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父母の離婚後の子の養育に関する海外法制について【中東・アフリカ】

 この記事は法務省HPに掲載されている「父母の離婚後の子の養育に関する海外法制について」の【中東・アフリカ】をnoteに転載したものです。

第1 サウジアラビア


1 離婚後の親権行使の態様

 子が判断能力を有する年齢に達するまで(一般的に7歳程度とされてい る)は,母が再婚するか又は不適格である場合を除いて,母の監護(custody) が優越する。母は,シャリーア(shari’a)の原則(コーランと預言者ムハ ンマドの言行を法源とするイスラム法)に基づいて,単独で又は裁判官が命 じる場合には父と共同で親権を行使し,教育や子の財産の管理等を行う。

2 離婚後の共同親権行使についての両親の意見が対立する場合の対応

 両親が親権の行使について合意することができない場合には,子の利益を考慮して,裁判所が決定を行う。裁判官は,両親それぞれの提案やどちらがより子の利益になるかを考慮し判断をする。児童心理学者の意見を聴くこともある。

3 共同親権行使における困難事項

 両親が国際結婚をしている場合が該当する。裁判官は,子が非イスラム文 化にさらされることを心配する傾向がある。

4 子がいる場合の協議離婚の可否

 子の有無にかかわらず,協議離婚をすることは認められている。その際に, 親権行使の態様について合意することもできる。

5 離婚後の面会交流

 裁判所が命じる場合には,警察等の公共機関の監督下で面会交流が行われることがある。

6 居所指定

 同居親が,非同居親の同意なく,子と共に居所を変更することは禁止され ている。

7 嫡出でない子の親権

 父が子を認知した後は,両親が共同して親権を行使する。

第2 トルコ


1 離婚後の監護の態様

 トルコ民法第337条は,例外的な場合(母が若年,死亡,親権を取り上 げられている場合等)を除き,母が親権を有すると規定しており,共同親権 を認めていない。

2 子がいる場合の協議離婚の可否

 子の有無にかかわらず,協議離婚は認められていない。

3 離婚後の面会交流

⑴ 面会交流についての取決め
 離婚の際に両親の間で取決め(protocol)がされていればそれに従い, 取り決められていない場合は,裁判所が判断する。

⑵ 面会交流の支援制度
 政府が面会交流について支援することは一般的ではないが,親権者が他方の親と子との面会交流を認めない場合には,当該他方の親は政府に支援を求めることができる。

4 居所指定

 離婚後は親権者が子の居所の決定権を有する。ただし,例外的に,裁判所 が面会交流を維持させるために転居を制限することがある。

5 嫡出でない子の親権

 トルコ民法第282条第1項,第2項により,子との親子関係は出産によ り認められ,母は婚姻関係になくとも子の親権を自動的に有する。父と子と の親子関係は婚姻,認知,裁判所の決定により認められるが,父に親権が与えられるか否かは裁判所の判断によって決定されるため,父と子との親子関係が認められても直ちに共同親権となるわけではない。

第3 南アフリカ


1 離婚後の親権行使の態様

 両親の離婚後に,共同で親権(guardianship)を行使することが認められているが,共同親権となっても,父母は,他方の親の同意が必要とされる特定の事項³⁰を除き,単独で親権を行使することができる。

2 離婚後の共同親権行使についての両親の意見が対立する場合の対応

 裁判官が第三者であるソーシャルワーカーを指名し,当該ソーシャルワーカーが,両親間の調停を行うことがある。ソーシャルワーカーは,ソーシャルワークの分野の修士号を取得している者が多い。

³⁰ ここでいう特定の事項には,子の結婚,子の養子縁組,子の国外への移住又は転居,子 の旅券申請等が該当する。


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