訟が開始された場合、裁判所の別段の命令がない限り、両親はメディエーションに入るものとする。
3.子どもの躊躇い
子どもが養育時間に参加することを嫌がる場合、それぞれの親は、子どもが予定した養育時間に従うようにする責任を負うものとする。いかなる場合も、子どもが予定している養育時間を実施するかどうか決定することを認めてはならない。
解説
殆どのケースで、子どもが親と一緒に過ごすことをためらう場合、子どもの生活の中で自然に起こる変化の結果である。親が子どもの話を聞き、お互いに話をし、子どもの要求を実践的に取り上げることで、子どもは躊躇いを克服することができる。
親は、子どもがなぜ親と一緒に過ごすことを嫌がるのか、その理由を尋ねるべきである。一方の親が、もう一方の親の世話で子どもの安全が損なわれると考える場合、一方の親は子どもを守るための手段を講じるべきであるが、もう一方の親の権利も認めなければならない。この状況は、両親によって速やかに解決されなければならない。家族カウンセリングが適切な場合もある。両親が状況を解決できない場合、両親のどちらかが裁判所の援助を求めることができる。
4.リロケーション
監護親または養育時間を有する親やもう一方の親のいずれかが居住地の変更を検討する場合、転居するつもりである日の30日前にもう一方の親または人に転居を通知しなければならない。
解説
引越しの影響 両親は、居所の変更が子どもと確立された養育時間に与える影響を認識すべきである。引っ越しを決断する際には、子どもの福祉を優先すべきである。
インディアナ州法 インディアナ州法(Ind. Code § 31-17-2.2)は、子どもの監護権、養育時間を有する(あるいは求める)全ての個人、居所をリロケーションしようとしている全ての個人に対し、子どもの監護権、養育時間を有する(あるいは求める)個人、または祖父母の訪問を求める個人に通知を行うことを義務付けている。この通知は、個人が引っ越すそうとしている30日前までに書留郵便または配達証明付き郵便で行わなければならない。リロケーションする当事者の通知書は、引っ越しに関する特定の詳細な情報を提供したものでなければならない。この情報には、新たな住所、新たな電話番号、提案する引越し予定日、引っ越しの明確な理由、提案する新たな養育時間のスケジュール、およびリロケーションしない当事者の権利に関する特定の声明を含める必要がある。また、この通知書は裁判所に提出されなければならない。この通知書は、提案された引越しが少なくとも60日間の主たる居所の変更を伴う場合、監護親および非監護親の全ての提案された引っ越しで必要とされるものである。リロケーションにより、リロケーションした親とリロケーションしない親の自宅間の距離が縮まるか、リロケーションした親とリロケーションしない親の自宅間の距離が20マイル以上広がらず、子どもが現在通っている学校に引き続き在籍できる場合は、裁判所に通知書を提出する必要はない。
5.養育費の支払留保または養育時間
両親のいずれかが裁判所命令に従わないことを理由に、養育時間や養育費を留保することはない。
不履行に対して制裁を加えることができるのは裁判所だけである。子どもには、養育費と養育時間の両方の権利があり、どちらも他方に依存するものではない。いずれかの要件に違反した場合、救済措置として、裁判所に適切な制裁を申請することができる。
6.養育時間の強制
A.侮辱に対する制裁 養育時間に関する裁判所命令は、両方の親が従わなければならない。命令に含まれる条項のいずれかに不当に違反した場合、違反者は侮辱に対する制裁を受ける可能性がある。これらの制裁には、罰金、禁固刑、および/または社会奉仕が含まれる場合がある。
B.差止命令による救済 インディアナ州法の下では、定期的に養育費を支払いながら、監護親によって養育時間を阻まれている非監護親は、インディアナ州法§31-17-4-4に基づき、養育時間を強制するために差止命令を申請することができる。
C.刑事罰 監護権または訪問権の侵害は、犯罪となる場合がある。インディアナ州法§35-42-3-4。
D.弁護士費用 養育時間を許可または拒否する命令を執行するためのいかなる裁判においても、裁判所は相応な弁護士費用と訴訟費用を与えることができる。裁判所は、弁護士費用を求める親が実質的に勝ったかどうか、および命令に違反する親が知っていながらまたは意図的にそうしたかどうかを考慮することができる。裁判所はまた、根拠のないまたは厄介な訴訟を追及する親に対して弁護士費用と経費を与えることができる。
F.公衆衛生上の緊急事態における監護と養育時間
はじめに
監護権と養育時間に関する既存の裁判所命令は、公衆衛生上の緊急事態の間も有効であり、これに従わなければならない。当事者は、この緊急事態の間、子の最善の利益と健康のために、柔軟に協力する必要がある。
1.学校カレンダー
監護権および養育時間の命令を判断する上で、各子どもの学校から学年度の始めに公表された、または学年度中に改正された学校カレンダーが支配的なものとする。監護権および養育時間は、公衆衛生上の緊急事態の間の学校の閉鎖によって影響を受けることはないものとする。
2.交通手段
養育時間の交通手段は、行政命令に従ってその交通機関が制限されない限り、監護に関する命令または取決めの規定に従うものとする。
3.一時的な変更
両親およびその訴訟の他の当事者(以下、「当事者」)が、公衆衛生上の緊急事態の期間中有効な監護権または養育時間の裁判所命令の条件を一時的に修正または変更する理由があり、修正が既存の命令の条件によって禁止されていないと考える場合、両親や当事者は既存の命令を一時的に修正することに書面で合意することができる。しかし、その合意は、強制力を持たせるために裁判所に提出し、承認されなければならない。当事者が一時的な合意に達することができない場合、または合意にとどまらない場合、いずれの当事者も既存の命令を修正するために申立てを行うことができる。
4.養育費
多くの郡の児童扶養手当事務局は閉鎖されているか、面着の支払いを受け付けていない可能性がある。養育費の支払いに関する既存の裁判所命令は引き続き有効であり、これに従わなければならない。養育費の支払いは、インディアナ州児童サービス省養育費局のウェブサイトに記載されているように、オンライン、電話、郵送、その他の場所で行うことができる。公衆衛生上の緊急事態の結果、養育費を全額または一部を支払うことができない親は、養育費の修正申立てを裁判所に提出することができる。
5.書類の提出方法
米国の郵便またはファックスで送付した文書は、裁判官によって迅速に確認されない可能性があるため、合意、請願書、または申立書は、電子文書の形で提出するべきである。弁護士が代理した当事者の裁判所の書類提出は、弁護士が行うものとする。
解説
子どもの健康とウェルビーイングを保護するために、または同一世帯の家族構成員の健康とウェルビーイングを保護するために、親が養育時間を放棄する決定を下すことを、養育時間の自発的な放棄と見なすべきではない。例えば、世界的な大流行時や渡航危険勧告が出ていて、親の養育時間の行使が子どもを危険にさらすような状況下にあるため、子の最善の利益のために行動し、養育時間の放棄を選択した場合、親は将来的に「振替」時間を行使できるようにすべきである。その危険な状況の深刻さによっては、「振替」養育時間の行使は、逃した養育時間の実施予定日から30日以内に実行することは不可能な場合もあり、相当な期間の養育時間を逃した場合、「振替」養育時間を一度にセットすることは合理的でない場合がある。
第Ⅱ章 特定の養育時間に関する規定
A.はじめに
最良の養育計画とは、子どもと両親の固有のニーズを満たす、両親によって作成されるものである。両親は、子の最善の利益になるような独自の養育計画を作成するよう努めるべきである。合意に達した場合、養育計画は、強制力を持たせるために、両当事者が署名し、裁判所の承認を得るために裁判所に提出し、書面に落とし込まねばならない。以下の具体的な規定は、当事者が養育計画について合意に達しない場合に、養育計画の策定において両親と裁判所を支援するために作成されたものである。これらは、親が子どもと頻繁かつ有意義で継続的な接触を維持するために、最低限必要とされる推奨時間を示している。
識別のため、以下の規定は、非監護親の養育時間を定め、もう一方の親が単独監護権を有する、または共同法的監護の状況における主たる身上監護権を有すると想定している。これらの識別は、親としてのどちらかの地位を低下させたり、高めたりすることを意味しない。
解説
本ガイドラインの最低限の計画を超える可能性のある養育計画の膨大な数、およびそれぞれの子どもと親の特定のニーズと特性を考えると、ほぼ全ての子どもと家族向けに一連の推定を課すことは不可能である。
以下は、本ガイドラインの特定の養育時間の規定を超える特定の養育計画が、安全、安心、発達に対応し、最終的に子の最善の利益になるかどうかを判断する際に考慮される可能性のある要因のリストである。このリストは全てを網羅するものではなく、全ての要因が特定の親子関係に適用されるわけではない。また、これらの要素は、優先順位の高い順に記載されているわけではない。このリストは、親やその他の意思決定者が、提案された養育計画が健全で継続的な親子関係を提供し、子の最善の利益を促進する可能性を評価するための枠組みを提供することを意図している。
子どもに関する要因
- 子どもの年齢、気質、および成熟度
- 子どもの現在の生活習慣
- 別離や移行に対する子どもの反応
- 子どもの発達段階や特徴に起因する、身体的、感情的、教育的、その他の特別な必要性
親に関する要因
- 両親の気質
- 両親の気質と子どもの気質の「適合性」
- 精神疾患、薬物使用または乱用など、各親の精神的健康状態
- 子どもの早期発達のニーズに対する両親の感受性
- 子どものニーズが日々変化する中で、柔軟に対応する各親の能力と意欲
親子関係に関する要因
- 各親の子どもに対する暖かさと協力体制
- 子どものニーズを正しく理解し、それに敏感に反応する親の能力
- 各親の過去の子どもとの生活経験および養育歴
- 各親の養育への関心と意欲
- 各親の身体的または精神的な虐待やネグレクトの加害歴
共同養育関係に関する要因
- 子どものニーズがその場で表現され、時間の経過とともに変化する中で、両親がお互いに柔軟に対応する能力および意欲
- 葛藤かつ/またはドメスティックバイオレンスのレベルや性質(過去の状況、最近の状況、強度、頻度、内容、発生が別離時か、広い範囲か、を含む)
- 親同士の葛藤とそれ以外のことと分けて考え、子どもが葛藤にさらされないように保護する両親の能力
- 子どもについて適切かつタイムリーにコミュニケーションをとる両親の能力
- それぞれの親が、もう一方の親と子どもとの接触やコミュニケーションをどの程度促進するか(もう一方の親と子どもを引き離すことを意図した「門番」的行動と比較する)
- 子どもの発達上の必要性について協力する両親の能力
環境要因
- 両親の家の近さ
- 両親の仕事のスケジュールと状況
- 監護に参加する大家族や親しい友人の存在
- 必要な場合の追加保育の有無とその費用を支払うための経済的資源
― 子どもを一方の家庭から他方の家庭に移すための仕組み
B.宿泊を伴う養育時間
非監護親が子どもに対して通常の養育責任を果たしていなかったことを監護親が証明できない限り、非監護親の養育時間には宿泊を含むものとする。非監護親がこれまで子どもに対する通常の養育責任を果たしてこなかった場合、以下のC節に規定されている場合を除き、子どもが3歳の誕生日を迎える前は、非監護親の養育時間には宿泊を含めないものとする。
解説
1.前提 この規定は、非監護親の養育時間を特定し、一方の親が単独監護権を有する、または子の主たる身上監護権を有していること、双方の親が健康で適正であること、双方の親が子どもと十分な絆を持っていること、双方の親が子どもを養育する意思があることを前提にするものである。さらに、両親が互いを尊重し、子の最善の利益を促進するために協力し合うことを前提としている。最後に、この規定は、それぞれの親が子どもの養育と世話に責任があることを前提としている。養育時間は権利であると同時に信頼でもあり、親は個々の養育時間において、子どもに対する全責任を負うことが期待されている。
2.接触の不足 親と子の間の接触が著しく不足している場合、親と子の間の絆、または感情的な繋がりが存在しない可能性がある。親と子がそれぞれの状況に適応できるように、予定している養育時間を「段階的に」設けることを推奨する。養育時間の計画を推奨するために、親と子の現在の関係(または現在の欠如状況)を評価せねばならない場合がある。この作業には、訴訟後見人、メンタルヘルスの専門家、家事相談所の代表者、またはその他の中立的な評価者を使用することができる。
3.年齢区分 子どもはそれぞれ成熟する時期が異なるため、具体的な規定で定められている年齢範囲は、子どもの発達段階を推定値である。
4.年齢の異なる複数の子ども 家族に異なる年齢の子どもがいる場合、養育時間の行使の際には、全ての子どもが一緒にいることが前提になる。しかし、幼い子どものために設定された基準を無視してはならず、全ての子どもが一緒に育児時間に参加しない状況もあるであろう。一方、年少と年長の子どもがいる場合、兄弟姉妹の関係を維持するために、年少の子どもが宿泊や週末の養育時間に移行する時期を、ある程度早めることが一般的に適切と思われる。
5.非伝統的な仕事の予定 非伝統的な勤務体系を持つ親で、週末に定期的に働く可能性がある場合、平日の養育時間をこの規則で指定された週末の養育時間に代えるべきである。また、その他の非伝統的な勤務時間を持つ保護者についても、同様の配慮がなされるべきである。
6.「通常の養育責任」の行使を決定する要素(B、C.2、C.3節(3歳未満の子ども)参照)
- 親が子どもと同居していた期間
- 裁判所が関与する前に親が過去に行使した宿泊(親と子どもの現状を取り込む能力)
- 子どもに関する病状、発達上の問題、かつ/または、神経障害、および子どもに必要なケアを提供するために親が過去に行った事や経験
- 親が子どものために適切な住居や睡眠を提供しているかどうか
- 食事、掃除、着替えやおむつ交換、就寝前の習慣など、子どもの日常生活において親が行ったケアの頻度と関わり方
- その他、子どもの通常の養育責任に影響を与える要因
C.乳幼児と幼児
1.はじめに
子どもの人生の最初の数年間は、その子どもの最終的な発達にとって重要であると認識されている。乳幼児(18ヶ月未満)と幼児(18ヶ月から3歳)は、安心感、養育、予測可能性を提供する主要な養育者と継続的に接触することが非常に必要である。乳幼児期に予定している養育時間は、乳幼児のスケジュールにとって最小限の混乱にとどめることが最善と考えられる。
解説
両方の親の必要性 子どもには、両方の親との絆を深める十分な機会が与えられることが重要である。幼い子どもは、両親が子育てに積極的な役割を果たすことで、成長するのである。母親と父親の関与の度合いと子どもの社会的、感情的、認知的成長との間には正の関係がある。どちらの親も同じ効果で子どもの世話をすることができ、彼らの育児スタイルは子どもの発達に大きく貢献する可能性がある。従って、両親は、子どもの早期発達における日常的な出来事と特別な出来事の両方を共有する機会を、お互いに柔軟に設けなければならない。
回数と時間 乳幼児は時間に対する感覚が限られていますが、進化している。また、目の前にいる人以外を思い出す能力も限られている。乳幼児には、長い時間離れて訪問するよりも、短い時間で頻繁に訪問する方が遥かに良い。幼い子どもの立場からすると、それぞれの親と毎日接触することが理想的である。可能であれば、非監護親と接触しない日が2日以上続かないようにすることを推奨する。頻繁に訪問できない親は、訪問時間を増やしたいと思うかもしれないが、その方法は乳幼児には推奨できない。頻繁かつありきたりの養育時間が最も良い。
親と幼い子どもが一晩中接触することは、彼らが家族として成長する機会を提供することになる。同時に、幼い子どもは、夜間の世話の仕方が突然変わると、特に普段の世話をしてくれる人から離れると、怖がり、不機嫌になることがある。このような状況下では、たとえ優れたケアを提供しても、リラックスして成長することは難しいかもしれない。
幼い子どもが両親から定期的に手厚いケアを受けるのに慣れている場合、両親が別離しても、子どもは引き続きこのケアを受けるべきである。監護権の有無にかかわらず、別離前に通常の子どもの世話をしていた親は、宿泊を伴う養育時間を行使すべきである。親が別居前に定期的に子どもの手厚い世話をしていなかった場合、親と子どもがありきたりで快適な日中の世話をする習慣を身につけるまでは、宿泊を伴う養育期間は推奨しない。
2.早期乳児期における養育時間(出生から生後9ヶ月まで)
🄐出生から生後4ヶ月まで
⑴連続しない週3「日」で、1日2時間。
⑵全ての祝祭日で、1日2時間。
⑶非監護親が子どもの通常の養育責任を行使していた場合、一晩中。
但し、1週間に1回で24時間以内。
解説
養育時間は、安定した場所で、乳児の確立された日課を中断することなく行われるべきである。
🄑生後5ヵ月から9カ月まで
⑴1日3時間、連続しない週3「日」。
夕方の就寝時刻の少なくとも1時間前に子どもを自宅に返すこと。
⑵全ての予定した休日で、3時間。
夕方の就寝時刻の少なくとも1時間前に子どもを自宅に返すこと。
⑶非監護親が子どもの通常の養育責任を行使していた場合、一晩中。
但し、1週間に1回で24時間以内。
3.後期乳児期における養育時間(生後10ヶ月から生後36ヶ月まで)
🄐生後10ヵ月から生後12ヵ月まで
⑴連続しない週3「日」、ただし1日は「非勤務日」で8時間。
その他の日は、毎日3時間ずつとする。
夕方の就寝時刻の少なくとも1時間前に子どもを自宅に返すこと。
⑵全ての予定した休日で、8時間。
夕方の就寝時刻の少なくとも1時間前に子どもを自宅に返すこと。
⑶非監護親が子どもの通常の養育責任を行使していた場合、一晩中。
但し、1週間に1回で24時間以内。
🄑生後13ヶ月から生後18ヶ月まで
⑴連続しない週3「日」、ただし1日は「非勤務日」で10時間。
その他の日は、毎日3時間ずつとする。
夕方の就寝時刻の少なくとも1時間前に自宅に返すこと。
⑵全ての予定した休日で8時間。
夕方の就寝時刻の少なくとも1時間前に子どもを自宅に返すこと。
⑶非監護親が子どもの通常の養育責任を行使していた場合、一晩中。
但し、1週間に1回で24時間以内。
🄒生後19ヶ月から36ヶ月まで
⑴土曜日に10時間、日曜日に10時間、週末に交互に実施する。
但し、宿泊が適切でない場合は、夕方の就寝時刻の少なくとも1時間前に子どもを自宅に返すこと。
⑵できれば週の半ばに1「日」、3時間。
但し、平日の宿泊が適切でない場合は、夕方の就寝時刻の少なくとも1時間前に子どもを自宅に返すこと。
⑶全ての予定した休日で10時間。
就寝時刻の1時間前に子どもを自宅に返すこと。
⑷当初、通常の養育責任を有していなかった非監護親が、このガイドラインに基づく予定した養育時間を少なくとも継続9ヶ月間行使した場合、下記のⅡ章D.1節に示した通常の養育時間を実施することができる。
解説
養育時間ガイドラインの第Ⅱ章C.3節🄒⑷は、乳児が非監護親と十分に結び付き、その結果、乳児が定期的に行き来し、特に違う場所で目を覚ましても、発達を妨げる負担がない場合に、年齢に応じた養育時間の最終段階を短縮する方法を提供することを意図している。このような事態が発生していない場合、本規定を利用すべきではない。9ヶ月の規定は、19ヶ月から36ヶ月の区間だけに適用される。従って、現実問題として、この規定は、乳児が少なくとも生後28ヶ月になるまで、この段階を短縮することはできないことを意味する。この規定は、非監護親に等しく適用される。
D.養育時間-3歳以上の子ども
1.通常の養育時間
⒜金曜日の午後6時から日曜日の午後6時までの隔週の週末
(時間は両親の予定に合わせて変更することができる)。
⒝週に1回、できれば週の半ばに、最大4時間まで。
但し、子どもは午後9時までに自宅に返すこと。
⒞全ての予定した休日。
解説
非監護親の住居からの距離が相応である場合、平日の養育時間を一晩の滞在に延長する場合がある。このような場合、翌朝、子どもに食事を与える、子どもを学校または保育園に送る、子どもが学校に通っていない場合は、子どもを監護親の住居に連れて行く責任は、非監護親が負うものとする。
2.延長した養育時間(3歳から4歳までの子ども)
非監護親は、日曜日の午後6時から翌週の日曜日の午後6時まで、1年間に最大4回まで連続しない週を利用できるものとする。非監護親は、特定の週の使用について、少なくとも60日前に通知するものとする。
3.延長した養育時間(5歳以上の子ども)
夏休みの2分の1。夏休みは、学校が夏休みに入った翌日から、新学期が始まる前日までとなる。この時間は、連続したものでも、2つに分割されたものでもよい。非監護親は、毎年4月1日までに監護親に選択の通知をしなければならない。そのような通知がなされない場合、監護親が選択を行い、非監護親に通知するものとする。全ての通知は、書面および口頭で行うものとする。適時の選択は、もう一方の親によって拒否されることはない。雇用主により両親のどちらかの休暇が制限されているという通知は、その情報が入手でき次第、もう一方の親に届けるものとする。養育時間の予定を立てる際、両親が行う子どもと過ごす時間の調整に、雇用主が課す両親のどちらかの時間に対する制限を考慮するものとする。
子どもが通年学校またはバランスド・カレンダー学校に通っている場合、非監護親の延長養育時間は、秋と春の学校休暇時間の2分の1とする。両親の合意または事実審裁判所による命令がない限り、非監護親は奇数年の学校休暇の前半、偶数年の学校休暇の後半に養育時間を行使するものとする。当事者の合意がない限り、休みの前半は子どもが学校から解放された2時間後に始まり、後半の期間は学校が再び始まる前日の午後6時に終了する。夏休みは、上記の段落にあるように、両親の間で均等に分配されるべきである。冬休みやクリスマス休暇は、「休日養育時間スケジュール」に規定されているように、共有されるべきである。
子どもがサマースクールに通う場合、養育時間を行使する親は子どもの交通費と学校への出席に責任を負うものとする。
子どもが非監護親のもとで連続2週間を超えて過ごす夏期延長期間中、監護親は、休暇場所が市外の遠距離にあるために実行不可能な場合を除き、週末と週半ばの交互の養育時間を含む、上記に定める通常の養育時間スケジュールの恩恵を受けるものとする。
同様に、子どもが連続2週間以上監護親のもとにいる夏期には、非監護親の通常の養育時間は継続する。これには、休暇場所が市外の遠距離にあるため実行不可能な場合を除き、週末と週の半ばに交互に養育時間を設けることが含まれる。
親の夏期養育時間の選択によって、もう一方の親の下記「休日養育時間スケジュール」が奪われることはない。第2章F節を参照のこと。
E.青年と10代の子どもの養育時間
1.通常の養育時間
非監護親の通常の養育時間として、養育時間ガイドライン(第Ⅱ章D節)に規定されている通り、交互の週末、休日、そして夏季の数カ月渡る延長した時間を青年と10代の子どもに適用するものとする。
解説
1.10代の子どもには両方の親が必要である 青年期は、親が非常に重要な役割を果たす子どもの成長段階である。10代の子どもを安全に保つ唯一の最も重要な因子は、家族との強い結びつきである。10代の子どもが家族とのこの結びつきを維持するよう手助けする責任は、両方の親にかかっており、親同士の関係はどうあろうと関係ない。両親は、10代の子どもが自立の必要性と家族の能動的役割としての必要性のバランスをとる手助けをしなければならない。そのためには、両親は10代の子どもと一緒に時間を過ごさなければならない。両親は、青年が責任ある大人になる手助けをしなければならない。両親が危険な失敗を防ぐ規則を与えれば、10代の子どもは人生の教訓を安全に学ぶことができるはずである。
2.青年の錨 両親が同居しているか別居しているかに拘らず、青年は、協力的で役に立つ家族の一員であると感じることができる。そのために役立つことは、次のようなことである。
それぞれの親と定期的に一緒に過ごす時間 親は会話やレクリエーションに応じる必要がある。親は、10代の子どもに、成人後の生活に役立つ技能を教える必要がある。
兄弟姉妹と定期的に一緒に過ごす時間 性格や年齢の違いに拘らず、一緒に時間を過ごす兄弟姉妹は家族の共同体を形成し、成人後の生活の大きな支えになる。子どもたちが一緒に何かをしたいと思うような自然な機会を作らないのであれば、親がそうするようになる理由を作る必要がある。
絶対的な価値のある価値観を重視 親と10代の子どもが一緒になって、10代の子どもに重要な教訓を与える健全な活動に時間を投資すべきである。10代の子どもが絶対的な価値のある価値観に共感すれば、肯定的な自己イメージを持つ可能性が高くなる。
良い友人と過ごす時間 親の期待は、10代の子どもの友人選びに影響を与えることがある。10代の子どもの友人やその親に会い、客として自宅に招き交流する。そうすることで、10代の子どもの友人が、10代の子どもにとって良い環境で快適に感じる友人たちである可能性が高まる。
両親ともに同意した明確な規則 10代の子どもが、成長とともに許容される行動の規則を知ることは非常に重要である。行動の規則のような重要な分野で両親が合意していれば、許容される行動の規則を知る可能性はずっと高くなる。両親が共同で10代の子どもの行動基準を設定すると、子どもがその価値観を受け入れる可能性が大幅に増加する。
良い決断/より大きな自由 期待されることをする10代の子どもには、より多くの自由と幅広い選択肢を提供する必要がある。10代の子どもがより多くの特権を与えられるようになった良い決定を思い起こさせるなら、それは有益なことである。もし10代の子どもが、特権は獲得するものであり、生まれながらの「権利」ではないことを理解する助けを得ることができれば、より多くの自由を得るための鍵は、良い行動をすることだと気づく可能性が高くなる。規則に従わない場合、然るべき結果が生じるはずである。自立をうまく活用していない10代の子どもは、自立を減らさねばならない。
3.10代の子どもの養育における意思決定 10代の子どもを育てるには、親が10代の子どもに何を、いつ、誰と行うことを許可するかを決定する必要がある。同時に、離れて暮らす両親は、お互いにコミュニケーションをとるのが難しいかもしれない。
両親が合意できない場合、大人の権威からの自由を強く望んでいる10代の子どもを「タイブレーカー(均衡を破るために順位を決める)」として使ってはならない。両親が離れて暮らしている場合、子どもは健全な成長の一部としてではなく、単に両親の意見の相違を解決するために、決断を求められる可能性が高くなる。
一般的なルールとして、10代の子どもは、両親が意思決定の機会が貴重で、その機会の価値が誤った意思決定により被り得る損害を上回ることに同意するのであれば、重要な意思決定に関与すべきであるとされています。もし両親がその決断に子どもの福祉がかかっていると感じ、同意できないからといって子どもに決断を委ねるのであれば、両親は子どもを失敗の危険に晒していることになる。
2.特別な考慮事項
10代の子どもとの養育時間を行使する場合、非監護親は、10代の子どもが通常の学業、課外活動、および社会活動に参加できるよう相応の努力をするものとする。
解説
規則正しい養育時間の実現
両親は、10代の子どもが成長するにつれて進化または変化する養育計画を策定せねばならない。13歳時点の子どものニーズと同じ子どもの17歳時点のニーズは非常に異なるだろう。両親はまた、両方の親の定期的な関与を保証する養育計画を策定する必要がある。これは、10代の子どもが学校、活動、友人と関わっている場合には特に難しいことであり、両親が離れて暮らしている場合にはさらに困難になる。
どのような自由を与え、どのような自由を留保するかについて両親の見解が異なる場合、まだ準備ができていない10代の子どもが責任を負うことがないように、両親は十分に結束しなければならない。同時に、両親は、離れて暮らしているがために、家庭の運営も違ってくることを尊重しなければならない。
離れて暮らすことで、両親は子どもに、様々な親が居て様々なやり方で通用する可能性があることを教えなければならない。親は、子どもが2つの異なるやり方に適応するために、特に努力する必要があることを理解しなければならない。全ての違いが、一方の親が正しく、他方の親が間違っていることを意味するわけではない。重要なのは、両親が様々な家庭で10代の子どもの適応力を高めることができることを理解することである。
F. 休日養育時間スケジュール
1. 通常の週末と休日の週末との兼ね合い
休日養育時間スケジュールは、通常の養育時間および延長した養育時間に優先するものとする。延長した養育時間は、このガイドラインに特に示されていない限り、通常の養育時間より優先される。
交互の週末は、年間を通じて以下のように維持されるものとする。一方の親が、もう一方の親の休日であるために通常の週末を返上した場合、その分の振替はない。一方の親が休日のために2週連続の週末を得た場合、その親は3週目の週末も得るものとする。津運上の交互の週末は、年間を通じて継続するものとする。
解説
一方の親は、祝日のために連続した3回の週末を自分の養育時間にすることができる。このガイドラインで規定している休日の交互スケジュールを考慮すると、休日による週末の養育時間返上は、各親にとってバランスが取れることが予想される。
裁判所が身上監護権の変更を命じた場合、裁判所は、休日スケジュールの変更を暦年の始めに開始すべきか、子どもの学年の始めまたは終わりに開始すべきか、または直ちに開始すべきかを検討する必要がある。
2.休日のスケジュール
以下の養育時間は、このガイドラインで「予定された休日」として言及している全ての状況で適用され、3歳未満の子どもについては、示されたとおりの制限を適用する。子どもが3歳以上であるが、まだ学童保育プログラムまたは教育施設に登録されていない場合、休日養育時間の決定には、子どもが主に居住する地区の学校カレンダーを適用するものとする。当事者が養育時間を等しく共有している場合、休日養育時間の決定には、管理費を支払っている親が暮らす地区の学校カレンダーを使用するものとする。子どもが3歳以上で、学童保育プログラムまたは教育施設に登録されている場合、休日養育時間の決定には、子どもが登録されているプログラムまたは教育施設のカレンダーが適用されるものとする。
A.特別な日
⑴母の日 子どもの母親と一緒に、金曜日午後6時から日曜日午後6時まで。
⑵父の日 子どもの父親と一緒に、金曜日午後6時から日曜日午後6時まで。
⑶子どもの誕生日 偶数年の場合、非監護親は、各子どもの誕生日に午前9時から午後9時まで、全ての子どもと過ごすものとする。但し、誕生日が登校日にあたる場合は、午後5時から午後8時までとする。監護親は、各子どもの誕生日の前日の午前9時から午後9時まで、但し、その日が登校日に当たる場合は、午後5時から午後8時までとする。奇数年には、非監護親は、各子どもの誕生日の前日の午前9時から午後9時まで、但し、その日が登校日に当たる場合は、午後5時から午後8時まで、全ての子どもと一緒にいるものとする。監護親は、各子どもの誕生日に午前9時から午後9時まで、但し、誕生日が登校日に当たる場合は、午後5時から午後8時までとする。
⑷親の誕生日 誕生日を迎えた親と一緒に、午前9時から午後9時まで。但し、親の誕生日が登校日であれば、午後5時から午後8時まで。
⑸子どもの誕生日が特別な日、祝日、またはクリスマス休暇の期間に当たる場合 子どもの誕生日は、その期間に子どもとの養育時間を持つ親のもとで祝われるものとする。親の誕生日が、特別な日、祝日、クリスマス休暇の期間に当たる場合、特別な日、祝日、クリスマス休暇を優先する。
B.クリスマス休暇
クリスマス休暇は、学校の最終日に始まり、学校が再び始まる前の最終日に終わるものと定義する。当事者の合意がない限り、この期間の前半は、子どもが学校から解放された日の午後6時に始まる。期間の後半は、学校が再び始まる前日の午後6時に終了する。各当事者は、クリスマス休暇の総日数の半分を、以下のように交互に受け取る。
1.偶数年の場合、監護親はクリスマス休暇の前半(1/2)、非監護親はクリスマス休暇の後半(1/2)を持つものとします。
2.奇数年の場合、監護親がクリスマス休暇の前半(1/2)を、監護親がクリスマス休暇の後半(1/2)を持つものとする。
3.クリスマスが親の週に当たらない年は、その親はクリスマス当日の正午から午後9時まで子どもを預かるものとする。
4.規則のこの部分に基づく交換は、午後9時以降、午前8時以前には行われない。但し当事者の合意がある場合はこの限りではない。
大晦日と元旦は、休日養育時間ガイドラインにおいて、個別の休日とは見做さないものとする。
C.祝日
以下の祝日は、偶数年には非監護親が、奇数年には監護親が行使するものとする。
⑴マーティン・ルーサー・キング記念日 子どもの学校でお祝いがある場合、金曜日の午後6時から月曜日の午後6時まで。
⑵大統領の日 子どもの学校でお祝いがある場合、金曜日の午後6時から月曜日の午後6時まで。
⑶メモリアル・デー(戦没将兵追悼記念日) 金曜日午後6時から月曜日午後6時まで。
⑷労働者の日(レイバー・デー) 金曜日午後6時から月曜日午後6時まで。
⑸感謝祭(サンクスギビング・デイ) 水曜日の午後6時から日曜日の午後6時まで。
以下の休日は、奇数年には非監護親が、偶数年には監護親が行使するものとする。
⑴春休み 春休み前の最終登校日の午後6時から、学校が再開する前の最終日午後6時まで。
⑵イースター(復活祭) 金曜日の午後6時から日曜日の午後6時まで。
⑶7月4日(独立記念日) 7月3日午後6時から7月5日午後6時まで。
⑷秋休み 秋休み前の最終登校日の午後6時から、学校が再開する前の最終日の午後6時まで。
⑸ハロウィーン ハロウィーンの夕方の午後6時から午後9時まで、または、養育時間を行使する親が居住するコミュニティでのトリック・オア・トリートの予定時間帯と一致する時間帯。
3.宗教上の祝日。
宗教上の祝祭日は、当事者が考慮し、適切な場合には、前述の祝祭日スケジュールに追加されるものとする。このような祝日の追加は、クリスマス休暇の養育時間には影響しないが、クリスマスとイースターの養育時間には影響する可能性がある。
解説
ガイドラインに記載された祝日以外を祝う様々な信仰を持つ個人がいることを認識し、当事者は、2年間に祝う休日を可能な限り平等に分割する休日訪問スケジュールを調整するよう努めるべきである。
第Ⅲ章 距離が大きく影響する養育時間
両親がかなり遠く離れて暮らしている場合、養育時間のスケジュールを作るには、実際のところ、神経を使い、雇用スケジュール、遠距離移動のコストと時間、それぞれの親の家計の状況、養育時間の頻度などを含む多くの要因を考慮する必要がある。
1.一般規則の適用
本ガイドラインの第Ⅰ章で規定した養育時間に関する一般規則を適用するものとする。
2.養育時間スケジュール。
両親は、相応の養育時間のスケジュールを確立するためにあらゆる努力を払うものとする。
解説
親同士の居住地が遠距離にあることが大きな影響を与えている場合、以下の養育時間スケジュールが役に立つかもしれない。
🄐 3歳未満の子ども 3歳未満の子どもについては、非監護親は、監護親のコミュニティの中で、毎週2回まで、5時間の養育時間を行使する選択肢を持つものとする。この5時間は、土曜日と日曜日の隔週末にのみ実施する可能性がある。
🄑 3歳および4歳の子ども 3歳と4歳の子どもについては、1週間単位で年間最大6回、それぞれが少なくとも6週間で区切る。子どもの送迎を含め、どの区間も8日を超えないこと。
🄒 5歳以上の子ども 伝統的な学校カレンダーを持つ学校に通う5歳以上の子どもについては、学校の夏休み期間の7週間、学校の冬休み期間の7日間、および春休み全て(該当する場合は両方の週末を含む)。但し、このような養育時間は、監護親が(祝うならば)隔年で宗教上の休日を持てるように取り決めるものとする。
子どもが通年学校またはバランスド・カレンダー学校に通っている場合、非監護親の養育時間は、非監護親と子どもが少なくとも伝統的な学校カレンダーの下で過ごすのと同じだけの時間を一緒に過ごすように調整しなければならない。
3.夏の訪問の優先順位
非監護親との夏の訪問は、夏の課外活動(リトルリーグ、サマーキャンプなど)に合わせて養育時間を相応に設定できない場合、その課外活動より優先されるものとする。
4.延長した養育時間の通知
非監護親は、毎年4月1日までに、監護親にその選択を通知しなければならない。そのような通知をしない場合、監護親が選択を行うものとする。
5.利用可能性の特別通知
非監護親が子の居住する地域にいる場合、または子が非監護親の居住する地域にいる場合、自由な養育時間を認めるものとする。両親は、そのような養育の機会について、可能な限り事前に、互いに通知するものとする。
第Ⅳ章 共同養育
A.共同養育の紹介:交互の養育計画
個人的な関係ではある程度離れる必要があるが、子育ての関係では組織的な責任分担を望む親を含め、多くの親がインディアナ州養育時間ガイドラインを参考にすることができる。一部の両親は、個人的な関係において分離をあまり必要とせず、2つの家庭での子育ての実践をより継ぎ目なしに融合させたいと考えている。このような家庭のニーズは、共同養育と呼ばれるモデルによってより適切に対処される可能性がある。
共同養育計画が家族のニーズに合っているかどうかを判断するために、両親は家族の状況を慎重に評価する必要がある。両親の同意と協力は、共同養育計画を成功させるために不可欠な要素である。共同養育計画を承認するかどうかを決定する際に、裁判官は、家族が共同養育の成功を予測する基準を満たしていることを確認するために、独立した調査を実施する必要がある。
全ての共同養育計画、定義上、子どもの日々の育児に積極的に関与する二人の親を子どもに提供するよう、意図的に努力するものである。共同養育計画を効果的に実施した結果として、子どもは、訪問者ではなく、居住者として、それぞれの親の家で過ごすことになる。それぞれの親の家庭は、子どもが学び、働き、遊ぶ場所となる。共同養育計画を効果的に実施するためには、それぞれの親が自分の家を子どもの本拠地にするために必要な作業を行う必要がある。
両親が共同養育を行えるかどうかを判断するのは、複雑な作業である。個々の親の能力と協力する能力、共同養育がその固有な家族に必要とする作業量、共同養育とその代替案の両方が子どもに与えるコストなど、全ての評価が必要である。共同養育が成功すれば、親の別離の結果として頻繁に生じる物質的損失や精神的損失の殆どから子どもを守ることができる。共同養育がうまくいかないと、親が別居や離婚をした子どもの心に病を引き起こす可能性の最も高い親同士の葛藤を加速させることになる。
B.二つの家、一つの家
「家にいる」という感覚には、ある程度の快適さと日常的な要素が必要である。子どもは「家にいる」とき、自分に何が期待されているかを概ね分かっている。家庭での日々の生活のパターンを理解し、当然のこととして受け止めている。この点で、日々の生活では、より新奇な状況に比べて「家にいる」ことでの仕事は少なくて済む。子どもはより寛いでいることが多い。そして、より多くのエネルギーを他のことに使えるようになるのである。
両親の住まいで自然に「家に居る」感覚を覚えることができた子どもには、大きな収穫がある。日々の生活は、適応よりも成長や発達に重点を置く。どちらの住居も子どもにとって「家」のように感じられるような一貫性のある2つの住居を提供する作業は、かなり重大な作業になる可能性がある。通常、夫婦関係の葛藤から別々に暮らすことになった二人にとって、より大事である。長期的には、同居にかかる費用が少なければ、子どもは両親との同居を楽しむ可能性が高くなる。学業や社会生活の要求が高まるにつれ、子どもは一つの拠点に移動することは少なくなり、単にもう一方の親と訪問するようになる。
解説
共同養育の能力判定に役立つ要因
子どもに関する要因
1.育児に必要な共同作業の量の特徴
考慮事項
-子どもが小さいほど、共同作業が必要な期間が長くなり、親に要求される判断や対応の回数も多くなる。
-生まれつき穏やかで、変化に対応しやすい子がいる(扱いやすい気質)。また一方で、生まれつき、変化や日常の不都合に対応するのが自然に苦手な子もいる(気難しい気質)。このような子どもは、移行に際して、より多くの時間をかけ、親が一体となって援助する必要がある。
-子どもの年齢や発達上の必要性に特有の要因により、親の側で高度な調整が必要になる場合がある。例えば、母乳育児、特別な才能や興味を育てるのに必要な時間、教育上の制限に対処するのに必要な時間、健康関連の治療に必要な時間などである。
-両方の親から積極的に育てられるという確立された習慣がある子どもは、共同養育に移行する際、当然ながら、養育環境の変化を抑え、強い適応を求めずに済むようにする必要がある。主として一方の親に育てられてきた子どもであっても、共同養育の恩恵を受けることができる。しかし、両方の親が関与する習慣に子どもが適応するために必要な最初の作業は、より大事になる。
2.共同養育から恩恵を受ける子どもの能力とは何か?
考慮事項
-子どもが小さければ小さいほど、両方の親から積極的に育てられるというメリットを享受できる年数が長くなる。従って、共同養育計画は、子どもの人生の早い時期に実行されることで、最大の利益をもたらす。
-両親の別居や離婚により影響を受ける子どものニーズ(身体的、教育的、感情的、その他)は何か?共同養育は、両親が別居後や離婚後にこれらのニーズに対応する能力を促進するか?
-子どもは家族以外のコミュニティにどのような重要な形で関わっているか?共同養育は、別居後や離婚後のこのような関わりを促進するか?
親に関する要因
1.親が子どもの養育に関して特定の立場をとる動機は何か?子どものニーズ、感情、利益に対する認識?親のニーズ、感情、利益?親にとって何が公正であるかという認識か?規則や取決めを遵守することを望むか?
考慮事項
-もう一方の親と共有している利益、取決め、規則によって動機づけられている親は、もう一方の親が見ているように物事を見る可能性が高くなる。個人的な利益や、競合する利益に直面したときに公正さを維持する必要性に突き動かされている親は、もう一方の親が見ているように物事を見る可能性が低くなる。
2.親は、子育てに関心を示しているか?例えば、教育や健康関連のニーズに対応するための予定を立てて出席すること、食事を計画し分担すること、拡大家族、運動、宗教の機会に子どもたちを参加させることなどが挙げられる。
3.親は子どもと概して平穏な関係を築いているか?
考慮事項
-平和な関係は、関係者が非常に類似していることや、葛藤がないことを必要としない。
-平和な生活には、違いに適応する能力が必要である。例えば、エネルギーの高い子どもは、エネルギーの低い両親のもとで平和に育てることができる。問題になるのは、適応である。エネルギーの低い親は、エネルギーの高い子どもを家族の外での運動活動に参加させるための手段を講じる必要があるかもしれない。
-平和な生活には、敬意を持って葛藤を管理する能力が必要である。葛藤が平和を損なうのは、その表現が苦痛を引き起こし、その解決がその苦痛に対処せず放置している場合だけである。
4.親の生活の中に、共同養育のタスクを実行するために必要な時間や注意を損なうような要因があるか?例えば、依存症、医療問題、他の人間関係、雇用条件などが含まれる。
親子関係に関する要因
1.もし両親が共同養育の取決めで必要とされる高レベルの関わりを持った場合、子どもはそれぞれの両親から何を得ることができるのか?両親が共同養育の取決めを採用した両親よりも関与が少ない場合、子どもはそれぞれの両親から何を得ることができるかを比較検討する。
2.両親のどちらか、あるいは両方が、温かさ、利用しやすさ、子どもへの関心、子どもとの好ましい歴史の共有、子どものニーズを見分ける能力といった肯定的な関係性をどの程度示しているか?共同養育は、子どもがそのような資質にアクセスすることを保証するものである。
3.親が残酷な罰を与えたり、児童虐待を行ったことがあるなど、子どもに何らかのリスクを与えるような過去を持つ場合、責任の分担を必要としない養育モデルは、親のアクセスを維持しながらリスクを希釈する機会を提供する可能性があるのではないか?
協同する子育ての関係に関する要因
1.子どもに関する事柄について、両親はどのように意見の相違に対処しているか?両親の対人関係のスタイルは、物事の見方が異なる場合でも、協力関係を維持することを可能にするか?両親の対人関係のスタイルや過去の傷は、意見が異なるときに距離を置き、一緒に仕事をする能力を失わせる可能性があるか?
2.過去に、葛藤の中にあっても両親が協業をした事実があり、共同養育計画によって保護される必要があるか、つまり、協業が継続できるような仕組みがあるか?
3.共同養育命令によって弱められる可能性のある、継続的な門番的な役割の可能性はあるか?
4.共同養育は、どちらかの親のメンタルヘルスを損なうか?
考慮事項
過去に虐待した事実がある場合、一般的に共同養育を推奨することはできない。虐待のレベルには達していないものの、長引く親の犯罪的行為が、親の精神的健康に影響を与え、子の最善の利益に著しく反して作用し、蝕害を与える可能性がある。そのような可能性のある行動の例には、以下のようなものがある。
-目的のないテキストや電子メールの頻繁過ぎるやり取りを始める
-一方の親を批判したり、困らせたりするためにソーシャルメディアを使用する
-両親が別々の生活を送ることを可能にする合理的な物理的境界線に違反する
5.両親はお互いに良心的に対応しているか?
考慮事項
共同養育を快適にするためには、何がタイムリーな反応なのかを暗黙の了解として、両親がお互いに反応する必要がある。反応が遅延すると、欲求不満を招き、否定的な解釈の機会を増やす。裁判所が「タイムリーな反応」を定義することを要求しない親は、より同調し、協力する意欲がある傾向がある。「タイムリーな反応」の定義を裁判所に求めるような親は、生来の協力の才能がない可能性が高い。
6.非常に後悔している過去にした行動はあるか?
-それはどのように特徴付けられるか?(最近/過去、対処済/未対処、両方の親を含む/一方の親だけ含む、両方が認める/一方だけが報告する)
-どのように理解するのが最も良いか?(他人を支配する手段、慢性的な感情的自制心の欠如、孤立/状況的な感情の爆発エピソード)。
7.子どもたちは、残念な出来事を目撃したことがあるか?そのようなことは、単独で、あるいは頻繁にあったか?
考慮事項
結婚生活が破綻しているとき、子どもたちは、親自身が十分に予期できなかったかもしれない、親の悪い行いを単発的に目撃することがよくある。重大な過ちを犯した親でも、子育ての仕事を効果的に分担することは可能である。残念な出来事を頻繁に目撃する子どもの親は、多くの場合、子どもにシールドが必要なことを早い段階で認識せず、将来の出来事を目撃するリスクを最小限に抑えるための是正措置を取っていない。離婚や別居は、両親が一緒にいるときに残念な行動を目撃している子どものためのシールドを提供することができる。共同養育に伴って親とのより多く接触が必要になるので、不注意でこのシールドを弱体化させる可能性がある。
8.子どもが親同士の葛藤をどの程度認識しているかを特徴付ける
考慮事項
両親が別離している子どもの殆どは、親同士の葛藤を認識している。その認識レベルが家庭の不安定さを心配するレベルにまで達している子どもは、一般に葛藤から十分に保護されていないことになる。一般に、崩壊しつつある夫婦関係において、遮蔽境界を確立するための洞察力や個人的な制御能力に欠けている親は、子どもの視点に立つ能力にも欠けている。この視点は、質の高い共同養育に必要なものである。
9.両親は、お互いに好きだという証拠を子どもに与えているか?
例えば、子どもの受渡しの場で社交的なおしゃべりをしたり、子どもがもう一方の親へのプレゼントを選ぶのを手伝ったり、もう一方の親を「ママ」「パパ」と呼んだりしているか?親は子どもがもう一方の親を好きになるように意図的に働きかけているか?両親がお互いに嫌っている証拠を子どもに見せているか?例えば、彼らは子どもの受渡しの場で友好的な態度を欠いていることを示しているか?公共の場で身体的に距離をとったままか?もう一方の親が選んだ服装、食べ物、レクリエーションの機会などを批判しているか?親はもう一方の親を否定的に、あるいは尊敬の念を欠いた言い方で呼んでいるか?子どもがもう一方の親を敵視したり、軽蔑したりすることを親が容認している証拠があるか?例えば、「大きくなったら、お父さんやお母さんに対して自分の意見を持つようになる」など。
考慮事項
共同養育の最終的な目標は、子どもと両親の間に可能な限り健康的な絆を促進することである。子どものためにこの絆を大切にしているという証拠を一貫して示している親は、共同養育の仕事にコミットする可能性が最も高い。この絆を大切にする証拠が殆どない親は、共同養育が必要とする仕事にコミットする可能性が低くなる。
環境要因
1.共同養育は、親が子どもを世話する実際の時間を増やすことができるのか?
考慮事項
共同養育は、親が子どもと同居するモデルではなく、親が子どものケアするモデルである。質の高い共同養育計画(養育時間計画とは異なる)は、それぞれの親が通常子どもと一緒にいられる時間を中心に構築され、絆を築く実践的な時間をコミットするものである。
2.共同養育は、家族のお金を節約するか、子どもの経済的安定性を高めるか?
3.共同養育は、家族のリソース(お金、時間、勤務スケジュールへの適応)を大きく消耗し、子どもの他のニーズが大きく犠牲になるか?
第Ⅴ章 子育てコーディネーション
A.一般条項
子育てコーディネーションとは、裁判所が命じた、子どもに焦点を当てた紛争解決プロセスであり、子育てコーディネーターは、両親の葛藤にアクセスして管理し、当事者の焦点を子どものニーズに向けさせ、子の最善の利益になる決定を下す方法を当事者に教育することで、高葛藤の当事者を支援するために任命される。
子育てコーディネーターは、子育てコーディネーションを行うために裁判所から任命された個人である。
「高葛藤当事者」とは、継続的な意見の相違と葛藤がある当事者を指す。意見の相違や葛藤は、子どもの世話、養育時間のスケジュール、または子どもに悪影響を与えたその他の問題に関して、当事者が意思疎通し、問題解決図ることができないことに集中している。
本ガイドラインのいかなる内容も、養育時間、監護権、および養育費の問題を決定する裁判所の専属管轄権を制限、代替、または剥奪するものではない。
このガイドラインは、このガイドラインを採用し、発効した日以降に行う全ての子育てコーディネーターの任命に適用され、既存の子育てコーディネーション命令を修正するものではない。このガイドラインは、既存のインディアナ州法の下で、当事者が修正を申請する権利を制限するものではない。
B.資格
子育てコーディネーターは、登録されたインディアナ州家事関連メディエイターであり、更に、任命を行う裁判所が満足する子育てコーディネーションのトレーニングや経験を有しているものとする。子育てコーディネーターは、ADR規則1.5に基づき登録されたインディアナ州家事関連メディエイターとして、裁判官と同じ方法および同じ範囲での免責を有する。
C.任命と利用規約
子育てコーディネーターは、当事者の合意または裁判所の正式な命令によって就任するものとし、その命令は、子育てコーディネーターの権限と責任の範囲を明確かつ具体的に定めるものとする。
養育時間命令と同時に、または命令後に、裁判所は、当事者の同意を得て、または自らの申立てにより、子の最善の利益のために子育てコーディネーターを任命することができる。
両当事者の同意なしに裁判所が自身の判断で子育てコーディネーターを任命する場合、子育てコーディネーターを任命する命令には、その任命がこの事件において適切である理由を説明する書面が含まれていなければならない。
本ガイドラインに基づき、子育てコーディネーターが情報を入手し、命令で指定された通りにサービスを提供し、勧告を行う権限を与えるには、裁判所の命令が必要である。
ドメスティックアビューズやドメスティックバイオレンスが申立てられた事件、疑われる事件、あるいは、存在する事件では、子育てコーディネーターの任命は禁忌とされることがある。そのような事件で裁判所が子育てコーディネーターを任命する場合、ドメスティックアビューズやドメスティックバイオレンスの被害者である、またはその可能性がある人は、子育てコーディネーションのプロセスについて、また子育てコーディネーションセッションに支援者を同席させる選択肢について十分な説明を受けるべきである。子育てコーディネーションのプロセスに関与する全ての人の安全を確保するため、適切な手順が用意されるべきである。当事者間でドメスティックアビューズ、ドメスティックバイオレンス、または強制の脅威が続く場合、子育てコーディネーターが子育てコーディネーションのセッションを終了させるための手順が整備されているべきである。
子育てコーディネーションに関する裁判所命令に加え、当事者と子育てコーディネーターの間の書面による合意は、料金の支払い、請求方法、依頼料など、裁判所命令に含まれていない特定の問題を詳述するために使用されるものとする。裁判所は、合意がない場合、手数料を当事者間で配分する裁量権を有する。
当事者は、任命期間について合意することができるが、最初の任命期間は2年を超えてはならない。正当な理由がある場合、裁判所は子育てコーディネーターの任命を延長することができる。
裁判所は、子育てコーディネーターの必要性がなくなったと判断した場合、または別の正当な理由がある場合、いつでも子育てコーディネーターの任務を終了させることができる。正当な理由には、ドメスティックバイオレンスの問題や、人の安全やプロセスの完全性を損なうと思われるその他の状況が存在すると判断した場合も含まれる。子育てコーディネーターの更なる努力が子の最善の利益に反する場合、子どもが成年に達した場合、または子どもが当事者と同居しなくなった場合、その任を終了することができる。
子育てコーディネーターは、いつでも辞任する意思を当事者と裁判所に通知することができる。裁判所は、当事者が通知から10日以内に書面で異議を申立て、審問を要求しない限り、審問なしで辞任を承認し、子育てコーディネーターを解任することができる。
当事者は、裁判所の命令なしに、裁判所が任命した子育てコーディネーターのサービスを終了させることはできない。著しい裁量権の乱用や実質的かつ予期せぬ状況の変化がない限り、当事者は任命後6ヶ月以内に任命の司法審査を請求することはできない。しかしながら、裁判所は、いつでも子育てコーディネーターの任命を解除することができる。
最初の6ヶ月間が過ぎると、当事者は裁判所に任命を解除するよう申し立てることができる。子育てコーディネーターが権限を超えた、このガイドラインと矛盾する方法で行動した、偏見を示した、または別の正当な理由があると認められた場合、裁判所は任命を終了させることができる
最初の6ヶ月の期間後、当事者は共同で子育てコーディネーションのプロセスの終了を要求するか、任命の条件の変更を申立てることができる。任命の条件の変更または終了は、変更または終了が子の最善の利益である限り、正当な理由が示された場合に裁判所が行うことができる。
D.子育てコーディネーターの責任
子育てコーディネーターの役割は、以降の内容を含む。過去の家族と訴訟の出来事を評価すること。両親の行動が子どもに与える影響について当事者を教育すること。葛藤の管理を促進すること。他の紛争に対する養育計画と代替的解決策の策定において当事者を支援する。
子育てコーディネーターは、裁判所が発行した任命命令の要件を遵守し、それに従って行動するものとする。
子育てコーディネーターは、当事者、記録上の弁護士、関係する子どもまたは子どもたち、および裁判所と意思疎通を図ることができる。全てのコミュニケーションは、子育てコーディネーションのプロセスの完全性を維持し、当事者と子どもの安全を考慮するものとする。子育てコーディネーターは、保護命令を遵守し、当事者、子ども、子育てコーディネーターの安全を確保するために必要なあらゆる措置を講じるべきである。
子育てコーディネーターは、子育てコーディネートのプロセスに関連する文書を閲覧する権利を有する。子育てコーディネーターは、必要に応じて、当事者からの解放、または裁判所の命令を要求するものとする。
当事者が自分たちだけで、あるいは子育てコーディネーターの提案で紛争を決定、解決できない場合、子育てコーディネーターは、以下の🄔項に定めるとおり、更なる検討のために、当事者と裁判所に対し報告または勧告を行う権限を有する。
子育てコーディネーターは、事件の本案に関する実質的な事柄や問題に関して、任命裁判所と一方的に連絡を取ってはならない。
子育てコーディネーターは、法的な助言をしてはならない。
子育てコーディネーターは、犯罪であろうとなかろうと、子育てコーディネーターの機能を実行する子育てコーディネーターの能力に悪影響を及ぼすような活動を報告する継続的な義務を負っている。
子育てコーディネーターは、法律で義務づけられている通り、児童虐待やネグレクトを報告しなければならない。
子育てコーディネーターは、子育てコーディネーターが児童虐待やネグレクトの疑い、家族または第三者への深刻な危険性が明らかな場合、児童保護サービス、警察、その他の適切な機関に報告することを当事者に通知するものとする。
子育てコーディネーターは、法廷の内外で当事者や専門家と接する際、偏見の目で見られないようにすることも含め、独立性、客観性、公平性を保たなければならない。
子育てコーディネーターは、利害の対立が生じるようなケースで、複数の役割を務めてはならない。ある手続で子育てコーディネーターを務めた者は、その後の当事者間の紛争において、子育てコーディネーターとして活動することができる。しかし、子育てコーディネーターは、その後の交際が子育てコーディネートプロセスで提供されるサービスとは明らかに異なる場合を除き、子育てコーディネーター以外のいかなる能力でも行動することを拒否するものとする。子育てコーディネーターは、任命時に潜在的な利益相反を特定する効果的なシステムを利用することが要求される。
子育てコーディネーターは、あらゆる関係や活動から生じる明らかな利害の対立を避けなければならない。これには、雇用やビジネス、あるいは事件に関わる当事者やその他の人々との職業上または個人的な接触を含むがこれに限定されない。子育てコーディネーターは、子育てコーディネーターとしてのサービス以外、子育てコーディネーターが直接的または間接的に利益を得る可能性のある自己取引や結社を避けなければならない。
子育てコーディネーターは、利益相反の可能性がある場合、任命した裁判所と当事者に、利益相反を解決するために取った行動や提案について、助言するものとする。適切な情報開示の後、当事者全員の書面による同意があれば、子育てコーディネーターは任務を継続することができる。但し、利益相反により子育てコーディネーターの公平性が明らかに損なわれた場合は、子育てコーディネーターを辞退または解任するものとする。
E.報告、勧告、裁判所の措置
1. 書面に落とした取決めは、裁判所命令の修正を求めるものを含め、当事者と子育てコーディネーターが署名し、署名してから20日以内に、子育てコーディネーターが裁判所に提出し、検討されるものとする。提出された文書の写しは、当事者およびその弁護士に提供されるものとする。裁判所と一方的な連絡は取らないものとする。
2. 子育てコーディネーターの勧告は、当事者が合意していないものも含め、検討のため、子育てコーディネーターが、書面に落とした報告書として裁判所に提出することができる。書面に落とした報告書には、勧告した変更が全体としてどのように家族に恩恵をもたらすと予想しているかの説明を含めるものとする。子育てコーディネーターの書面の報告書には、子育てコーディネーターが各当事者とその弁護士に報告書の写しを送付したことを示す送達証明書を添付しなければならない。
3. いずれの当事者も、報告書が裁判所に提出されてから10日以内、または裁判所が指示する別の期間内に、書面の報告書に対する異議を裁判所に提出し、子育てコーディネーターおよび他のすべての当事者に送達することができます。
4. 異議に対する回答は、異議が送達されてから10日以内に裁判所に提出され、子育てコーディネーターと他のすべての当事者に送達されるものとします。
5. 裁判所は、報告および勧告を受領した場合、以下の3つの措置のいずれかをとることができる。
a.時間がないと判断した場合、裁判所は勧告を承認し、直ちに裁判所の暫定命令として採用することができる。但し、当事者が勧告に対して異議を申し立てた場合、裁判所は、勧告および勧告に賛成する当事者と反対する当事者の弁論を検討するための迅速な審理を設定するものとする。
b.裁判所は、勧告の全部または一部を却下することができる。但し、当事者が勧告に対して異議を申し立てた場合、または裁判所が勧告の全部または一部を却下したことに対して異議を申し立てた場合、裁判所は、勧告および勧告に賛成する当事者と反対する当事者の弁論を検討するための聴聞会を設定するものとする。
c.裁判所は、勧告に対して直ちに行動を起こしてはならない。裁判所自身の申立てまたは当事者の要請により、裁判所は、裁判所のカレンダーに勧告に関する聴聞会を設定することができる。
6. 子育てコーディネーターは、子育てコーディネーターの業務終了時に、当事者及びその弁護士に書面の報告書を提出するものとし、また、適宜、中間報告書を提出することができるものとする。
7. 裁判所への全ての提出物は、「裁判所記録へのアクセスに関する規則」を遵守するものとする。
F.守秘義務
1. 当事者およびその子どもと子育てコーディネーターとの間のコミュニケーション、子育てコーディネーターとその他の関係者または人物との間のコミュニケーション、および裁判所とのコミュニケーションなど、子育てコーディネーションの一環として行われるコミュニケーションは、法律で定められている場合を除き、機密扱いされないものとする。
2. 本ガイドラインのいかなる部分も、特権的な、あるいはセラピストとクライアントの間の特権的なコミュニケーションを作り出すことを意図していない。
付録 共同養育はうまく作用するのか?検討すべき質問
共同養育は、単に子育てにかかる時間や責任を分担するだけでなく、子どもの世話や子どものための決断をする際に、高度に一体化した二つの家を作るための意識的な努力を必要とする。子どもがあなたの家で育てられている間、共同養育の取決めでやっていくことを決定する前に、以下の質問を真剣に検討する必要がある。
1.共同養育を実践する親に要求される全てのことについて、十分に情報を得たと思いますか?
- 共同養育を行うにあたり、一方の親が自分の世帯で、またもう一方の親の世帯で連携して行うべきことを全て理解していますか?
- 共同養育を約束する親に、裁判所が何を期待しているかを理解していますか?
2.両方の親の家でほぼ同じ時間を過ごすことで、全ての子どもが恩恵を受けると思いますか?
3.一方の親と、もう一方の親が一緒に意思決定をすることで、より質の高い意思決定ができると思いますか?
4.両親のうち、どちらかが意思決定するのに適している特定の領域がありますか?
- 一方の親だけでなく、もう一方の親も、このことに同意していますか?
5.より専門的な知識を持つ親の意見をより重視したり、認めたりする意志はありますか?
6.親同士の意見の相違から子どもを守る手段をとりますか?
- もう一方の親は、一方の親との意見の相違から子どもを守る手段をとっていますか?
- 子どもは、自分たちに関係する領域で両方の親に大きな意見の相違があると信じていますか?
7.子どもとの肯定的な関係を築くための手段を講じていますか?
- もう一方の親は子どもと良い関係を築こうと努力していますか?
- 子どもは一方の親ともう一方の親がお互いに好きだと信じていますか?
8.もう一方の親との違いを克服するためのストレスは、日常生活に悪い影響を与えますか?
9.それぞれの親は、養育方法の相違を解決するために裁判所に頼ったことがありますか?
10.子どもは、共同養育を取決めることで最も幸せになると思いますか?
11.もし、他の人が子どもの世話を援助する場合、その人たちは、共同養育の取決めをすることを進んで援助すると思いますか?
(了)