本記事はオーストラリア政府・司法長官省HPの「家族と結婚>家族と結婚に関する出版物」に掲載されている「2024年5月施行 改正家族法:家族法専門家向けファクトシート」の和訳版「改正家族法-2024 年 5 月施行」(在日オーストラリア大使館HPに掲載)を転載し、対象となる条文をクリエイターが補足欄で追加したものです。
このファクトシートは、家族法の専門家に、1975年家族法の2024年の変更に関する情報を提供します。均等な共同親責任の廃止を含む親責任の枠組みの変更と、裁判所が子どもの子育ての取決めを決定する際に使用する最善の利益の要因の変更について説明しています。
令和6年(西暦2024年)の民法改正に際して、「オーストラリアが離婚後共同親権制度を見直した」というニュースが報道されました。「見直す」が「気付いた欠点を是正する」という意味であれば正しいのですが、離婚後共同親権に反対する勢力は「それまでの認識を改める」という誤った解釈を発信続けました。本記事を読めば、 オーストラリアは「時間均等の共同監護が子の最善の利益に適う」という推定則を廃止したに過ぎず、婚姻状況の如何に拘らず、両親は親責任を負う「原則共同親権制度」は厳然として維持されていることが理解できます。是非ご一読下さい。
なお、原文の半角数字を全角数字に変更したり、原文の用語を日本で既に一般的に使用されている用語に差し替える等の修正を加えていることを予めお断りしておきます。
改正家族法-2024年5月施行
家族法専門家向けのファクトシート
概要
オーストラリア連邦の2023年改正家族法(以下、「本改正法」)には、家族法の専門家や家族法制度の利用者に影響を与える多くの変更が含まれている。例えば、養育命令の発令に関する枠組みに大幅な改正がなされている。また、子どもの独立弁護士のための法制上の新しい義務が設けられる。
本改正法は2023年11月6日に国王裁可を受けた。その6か月後(2024年5月6日)に大半の措置が開始される。家族法制度の専門家は、同開始日より、最終審理が開始されている場合を除き、新規および既存の問題に対して、多くの重要な変更が適用されることに留意する必要がある。
本ファクトシートには、個々の変更の開始時期と適用方法についての情報を含め、本改正法の各部の概要を記載している。一般的な情報に限って掲載しており、掲載情報は法的助言に該当しない。
さらなる詳細について
本改正法は、豪連邦政府公式法令情報サービス(Federal Register of Legislation)からダウンロードでき、 付随する説明資料は豪国会議事堂のウェブサイトから入手できる。
養育命令の申し立てを希望する人を対象として、本改正法についての簡潔な概要を「父母及び関係者向けのファクトシート」にまとめている。
第1部:養育の枠組み
改正対象:第60条B-第Ⅶ章の目的
連邦1975年家族法(以下、「家族法」)の第60条B項が簡素化され、第Ⅶ章(子ども)の目的は次のように規定される。
改正対象:第60条CC-子の最善の利益
家族法第60条CA項は、子に関連して養育命令を発令するかの決定時に、裁判所がその子にとって最善の利益を最優先の考慮事項として検討しなければならない点を明確にしている。
本改正法は、子の最善の利益を決定する際に裁判所が考慮しなければならない要素について、新しいリストを提示している。
一般的な考慮事項
新しいリストは第60条CC項第2号に掲載され、オーストラリア法制度改革委員会による2019年の家族法制度に関する報告書で推奨された重要項目6点のリストを反映している。本リストは階層的ではな く、「主要素」と「追加的要素」という考慮事項間の区別がなくなった。階層性がなくなったことで、裁判所は養育関連の個別の問題に関し、子の最善の利益を最優先に考慮する形で、個別事情を検討できる。
子の最善の利益のために養育上の取り決めを決定する場合、裁判所は現在、第60条CC項第2号に掲載された要素を考慮すべきことになっている。
⒜ どのような取り決めが、子、また、(その子に対する親責任の有無を問わず、)その子の監護を担っている人それぞれの安全(家族間暴力、虐待、育児放棄、またはその他の危害からの安全を含む)を促進するか
⒝ 子が表明した意見
⒞ 発達、心理、情緒、文化面での子のニーズ
⒟ 発達、心理、情緒、文化面での子のニーズを満たす上での親責任を負っている、または負うことが提案されている各人の能力
⒠ そうすることが安全である場合に、子の父母、および、子にとって重要な他の人々と関係を持てることによる、子への利益
⒡ 子の個別事情に関連するその他の要素
改正後の第60条CC項第2号Aにおいては、今後の子育ての取り決めを決定する上で、家族間暴力に伴う命令と過去の家族間暴力、虐待、および育児放棄の重要性を強調している。
豪先住民の子の最善の利益
改正後の第60条CC項第3号は、アボリジニおよびトレス海峡島嶼民の子たちが自らの文化を享受する権利と、その文化とのつながりをもつために受ける支援を、最善の利益の独立した要因として、裁判所が考慮することを規定している。本号は、第60条CC項第2号のもとでの一般的な考慮事項に加えて運用される。
親責任
本改正法において、離別した父母が親責任を保持するという、家族法の現行の立場に変更はない。この親責任は裁判所の命令によって変更される場合を除き、共同でも個別でも実行される(第61条C項 )。
均等かつ共同の親責任の推定の撤廃
これまでの第61条DA項に規定されていた、均等かつ共同の親責任の推定(以下、「本推定」)は撤廃された。本推定は、重要な長期的決定を共同で下すことに関連していたが、均等の時間を過ごす取り決めに対する権利を生み出すものだと一般的に誤解されてきた。
本推定が反証された場合を除き、裁判所は教育、養育の宗教的・文化的な側面、医療、名前、生活環境の大幅な変更といった重要な長期的事項に関連した共同決定を父母に義務付けることが子の最善の利益にかなうと推定していたが、本推定が撤廃されたことで、裁判所はその推定を行う必要がなくなった。
この変更によって、親責任に関する決定は、子にとっての最善の利益と個別事案に特有の事情にもとづ いて下されることが明確化された。
ある種の時間的取り決めを考慮する義務の撤廃
第65条DAA項が撤廃された。同項の規定のもとで、裁判所は、均等かつ共同の親責任の命令が発令されていた場合に、子が父母双方と均等な時間もしくは十分かつ重要な時間を過ごすことを求める命令を出すよう考慮する必要があった。
裁判所は今後も、子の最善の利益に合致する形で、均等な時間的取り決め、または、父母双方との十分あるいは重要な時間を過ごせる取り決めを考慮することができる。
共同意思決定に関する新たな方針
本推定の撤廃を踏まえ、本改正法では、重要な長期的事項についての協議に関し、父母にさらなる方針を提示している。一方、これら事項に関する決定の責任配分に関して命令を出す裁判所の権限についても、さらなる指針を示している。
新たな第61条CA項では、裁判所命令に別段の記載がない限り、危険な場合を除いて、父母が子の最善の利益を最優先に考慮して、子に関連した重要な長期的事項について協議することを推奨している。裁判所命令がない場合、本条は法執行が不可能だが、父母が子に関連した重要な長期的事項に関してどのように取り組むべきか提示している。
新たな第61条D項第3号(および既存の第64条B項第3号)によって、裁判所が親責任の配分に関して今後も命令を出す点が明確化されており、また、「重要な長期的事項に関する共同決定」という用語が採用されている。
新たな第61条DAA項は、重要な長期的事項に関する共同意思決定を求める命令の効力を規定している。つまり、当事者は相互に協議し、共同決定を見出すために誠実な努力を行うことが要請される。
助言者の義務に関する変更
また、第1部では、第60条D項と第63条DA項において、助言者の義務に関する改正がなされている。これらの項では、子の養育を取り決めるために父母に業務を提供する助言者の義務を定めている。「助言者」は、法律専門家、家族カウンセラー、家族紛争解決専門家、家族コンサルタントを指すと定義される。
第60条D項は、こうした専門家が顧客に対し、現行第60条CC項の主要な考慮項目2点を含め、子の最善の利益を最優先にすべき点に関し、その旨を助言しなければならないと記載している。第60条CC項の改正によって、最善の利益の要素が簡素化され、「主要素」と「追加的要素」の区別が撤廃されたことを反映するため、本項においては、助言者の義務が次のように改正されている。
第63条DA項には、助言者にとっての追加的義務が記載されている。本改正によって、子が父母双方と均等な時間を過ごす可能性、それが合理的に実行不可能な場合には、十分あるいは重要な時間を過ごす可能性を父母に助言する義務が撤廃された。これは第65条DAA項の撤廃を反映している。
新しい第65条DAAA項:最終的な養育命令の再検討
新たな第65条DAAA項は、裁判所が最終的な養育命令を再検討できる条件を定めており、1979年の「Rice 対 Asplund」による判例上の規範を成文化したものである。
最終的な養育命令が発出されている場合については、改正後の第65条DAAA項によって、下記の例外を除き、裁判所による同最終命令の再検討が行われてはならない旨が明確化されている。
開始・適用についての情報
第1部(養育の枠組み)の開始は、2024年5月6日を予定している。
第2部:子に関連した命令の執行
本部では、次の内容を取り上げる。
第13節Aの改正
家族法第Ⅶ章第13節Aは、養育命令が遵守されなかった場合の影響を明確化し、規定を裁判所が適用しやすくするために改正されている。
改正版では、いくつかの政策的変更がなされているが、遵守と執行の規定の基本原則に関しては大きな変更がない。政策変更は、次の通りである。
第13節Aから訴訟費用負担命令の規定を外している。非遵守の訴訟費用負担命令については、家族法第117条のもとで発令されることになる。
非遵守の場合に裁判所が社会奉仕命令を出す権限が撤廃された。
違反審理のどの段階にあっても、裁判所によって、ある個人と子がさらなる時間を過ごすことを命令されうること、養育命令が変更されうること、当事者が育児プログラムに出席するよう命令されうることを明文化している。この命令の発出にあたり、違反の判定が必ずしも下される必要はない。
改正後の条文には、命令が遵守されなかった場合に裁判所が適用できるさまざまな制裁が記載されている。現行法に記載された、命令違反に「合理的な理由」が存在する条件に関しては、安全性が懸念される状況を含めて、改正後も保持されている。
記録官に新たな権限を付与
今回の変更により、2021年オーストラリア連邦巡回裁判所および家庭裁判所(以下、「FCFCOA」)法にも改正がなされ、FCFCOA両部門の記録官に対し、ある個人と子がさらなる時間を過ごすように求める養育命令(一般的に「時間埋め合わせ命令」「時間を補う命令」と呼ばれる)を追加で発令する権限が付与される。
開始・適用についての情報
第2部の規定の大半は、第1章第1節(子に関連する命令の執行)の主たる改正に関するもので、2024年5月6日から適用が開始される。
第3部:「家族の一員」および「親族」の定義
第3部の改正によって、「親族」および「家族の一員」の定義が拡大され、アボリジニおよびト レス海峡島嶼民の家族の概念が包含される。
今回の改正には、第4条第1項AD号の「ある個人の親族」の定義の拡大が含まれる。アボリジニおよびトレス海峡島嶼民の子については、その子のアボリジナル文化またはトレス海峡島嶼民文化(当該文化の親族制度を含むが、それに限らない)に従い、ある個人とその子が親族だとされる。
「ある個人の親族」の定義に対する改正は第4条第1項AB号の「家族の一員」の定義にも適用される結果、「家族の一員」の定義の拡大は以下の項目にも反映される。
「家族の一員」の拡大された定義は、家族法第60条CF項、第60条CH項、第60条CI項のもと、裁判所に一定の事項に関して情報を伝える訴訟当事者の義務には適用されない。拡大された要素を除き、「家族の一員」の定義は、アボリジニおよびトレス海峡島嶼民の訴訟当事者を含め、第60条CF、第60条CH、第60条CIのもとでの義務に適用される。
第4条第1項の「子の親族」の定義も改正がなされ、アボリジニおよびトレス海峡島嶼民の子に対しては、その子のアボリジナル文化またはトレス海峡島嶼民文化(当該文化における親族関係制度を含むが、それに限らない)において子の親族である個人をすべて親族に含むことになる。
これらの定義には、家族法第4条第1項に定義された、子のアボリジナル文化またはトレス海峡島嶼民文化を参照した上で考慮および適用されることが企図されている。
開始・適用についての情報
第3部の変更は、最終審理が開始されている場合を除き、2024年5月6日以降に開始された訴訟のすべてに適用される。
第4部:子どもの独立弁護士とハーグ条約訴訟
第4部には、子どもの独立弁護士(以下、「ICL」)の規定に関する改正が記載されており、これら改正には、ICLが子と面会し、子に意見を表明する機会を与える義務が含まれる。また、1980年ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約。以下、「ハーグ条約」)のもとで起こされた訴訟において、ICLの活用を拡大する旨の改正がなされる。
子に面会し、意見を表明する機会を与える義務
例外が適用される場合を除き、ICLには子に面会し、子に意見を表明する機会を与える義務が課される。これはすべての適切な事例において関与を行うためで、ICLの慣行を全国的規模で一貫して支えるものである。子にとって、意見を表明する機会は大きな重要性をもつことがあり、子の最善の利益を決定する上で役に立ちうる。これらの改正は、子の家族法訴訟への参加をさらに促進すると共に、子どもの権利条約第12条における児童の権利と一致し、児童の安全と厚生を守るものである。
家族法第60条CE項にもとづき、いかなる内容についても、ICLは子に自らの意見を表明するよう要求してはならない。
この規定は、こうした義務の遂行方法についてICLの裁量に制約を課すものではない。本法制は、子との面会をいつ、どの頻度で、どのように行うか、また、子に意見を表明する機会をいつ、どの頻度で、どのように提供するかに関して、ICLが裁量をもつことに特化して定めたものである(新しい第68条LA項第5号AA)。この裁量権は、裁判所の命令または指示に準ずる。
新しい第68条LA項第5号Bのもとで、ICLは子が5歳未満の場合、または、子がICLとの面会もしくは意見表明を望まない場合、義務を果たす責任は課されない。ICLは正当化される例外的な状況がある場合には、義務を果たす責任は有しない。これには安全に管理しえない、もしくは子の福祉に大きな負の影響をもたらす物理的または心理的な害の危険に子がさらされる場合が含まれるが、これらに限定されるものではない(新しい第68条LA項第5号C)。
これらの義務は、個別事案の事実および環境に左右されるため、ICLが果たすべき具体的な時期は規 定されていない。ただし、裁判所が最終命令を出す前のどこかの段階で、ICLはこれらの義務を果たさなくてはならない。例外的な環境が理由でこれらの義務をICLが果たさなかった場合、裁判所は、義務の不履行を正当化する例外的な環境が存在するか判断しなければならない。こうした環境が存在しないと裁判所が判断した場合、裁判所はそうした義務(単独もしくは複数)を実行するように義務付ける命令を発出しなければならない(新しい第68条LA項第5号D)。環境が例外的かどうかは、各事案の事実および状況によって判断される。
ICLは、家族コンサルタントなど事案に適切な専門家または治療を提供している専門家の助言など、自らの決断を裏付ける外部の証拠を取得できる。また、ICLは子の親または監護者からの証拠を参照するよう希望できる。こうした助言をどれほど重視するかはICLの専門的裁量であり、裁判所によっても考慮 される。
法制上のこうした新たな義務は、家族法が定めるその他の義務と並行して適用される。例えば、ICLは子が訴訟関連の内容について表明した意見は、そのいずれについても、裁判所に完全に提示しなければならない(第68条LA項第5号b)。
ハーグ条約訴訟における、子どもの独立弁護士の活用の拡大
今回の法改正によって、ハーグ条約のもとで提訴された事案においてICLは「例外的な状況」にのみ任命されるという要件が撤廃される。
従前、ハーグ条約のもとで提訴された事案において、裁判官はICLの任命を、それが正当化される例外的な状況においてのみ許可してきた(家族法第68条L項第3号)。改正の結果、
これらの改正には、ハーグ条約関係の訴訟が第68条L項の適用対象となる点が疑義の余地がない形で明示されている。第68条L項の改正に伴い、家族法のもと、他の家族法の案件と同様に、ハーグ条約訴訟においてICLは裁判所によって任命される。
第111条B項1Bの廃止-ハーグ条約訴訟における子の反対の例外
今回の法改正により、家族法第 111条B項1Bはすべて廃止される。1986年家族法(ハーグ条約)規制では、ハーグ条約下での帰国に子が反対する場合、好みや通常の希望を単に表現しているのではなく、感情的な強度をもって反対しているのでなければ、こうした反対を考慮してはならないと定めていた。しかし本改正では、家族法におけるこうした厳しい要件を撤廃する。こうした改正によって、ハーグ条約第13条のもとでの義務と家族法は整合性を帯びることになる。
開始・適用についての情報
第4部は、2024年5月6日に適用が開始される。
第5部:事案管理・手続き
第5部には、家族法に新たに導入される2つの章が含まれる。
有害訴訟命令
訴訟が進行中であれば、裁判所はいかなる段階でも、自らが率先して、または、訴訟当事者のいずれかの申し立てによって、有害訴訟命令を出す権限をもつ。その際裁判所は、被告にとって追加の訴訟が有害であると信じるに足る合理的な根拠があると確信する必要がある。有害性には、心理的な害、抑圧、大きな精神的ストレス、もう一方の訴訟当事者の子を養育する能力に負の影響をもたらす行動、金銭的な損害が含まれうる。
最重要目的
家族法実務・手続規定の最重要目的は、下記の点を担保しつつ、紛争の公正な解決を促進することにある。
⒜ 家族と子の安全を実現する。
⒝ 子の最善の利益が最優先される、家族法のもとでの訴訟に関連して、子の最善の利益が促進される。
⒞ 法を遵守する。
⒟ 可能な限りのスピード、低コスト、効率性を実現する。
これに加え、最重要目的に沿って訴訟の当事者と法的代理人が訴訟を進めるという法的な義務も存在する。この義務に違反したと認められた訴訟の当事者と法的代理人には、訴訟費用負担命令が発出されることがある。
開始・適用についての情報
第5部は、2024年5月6日に適用が開始される。
第6部:家族法訴訟の詳細の連絡通知
本改正法の第6部では、家族法第121条を撤廃し、新しい第ⅩⅣ章Bに置き換えている。新しい第ⅩⅣ章Bによって、大きな政策変更が同分野に生じるわけではなく、既存の罰および違反が維持される。新しい第ⅩⅣ章Bの意図は、同規定の表現を簡潔にし、個人の特定が可能な家族法の情報を諸個人が共有できる際の条件を明確化する点にある。
開始・適用についての情報
第6部の開始は2024年5月6日に予定されており、同日以降に生じた作為および不作為に適用される。
第7部:家族報告書作成者
第7部の変更によって、家族についての調査報告書を作成する家族報告書作成者が満たすべき基準と要件を定める規制を政府が制定する権限が確立される。本権限は、家族紛争解決手続実施者や家族カウンセラーの規制枠組みの確立を可能にした権限と類似している(家族法第10条A項)。同規制は、関係者とのさらなる協議および規制上の特定の選択肢がもたらす影響を考慮した後導入される。
開始についての情報
第7部は、2024年5月6日に適用が開始される。
本改正法の規制権限の結果として策定される基準と要件は、関係者との協議のもとで規制が策定された後に始動する。
第8部:FCFCOAの運用の見直し
本改正法に伴い、FCFCIA法の見直しの時期が2年前倒しされる。見直しは2024年9月に開始する。
第9部:兼任
本改正によって、州の家庭裁判所(西オーストラリア州家庭裁判所)で裁判官として勤務しているかどうかにかかわらず、個人がFCFCOA(第1部門)の裁判官として任命され、職務に従事できると明示された。
第10部:改正の見直し
本改正法は、新たな規定が企図された通り運用されているか確認するため、運用の見直しが行われる。この見直しは、本改正法の始動後3年が経過した後すぐに開始され、12か月以内に完了しなければならない。この見直しの報告書は議会に提出される。
開始についての情報
第8部、第9部、第10部は2023年11月7日に開始された。
(了)