見出し画像

成人した疎外されていた子どもと標的にされていた親の観点から見た疎外後の再統合に関する質的探究

この文献はクリエイティブ・コモンズ・アトリビューション・ライセンス (CC BY) の条件に基づいて配布するオープンアクセスの記事です。原題名、原著者名は以下の通りです。
掲載書:Frontiers in Psychology. 2023 Aug 3
原題名:A qualitative exploration of reunification post alienation from the perspective of adult alienated children and targeted parents
原著者:Mandy Louise Matthewson, Jessica Bowring, Jacinta Hickey, Sophie Ward, Peta Diercke, Leesa Van Niekerk
著作権:© 2023 Matthewson, Bowring, Hickey, Ward, Diercke and Van Niekerk

成人した疎外されていた子どもと標的にされていた親の視点から見た疎外後の再統合に関する質的探究

マンディ・ルイーズ・マシューソン、ジェシカ・ボウリング、ジャシンタ・ヒッキー、ソフィー・ワード、ペタ・ディエルケ、リーサ・ヴァン・ニーケルク

はじめに: 本研究の目的は、成人した疎外されていた子どもと標的にされていた親の視点から、自発的な再統合の経験を探究することである。

方法: 半構造化インタビューに、9人の成人した疎外されていた子どもと12人の標的にされていた親が参加し、その内容を逐語的に書き起こし、テーマ別に分析した。

結果: 成人した疎外されていた子どものデータからは、再統合のきっかけ、再統合に影響を与える要因、成人した疎外されていた子どもの人間関係、再統合におけるコミュニケーションの役割、再統合後の疎外についての成人した疎外されていた子どもの理解、再統合におけるセラピーの役割など、6つのテーマが浮かび上がった。標的にされていた親からは、再統合とは何か、再統合に影響を与える要因、再統合後の生活など、3つのテーマが浮かび上がった。

考察: 本研究の知見は、成人した疎外されていた子どもと標的にされていた親の両方の視点から、自発的な再統合の経験に関する新たな洞察を提供する。これらの事例は、自発的な再統合は時間のかかるプロセスであることを示している。このプロセスは数十年に及ぶことがあり、結合と拒絶の期間が含まれる場合がある。

キーワード
片親疎外(PA)、片親疎外行動、標的にされた親、疎外された子ども、トラウマ情報に基づくアプローチ

片親疎外とは何か?

 片親疎外は、子どもが一方の親(疎外する親)と強く結びつき、もう一方の以前は愛していた親(標的にされた親)との関係を拒否するときに発生する(Bernet et al., 2010)。標的にされた親に対する拒絶は、標的にした親と子どもの関係を弱体化するために疎外する親が一貫して使用する片親疎外行動がもたらす当然の結果である(Haines et al., 2020)。片親疎外は、一般に別離や離婚の状況で発生する。
 疎外された子どもと標的にされた親との関係は、往々にして、引きこもり、敵意、または軽蔑によって特徴付けられる(Clawar & Rivlin, 2013)。疎外された子どもと標的にされた親の間のアタッチメントが歪んでいるのは、疎外する親が、子どもが標的にしている親と過ごす時間を邪魔すると同時に、疎外された子どもに標的にしている親に関する不正確なメッセージを伝えるためだと言われている。そのような不正確なメッセージ、および標的にされた親と継続的に過ごすことができないことにより、疎外された子どもが標的にされた親とともに過ごした現実の出来事、および標的にされた親に安心感を抱いていた経験は覆される(Baker, 2007; Harman et al., 2021)。片親疎外行動に曝さらされた親子の行き着く先は、たいてい、親子関係の完全崩壊と親子関係の喪失である(Baker, 2007; Bentley and Matthewson, 2020; Harman et al., 2021; Verhaar et al., 2022)。
 疎外する親によって、使用する片親疎外行動の種類と数に大きな違いがある。一般的な片親疎外行動には、子どもと標的にしている親の感情的操作を行うこと、子どもが標的にしている親と過ごす時間を妨害すること、標的にしている親が受け取るべき子どもに関する情報を隠したり妨害したりすること、標的にしている親に逆らうよう子どもを促すこと、子どもに向かって、または子どもの前で標的にしている親を中傷したり侮辱したりすること、標的にしている親を子どもの生活から消し去ることなどが含まれる(Haines et al., 2020; Harman and Matthewson, 2020)。

ファミリーバイオレンスとしての片親疎外行動

 片親疎外行動は、文献においてファミリーバイオレンスの一形態であると広く考えられている(例えば、Bentley and Matthewson, 2020; Haines et al., 2020; Harman and Matthewson, 2020; Lee-Maturana et al., 2020; Verhaar et al., 2022)。ファミリーバイオレンスとは、家族の一員が他の家族に対して行う暴力行為と定義されている。これには、同棲中または非同棲中のパートナーまたは元パートナーによる暴力、親密なパートナーによる暴力(IPV)、および子どもの虐待とネグレクトが含まれる(Chalk & King, 1998)。ファミリーバイオレンスの中心にある特徴は、強制的な支配である。強制的な支配は、家族の一員が他の家族に対する権力を維持し、その自立と選択を制限するために使用する、広く行き渡った行動様式である。これには、被害者やサバイバーを他の家族、子ども、友人から孤立させ、リソース、家計へのアクセスをコントロールし、被害者やサバイバーの日常生活を規制することが含まれる(Candela, 2016)。恐らく、強制的な支配は片親疎外行動の核心である。

片親疎外行動の影響

 片親疎外行動の影響は甚大かつ深刻である。片親疎外行動は、疎外された子どもの現実を歪め、現実検討を阻害する可能性がある。片親疎外行動は、子どもの対人関係の発達を阻害し、子どもが社会的に引きこもったり、他者との人間関係に困難を抱えたりする原因となる。これらの影響は往々にして永続する(Baker, 2007; Bentley and Matthewson, 2020; Haines et al., 2020; Verhaar et al., 2022)。成人した疎外されていた子どもは、親から疎外されたことに対する反応として、うつ病、不安症、低い自尊心、薬物乱用、トラウマ反応を経験したと報告している(Baker, 2007; Bentley and Matthewson, 2020; Verhaar et al., 2022)。成人した疎外されていた子どもは、罪悪感や羞恥心、自分自身や他人への不信感を経験したと述べている(Baker, 2007; Bentley & Matthewson, 2020; Verhaar et al., 2022)。更に、成人した疎外されていた子どもは、自分の子どもから疎外されることもある(Verhaar et al., 2022)。片親疎外的行動のために自分の子どもから疎外された親は、中程度から重度のうつ病、不安症、ストレス(Vassiliou and Cartwright, 2001; Baker, 2010b; Balmer et al., 2018)、社会的孤立、無力感、孤独、絶望、自殺念慮(Vassiliou and Cartwright, 2001; Balmer et al., 2018; Poustie et al., 2018; Lee-Maturana et al., 2020)を経験していると報告している。
 片親疎外行動と片親疎外の影響は、アタッチメント理論を使って理解することができる。Bowlbyは、健全なアタッチメントを形成し維持するには、子どもと監護者との間の継続的で温かく関わりのある接触が必要であると規定した。これらの条件のいずれかが満たされない場合、アタッチメント、特に安全基地は形成できない(Bowlby, 1988)。疎外された子どもは、片親疎外行動を通じて、標的にされた親が自分を求めていない、または愛していないと信じ込まされる。このプロセスによって子どもの批判的思考力が劣化し、自分の認識を信頼する能力が損傷を受け、その結果、自分は愛されない存在であり、標的にされた親は安全ではなく、自分を愛していないという内的作業モデルが形成される(Harman & Lorandos, 2021)。これは、子どもと標的にされた親との間の心理社会的発達と安定したアタッチメントの維持に悪影響を与える。幾つかの研究がこれを裏付けており、成人した疎外されていた子どもは、大人になってからの人間関係において安定したアタッチメント関係を築く可能性が低くなることを示している(Baker, 2007; Bentley and Matthewson, 2020; Harman et al., 2021; Verhaar et al., 2022)。

自発的再統合

 片親疎外後、標的にされていた親と子どもの間で再統合が生じることがある。再統合は、治療的介入や法的介入によって生じることがある(Templer et al., 2017を参照)。自発的再統合(自然派生的再統合とも呼ばれる)は、疎外された子どもが裁判所命令や治療とは無関係に、標的にされていた親との関係を修復しようと積極的に試みる場合に起こるプロセスと定義できる(Darnall & Steinberg, 2008b)。
 自発的再統合を探究している調査は限られている。これまでの研究は、自発的再統合のきっかけに焦点を当ててきた。Baker(2007)は、成人した疎外されていた子どもの経験を調査し、11件の再統合のきっかけを特定した。これには、子どもの心身が十分に成長することで、子ども時代の経験をより客観的に振り返る認知能力が備わる、疎外する親が子どもに攻撃を仕掛ける、親として片親疎外を経験する、標的にされていた親が子どもの生活に戻ってきて、子どもが自分とともに経験したことを伝え、疎外していた親の物語に異議を唱える、標的にされていた親と再び繋がる必要性を喚起する節目を迎える、内省を促す安全で非批判的な空間である治療に参加する、拡大家族の介入、大切な人の介入、疎外していた親が他人を虐待しているのを目にする、疎外していた親が不誠実だったことに気付く、親になる、が含まれていた。自発的再統合は、成人した疎外されていた子どもの生活に危機や大きな変化が起こったことがきっかけになることもある(Rand & Rand, 2006; Darnall & Steinberg, 2008a,b)。
 Rand & Rand (2006)、Baker (2007)、および Darnall & Steinberg (2008a,b) は、自発的再統合の成功を定義することの難しさを強調した。そのプロセスが脆弱で直線的ではないためである。疎外された子どもと両方の親の間に継続的で健全な関係が再開した場合に、自発的再統合が成功したことになる。この定義によると、Darnall & Steinberg (2008a) の研究では、自発的再統合の3分の1が成功と見做された。Darnall & Steinberg (2008a,b) は、自発的な再統合が成功したのは、標的にされていた親が、子どもの過去の出来事の解釈や記憶が間違っていると子どもを説得しようとする欲求に抗ったことが一因であろうと指摘した。自発的な再統合の成功を妨げた要因には、標的にされていた親が子どもの期待に応えなかったり、共感や感情的な対応が欠けていたりすることが含まれていた(Darnall & Steinberg, 2008a,b)。
 Baker & Fine (2014) は、子どもと再統合した標的にされていた親の経験を調査した。彼らは、標的にされていた親が再統合の希望を決して捨てず、疎外された経験を子どもの視点から見ることができ、子どもに対して現実的な期待を持ち、子どものペースで進めて行けば、再統合が可能であることを見出した。これは、標的にされていた親が片親疎外について教育を受け、情報を得たことで可能になった。
 自発的再統合のプロセスに関する研究は限られているため、本研究の目的は、自発的に親と再統合した成人した疎外されていた子どもと標的にされていた親、および自発的に子どもと再統合した標的にされていた親の両方の経験を調査することである。現在、自発的再統合のプロセスを通じて家族を支援するように設計された介入プログラムが不足しており(Haines et al., 2020)、本研究の結果は、介入プログラムに関する推奨事項の提供に役立つ可能性がある。

方法

参加者

 本研究の参加者は、少なくとも1人の子どもと再統合した標的にされていた親と特定された9人、即ち、標的にされていた親と再統合した成人した疎外されていた子どもと特定された7人(そのうち6人は現在自分の子どもと疎外されている)、および再統合した標的にされていた親および再統合した成人した疎外されていた子どもと特定された2人である。合計で、11人の標的にされた親が子どもとの再統合の経緯を提供し、9人の成人した疎外されていた子どもが親との再統合の経緯を提供した。
 成人した疎外されていた子どもの年齢は41~61歳。出身地はオーストラリアが3人、アメリカが6人。成人した疎外されていた子どもは全員女性で、2人は母親と再統合し、7人は父親と再統合していた。報告によれば、成人した疎外されていた子どもは、親から7~19年間疎外されていた。成人した疎外されていた子どもの中には、再統合してからどれくらいの期間が経ったかを数値化するのが困難な子もいた。この期間には「完全に再統合していない」から再統合してから20年以上経過までの幅があった。なかには、成人した疎外されていた子どもが、数十年間標的にされていた親とコンタクトを取っていたが、親との関係が完全に再統合したとは考えていない、と述べたケースもあった。
 標的にされていた親の年齢は47~65歳。出身はオーストラリアが7人、タイが1人、アメリカが1人、カナダが1人、南アフリカが1人。8人が女性、3人が男性と特定された。報告によれば、標的にされていた親は、1~3人の子どもと疎外され、1~3人の子どもと再統合していた。殆どのケースで、標的にされていた親は全ての子どもと再統合していなかった。標的にされていた親は、2~15年間子どもから疎外されていた。標的にされていた親は、子どもと再統合してからどのくらいの期間が経ったかを数値化することが困難だった。再統合してからの推定期間には、2週間から4年の幅があった。

手順と資料

 倫理承認は、タスマニア大学社会科学人間研究倫理委員会から取得した。本研究の参加者募集は、ソーシャルメディアの広告、片親疎外の影響を受けた人々のためのオンライン支援グループ、心理学の診療所での広告を通じて、国内外で行った。広告は、以下の情報で構成した。「親同士の葛藤が原因で、幼い頃に両親のどちらかと疎遠になりましたか?パートナーまたは元パートナーとの葛藤が原因で、子どもと疎遠になりましたか?その後、コンタクトが途絶えた親もしくは子どもとの関係を再構築しましたか?本研究は、疎外されていた親と成人した子どもとの再統合のプロセスを調査しています」。関心のある人は、研究チームに電子メールで連絡するようお願いした。メール受取り後、本研究の目的と性質に関する情報レター、同意書、スクリーニング質問票を送付した。標的にされた親のスクリーニング質問票は、もともと Balmer et al.(2018)が開発・採用したもので、メール送信者に、自分の子どもが13の一般的な片親疎外行動に曝されたかどうかを尋ねるものである。13項目のうち少なくとも6項目に同意した人を、参加資格があると見做した。成人した疎外されていた子どもには、「ベーカー戦略質問票(BSQ)」(Baker and Chambers, 2011) への記入を求め、記載されている片親疎外行動の50%以上を経験したと報告した場合、参加資格があると見做した。全ての人が、片親疎外後に再統合したと特定された。
 研究参加に適格とされた人は、60~90分の半構造化質的インタビューで、片親疎外とその後の再統合の経験を研究者と共有した。インタビューは、ZoomまたはSkypeを介して実施した。どちらのツールも、質的データ収集に使用するのに適切かつ実行可能であると考えられた(Drabble et al., 2016; Lo Iacono et al., 2016; Archibald et al., 2019)。インタビューは正確を期すために音声録音し、逐語的に書き起こした。参加者には、データの正確性と明瞭性を最大限に高めるために書き起こしを編集する機会を与えた。データ分析には、編集済みの書き起こしだけを使用した。

データ分析

 本研究では、質的記述的デザインを採用した。質的記述的デザインの目的は、(個人または個人のグループが経験した)出来事の要約を日常言語で提供することである(Sandelowski, 2000)。この形式のデザインでは、推論が少なく事実に基づいた方法でデータを記述できる。
 データ駆動型アプローチを可能にするため、データの分析には帰納的アプローチを使用した。テーマを明示的なレベルで特定し、潜在的な偏見、あるいは研究者の個人的な動機や意見を軽減した。徹底したデータ分析を確実に行うため、Braun & Clarke(2021)のテーマ分析の6段階モデルを使用した。6段階モデルには、データ・ファミリアゼーション、初期コードの生成、潜在的な包括的テーマの検索、テーマのレビュー、テーマの定義と命名、レポートの作成が含まれる。
 データ信頼性は、Lincoln & Guba(1985)から引用した Forero et al.(2018)の4次元基準を使用して決定した。基準には、信用性(credibility)、伝達可能性、信頼性(dependability)、および確認可能性が含まる。信用性は、インタビュー・プロトコルの開発、プロトコルの適用に関する研究者のトレーニング、テーマとサブテーマを個々の書き起こしと比較するおよび既存の文献と比較することによるデータの三角測量を通じて確立した。データについて議論するため、研究者の定期的な会議を開催した。伝達可能性は、データ飽和に達することによって達成した。データ飽和は、データセットに新しいテーマが見られなくなった時点で達成した。信頼性は、データと分析の監査証跡を保持することによって達成した。データは、QSRインターナショナル社NVivo-11 データ分析ソフトウェアに保存した。データは、テーマとサブテーマの識別とコーディングに一貫性のある4人の研究者がコーディングした。確認可能性もこれらのプロセスを通じて達成された。

結果

成人した疎外されていた子どもの再統合についての経験

 6つのテーマが特定された:⑴再統合のきっかけ、⑵再統合に影響を与える要因、⑶疎外されていた子どもの関係、⑷再統合におけるコミュニケーションの役割、⑸再統合後の疎外されていた子どもの片親疎外に対する理解、⑹再統合における治療の役割。

再統合のきっかけ

 成人した疎外されていた子どもは、再統合のきっかけを幾つか挙げ、その中で3つのサブテーマを特定した。

成人した疎外されていた子どもの準備
 5人の成人した疎外されていた子どもは、標的にされていた親との再統合を求める上での重要な要因として、自分自身の準備を挙げた。準備とは、片親疎外後に両親の両方を受け入れる準備ができていると感じることが含まれていた。

私が人生で何よりも望んだことは、欠けたものがない家族を持つことでした。そして、私は両親をありのままに受け入れるつもりでした。

 準備とは、成人した疎外されていた子どもが疎外後に標的にされていた親を愛することを自分自身に許すことであった。

… 父のところに行って父を抱きしめたとき、私は父を愛することを自分自身に許したのだと思います。それが再統合ということだと思います… 再統合とはその許しであり、「私はあなたを愛していいんだ」という感覚だと思います。

 他の成人した疎外されていた子どもたちは、欠けたものがない感覚や問題を解決する感覚を求めて、標的にされていた親との関係を模索する準備ができていると述べた。

私は自分の居場所を見つけたいと感じていました… 私が存在すら知らなかった親がそこに居ました… 私は自分自身の一部が欠けているように感じていました… 私にとって必要な僅かな部分が… ただあることを解決したかったのです。

離婚または片親疎外についての個人的経験
 3人の成人した疎外されていた子どもは、離婚と自分の子どもとの疎外が、子ども時代を振り返るきっかけになったと述べた。彼らは疎外していた親の行動に疑問を持ち始め、標的にされていた親の観点から自分自身の疎外についてより興味を持つようになったと述べた。

そして、そのとき私は気づき始めました。「ちょっと待って、もし[元パートナー]が、私について平気でこのような嘘をついて回り、みんなが彼を信じているのなら、私の母は父について同じことを私にしていたのだろうか?」

家族の病気または死
 2人の成人した疎外されていた子どもは、家族の病気または死が、標的にされていた親との再統合を求めるきっかけになったと述べた。成人した疎外されていた子どもの1人は、家族の一員が死亡した後、標的にされていた親に対する思いやりと愛情を経験し、それが再統合に繋がったと述べた。もう1人の成人した疎外されていた子どもは、愛する人を失った悲しみに対処するには、一人で嘆き悲しむより、寧ろ標的にされていた親と一緒になって支援を受けることの重要性を認識したと報告した。

再統合に影響を与える要因

 成人した疎外されていた子どもは、標的にされていた親との再統合に影響を与えると考えられる幾つかの要因について言及した。3つのサブテーマに要因を分類した。

疎外していた親
 7人の成人した疎外されていた子どもが、疎外していた親が再統合を妨害したと報告した。一部の子どもにおいて、疎外していた親が再統合に積極的に反対する行為を妨害に含んでいた。疎外していた親が、再統合のプロセス中に成人した疎外されていた子どもが標的にされていた親に対して抱いていた否定的な信念や不満を強化することも妨害に含まれていたと報告されていた。

つい最近、私は[疎外していた親]に、実は[標的にされていた親]に再びコンタクトを取っていると伝えましたが、…母はその話を聞きたがりません。それは感じます… [標的にしていた親]の名前に触れると、母の全身が緊張します…でも、私が話の向きを変えて「父は厄介者だ」と言うと、母はとても喜ぶのです。すると母は私に同意します。そして緊張を緩めます。その後に、父が厄介者だったという話をするのです。

 成人した疎外されていた子どもの中には、疎外していた親の影響が疎外後の思考や行動に長く続き、それが再統合の試みを阻止する可能性があると言及した者もいた。標的にされていた親とのコンタクトを回復しようとしたところ、疎外していた親に拒絶されたという報告もあった。ある成人した疎外されていた子どもは、疎外していた親が再統合に及ぼす影響が、疎外していた親自身の死後に、どれほど続いたかを述べた。

[疎外する母]の死は、私と[標的にされていた父]との関係に悪影響を及ぼしたと思います。[標的にされていた父]は、疎外する母が死んだことで、今はもう母の影響が消滅し、再統合の扉が開かれると見ていたと思います、未だに母の影響が残っていることに気づかずに…[疎外する母]の死後、私は恐らく以前よりも頑強に母にしがみついていました。母が亡くなる前の方が、私はもっとオープンになっていたと思います。というのは、より多くの時間を母の欠点の理解と、その欠点の対処に充てることができたでしょうし…状況を受け入れることもできたでしょうから。

他の家族や友人
 4人の成人した疎外されていた子どもは、疎外していた親以外の人たちが再統合を妨害したと述べた。これらの人たちには、兄弟姉妹、継父母、親戚、友人が含まれる。

これは本当に厄介。とにかく角厄介なんです。なぜなら、非常に多くの人が関与するので、本当に大切に思っている人との関係を築くのが本当に、本当に難しくなるからです。

 また、疎外していた親が使用した片親疎外行動の影響を受けなかった家族のメンバーが、再統合を促進する上で積極的な役割を果たしたと報告されていることにも注目すべきである。

… 家族のネットワークのより大きな支援が、[再統合]をより簡単で寛いだものにする大きな要因でした… 彼らは私を夕食に招待してくれました。そして、私たちは楽しい家族団欒の時間を過ごすことができたのです… これは大きな助けになりました。

物理的な距離
 成人した疎外されていた子ども2人は、標的にされていた親との物理的な距離が再統合を妨げたと報告した。

成人した疎外されていた子どもの関係

 成人した疎外されていた子どもは、再統合プロセス全体を通して個人的な関係の性質を説明した。彼らの説明から3つのサブテーマが浮かび上がった。

成人した疎外されていた子どもと標的にされていた親との繋がり
 8人の成人した疎外されていた子どもは、再統合の殆どの期間を通じて標的にされていた親が自分たちにとって如何に馴染みのない存在であったかを述べた。彼らは親子のアタッチメント関係の欠如について語った。

私は[標的にされていた親]を愛していません…本当に、そこには何もないのです…全く絆がありません…そして、その感情を齎しているのは…私が成人するまで父親とのコンタクトが全くなかったという事実です。

 他の子どもは、疎遠で、居心地が悪く、緊張した関係について説明した。

[標的にされている親]は私にとても似ています…私はそのことがとても気に入っています。そして私たちが持っている優しさ、優しさはあるのですが…肉体的なアタッチメント…その自然さがないのです。

 5人の成人した疎外されていた子どもは、標的にされていた親にアタッチメント感じたと報告した。そのアタッチメントは親子の絆、または相互の愛と理解の形をとっていた。

実際のところ、[標的にされていた親]との関係を築くためにゼロから始める必要はないのです…本当にゼロからではありません。というのは、ご存知のように、どれほど埋もれていようと、私たちには絆があるからです…あの人は私の母だからです。

 アタッチメントは、成人した疎外されていた子どもと標的にされていた親の外見や性格の類似点に気づくこととしても説明されました。

私は[疎外していた親]や妹とは似ていませんでした。その後、[標的にされていた親]に会ったとき、「わあ、そうか、私は[標的にされていた親]に似ているんだ…」と思ったんです。

再統合に必要とされる時間と努力
 5人の成人した疎外されていた子どもは、標的にされた親(TP)との再統合には長期間にわたる双方の相当な努力が必要だったと説明した。再統合のプロセスは数十年に及び、コンタクトと疎遠の期間を伴った。成人した疎外されていた子どもは、関係を維持するためには、互いに努力を継続することが必要であると述べた。

人というものは複雑で入り組んだ存在なので、明確なことは何もありません。再統合と呼ばれるこの概念は、ご存じの通り、簡単に起こる類のものではありません。熟考し、エネルギーを注ぎ込まなければならないものです。全ての人間関係がそうであるように。

成人した疎外されていた子どもの不信感
 4人の成人した疎外されていた子どもは、再統合のプロセス全体を通して他人を信頼するのが難しかったと報告した。彼らはこれを、片親疎外と片親疎外的行動の悪影響に起因すると考えた。4人の成人した疎外されていた子どもはまた、不信感が内在化し、自分自身-即ち、自分自身の思考、判断、感情を信頼するのが難しいと報告した。

「すべきか、すべきでないか」「できるか、できないか」「これはどういう意味か」「ここに隠された動機は何なのか」「これは本物か、本物ではないのか」、人は絶えず判断する必要があります。…ご存じの通り、何十年も経った今でも、私は同じ問題を抱えています…[標的にされていた親]は常にとってもとっても誠実でしたが、私は「そうすべきか、そうでないか」という葛藤を抱えていました。

再統合におけるコミュニケーションの役割

 成人した疎外されていた子どもは、再統合におけるコミュニケーションの役割について説明した。これには、成人した疎外されていた子どもと標的にされていた親とのコミュニケーション、成人した疎外されていた子どもと疎外していた親とのコミュニケーションが含まれる。3つのサブテーマが特定された。

再統合を促すためのコミュニケーションスキルの欠如
 4人の成人した疎外されていた子どもは、再統合を促すためのコミュニケーションスキルを持っていないと述べ、標的にされていた親も同様だった。

[片親疎外]は、誰にとっても話し合うのが非常に難しいトピックだったと思います。なぜなら、明らかに、緊張感でいっぱいだったからです…起こった全てのことで。難しく、感情的に緊張の伴う話題についてコミュニケーションをとるにはスキルが必要で、そのスキルは学ぶことができると思います。けれど、周りにそのスキルを教えられる人がいなければ、誰もが黙り込むことを学ぶだけなのです。

再統合を促すコミュニケーションの種類
 成人した疎外されていた子どもへの全インタビューから、標的にされていた親が使用する3つの主要なコミュニケーション戦略-即ち、客観的で、粘り強く、思いやりのあるコミュニケーションが、再統合を成功させるのに最も役立つように思われた。これらの戦略は、信頼を築くために重要であるように思われた。

でも、私はただ、[標的にされていた親]は心を開き、正直で、どんな質問からも逃げずにいてくれたこと、まさに心を開いたコミュニケーションと父の優しさだったと思います。父は身構えたりせず、私が言うような、あるいは[疎外していた親]が「でも、これこれこういうことをしたんでしょ」と言うようなことはなく、[標的にされていた親]は自分の言い分を話し、決して[疎外していた親]を貶めたりしませんでした。私が父により信頼を寄せるようになったかなりの部分は、恐らく父のその姿勢が要因だと思います。

 標的にされていた親による、粘り強い(ただし不必要に頻繁ではない)コミュニケーションの試みが、再統合を促すのに役立ったと報告されている。試みられたコミュニケーションの形態には、電話、メッセージ、手紙、イベントへの出席が含まれていた。

毎日連絡を取り、毎日テキストメッセージを送る親がいますが、その行動は良くないと思います。その行動に対し子どもが感覚麻痺を起こすのはとても容易いのです。大したことではないと感じるようになるのです。[標的にされていた父]は、私が父を嫌い、父に対し怒りを抱いていたにも拘らず、時々連絡をくれたことは事実だと思いますし、父が姿を見せていたので、父の事を忘れられなかったのだと思います。

 成人した疎外されていた子どもの中には、疎外していた親の影響で、標的にされていた親がコミュニケーションを試みていたことに気付かなかったと言う者もいる。しかし、再統合のプロセスを通じてこれらの試みについて知ることも、再統合を促進するのに役立った。

[標的にされていた親]が私に手渡したのは…束…10インチ程の書類の束でした。父はただそれを私に渡したのです。私が頼んだわけではありません。父はただ、そう、「これが、私が長年保管してきたもの全てだ」という感じでした。父は私の高校の卒業式に出席していましたが、私はそのことを知りませんでした…渡されたその書類を全て読み終える頃には、私は泣き崩れていました。そう、その書類を読めば、私が知っておくべきことがわかるので、父は何も語らずに書類を手渡したのだと思います。

再統合を妨げるコミュニケーションの種類
 成人した疎外されていた子どもは、自分自身、標的にされていた親、疎外していた親が再統合を妨げる3つのコミュニケーションの種類、即ち、回避的コミュニケーションまたは反応的コミュニケーション、過去に焦点を当てたコミュニケーション、対立的コミュニケーションに気付いた。5人の成人した疎外されていた子どもは、標的にされていた親または疎外していた親が疎外に関する会話を避けたり、会話に反応的である場合、疎外された子どもが人間関係を強固にする能力が妨げられると報告した。

私は物事に疑問を抱いており、時には[疎外していた親]または[標的にされていた親]と話すこともありました。特定のことについて話せはしましたが、私が何かを尋ねると、親が怒り出し、平常心を失うことがしょっちゅうでした。私の母か父のどちらかが、あるいはどちらもが、神経を逆なでされるのだと思います。なので、その手の話題には触れない方が一番だと、すぐさま学びました。

 5人の成人した疎外されていた子どもは、標的にされていた親が過去に焦点を当てたコミュニケーションを図ることで再統合を妨げるとも言及した。成人した疎外されていた子どもは、こうした会話が感情的に困難で、不信感や防衛心を生む原因にもった。

父[標的にされていた親]は「ねぇ、お父さんが以前住んでいたあの家を覚えてる?あの家に来ては、ブランコやこの木で遊んだよ」と言いました、父はその時のことを全て鮮明に覚えていましたが、私の方はと言えば基本的に何も思い出せなかったので、父を嘘つきと呼びました。

 2人の成人した疎外されていた子どもは、標的にされていた親とのコミュニケーションに対立的なアプローチを取っていると報告した。そのアプローチが親子関係の距離を更に広げた。

[標的にされていた親]に会った際に、母の立場に立って共感することができませんでした…実際、「どうして電話してくれなかったの?どうして誕生日プレゼントを一度も送ってくれなかったの?どうして…しなかったの?」とだけ言っていました。私は母にこれら全てのことを詰め寄ったのですが、ふぅ、母は「あなたって、ホントお父さんにそっくりね」と言ったんです。

成人した疎外されていた子どもの再統合後の疎外に対する理解

 成人した疎外されていた子どもは、標的にされていた親と再統合した後、片親疎外に対する理解を共有した。内省を5つのサブテーマに分けた。

疎外に対する責任の留保
 7人の成人した疎外されていた子どもは、再統合後の疎外についてどちらの親も責めていないと述べた。代わりに、両親をありのままに受け入れ、両方の視点を見ることができた。彼らはもはや両親のどちらかを選ぶ義務を感じていなかった。

大人になった今、私は人には欠点があり、私の両親にも欠点があることを理解しています。そして、母が全て善で父が全て悪だったわけではありません。人間は複雑です。

理想的な親子関係の欠如
 5人の成人した疎外されていた子どもは、両親との関係の性質が彼らの理想とはかけ離れていることを認めた。

しかし、後から考えてみると、私は父との関係が思ったほど良好ではなく、母との関係も思ったほど良好ではなかったと言わざるを得ません。両親との関係は私にとって波乱に満ちていました。

親に対する同情
 4人の成人した疎外されていた子どもは、両親の一方または両方に同情を示した。彼らは、再統合後、疎外が標的にされていた親に与えた悪影響を理解できたと述べた。ある者は疎外していた親の行動が彼ら自身の生い立ちの産物であると認識し、疎外していた親に対して悲しみを表した。

恐らく、私は自分自身よりも[両親]に対して悲しみを感じています…特に[疎外していた親]は、自分が成長中に経験したこと、自分が単なる産物…自分が経験した行為の産物に過ぎなかったことを今では分かっています。両親はどちらももっと幸せな人生を送ることができたと思いますが…この片親疎外は非常に強力です。片親疎外は非常に有害で、多くの人に影響を与えます。

疎外する親の行動に対する内省

 3人の成人した疎外されていた子どもが、片親疎外行動に対して内省した。彼らは、標的にされていた親に敵対させられたこと、標的にされた親との関係を築く機会がなかったことについて考察した。

大人になってから、どのような選択がなされたかを振り返ってみると、私が[疎外していた親]に対し常に抱いていた問題は、その状況で私が考慮されていなかったことでした。子どもの頃の私のニーズと、[標的にされていた親]との関係を持つことや関係を持つ必要があるという私のニーズは考慮されませんでした。つまり、私が[標的にされていた親]と関係を持つことを必要とする重要性や価値を、[疎外していた親]は理解していなかったのです。

罪悪感と羞恥心
 3人の成人した疎外されていた子どもは、ある程度の罪悪感と羞恥心を覚えた。

まあ、罪悪感を覚えたのでしょうね。それが私の責任かどうかはわかりませんが、[標的にされていた親]が[片親疎外行動]を経験しなければならなかったことに罪悪感を覚えました。

再統合における治療の役割

 3人の成人した疎外されていた子どもは、再統合について話し合うために治療を受けたと報告した。2人の成人した疎外されていた子どもは、自分自身の感情を理解する方法と両親を平等に見る方法を学んだため、治療の恩恵を受けたと述べた。

セラピストに出会えたことにとても感謝しています…彼女のおかげで私は…両親を平等に見ることができるようになりました。ご存じの通り、私はいつも、[疎外していた親]が上の地位にいて、[標的にされていた親]が下の地位にいると思っていましたが、彼女は両親をある意味平等にしてくれました。

標的にされていた親の再統合に関する経験

 12回行った標的にされていた親(TP)とのインタビューを分析し、3つのテーマ、即ち⑴ 再統合とは何か、⑵ 再統合に影響を与える要因、⑶ 再統合後の生活を特定した。加えて、幾つかのサブテーマとサブサブテーマを特定した。

再統合とは何か?

 TPが定義する再統合は様々だった。再統合の4つの側面に関連する4つのサブテーマを特定した。

主観的な再統合の定義
 標的にされていた親の全員が、成人した疎外されていた子どもと再統合したと考えていたが、成人した疎外されていた子どもとの関係の種類とコンタクトの程度は様々だった。成人した疎外されていた子どもが標的にされていた親と常時同居している場合もあれば、疎外していた親と同居している場合もあれば、独り暮らしの場合もあった。標的にされていた親と成人した疎外されていた子どもとのコンタクトについては、毎日コンタクトする場合から時々コンタクトする場合まで様々だった。標的にされていた親の中には、成人した疎外されていた子どもと何年間も再統合している者もいれば、数週間再統合していただけの者もいた。

きっかけとなる出来事
 標的にされていた親は全員、再統合は、成人した疎外されていた子どもがきっかけとなる出来事の後に下した決断だったと報告した。2人の標的にされていた親は、成人した疎外されていた子どもの生活にかかわる人々が成人した疎外されていた子どもにコンタクトを促したと報告した。その促しは、標的にされていた親との関係、あるいは標的にされていた親との関係の欠如について好奇心から質問する人物の形をとったようである。

本当に何が起こるか分からないものです。スイッチを入れると何かが起こり、それがきっかけになり得るのです。きっかけとなったのは、私の息子の[成人した疎外されていた子どもの]友達でした。その友達は「お前のお母さんはどうしたんだ、お母さんのことを話さないじゃないか」と言いました。それが息子のきっかけになりました…友達は「じゃあ、会いに行ってみたらどうだ、連絡してみたらどうだ」と言ったのです。

 別の標的にされていた親に関しては、再統合のきっかけとなったのは、その標的にされていた親が変性疾患と診断されたことだった。更に他の標的にされていた親は、成人した疎外されていた子どもの年齢と自立心が高まったことがコンタクトを促したのではないかと推測した。

親戚や友人との和解
 12人の標的にされていた親うち5人が、成人した疎外されていた子どもが親戚や友人と再びつながることが再会プロセスの一部であると話した。標的にされていた親は、疎外は家族や友人にまで及ぶが、再統合でもそうだったと報告した。

彼女[成人した疎外されていた子ども]は土曜日に3年以上を経て母に会いました。そして叔母にも会いました。彼女は徐々に私たちの家族の他の人たちと会うようになり、一緒に将来の計画を立て始めています。

プロセスとしての再統合
 標的にされていた親は全員、再統合に成功するまで、成人した疎外されていた子どもとのバラバラになった関係を修復するためにかなりの時間と労力を費やしたと述べた。彼らは、相互にコンタクトするようになるまで何年も手紙、カード、贈り物、電子メール、テキストメッセージ、電話に対し梨の礫だったことを説明した。ある標的にされていた親は、10年間にわたって毎年クリスマス、イースター、誕生日に2時間かけて車で子どものところに行き、子どもと5分間過ごして、贈り物を渡し、その後2時間かけて車で帰宅していたと報告した。
 標的にされていた親の中には、家庭裁判所で何年間も争い、その過程で多額の借金を累積したものの、何の役にも立たなかった者もいた。また、再統合プロセス中に子どもが自分に対し侮辱的な言動をとったと述べた親もいた。7人の標的にされていた親に関しては、きっかけとなる出来事の後、即座に再統合した。5人の標的にされていた親に関しては、再会は疎遠になった成人の子どもが再びコンタクトしては疎遠になる期間を特徴とする長期のプロセスであった。

本当にジェットコースターのような日々でした。娘は5回ほど戻ってきては、またいなくなっていました。そう、これはプロセスでした。突然「ママ、ごめんなさい」とか、「本当にそんなつもりじゃなかった、ママを愛しているわ」と言って、それで全てOKになるというわけではありません。そんなことは全くありません。本当に、一歩前進して二歩後退という感じでした。何年もの間… 6年か7年くらい…

 標的にされていた親の中には、自分が定めたルールを強制するなど、何らかの形で成人した疎外されていた子どもに異議を唱えたため、または成人した疎外されていた子どもの要求(例えば、新しい車を買う)に屈しなかったために、疎遠になるのではないかと推測する者もいた。ある標的にされていた親は、成人した疎外されていた子どもが疎遠になったのは、子どもが疎外していた親とまだ一緒に暮らしている兄弟姉妹に会えなくて寂しいと言っていたので、それが理由だと言った。この例では、疎外していた親が、成人した疎外されていた子どもが標的にされていた親とコンタクトを取り合っている間、その子どもが兄弟姉妹とコミュニケーションを取ることを妨げた、と標的にされていた親は述べた。

再統合に影響を与える要因

 標的にされていた親の全員が、再統合プロセスに影響を与える要因を特定した。2つのサブテーマが浮かび上がった。

再統合を助けた要因
 10人の標的にされていた親が、他者からの支援が再統合を促進するのに役立ったと述べた。他には、片親疎外支援グループに参加すること、他の標的にされていた親と話すこと、カウンセリングを受けること、友人や家族から感情的および実践的な支援を受けることなどが挙げられた。

他に本当に役立ったことは、この分野を専門とする家族セラピストに会うことと、片親疎外支援グループに参加することでした…同じ経験した人と話すことは大きな違いをもたらします。

 9人の標的にされていた親は、片親疎外、片親疎外行動、再統合について学んだと述べた。彼らは片親疎外行動に関する文献を読むことで、自分たちに何が起こっているのか、なぜ子どもが自分たちを拒絶したのか理解できたと報告した。彼らは、この知識を、疎外とその後の再統合プロセス中に自分自身のメンタルヘルスを維持するために不可欠な部分であると考えていた。

えぇ、初期の頃は片親疎外について何も知らなかったので、地獄のようでした。「何が起こっているんだ」と思ったからです…子どもとの間にとても良い絆があったので気が狂いそうになり、そして…それが爆発して、「こんなこと、ありえない!と思うのです…片親疎外の文献を読んでみると、まるで電気のスイッチが入ったようで、「良かった、この状況を説明してくれるものが世の中にあったんだ」と思うのです。私にとって、本当に命が救われた瞬間でした。

 標的にされていた親の中には、他の標的にされていた親、最近再統合した標的にされていた親、他の成人した疎外されていた子どもと会うことで、片親疎外に関する子どもの視点から洞察を得ることができた者もいた。標的にされていた親の中には、この洞察が疎外に対処し、再統合のプロセスを管理する方法を決める上で役立ったと言う者もいた。
 8人の標的にされていた親は、成人した疎外されていた子どもとともに新たに始めたことが再統合のプロセスに役立ったと述べた。これには、過去に拘るのより、寧ろ現在に焦点を当て続けることが含まれていた。標的にされていた親はまた、子どものペースで子どもとの関係を再構築すること、幸せで愛情に満ちている家庭環境を提供すること、過去の話は避けること、疎外していた親に対して少なくとも中立的な感情を示すよう意識的に努力することが、再統合のプロセスに非常に役立ったと述べた。また、疎外中の経験の詳細を明かしたいという誘惑に抵抗することも重要だと彼らは述べた。なぜなら、これは葛藤を生み、成人した疎外されていた子どもが疎遠になる結果に帰着する可能性があるからである。標的にされていた親は全員、疎外から立ち直り、子どもが自分の拒絶理由を説明できないかもしれないことを受け入れることが重要だと指摘した。

私はすべてを乗り越えていました。誰に対しても怒っていませんでした…息子と再び繋がることは、私のためではなかったのです。えぇ、息子から謝罪を得るためでもありませんでした…私がそんなに酷い人間ではないという何らかの承認を得るためでもありません。私とは何の関係もありません。ただ息子と現在と未来のためだけでした…最初は息子が私をファーストネームで呼んでいたのを覚えています、そして、ええと…私は選択することができました…息子が私をファーストネームで呼ぶことにイライラして怒って動揺するべきでしょうか?それとも、そのままにしておくべきでしょうか?私はそのままにしておくことにしました…息子は12年間私と話をしていませんでしたが、今突然私に話しかけているのです。息子が私を「パパ」と呼ぶ代わりにファーストネームで呼んでいるという事実にこだわるべきだろうか?いや、その必要はありません。

再統合を妨げた要因
 7人の標的にされていた親は、成人した疎外されていた子どものメンタルヘルスが再統合を妨げていると感じていた。彼らは、子どもが感情的に不安定で、恐れ、不安、攻撃性、支配性、従属性を有していると述べた。標的となった親は、成人した疎外されていた子どもが疎外する親と不健全で有害な関係にあるため、このことが原因であると考えた。

… 息子(成人した疎外されていた子ども)は、頭に手を当てて、「なぜこんなことを続けているのか分からない」と言いました。「分からない。ただ怒りを感じて、ただお父さんを責めたくなるのです」と息子は言いました。

 10人の標的にされていた親は、「システム」、即ち、家庭裁判所が再統合を促進するのに効果がないと述べた。標的にされていた親は、介入をせず、疎外が何年も続くのを許したとして、家庭裁判所を非難した。家庭裁判所に関わる弁護士は片親疎外行動について十分な教育を受けていないため、結果として疎外された子どものニーズが見過ごしてしまうと彼らは説明した。

12歳を超えると、裁判所が尊重するのは、所謂子どもの希望になります。そのため、裁判所は娘の父親が娘に酷い申立てをさせたことを知っていたにも拘らず、何をするでもなく、そして、父親は裁判所命令による家族療法を拒否しました。

 標的にされていた親は、子どもと再統合するために家庭裁判所を経由し、疎外する親と対峙し、疎外する親が行った虚偽の申立てに対して自らを守るというプロセスが、彼らのメンタルヘルスに重大な影響を及ぼしたと報告した。

家庭裁判所は…それは本当に酷い、酷い、酷い経験でした…本当に自殺したくなった…そのおかげでPTSDになったんだと思います…私は努めています…その件について話さないように。

 7人の標的にされていた親は、子どもたちのうち少なくとも1人と未だに疎外されていて、そのことが再統合の端緒を開いた子どもとの再統合の妨げとなっていた。このような標的にされていた親は、再統合した子どもに対し親であることに対処しようと努める一方で、疎外されている他の子どもに深い悲しみを感じていると述べた。

1人の子どもが戻ってきたので幸運で全てが順調だと思われていますが、でも、私には2人の子どもがいるんですよ。それで、私のところから2人ともいなくなったときと同じように今でも悲しく感じています。

 5人の標的にされていた親は、子どもを阻害する親が意図的に片親疎外行動を続け、再統合を妨げていると報告した。

再統合後の生活

 標的にされた親(TP)は、再統合後の生活について洞察を提供した。4つのサブテーマを特定した。

疎外していた親に対する感情
 標的にされていた親全員が、疎外していた親に対し複雑な感情を表明した。これらの感情には、無関心、哀れみ、恐怖、怒り、共感などが含まれていた。参加者の中には、子どもを作る相手として選んだ者が、自分たちにそんな危害を加えることができるとは信じられないと報告した親もいた。

語られない疎外
 9人の標的にされていた親は、疎外されていた時期のことを、成人した疎外されていた子どもと話したことはないと報告した。彼らはその話題を切り出すことに不安を感じていた。報告によれば、これは、成人した疎外されていた子どもが疎外していた親を擁護し続けたためである。このような標的にされていた親は、成人した疎外されていた子どもが疎外について話し合いたいと表明するなら、喜んで話し合うと述べた。

ちょっと奇妙ですよね。どうかすると、誰もが気付いているのに、誰もが敢えて触れたがらないんですから…私が早い段階で下した決断の1つは、息子がその件について話したいなら、私も喜んで話すけど、息子が話したくないなら、その件にについて息子と話さないということでした。

再統合の悪影響
 6人の標的にされていた親は、再統合が彼らのメンタルヘルスに悪影響を及ぼしたと語った。何人かは、再統合は、子どもの人生において自分がどれだけ多くのことを逃してきたかを思い出させるものだ、と語った。彼らは、片親疎外に伴う長年の苦悩と悲しみに耐えることの身体的な影響について語った。

私には多大な影響がありました…睡眠が妨げられたり、極度のトラウマを抱えた子どもと向き合うことで精神的に消耗し続けるという点で、非常に肉体的にきついものでした…プロセス全体が、自分のコルチゾールで焼き殺されるような感じでした。

 5人の標的にされていた親は、再統合による経済的な悪影響についても言及した。彼らは、子どもとの関係を修復しようと多額の費用をかけて何年も法廷で争ったと述べた。中には、片親疎外の結果として子どもが感情的および行動的な問題を抱えているため、成人した疎外されていた子どもを終日世話するために仕事を辞めねばならなかったと述べた者もいた。

ご存知のように、大きな問題としては、私が今まで所有していた唯一の家を売却しなければならなかったことです。退職年金も使い果たしてしまいました…ご存知のように、私は定年退職年齢で基本的に貧困状態にありますが、それは基本的に、過去10年間、子どもを守ろうと多額のお金を費やしてきたためです。

再統合のプラスの影響
 7人の標的にされていた親は、再統合が自分たちの生活に与えたプラスの影響について言及した。彼らは、自分が生きる意味を取戻したと述べた。

私はより充実したように感じています。目的意識を取り戻しました。私は母親として、息子のために料理をして、いろいろなことができます。今は猫と犬だけではなく、息子もいます…再統合は再び目的を持つことの一部です。再び母親になったような気分です。

考察

 本研究では、成人した疎外されていた子どもと標的にされていた親の観点から、疎外後の自発的な再統合の経験を探究した。調査結果は、再統合のプロセス、再統合がどのように起こるか、そしてどのように支援できるかについて、更なる洞察を提供する。

成功した自発的な再統合を子ども主導のプロセスとして定義する

 自発的な再統合は、文献では、成人した疎外されていた子どもが裁判所命令や再統合療法なしに、標的にされていた親との関係を積極的に修復しようとする際に起こるプロセスと定義されている(Darnall and Steinberg, 2008b)。本研究では、標的にされていた親全員が、再統合は成人した疎外されてい子どもが始めた、子ども主導のプロセスであったと報告した。研究に参加した標的にされていた親と成人した疎外されていた子どもは、再統合は長期にわたるプロセスであり、時には何年もかけて、成人した疎外されていた子どもがコンタクトしたり疎遠になったりする段階を経ると述べた。これは、再統合を脆弱なプロセスと説明したRand & Rand(2006)と一致している。本研究の参加者の経験に見られる明らかな接近と疎遠のサイクルは、アタッチメント理論を使用して理解することができる。
 片親疎外行動の結果、疎外されていた子どもの生活から標的にされていた親が排除されると、このアタッチメントの絆は子どものアタッチメント・システムとともに損なわれる。疎外されていた子どものアタッチメント・システムは、疎外していた親との関係の性質によって更に影響を受ける可能性がある。この関係が何らかの形で不安定である場合、子どもは他のアタッチメント対象者から安全基地を経験することができない(Haines et al., 2020)。その結果、成人した疎外されていた子どもは、規則的なコンタクトが再開し、関係を修復する機会があり、信頼が構築されるまで、標的にされていた親を警戒する可能性がある(Haines et al., 2020)。アタッチメントの絆を強化するには、成人した子どもが標的にされていた親から温かく、関わり合いのある、継続的なコンタクトを得る必要がある。再統合の接近と疎遠のプロセスは、成人した疎外されていた子どもが標的にされていた親との関係を模索し始める方法であるかもしれない。それは、様子を見て、安全かどうかを確認し、圧倒されて不安なときには退いて、準備ができたら再び近づくプロセスであるかもしれない。このプロセスでは、標的にされていた親が安全基地であり、信頼できる慰めの源でなければならない(Haines らet al., 2020)。本研究の結果は、成人した疎外されていた子どもが再統合プロセスを成功させるには、そのプロセスを制御する必要があることを示唆している。これは、片親疎外プロセスの大部分を彼らが制御できないためかもしれない。これらの結果は、児童虐待のサバイバーに力を与え、自分自身の回復を主導することが重要であることを述べた文献の調査結果をそのまま映し出している(van Loon and Kralik, 2005)。

コンタクトの頻度、親子関係の質と奥行き

 本研究では、再統合中の親子関係は、コンタクトの量、質、奥行きが様々であることがわかった。親子関係は、親しくない、距離を置いた、絆を欠いた、信頼し難いといったものから、繋がりや相互の愛情を感じる程度まで、様々な範囲で描写されている。Darnall & Steinberg (2008a) も同様に、再統合プロセス中の標的にされていた親と子どもの関係の強さは時間の経過とともに変化する可能性があると報告している。
 変動は、片親疎外が始まった時点の疎外されていた子どもの年齢などの要因による可能性もあると思われる。子どもが非常に幼い場合、その子どもは標的にされていた親とのアタッチメントの絆を強める機会を、疎外される前に手に入れることが出来ないかもしれない。再統合に影響を与える可能性のある他の要因には、片親疎外行動の深刻さや、子どもが再統合する準備ができているかどうかなどがある。更に、再統合プロセス中の成人した疎外されていた子どもと標的にされていた親の心理的機能が、再統合の結果に影響を与える可能性がある。因果関係を判断するために、これらの要因を究明するには、更なる研究が必要である。

成人した疎外されていた子どもの準備

 先行研究(Rand and Rand, 2006; Baker, 2007; Darnall and Steinberg, 2008a,b)と一致して、再統合の可能性のあるきっかけは数多く存在する。コンタクト再開の最も一貫したきっかけは、成人した疎外されていた子どもがコンタクト再開の用意があることだった。片親疎外後に両親を受け入れて愛する意欲、疎外の解決を求めて標的にされていた親との関係を模索する意欲を中心に準備が進められた。成人した疎外されていた子どもの内在的変化(例えば、心身の成長、標的にされていた親に関する誤った思い込みのリフレーミング)から再び親子が繋がることもある(Rand and Rand, 2006; Baker, 2007; Darnall and Steinberg, 2008a,b)。

再統合に影響を与える要因

 研究参加者は、再統合に影響を与える幾つかの要因を特定した。再統合を妨げる要因には、片親疎外行動の継続的な影響、成人した疎外されていた子どもが標的にされていた親を信頼する能力、成人した疎外されていた子どもと標的にされていた親との地理的距離、および再統合プロセス中の標的にされていた親の行動様式が含まれる。
 調査結果は、片親疎外行動の広範な性質、および片親疎外が子ども時代に限られた経験ではないことを示している。片親疎外行動は、子どもが成人になっても、標的にされていた親との関係を再び結び付け、強化する能力に影響を及ぼし続ける。子どもが成人したら標的にされていた親と再び結び付くのは容易であろうという想定は誤りである(Templer et al., 2017)。片親疎外行動の影響は永続的でトラウマ的であり、その後の再統合プロセスは複雑である(Haines et al., 2020; Verhaar et al., 2022)。
 これらの調査結果は、ファミリーバイオレンスの文脈で理解できる。虐待行為、特に強制的な支配が蔓延している(Candela, 2016)。片親疎外行動を虐待行為と見做すなら、子どもが成人したという理由だけでこのような行為が弱まる可能性は低い。ファミリーバイオレンスの加害者は、力と支配を簡単に手放さない(Candela, 2016)。
 児童虐待サバイバーの経験と一致して、本研究に参加した成人した疎外されていた子どもの中には、再統合の過程で自分自身や他人を信頼することが困難だったと述べた者もいた。報告によれば、このように信頼が困難になることで、再統合のプロセスが遅れる事態を招いていた。他の研究でも、幼少期に片親疎外行動に曝されたことによる長期的な結果として、自分自身や他人に対し信頼を欠くようになり得ることがわかった(Baker, 2007; Bentley and Matthewson, 2020; Verhaar et al., 2022)。このように信頼を欠如する原因は、子ども自身のもう一方の親に対する経験とは逆に、もう一方の親は役立たずで、愛情がなく、かつ/または脅迫的であると一方の親から何らかの形で言われていたためかもしれない。もう一方のアタッチメント対象を失い、一方の強制的な支配を行っているアタッチメント対象の監護下に留まると、子どもは他人を信頼することが困難になるだけでなく、自分の判断や認識を信頼することも困難になる(Harman et al., 2021; Verhaar et al., 2022)。
 成人した疎外されていた子どもと標的にされていた親の両方にとって、片親疎外行動や片親疎外に曝されることはトラウマ的な経験である(Haines et al., 2020; Verhaar et al., 2022)。本研究は、再統合のプロセスが、標的にされていた親と成人した疎外されていた子どもの心理的機能によって影響を受ける可能性があることを示した。結果は、再統合プロセスは主に成人した疎外されていた子どもによって推進される必要があるが、標的にされていた親がどのように機能し、そのプロセスの接近と疎遠のパターンに対処できるかが重要であることを示唆している。心理的トラウマを経験した者は、過覚醒かつ/または低覚醒を経験する可能性がある。そのような状態では、人の体は脅威を感知し、生存のために準備を整えるが、その反応は社会的な関与を妨げる可能性がある。トラウマを負った者が自分自身を調整する手段を持っていないか、共調整するための安定した基盤を持っていない場合、調整不全が持続するか、または悪化する可能性がある(van der Kolk, 2003)。成人した疎外されていた子どもと標的にされていた親がトラウマ反応を上手く処理できない場合、信頼関係を築く能力が妨げられることになる。結果はまた、標的にされていた親が安全基地を提供でき、成人した疎外されていた子どもがそれを受け入れる準備ができていて、それを受け入れることができれば、信頼関係を築き、共調整を行える可能性があることを示唆している。
 標的にされていた親自身の対処法は、成人した疎外されていた子どもと効果的にコミュニケーションを取る能力に影響を与える可能性がある。コミュニケーションは再統合プロセスにおいて重要な要素であることが判明した。標的にされていた親が成人した疎外されていた子どもとのコミュニケーションにおいて回避的であったり、反応的であったり、過去に焦点を当てていたり、対立的であった場合、子どもとの間に信頼を築くことができず、再統合プロセスが妨げられる。これは、成人した疎外されていた子どもにとって、この種の会話が感情的に困難で、調整不全、不安定になり得るためである(Bentley and Matthewson, 2020; Haines et al., 2020)。これは、標的にされていた親に「鉄が冷たいうちに打て」と勧めたWarshak (2010)と一致している。即ち、標的にされていた親は、成人した疎外されていた子どもが強い感情的反応を示しているときは言わずもがな、子どもの準備が整ったときに、そのときでさえ、直面する話題に対し子どもと会話を交わしたい衝動や、会話をし続けたい衝動を抑えることが重要である。
 更に、本研究では、疎外していた親以外の人々(例えば、兄弟、継父母、拡大家族、友人)が再統合のプロセスを妨害していることも明らかになった。これは、家族は両親と子どもの三者関係以上のもので構成されており、拡大家族が確かに親の疎外を促進することに関与している可能性があること、一方で再統合を促進する上でも重要な役割を果たす可能性があることを強調したHaines et al. (2020)と一致している。
 再統合を助けた要因には、家族、友人、仲間、メンタルヘルスの専門家からのサポート、片親疎外に関する教育と理解の向上、客観的で現在に焦点を当てた持続的なコミュニケーション、そして一部の人にとっては「新たに始める」意欲などがあった。調査結果は、標的にされていた親と成人した疎外されていた子どもが、再統合に取り掛かる際に、片親疎外、片親疎外行動、およびこれらに関する自身の経験を理解することから恩恵を受けることを示している。本研究の参加者は、知識と他者のサポートが如何にトラウマ体験からの回復に役立ち、その結果、もう一方の同じようにトラウマ体験をした人と再び繋がることができたかを説明した。

再統合の影響

 成人した疎外された子どもと標的にされていた親は、再統合が自分たちの生活に与えた影響について語った。成人した疎外された子どもは、自分たちの状況と関係者に対する受容と理解の感覚を育んだと報告した。彼らは疎外に対する非難を控え、両親に同情することを学んだ。彼らはより健全な批判的思考スキルを身につけ、両親との関係が複雑であることを認識するようになった。成人した疎外されていた子どもは、今後の研究で更に探究する必要がある再統合のプロセスに、罪悪感と羞恥心を持ち込んでいた。成人した疎外されていた子どもが再統合前、再統合中、または再統合後に治療支援を求める場合、幼児期の経験により罪悪感と羞恥心を抱いていることを見過ごすべきではない。
 標的にされていた親の中には、子どもとの関係を再構築することで人生が豊かになり、生きることの意味を取り戻したと述べた者もいた。この結果は心的外傷後成長理論と一致する。当該理論では、一部の人々はトラウマ体験の結果として有意義で前向きな変化を起こせると提唱している(Calhoun et al., 2010; Tedeschi et al., 2018を参照)。他の研究参加者は、メンタルヘルスおよび身体的健康や経済状況のために、再統合後に成人した疎外されていた子どもを育てるのに苦労したと述べた。本研究に参加した標的にされていた親は、再統合中に自分自身のメンタルヘルスに対処すると同時に、往々にして自分と同様にトラウマを抱えている成人した疎外されていた子どもを支援する必要があった。彼らは、疎外される前に最後に会った子どもとはかなり違う、トラウマを抱えた成人を育てる方法を学ぶ必要があった。これらの結果は、成人した疎外されていた子どもと標的にされていた親は、再統合プロセス中に治療支援を受けることを検討する必要があることを示唆している。成人した疎外されていた子どもと標的にされていた親が、健康的なセルフケア戦略を豊富に利用でき、健全な境界線を実装する能力を持っていることが重要である。

臨床的意義

 自発的な再統合中に家族を支援する実務家にとって、片親疎外行動、片親疎外、およびそれらの影響について十分な理解を持つことが重要である。本研究では、家族の再統合のための介入と支援の枠組みの基盤となり得る固有の領域を特定している。調査結果に基づけば、Haines et al. (2020) と一致して、成人した疎外されていた子どもと標的にされていた親は、治療的支援および社会的支援を求め、その結果、トラウマから回復し、未解決の悲しみ、羞恥心、罪悪感に対処し、コミュニケーションと交流に関する健全なパターンを確立する方法を学ぶことが推奨される。治療的アプローチはトラウマに関する情報に基づく必要があり、トラウマと悲嘆の処理、トラウマの世代間伝達を理解し、非難を減らすための生家への働き掛け、受容の実践、認知の再構築、自己主張の訓練、対処スキルの訓練、子育て支援などが含まれる場合がある。

限界と今後の研究の方向性

 本研究のサンプルサイズは比較的小さいものだった。それにも拘らず、データの豊富さとデータ飽和状態への到達により、頑健性があった。今後の研究では、結果の一般化可能性を高め、再統合のアウトカムを予測、媒介、かつ/または調整する可能性のある変数間の因果関係を更に探究するために、質的手法および量的手法を含むより大規模なサンプルのデータを含めることが推奨される。
 本研究の参加者が提供した質的データを、研究者は参加者の経験をありのままに解釈したものと考えているが、大人が過去の経験を思い出すとき、その記憶は自己報告バイアスの影響を受けることを認識することが重要である。過去の出来事の記憶は、時間の経過、暗示、および個人的な偏見によって影響を受ける可能性がある(Kensinger, 2009)。これは質的研究に固有の限界であるが、本研究で得られたデータの豊富さは貴重で洞察に富んでいる。これは、大人が年齢に関係なく、自分の記憶、感情、および経験の認識について豊富で詳細な情報を提供できるためである(Kirkegaard Thomsen and Brinkmann, 2009)。今後の研究では、研究の頑健性を高めるために、付随的な情報源から情報を取得したり、縦断的デザインを使用することを目指す可能性がある。
 片親疎外に対する脆弱性に関しては、一部の研究は、疎外された成人の男性と女性の間に有意差がないことを示唆している (Baker and Darnall, 2006; Baker, 2010a)。他の研究は、女性の方がより脆弱である可能性があることを示している(Balmer et al., 2018)。同様に、その文献は、標的にされた母親と父親の割合は同程度であると示唆している(Balmer et al., 2018)。限られた文献に基づくと、これらの統計的分布が自発的な再統合の事例にも当てはまるかどうかは不明である。本研究は、成人した疎外されていた子どもと標的にされていた親の大半が女性のサンプルに基づいており、そのため、成人した疎外されていた男子と標的にされていた親との自発的な再統合の経験や、性別が多様な人々の経験を正確に捉えていない可能性がある。今後の研究では、性別の異なるサンプルを更に含めることが推奨される。これにより、性差を評価し、個々にあつらえた介入を推奨する機会が生まれるようになる。
 本研究では、研究参加者の協業により、成人した疎外されていた子どもが標的にされていた親から疎外されていた期間と、再統合してからの期間を推定した。これは、成人した疎外されていた子どもの中には、疎外と再統合会の経験を定量化することが困難な者もいたためである。人口統計情報は、参加者の過去の出来事の記憶に影響された可能性がある。これは、一部の参加者が過去のトラウマ的な出来事から身を守る必要があったこと(Goodman et al., 2010)、片親疎外行動のアウトカム(Baker, 2005a,b)、かつ/または両方の要因の組合せによるものであった可能性がある。過去のトラウマ的な出来事を想起することの影響は、研究結果の限界となる可能性があるため無視できない。今後の研究は、過去の想起にデータが依存することを制限するために、別居後およびそれ以降の家族の軌跡を辿って縦断的に実施することが推奨される。また、今後の研究には、付随的な情報源からの情報収集や、より広い家族システムのメンバーからの情報収集も含めることが提案されている。
 全ての質的研究に付きものの限界は、研究者の偏見の可能性である。これを防ぐために、帰納的データ駆動型の立場からデータ分析にアプローチし、評価者間の信頼性を確保するために複数のコーダーを使用することを試みた。今後の研究の一般化可能性を高めるために、研究ではマルチモーダル・アプローチを使用することが推奨されている。これらの限界にも拘らず、本研究は、片親疎外後の自発的な再統合プロセスに関する独自の洞察を提供した。

「子どもが成人したときに親子関係を再構築するには、献身と忍耐が必要です。このプロセスは脆弱で、崩壊しがちです。親子の和解への欲求は、恐怖、怒り、罪悪感など、その妨げとなる強力な感情を乗り越えるほど強くなければなりません」(Rand and Rand, 2006, p. 164)。

データ利用可能性に関する声明

 著者は過度の留保なしに本記事の結論を裏付ける生データを提供します。

倫理に関する声明

 本研究は、タスマニア大学社会科学人間研究倫理委員会が審査し、承認しました。研究参加者は、本研究に参加するために書面で同意しました。

著者の貢献

 M.Matthewsonは研究のあらゆる側面を調整し、監督しました。J.Bowring、J.Hickey、S.Wardはインタビューを実施しました。M.Matthewson、J.Bowring、J.Hickey、S.Wardはデータ分析を実施しました。全ての著者が原稿の執筆に貢献しました。

資金提供

 本研究はタスマニア大学から資金提供を受けました。

謝辞

 本研究に自発的に参加し、片親疎外に関する研究に惜しみなく貢献してくれた、成人した疎外されていた子どもと標的にされていた親全員に感謝いたします。また、原稿の最終草稿にフィードバックを提供してくれた2人の成人した疎外されていた子どもにも感謝いたします。

利益相反

 著者は、潜在的な利益相反と解釈される可能性のある商業的または金銭的な関係なしに研究が行われたことを宣言します。

発行者注

 この記事で表明された全ての主張は、著者単独の主張であり、必ずしも所属組織、または発行者、編集者、査読者の主張を代表するものではありません。この記事で評価される製品、またはその製造元による主張は、発行者によって保証または承認されるものではありません。

参考文献

  • Archibald, M., Ambagtsheer, R., Casey, M., and Lawless, M. (2019). Using zoom videoconferencing for qualitative data collection: perceptions and experiences of researchers and participants. Int J Qual Methods 18, 160940691987459–160940691987458. doi: 10.1177/1609406919874596

  • Baker, A. J. L. (2005a). The cult of parenthood: a qualitative study of parental alienation. Cult. Stud. Rev. 4, 1–20.

  • Baker, A. J. L. (2005b). The long-term effects of parental alienation on adult children: a qualitative research study. Am. J. Fam. Ther. 33, 289–302. doi: 10.1080/01926180590962129

  • Baker, A. J. L. (2007) Adult children of parental alienation syndrome: breaking the ties that bind. New York, NY: WW Norton & Company.

  • Baker, A. J. L. (2010a). Adult recall of parental alienation in a community sample: prevalence and associations with psychological maltreatment. J. Divorce Remarriage 51, 16–35. doi: 10.1080/10502550903423206

  • Baker, A. J. L. (2010b). Even when you win you lose: targeted parents' perceptions of their attorneys. Am. J. Fam. Ther. 38, 292–309. doi: 10.1080/01926187.2010.493429

  • Baker, A. J. L., and Ben-Ami, N. (2011). To turn a child against a parent is to turn a child against himself: the direct and indirect effects of exposure to parental alienation strategies on self-esteem and well-being. J. Divorce Remarriage 52, 472–489. doi: 10.1080/10502556.2011.609424

  • Baker, A. J. L., and Chambers, J. (2011). Adult recall of childhood exposure to parental conflict: unpacking the black box of parental alienation. J. Divorce Remarriage 52, 55–76. doi: 10.1080/10502556.2011.534396

  • Baker, A. J. L., and Darnall, D. (2006). Behaviors and strategies employed in parental alienation. J. Divorce Remarriage 45, 97–124. doi: 10.1300/J087v45n01_06

  • Baker, A. J. L., and Fine, P. (2014). Surviving parental alienation: A journey of hope and healing. Lanham, MD: Rowman and Littlefield.

  • Balmer, S., Matthewson, M., and Haines, J. (2018). Parental alienation: targeted parent perspective. Aust. J. Psychol. 70, 91–99. doi: 10.1111/ajpy.12159

  • Ben-Ami, N., and Baker, A. J. L. (2012). The long-term correlates of childhood exposure to parental alienation on adult self-sufficiency and well-being. Am. J. Fam. Ther. 40, 169–183. doi: 10.1080/01926187.2011.601206

  • Bentley, C., and Matthewson, M. (2020). The not-forgotten child: alienated adult children’s experience of parental alienation. Am. J. Fam. Ther. 48, 509–529. doi: 10.1080/01926187.2020.1775531

  • Bernet, W., von Boch-Galhau, W., Baker, A. J. L., and Morrison, S. L. (2010). Parental alienation, DMS-V, and ICD-11. Am. J. Fam. Ther. 38, 76–187. doi: 10.1080/01926180903586583

  • Bowlby, J. (1988). A secure base: parent-child attachment and healthy human development. New York, NY: Basic Books.

  • Braun, V., and Clarke, V. (2021). Thematic analysis: a practical guide. London: SAGE Publications.

  • Calhoun, L. G., Cann, A., and Tedeschi, R. G. (2010). “The posttraumatic growth model: Sociocultural considerations,” in Posttraumatic growth and culturally competent practice: Lessons learned from around the globe, eds, T. Weiss and R. Berger (John Wiley & Sons, Inc) 1–14.

  • Candela, K. (2016). Protecting the invisible victim: incorporating coercive control in domestic violence statutes. Fam. Court. Rev. 54, 112–125. doi: 10.1111/fcre.12208

  • Chalk, R. A., and King, P. (1998). Violence in families: assessing prevention and treatment programs. Washington, DC: National Academy Press.

  • Clawar, S. S., and Rivlin, B. V. (2013). Identifying brainwashed children, presenting a case, and crafting solutions, 2nd ed. Chicago, IL: American Bar Association, Division of Family Law.

  • Darnall, D., and Steinberg, B. (2008a). Motivational models for spontaneous reunification with the alienated child: part I. Am. J. Fam. Ther. 36, 107–115. doi: 10.1080/01926180701643131

  • Darnall, D., and Steinberg, B. (2008b). Motivational models for spontaneous reunification with the alienated child: part II. Am. J. Fam. Ther. 36, 253–261. doi: 10.1080/01926180701643230

  • Drabble, L., Trocki, K. F., Salcedo, B., Walker, P. C., and Korcha, R. A. (2016). Conducting qualitative interviews by telephone: lessons learned from a study of alcohol use among sexual minority and heterosexual women. Qual. Soc. Work. 15, 118–133. doi: 10.1177/1473325015585613

  • Forero, R., Nahidi, S., de Costa, J., Mohsin, M., Fitzgerald, G., Gibson, N., et al. (2018). Application of four-dimension criteria to assess rigour of qualitative research in emergency medicine. BMC Health Serv. Res. 18:120. doi: 10.1186/s12913-018-2915-2

  • Goodman, G. S., Quas, J. A., and Ogle, C. M. (2010). Child maltreatment and memory. Annu. Rev. Psychol. 61, 325–351. doi: 10.1146/annurev.psych.093008.100403

  • Haines, J., Matthewson, M., and Turnbull, M. (2020). Understanding and managing parental alienation. London: Routledge.

  • Harman, J. J., and Lorandos, D. (2021). Allegations of family violence in court: how parental alienation affects judicial outcomes. Psychol. Public Policy Law 27, 184–208. doi: 10.1037/law0000301

  • Harman, J. J., Matthewson, M. L., and Baker, A. J. L. (2021). Losses experienced by children alienated from a parent. Curr. Opin. Psychol. 43, 7–12. doi: 10.1016/j.copsyc.2021.05.002

  • Harman, J. J., and Matthewson, M. L. (2020). “Parental alienating behaviors” in Parental alienation: science and law. eds. D. Lorandos and W. Bernet (Springfield, IL: Charles C Thomas Publisher, Ltd), 82–141.

  • Kensinger, E. A. (2009). Remembering the details: effects of emotion. Emot. Rev. 1, 99–113. doi: 10.1177/1754073908100432

  • Kirkegaard Thomsen, D., and Brinkmann, S. (2009). An interviewer's guide to autobiographical memory: ways to elicit concrete experiences and to avoid pitfalls in interpreting them. Qual. Res. Psychol. 6, 294–312. doi: 10.1080/14780880802396806

  • Lee-Maturana, S., Matthewson, M. L., and Dwan, C. (2020). Targeted parents surviving parental alienation: consequences of the alienation and coping strategies. J. Child Fam. Stud. 29, 2268–2280. doi: 10.1007/s10826-020-01725-1

  • Lincoln, Y., and Guba, E. G. (1985). Naturalistic inquiry. Newbury Park, CA: Sage.

  • Lo Iacono, V., Symonds, P., and Brown, D. (2016). Skype as a tool for qualitative research interviews. Sociol. Res. Online 21, 103–117. doi: 10.5153/sro.3952

  • Poustie, C., Matthewson, M., and Balmer, S. (2018). The forgotten parent: the targeted parent perspective of parental alienation. J. Fam. Issues 39, 3298–3323. doi: 10.1177/0192513X18777867

  • Rand, D. C., and Rand, R. (2006). “Factors affecting reconciliation between the child and targeted parent” in The international handbook of parental alienation syndrome: conceptual, clinical and legal considerations. eds. R. A. Gardner, S. R. Sauber, and D. Lorandos (Springfield, IL: Charles C Thomas Publisher, Ltd), 163–176.

  • Sandelowski, M. (2000). Whatever happened to qualitative description? Res. Nurs. Health 23, 334–340. doi: 10.1002/1098-240X(200008)23:4<334::AID-NUR9>3.0.CO;2-G

  • Tedeschi, R. G., Shakespeare-Finch, J., Taku, K., and Calhoun, L. G. (2018). Posttraumatic growth: theory, research, and applications. New York: Taylor & Francis Group.

  • Templer, K., Matthewson, M., Haines, J., and Cox, G. (2017). Recommendations for best practice in response to parental alienation: findings from a systematic review. J. Fam. Ther. 39, 103–122. doi: 10.1111/1467-6427.12137

  • van der Kolk, B. A. (2003). The neurobiology of childhood trauma and abuse. Child Adolesc. Psychiatr. Clin. N. Am. 12, 293–317. doi: 10.1016/S1056-4993(03)00003-8

  • van Loon, A. M., and Kralik, D. (2005). “ASCA training manual developed for MHCC” in Working with adult survivors of child abuse. eds. D. Coates and MHCC. Available at: https://www.mhcc.org.au/wp-content/uploads/2018/05/reframing-responses-resource-guide-and-workbook.pdf

  • Vassiliou, D., and Cartwright, G. F. (2001). The lost parents' perspective on parental alienation syndrome. Am. J. Fam. Ther. 29, 181–191. doi: 10.1080/019261801750424307

  • Verhaar, S., Matthewson, M. L., and Bentley, C. (2022). The impact of parental alienating behaviours on the mental health of adults alienated in childhood. Children 9:475. doi: 10.3390/children9040475

  • Warshak, R. A. (2010). Divorce poison: how to protect your family from bad-mouthing and brainwashing. New York, NY: Harper Collins.

著作権 © 2023 Matthewson、Bowring、Hickey、Ward、Diercke、Van Niekerk。本文献は、クリエイティブ・コモンズ・アトリビューション・ライセンス (CC BY) の条件に基づいて配布するオープンアクセスの論文です。原本の著者と著作権所有者をクレジットし、このジャーナルの原本の出版物が、受け入れられている学術的慣行に従って引用されている限り、他のフォーラムでの使用、配布、または複製を許可します。これらの条件に準拠しない使用、配布、または複製は許可しません。

[訳者註]質的記述的デザイン qualitative descriptive design
ある出来事についてその出来事を構成するその日常の言葉で包括的に要約する研究デザイン。

[訳者註]データ駆動型アプローチ data-driven approach
データや分析結果を主要な情報源として活用し、客観的で効果的な意思決定を行う手法。

[訳者註]データ・ファミリアゼーション data familiarization
データに慣れ親しむプロセスを指す。インタビューの記録を読み返し、データに親しむことで、研究者がデータに没入し、参加者がよく話していたトピックについて考えるきっかけを得ることを目的としている。

[訳者註]データ飽和 data saturation
質的研究において、新たなデータを収集しても新たな洞察やテーマが生まれなくなる時点を指す。

[訳者註]QSRインターナショナル社 QSR International
マサチューセッツ州バーリントンに拠点を置く質的調査ソフトウェア開発会社として知られ、オーストラリア、ドイツ、ニュージーランド、イギリスにオフィスを構えている。

[訳者註]共調整 co-regulation
2人以上の個人が互いの感情状態や神経系を支え、影響を与え合うプロセスであり、バランスを促進し、ストレスを軽減する。

[訳者註]健全な境界線 healthy boundaries
自分のメンタルおよび感情面のバランスを健全に保つために、必要に応じて自分のために引く人間関係の境界線のこと。

[訳者註]頑健性 robust
ある統計的手法が、必要としている条件または仮定を少々満たしていないようなデータにおいてもほぼ妥当な結果を与えるとき、この統計的手法は頑健性があるという。

[訳者註]媒介 mediation
変数Xで変数Mを説明し、更に変数Mから変数Yを説明するという連鎖的な関係性を指す。

[訳者註]調整 moderation
変数Mの値によって、変数Xと変数Yの関連の強さが変化する、という関係性を指す。

(了)

いいなと思ったら応援しよう!