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Cafcass SCODA:親の薬物摂取に関するリスク評価

この記事はカフカスの「SCODA: Risk assessment with parental drug use」を翻訳したものです。

 以下のチェックリストは、親の薬物使用に関するリスクアセスメントの一部として使用できる7つの主要な領域の概要を示しています。これらの領域は、イングランド、スコットランド、ウェールズの専門家以外の専門家が使用するために、薬物乱用に関する常設会議(SCODA)と地方政府薬物フォーラム(LGDF)によって開発されたものです。追加・変更箇所は斜体で表記しています。
 ドラッグネットのサイト用に開発された4つの採点カテゴリーは、「はい/いいえ」の回答を拡張し、子どもの安全に関する潜在的な問題は勿論のこと、前向きな子育ての証拠を特定することを目的としています。数値はあくまで一般的な目安です。採点が高いほど、リスクや懸念が高いことを示しています。このチェックリストの合計点に関する標準化された、あるいは有効な評価は開発されて「いません」。コメント欄は、各領域からの評価を要約するために使用しなければなりません。
 その後に再評価をすることで、評価者と親の両方が、進捗を認識することができます。このツールは、「アルコールまたは他の薬物使用の問題を抱える親または養育との関わり方」に概説されている10の薬物管理ステップと合わせて使用すべきです。
 このチェックリストは、可能であれば、親と一緒に記入すべきです。この情報を確認するため、あるいはそうでない場合に、副次的な情報(例えば、隣人や親類から)を得ることもできます(守秘義務に注意)。

[訳者註]薬物乱用に関する常設会議 SCODA(Standing Conference on Drug Abuse)
 1972年年にロンドンで設立。業務内容は⑴薬物乱用のパターンの変化に関する情報を共有できるフォーラムと公共政策立案機関の検討のために策定した推奨事項の提供、⑵ニーズの特定、既存のサービスの開発とそれらに役立つ新しいプロジェクトの開発の支援、⑶薬物乱用の問題とサービスの適切な評価に関する研究の奨励、ひいては機関スタッフのトレーニングの促進。2000年に薬物依存研究機関(ISDD)と合併し、ドラッグスコープDrugScopeが新たに設立された。

内容

親や養育者の薬物問題チェックリスト
採点のポイント
親の薬物摂取パターン
宿泊施設と家庭環境
基本的な生活必需品の提供
薬物の調達
健康リスク
家族の社会的ネットワークと支援システム
状況に対する親の認識
その他の子どもの安全に関する問題
その他の前向きな子育てに関する問題
調査結果の全体的なまとめ
交渉による勧告と目標

親や養育者の薬物問題チェックリスト

採点のポイント
数値は、保護要因、懸念事項、即時の介入を必要とするより深刻な問題を区別することのみを目的としています。
-1=確かにあり(確かにあり-祝福)
1=過渡期-(やや問題あり)
2=問題あり-(即時の注意を要する)
?=不明-(更なる情報が必要(または該当なし))

親の薬物摂取パターン

違法薬物を摂取していない親、協力者、親族がいるか?
     ( -1, 1, 2, ? )

親の薬物摂取は試しに使ったのか?快楽を得るためか?混沌状態になっているか?依存状態になっているか?
     ( -1, 1, 2, ? )

薬物摂取者は異なる時期にカテゴリーが変わっているか?違法薬物は、アルコールと一緒に摂取しているのか、他の薬物と組み合わせて摂取しているか?
     (1, 1, 2, ? )

親が薬物摂取していない/していなかったとき、子どもをケアするレベルは異なるか?
     ( -1, 1, 2, ? )

薬物摂取と同時に精神衛生上の問題が併存している証拠があるか?証拠がある場合、薬物がこれらの問題を引き起こしているのか、それともこれらの問題が薬物摂取につながったのか?
     ( -1, 1, 2, ? )

コメント:(                                )

宿泊施設と家庭環境

宿泊施設は、子どもにとって適切か?
     ( -1, 1, 2, ? )

親は家賃や請求書を確実に支払っているか?
     ( -1, 1, 2, ? )

家族は一つの地域に留まっているか、頻繁に引っ越しをしているか。後者の場合、その理由は?
     ( -1, 1, 2, ? )

他の薬物摂取者が同居しているか?同居している場合、関係は良好か、それとも対立があるか?
     ( -1, 1, 2, ? )

家族は薬物摂取者のコミュニティーに住んでいますか?
     ( -1, 1, 2, ? )

親が薬物を摂取している場合、子どもは薬物や類似の薬物の摂取を目撃していますか?
     ( -1, 1, 2, ? )

薬物摂取の他の側面が子どもにとってのリスクとなりえますか(例えば、売人との争い、あるいは売人同士の争い、薬物摂取に関連した犯罪行為にさらされる)?
     ( -1, 1, 2, ? )

アルコールやその他の薬物の摂取は、ドメスティックバイオレンス問題の一因となるか?
     ( -1, 1, 2, ? )

コメント:(                                )

基本的生活必需品の提供

子どものための十分な衣食住が確保されているか?
     ( -1, 1, 2, ? )

子どもは定期的に学校に通っていますか?
     ( -1, 1, 2, ? )

子どもは年齢に応じた活動をしていますか?
     ( -1, 1, 2, ? )

子どもの情緒的欲求は十分に満たされているか?
     ( -1, 1, 2, ? )

子どもたちの中に、家庭内で親の役割を担っている兆候があるか(例えば、他の子どもの世話、家事を過度に任されていたり等)?
     ( -1, 1, 2, ? )

コメント:(                                )

薬物の調達

親が薬物を調達している間、子どもは一人きりにされているか?
     ( -1, 1, 2, ? )

親の薬物使用のために、子どもは「危険」な場所に連れて行かれているか?
     ( -1, 1, 2, ? )

薬物のどれだけの金をかけているか?
     ( -1, 1, 2, ? )

その金はどのようにして手に入れているのか?
     ( -1, 1, 2, ? )

そのことで金銭的な問題を引き起こしているか?
     ( -1, 1, 2, ? )

敷地を薬物の販売に使っているか?
     ( -1, 1, 2, ? )

親は他の薬物摂取者が自分の敷地を使用することを許可しているか?
     ( -1, 1, 2, ? )

コメント:(                                )

健康リスク

薬物かつ/または注射の道具が敷地内にある場合、それらを安全に保管しているか?
     ( -1, 1, 2, ? )

子どもは、薬物が保管されている場所を知っているか?
     ( -1, 1, 2, ? )

親が静脈注射で薬物摂取をしている場合、
・親は注射器を共有しているか?
・親は注射針を交換して使用しているか?
・親はどのように注射器を処分するのか?
・親は、薬物を注射したり摂取することは、健康上のリスクだと知っているか?
     ( -1, 1, 2, ? )

親がメサドンのような代替処方プログラムを受けている場合、
・親は、子どもがこの薬物を手にすることの危険性を知っているか?
・そのようなことが起こらないように、親は十分な予防策をとっているか?
     ( -1, 1, 2, ? )

親は、注射針の交換、代替処方プログラム、デトックス施設、リハビリテーション施設などの問題について助言できる地元の専門機関を知っていて、連絡を取っている?親が専門機関と連絡を取っている場合、その連絡はどの程度定期的に行われているか?
     ( -1, 1, 2, ? )

コメント:(                                )

[訳者註]メサドン(methadone)
メサドンは、化学合成によって得られた、オピオイド系の鎮痛薬。ヘロインやコカイン、モルヒネなどの麻薬中毒患者にとっては、依存性や禁断症状が強く離脱することが非常に困難なため、オピオイド製剤を用いて少しずつ離脱する。

家族の社会的ネットワークと支援システム

親や子どもは、主に次のような人たちと付き合っているか?
・他の薬物摂取者?
・非摂取者
・両方ですか?
     ( -1, 1, 2, ? )

親族は薬物摂取について知っているか?
親族は薬物依存からの離脱を支援しているか?
     ( -1, 1, 2, ? )

親は親族からの援助を受け入れつもりか?
     ( -1, 1, 2, ? )

親は法定機関や非法定機関の援助を受け入れるつもりか?
     ( -1, 1, 2, ? )

社会的孤立の程度は、リソースが得られず、社会的スティグマを経験する可能性がある遠隔地に住む親に対し、特に考慮されるべきです。

コメント:(                                )

状況に対する親の認識

親は、自分の薬物摂取が自分自身や子どもにとって有害だと考えているか?
     ( -1, 1, 2, ? )

親は、子どものニーズより自分のニーズを優先しているか?
     ( -1, 1, 2, ? )

親は、自分たちの状況に適用される法律的・手続き的な背景(例:子どもの保護手続き、法的権限、その他の法的問題)を知っているか?
     ( -1, 1, 2, ? )

コメント:(                                )

その他の子どもの安全に関する問題

 (                                    )

その他の前向きな子育てに関する問題

 (                                    )

調査結果の全体的なまとめ
・(                                )
・(                                )
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交渉による勧告と目標
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・(                                )

情報元(親/養育者/隣人):(             )
事務所/社会福祉士:

日付:(          )
見直し日:(        )

 このチェックリストは、「薬物摂取パターン:Inter-Agency Workingに関する政策ガイドライン(1997)」に掲載された「薬物を使用する親と関わる際のリスク評価に関する専門家のためのガイドライン」に基づいています。当初は南東部ロンドンクリニック社会福祉家グループと薬物乱用に関する常設会議(SCODA)によって作成され、その後SCODAと地方政府薬物フォーラム(LGDF)によって修正されたものです。初出はSCODAニュースレター1986/87年12月/1月号。

(了)

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