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2024年5月施行 改正オーストラリア家族:家族法専門家向けファクトシート

 本記事はオーストラリア政府・司法長官省HPの「家族と結婚>家族と結婚に関する出版物」に掲載されている「2024年5月施行 改正家族法:家族法専門家向けファクトシート」の和訳版「改正家族法-2024 年 5 月施行」(在日オーストラリア大使館HPに掲載)を転載し、対象となる条文をクリエイターが補足欄で追加したものです。
 このファクトシートは、家族法の専門家に、1975年家族法の2024年の変更に関する情報を提供します。均等な共同親責任の廃止を含む親責任の枠組みの変更と、裁判所が子どもの子育ての取決めを決定する際に使用する最善の利益の要因の変更について説明しています。
 令和6年(西暦2024年)の民法改正に際して、「オーストラリアが離婚後共同親権制度を見直した」というニュースが報道されました。「見直す」が「気付いた欠点を是正する」という意味であれば正しいのですが、離婚後共同親権に反対する勢力は「それまでの認識を改める」という誤った解釈を発信続けました。本記事を読めば、 オーストラリアは「時間均等の共同監護が子の最善の利益に適う」という推定則を廃止したに過ぎず、婚姻状況の如何に拘らず、両親は親責任を負う「原則共同親権制度」は厳然として維持されていることが理解できます。是非ご一読下さい。
 なお、原文の半角数字を全角数字に変更したり、原文の用語を日本で既に一般的に使用されている用語に差し替える等の修正を加えていることを予めお断りしておきます。

改正家族法-2024年5月施行

家族法専門家向けのファクトシート

概要

 オーストラリア連邦の2023年改正家族法(以下、「本改正法」)には、家族法の専門家や家族法制度の利用者に影響を与える多くの変更が含まれている。例えば、養育命令の発令に関する枠組みに大幅な改正がなされている。また、子どもの独立弁護士のための法制上の新しい義務が設けられる。

 本改正法は2023年11月6日に国王裁可を受けた。その6か月後(2024年5月6日)に大半の措置が開始される。家族法制度の専門家は、同開始日より、最終審理が開始されている場合を除き、新規および既存の問題に対して、多くの重要な変更が適用されることに留意する必要がある。
 本ファクトシートには、個々の変更の開始時期と適用方法についての情報を含め、本改正法の各部の概要を記載している。一般的な情報に限って掲載しており、掲載情報は法的助言に該当しない。

さらなる詳細について

 本改正法は、豪連邦政府公式法令情報サービス(Federal Register of Legislation)からダウンロードでき、 付随する説明資料は豪国会議事堂のウェブサイトから入手できる。
 養育命令の申し立てを希望する人を対象として、本改正法についての簡潔な概要を「父母及び関係者向けのファクトシート」にまとめている。

第1部:養育の枠組み

改正対象:第60条B-第Ⅶ章の目的

連邦1975年家族法(以下、「家族法」)の第60条B項が簡素化され、第Ⅶ章(子ども)の目的は次のように規定される。

  • 子の安全を確保することを含め、子の最善の利益が満たされるようにする。

  • 「児童の権利に関する条約」(以下、「子どもの権利条約」)に効力をもたせる。

クリエイターによる補足:改正前の第60条Bの条文
家族法第60条B 本章の目的及び基本原理
⑴ 本章の目的は、次の点によって子の最善の利益を実現することである。
 ⒜ 子の最善の利益に適う限りにおいて、両親が、最大限、子の生活に有意義な関わりを持つことによる利益を子に確保すること。
 ⒝ 子が虐待、ネグレクト若しくは家庭内暴力を受ける、または、その暴力を見聞きすることによって、身体的または心理的に受ける危害から子を保護すること。
 ⒞ 子が最大限の発達可能性を発揮できるよう、十分かつ適切な養育を受けることを確保すること。
 ⒟ 両親が、子どもの世話、福祉及び成長発達に関する義務を果たし、責任を担うことを確保すること。
⑵ これらの目的の基礎となる原則は、次の通りである(それが子の最善の利益に反する、または、反するであろう場合は除く)。
 ⒜ 子は、父母が婚姻関係にあるか、既に離別したか、そもそも婚姻関係になかったか、または、そもそも同居したことがないかの如何にかかわらず、父母双方を知り、父母双方から世話を受ける権利を有する。
 ⒝ 子は、父母双方、及び、子の世話、福祉及び成長発達にとって重要な他の人物(祖父母その他親族等)と定期的に時間を共に過ごし、通信を行う権利を有する。
 ⒞ 父母は、子の世話、福祉及び成長発達に関する義務及び責任を共同で担う。
 ⒟ 父母は、子の将来にわたる養育について合意するべきこと。
 ⒠ 子は、自身の文化を享受する権利を有すること(当該文化を共有する者と共に、それを享受する権利を含む)。
⑶ [アボリジニ関係につき省略]
⑷ 本章の目的の追加部分は、1989年11月20日にニューヨークにおいて成立した子どもの権利条約を実施する趣旨のものである。

改正対象:第60条CC-子の最善の利益

 家族法第60条CA項は、子に関連して養育命令を発令するかの決定時に、裁判所がその子にとって最善の利益を最優先の考慮事項として検討しなければならない点を明確にしている。
 本改正法は、子の最善の利益を決定する際に裁判所が考慮しなければならない要素について、新しいリストを提示している。

クリエイターによる補足:第60条CA項の条文
家族法第60条CA 養育命令における最優先の考慮事由としての子の最善の利益
 裁判所は、子に関してある特定の養育命令を行うか否かを決定する場合、子の最善の利益を、最優先に考慮しなければならない。

一般的な考慮事項
 新しいリストは第60条CC項第2号に掲載され、オーストラリア法制度改革委員会による2019年の家族法制度に関する報告書で推奨された重要項目6点のリストを反映している。本リストは階層的ではな く、「主要素」と「追加的要素」という考慮事項間の区別がなくなった。階層性がなくなったことで、裁判所は養育関連の個別の問題に関し、子の最善の利益を最優先に考慮する形で、個別事情を検討できる。
 子の最善の利益のために養育上の取り決めを決定する場合、裁判所は現在、第60条CC項第2号に掲載された要素を考慮すべきことになっている。

 ⒜ どのような取り決めが、子、また、(その子に対する親責任の有無を問わず、)その子の監護を担っている人それぞれの安全(家族間暴力、虐待、育児放棄、またはその他の危害からの安全を含む)を促進するか
 ⒝ 子が表明した意見
 ⒞ 発達、心理、情緒、文化面での子のニーズ
 ⒟ 発達、心理、情緒、文化面での子のニーズを満たす上での親責任を負っている、または負うことが提案されている各人の能力
 ⒠ そうすることが安全である場合に、子の父母、および、子にとって重要な他の人々と関係を持てることによる、子への利益
 ⒡ 子の個別事情に関連するその他の要素

 改正後の第60条CC項第2号Aにおいては、今後の子育ての取り決めを決定する上で、家族間暴力に伴う命令と過去の家族間暴力、虐待、および育児放棄の重要性を強調している。

豪先住民の子の最善の利益
 改正後の第60条CC項第3号は、アボリジニおよびトレス海峡島嶼民の子たちが自らの文化を享受する権利と、その文化とのつながりをもつために受ける支援を、最善の利益の独立した要因として、裁判所が考慮することを規定している。本号は、第60条CC項第2号のもとでの一般的な考慮事項に加えて運用される。

クリエイターによる補足:第60条CC項の条文
家族法第60条CC項 裁判所が子の最善の利益を決定する方法
●子の最善の利益の決定
⑴ ⑷号の規定に従い、子の最善の利益を決定するにあたり、裁判所は以下を考慮しなければならない:
 ⒜ ⑵号に規定する事項を考慮する。
 ⒝ 子がアボリジニまたはトレス海峡諸島民の子である場合、⑶号に規定する事項も考慮する。
●一般的な考慮事項
⑵ ⑴号⒜の規定の目的上、裁判所は以下の事項を考慮せねばならない
 ⒜ どのような取り決めが以下の者の安全(家族間暴力、虐待、育児放棄、その他の危害を受ける、または曝されることからの避難を含む)を促進するか
  (ⅰ) 子
  (ⅱ) 子の世話をする各人
    (その子に対する親責任の有無を問わず)
 ⒝ 子が表明した意見
 ⒞ 子の発達、心理、情緒、文化的ニーズ
 ⒟ 子の親責任を負っている、または負う予定の各人の、子の発達、心理、情緒、および文化的ニーズを満たす能力
 ⒠ 安全である場合に、子の両親、および子にとって重要なその他の人々と関係を持つことで子が得られる利益
 ⒡ 子の特定の状況に関連するその他の事項
(2A) ⑵号⒜に規定された事項を検討するにあたり、裁判所は、次の事項を考慮しなければならない。
 ⒜ 子または子の世話をする人(その子に対する親責任の有無を問わず) が関与する家族内暴力、虐待、または育児放棄の履歴。
 ⒝ 子または子の家族の一員に適用される、または適用された家族内暴力命令。
●追加的考慮事項 -アボリジニ文化またはトレス海峡諸島民の文化を享受する権利
⑶ ⑴号⒝目的のため、裁判所は以下の事項を考慮しなければならない
 ⒜ 子が以下の目的のために、必要な支援、機会、および奨励を得ることにより、アボリジニ文化またはトレス海峡諸島民の文化を享受する権利
  (ⅰ) 家族のメンバー、地域社会、文化、国、言語とのつながりを維持する
  (ⅱ) 子の年齢、発達レベル、および子の見解に一致して、その文化を完全に探求する
  (ⅲ) その文化に対する肯定的な認識を育む
 ⒝ この規則に基づく養育命令の提案がその権利に及ぼす可能性のある影響
●同意命令
⑷ 裁判所が訴訟当事者全員の同意を得て命令を発令するかどうかを検討している場合、裁判所は、⑵号または⑶号に定める事項の全部または一部を考慮することができるが、考慮する義務はない。

親責任

 本改正法において、離別した父母が親責任を保持するという、家族法の現行の立場に変更はない。この親責任は裁判所の命令によって変更される場合を除き、共同でも個別でも実行される(第61条C項 )。

クリエイターによる補足:第61条C項の条文
家族法第61条C項 父母は各々、親責任を有する(ただし、裁判所の命令に従う)
⑴ 18歳未満の子どもの父母は各々、子どもに関する親責任を有する。
注記1:本条は、これに代わる裁判所の養育命令が行われない限りにおいて、親責任に関して適用される法的立場を規定する。養育命令の効果に関しては、本条⑶号、及び、第61条D⑵号を参照のこと。
注記2:本条は、裁判所が養育命令を出す場合における推定を設けるものではない。
注記3:第 63条C項に従って、子どもの父母は、子どもの親責任の割当てに関して養育計画を作成することができる。
⑵ ⑴号は、子どもの父母の関係性のいかなる変化にかかわらず、効力を有する。例えば、父母の別離、または、父母の一方若しくは双方の婚姻若しくは再婚により影響を受けることはない。
⑶ ⑴号は、当時時点において有効である、裁判所による一切の命令の効力に服する(それは、当該命令が本法に従って行われた命令か否か、及び、本条の施行の前後のいずれに行われた命令かを問わない)。
注記:第111条CSは、子どもに関する親責任の付与に影響を及ぼし得る。

均等かつ共同の親責任の推定の撤廃

 これまでの第61条DA項に規定されていた、均等かつ共同の親責任の推定(以下、「本推定」)は撤廃された。本推定は、重要な長期的決定を共同で下すことに関連していたが、均等の時間を過ごす取り決めに対する権利を生み出すものだと一般的に誤解されてきた。
 本推定が反証された場合を除き、裁判所は教育、養育の宗教的・文化的な側面、医療、名前、生活環境の大幅な変更といった重要な長期的事項に関連した共同決定を父母に義務付けることが子の最善の利益にかなうと推定していたが、本推定が撤廃されたことで、裁判所はその推定を行う必要がなくなった。
 この変更によって、親責任に関する決定は、子にとっての最善の利益と個別事案に特有の事情にもとづ いて下されることが明確化された。

クリエイターによる補足:撤廃された第61条DA項の条文
家族法第61条DA項 養育命令における均等な共同親責任の推定
⑴ 裁判所は、子に関する養育命令を発出する場合、父母が、当該子に対し、均等な共同親責任を有することが子の最善の利益に適うという推定を働かせなければならない。
注記:本条が規定する推定は、専ら第61条Bが定める子の親責任の割当てにのみ関わるものである。子が父母各々と共に過ごす時間の長さに関わる推定を規定するものではない(この問題については、第65条DAAに規定されている)。
⑵ 本推定は、もし、当該子の一方の親(あるいは、当該子の一方の親と共に暮らす者)が、次の行為を行っていたと信じるべき合理的な根拠が存在する場合には適用されない。
 ⒜ 当該子への虐待、若しくは、当時、その親の家庭構成員であった別の子に対する虐待(若しくは、その親と共に暮らす者の家族)への虐待
 ⒝ 家庭内暴力
⑶ 裁判所が暫定命令を発出する場合には、裁判所が、命令を発出するに際し、当該事情において本推定の適用が不適切であると考える場合を除き、本推定が適用される。
⑷ 本推定は、裁判所が、子の父母が均等な共同親責任を有することは、子の最善の利益に適わないと認めるような証拠をもって覆すことができる。

ある種の時間的取り決めを考慮する義務の撤廃

 第65条DAA項が撤廃された。同項の規定のもとで、裁判所は、均等かつ共同の親責任の命令が発令されていた場合に、子が父母双方と均等な時間もしくは十分かつ重要な時間を過ごすことを求める命令を出すよう考慮する必要があった。
 裁判所は今後も、子の最善の利益に合致する形で、均等な時間的取り決め、または、父母双方との十分あるいは重要な時間を過ごせる取り決めを考慮することができる。

クリエイターによる補足:撤廃された第65条DAA項の条文
家族法第65条DAA項 
裁判所において、一定の事情のもとで、子が父母各々と均等な時間または十分かつ重要な時間を共に過ごすことに関する検討すること
●平等な時間
⑴ ⑹号に基づき、もし、養育命令において、父母が子に関する均等な共同親責任を有することを定める(または、定めようとする)場合、裁判所は、次のことを検討しなければならない。
 ⒜ 子が父母各々と均等な時間を共に過ごす措置が、子の最善の利益に適うか否か
 ⒝ 子が父母各々と均等な時間を共に過ごす措置が、合理的に実現可能か否か
 ⒞ もし、そうである場合、子が父母各々と均等な時間を過ごすことを定める命令(または、その旨の条項を含む命令)を行うことを検討しなければならない。
●十分かつ重要な時間
⑵ ⑹号に基づき、
 ⒜ 養育命令において、子の父母が均等な共同親責任を有することを定める(または、定めようとする)場合で、かつ、
 ⒝ 裁判所において、子が父母各々と均等な時間を過ごす措置を定める命令(または、その旨の条項を含む命令)を行わない場合、裁判所は、次のことを検討しなければならない。
 ⒞ 子が父母各々と十分かつ重要な時間を共に過ごす措置が、子の最善の利益に適うか否か
 ⒟ 子が父母各々と十分かつ重要な時間を共に過ごす措置が、合理的に実現可能か否か
 ⒠ もし、そうである場合には、子が父母各々と均等な時間を過ごす措置を定める命令(または、その旨の条項を含む命令)を行うことを検討しなければならない。
注記1:第60条CAは、子に関してそれぞれの親と重要な時間を過ごす内容の養育命令を継続するかどうかを判断することにおいても有効であり、裁判所は、子の最善の利益を最優先の事由とする。
注記2:裁判所が、合理的に実現可能であることを判断する際に考慮する要素については、⑸号参照。
⑶ ⑵号において、子が父母と十分かつ重要な時間を過ごしていると解されるのは次の場合に限られる。
 ⒜ 子が当該父母と共に過ごす時間において、次の両方が含まれる場合。
  (ⅰ) 週末及び休日
  (ⅱ) 週末及び休日にあたらない日
 ⒝ 子が当該父母と共に過ごす時間において、次の事柄の両方に父母が参加できている場合。
  (ⅰ) 子の日常生活
  (ⅱ) 子にとって特に重要な行事・イベント。
 ⒞ 子が父または母と共に過ごす時間において、当該父母にとって特に重要な出来事・イベントに、 子が参加できている場合。
⑷ ⑶号は、裁判所において、子が父母と共に過ごす時間が十分かつ重要であるか否かを判断する際に考慮できるその他の事由を制限するものではない。
●合理的な実現可能性
⑸ ⑴号及び⑵号において、子が父母各々と均等な時間、または十分かつ重要な時間を共に過ごすことが合理的に実現可能か否かを判断するに際しては、裁判所は、次の点を考慮しなければならない。
 ⒜ 父母が互いにどの程度離れて暮らしているか。
 ⒝ 父母において、子が父または母と均等な時間、または、十分かつ重要な時間を共に過ごす取り決めを実現する、現在及び将来的な能力。
 ⒞ 父母において、相互に意思疎通を行い、取り決めを実現するに際して生じるであろう諸問題を解決することができる、現在及び将来的な能力。
 ⒟ 当該取り決めが子に対して及ぼし得る影響。
 ⒠ その他、裁判所が関連性を有すると考える事由。
注記:⒞ 規定の将来的な能力:裁判所は、第13条Cに基づいて、当事者に対して、家族カウンセリング若しくは家族紛争解決手続に参加するよう、または、そのようなコース、プログラム若しくはサービスに参加するよう命令することができる
●合意命令
⑹ もし、
 ⒜ 裁判所において、訴訟手続の全当事者の合意の下で、養育命令を行うか否かを検討している場合で、かつ、
 ⒝ 当該命令において、父母が子どもに関する平等な共同親責任を有する旨を定める(または、定めようとする)場合、 裁判所は、⑴号⒜ないし⒞規定の諸事由(適用可能な場合)、または、⑵号⒞ないし⒠規定の諸事由について考慮することができる。ただし、裁判所は、その考慮を義務付けられるものではない。
⑺ 疑問を避けるため記載するに、⑹号は、養育命令に関する第60条CAの適用に影響を及ぼすも のではない。
注記:第60条CAは、特定の養育命令を行うか否かの決定において、子どもの最善の利益を最優先の事由として考慮することを求める。

共同意思決定に関する新たな方針

 本推定の撤廃を踏まえ、本改正法では、重要な長期的事項についての協議に関し、父母にさらなる方針を提示している。一方、これら事項に関する決定の責任配分に関して命令を出す裁判所の権限についても、さらなる指針を示している。

  • 新たな第61条CA項では、裁判所命令に別段の記載がない限り、危険な場合を除いて、父母が子の最善の利益を最優先に考慮して、子に関連した重要な長期的事項について協議することを推奨している。裁判所命令がない場合、本条は法執行が不可能だが、父母が子に関連した重要な長期的事項に関してどのように取り組むべきか提示している。

  • 新たな第61条D項第3号(および既存の第64条B項第3号)によって、裁判所が親責任の配分に関して今後も命令を出す点が明確化されており、また、「重要な長期的事項に関する共同決定」という用語が採用されている。

  • 新たな第61条DAA項は、重要な長期的事項に関する共同意思決定を求める命令の効力を規定している。つまり、当事者は相互に協議し、共同決定を見出すために誠実な努力を行うことが要請される。

クリエイターによる補足:追加された第61条CA項の条文
家族法第61条CA項 重要な長期的問題に関する両親間の協議
安全が確保され、裁判所の命令に従う限り、18歳未満の子の両親は、以下が推奨される。
 ⒜ 子に関する重要な長期的問題について互いに協議すること。
 ⒝ その際、子の最善の利益を最優先に考慮すること。 

クリエイターによる補足:追加された第61条D項⑶の条文
家族法第61条D項 養育命令、及び、親責任
⑴ 養育命令とは、ある者に対し、子に関する親責任を付与するものである。ただし、それは、当該命令が、その者に対して、当該子に関する義務、権限、責任または権威を付与する範囲にとどまる。
⑵ 子に関する養育命令は、何人においても、その子に関する親責任を何らかの形で奪う、または、縮減するものではない。ただし、次の場合を除く。
 ⒜ 当該命令に明示的に定められている場合
 ⒝ あるいは、当該命令の実現に必要である場合 
⑶ 子に関する主要な長期的問題について決定を行う責任の配分を規定する養育命令(第64条B項⑶参照)は、すべての重要な長期的問題または特定の重要な長期的問題に関する共同または単独の意思決定を規定することができる。

クリエイターによる補足:追加された第61条DAA項の条文
家族法第61条DAA項 長期にわたる重要な問題について共同で意思決定を行うよう規定する養育命令の効果
⑴ 養育命令が、子に関するすべてのまたは特定の長期にわたる重要な問題について、複数の者が共同で意思決定を行うことを規定している場合、命令に別段の定めがある場合を除き、その命令は各者に次のことを要求するものと見做される。
 ⒜ 各決定に関して他の者と協議すること
 ⒝ 共同で意思決定を行うよう真摯に努力すること
⑵ 疑義を避けるため、この条項は、これらの者の1人から伝えられた子に関する決定に基づいて行動する前に、他の者がその決定が共同で行われたことを証明することを要求していない。

助言者の義務に関する変更

 また、第1部では、第60条D項と第63条DA項において、助言者の義務に関する改正がなされている。これらの項では、子の養育を取り決めるために父母に業務を提供する助言者の義務を定めている。「助言者」は、法律専門家、家族カウンセラー、家族紛争解決専門家、家族コンサルタントを指すと定義される。
 第60条D項は、こうした専門家が顧客に対し、現行第60条CC項の主要な考慮項目2点を含め、子の最善の利益を最優先にすべき点に関し、その旨を助言しなければならないと記載している。第60条CC項の改正によって、最善の利益の要素が簡素化され、「主要素」と「追加的要素」の区別が撤廃されたことを反映するため、本項においては、助言者の義務が次のように改正されている。

  • 子の最善の利益が最優先であることを顧客に伝える

  • 当人に対し、第60条CC項の第2号と第3号に記載された考慮点を適用することで、子の最善の利益にかなう行動をとるよう促す

 第63条DA項には、助言者にとっての追加的義務が記載されている。本改正によって、子が父母双方と均等な時間を過ごす可能性、それが合理的に実行不可能な場合には、十分あるいは重要な時間を過ごす可能性を父母に助言する義務が撤廃された。これは第65条DAA項の撤廃を反映している。

クリエイターによる補足:追加された第60条D項の条文
家族法第60条D項 子の最善の利益に関する助言者の義務
⑴ 助言者が子および本条に関する事項についてある人物に助言または援助を与える場合、助言者は以下を行わなければならない
 ⒜ 当該人物が子の最善の利益を最優先に考慮すべきであることを当該人物に通知すること。
 ⒝ 当該人物が 第60条CC項⑵号および⑶号に規定されている考慮事項を適用して子の最善の利益のために行動するよう奨励すること。
⑵ 本条において
  「助言者」とは、次の人物を意味する。
 ⒜ 法律専門家。
 ⒝ 家族カウンセラー。
 ⒞ 家族紛争解決専門家。
 ⒟ 家族コンサルタント。

クリエイターによる補足:追加された第63条DA項の条文
家族法第63条DA項 助言者の義務
(1A) 本条項に基づく助言者の義務は、第60条D項に基づく助言者の義務に加えて課される。
注記:第60条D項は、子の最善の利益に関する助言者の義務を扱っている。
⑴ 助言者が、子に対する親責任に関して人々に助言または援助を関係破綻後に与える場合、助言者は次のことを行わねばならない。
 ⒜ 子に関する養育計画の締結を検討できることを彼らに知らせる
 ⒝ 養育計画を作成するためにさらに援助を受けられる場所と計画の内容について彼らに知らせる
⑵ 助言者が、子に関する養育計画の作成に関連して人々に助言を与える場合、助言者は次のことを行わねばならない。
 ⒟ 第63条C項⑵号に従って養育計画で取り扱われる可能性のある事項を彼らに知らせること
 ⒠ 子に関して有効な養育命令がある場合、その命令には(第64条D項により)彼らが締結する養育計画にその命令が従うという条項が含まれる可能性があることを彼らに知らせる
 ⒡ 計画に以下を含めることが望ましいことを彼らに知らせる
  (ⅰ) 彼らが計画に基づいて子の親責任を共有する場合
    - 第63条C項⑵号⒟で言及されている種類の規定
     (計画の当事者間の協議の形式を扱う)は、その
     項で扱われる事項に関する将来の紛争や誤解を避
     けるための方法である
  (ⅱ) 第63条C項⑵号⒢で言及されている種類の規定
    (計画の当事者間の紛争を解決するプロセスを扱う)
  (ⅲ) 第63条C項⑵号⒣に言及されている種類の規定
    (子または計画の当事者のニーズまたは状況の変化
     を考慮して計画を変更するプロセスを扱う)
 ⒢ 養育計画の遵守に困難を感じている人々を支援するプログラムが利用可能であることを、彼らが容易に理解できる言葉で説明する
 ⒣ 第65条DAB項では、子に関する養育命令を出す際に、そうすることが子の最善の利益になる場合、裁判所は子に関する最新の養育計画の条件を考慮する必要があることを彼らに知らせる
注記:⒜号および⒝号では、子が各人と均等の時間、または相当な時間を過ごすという選択肢を検討できることを助言者が人々に知らせることのみを求めている。助言者は、その選択肢が特定の状況で適切かどうかについて彼らに助言することができるが、そうする義務はない。
⑸ 本条において、「助言者」とは、次の者をいう。
 ⒜ 法律専門家
 ⒝ 家族カウンセラー
 ⒞ 家族紛争解決専門家
 ⒟ 家族コンサルタント

新しい第65条DAAA項:最終的な養育命令の再検討

 新たな第65条DAAA項は、裁判所が最終的な養育命令を再検討できる条件を定めており、1979年の「Rice 対 Asplund」による判例上の規範を成文化したものである。
 最終的な養育命令が発出されている場合については、改正後の第65条DAAA項によって、下記の例外を除き、裁判所による同最終命令の再検討が行われてはならない旨が明確化されている。

  • 最終的な養育命令が出されて以降、状況に大幅な変化が生じたか裁判所がすでに検討した

  • 最終的な養育命令の再検討が子の最善の利益にかなうと裁判所が確信している

クリエイターによる補足:改正された第65条DAAA項の条文
家族法第65条DAAA項 最終的な養育命令の再検討
⑴ 最終的な養育命令が子に関して効力を持っている場合、裁判所は、次の条件を満たさない限り、最終的な養育命令を再検討してはならない。
 ⒜ 裁判所が、最終的な養育命令が下されてから状況に重大な変化があったかどうかを検討した
 ⒝ 裁判所が、すべての状況において(最終的な養育命令が下されてから状況に重大な変化があったかどうかを考慮して)、最終的な養育命令を再検討することが子供の最善の利益であると確信している
⑵ 裁判所が、⑴号⒝に述べたように確信しているかどうかを判断するために、また第60条CC項を制限することなく、裁判所は、関連すると考えるあらゆる事項を考慮することができる。これには、次の事項が含まれる。
 ⒜ 最終的な養育命令の理由と、その根拠となった資料
 ⒝ 最終的な養育命令を下した裁判所が入手できなかった資料があるかどうか
 ⒞ 最終的な養育命令が再検討された場合、裁判所が最終的な養育命令の運用に重大な影響を与える新しい養育命令を出す可能性(最終的な養育命令の全部または一部を変更、解除または停止するか、またはその他の方法で)
 ⒟ 最終的な養育命令を再検討することによって生じる可能性のある、子への潜在的な利益または不利益
⑶ 裁判所は、⑴号にかかわらず、その命令のすべての当事者の同意または承諾を得て、最終的な養育命令を再検討することができる。
⑷ 裁判所が⑴号に従わなかったとしても、裁判所が出した命令の有効性には影響しない。

開始・適用についての情報
第1部(養育の枠組み)の開始は、2024年5月6日を予定している。

  • 第Ⅰ章(子の最善の利益)および第Ⅱ章(親責任、第61条CA項を除く)は、2024年5月6日以降に開始された訴訟および同日に進行中の訴訟のすべてに適用されることになる。ただし、その時点で最終審理が始まっている場合には、適用されない。

  • 第61条CA項および第3章(子に関連した訴訟)は、2024年5月6日に開始される。

第2部:子に関連した命令の執行

 本部では、次の内容を取り上げる。

  • 第Ⅶ章第13節A(子に関連した命令の執行)の改正

  • 裁判所規則において、記録官が「時間回復についての養育命令」(旧名:失われた時間を埋め合わせるための命令)を発令する権限をもてるようにするための改正

第13節Aの改正

 家族法第Ⅶ章第13節Aは、養育命令が遵守されなかった場合の影響を明確化し、規定を裁判所が適用しやすくするために改正されている。
 改正版では、いくつかの政策的変更がなされているが、遵守と執行の規定の基本原則に関しては大きな変更がない。政策変更は、次の通りである。

  • 第13節Aから訴訟費用負担命令の規定を外している。非遵守の訴訟費用負担命令については、家族法第117条のもとで発令されることになる。

  • 非遵守の場合に裁判所が社会奉仕命令を出す権限が撤廃された。

  • 違反審理のどの段階にあっても、裁判所によって、ある個人と子がさらなる時間を過ごすことを命令されうること、養育命令が変更されうること、当事者が育児プログラムに出席するよう命令されうることを明文化している。この命令の発出にあたり、違反の判定が必ずしも下される必要はない。

 改正後の条文には、命令が遵守されなかった場合に裁判所が適用できるさまざまな制裁が記載されている。現行法に記載された、命令違反に「合理的な理由」が存在する条件に関しては、安全性が懸念される状況を含めて、改正後も保持されている。

クリエイターによる補足:第13節Aの第70NBF条
第70NBF条 合理的な理由がなく違反が立証された命令
●合理的な理由のない違反に対する命令
⑴ 裁判所は、被疑者が合理的な理由なく子に関連する命令に違反したと認定した場合、以下のいずれかの命令を発出することができる。
 ⒜ 被疑者に第70NCA条に従って保証金を締結するよう求める命令
 ⒝ ⒜項に基づいて命令が発出され、被疑者が合理的な理由なく保証金を締結しなかった場合 - 被疑者に10ペナルティ単位を超えない罰金を課す命令
 ⒞ 違反の結果、子が一定期間、ある人物 (影響を受けた人物) と時間を過ごさなかったり、一緒に暮らしたりしなかった場合 - 被疑者が違反の結果として被疑者に合理的に生じた費用の一部または全部を補償するよう求める命令
 ⒟ 裁判所が、被疑者が命令に違反したことを合理的な疑いを超えて確信した場合:
  (ⅰ) 60ペナルティ単位を超えない罰金を科す命令
  (ⅱ) 禁固刑を科す命令
注記:⒟号(ⅱ)については、裁判所が被疑者に禁固刑を科す方法と時期の制限については、⑷項、第70NCC条⑵項、および第70NCE条を参照すること。
●裁判所が考慮する事項
⑵ ⑴項で言及している命令を発出する際には、裁判所は次の事項を考慮せねばならない。
 ⒜ 命令を発出することで子または他の人に及ぼす可能性のある影響
 ⒝ 違反の重大性
⑶ 裁判所が考慮する事項を制限することなく、違反の重大性を考慮する場合、裁判所は以下の事項を考慮せねばならない。
 ⒜ 裁判所が以前に、被疑者が合理的な理由なく子に関する命令に違反したと認定したことがあるかどうか
 ⒝ 被疑者が、⑴項に規定する子に関する命令に基づく被疑者の義務を著しく無視する行動をとったかどうか
 ⒞ 子が⑴項に規定する子に関する命令に基づき同居または時間を過ごすことになる人物の行動
⑷ 裁判所は、事件のすべての状況において、裁判所が⑴項に基づいて違反を他の方法で処理することが適切ではないと確信した場合に限り、⑴項⒟号(ⅱ)に基づいて被疑者に禁固刑を宣告することができる。

記録官に新たな権限を付与

 今回の変更により、2021年オーストラリア連邦巡回裁判所および家庭裁判所(以下、「FCFCOA」)法にも改正がなされ、FCFCOA両部門の記録官に対し、ある個人と子がさらなる時間を過ごすように求める養育命令(一般的に「時間埋め合わせ命令」「時間を補う命令」と呼ばれる)を追加で発令する権限が付与される。

開始・適用についての情報
 第2部の規定の大半は、第1章第1節(子に関連する命令の執行)の主たる改正に関するもので、2024年5月6日から適用が開始される。

第3部:「家族の一員」および「親族」の定義

 第3部の改正によって、「親族」および「家族の一員」の定義が拡大され、アボリジニおよびト レス海峡島嶼民の家族の概念が包含される。
 今回の改正には、第4条第1項AD号の「ある個人の親族」の定義の拡大が含まれる。アボリジニおよびトレス海峡島嶼民の子については、その子のアボリジナル文化またはトレス海峡島嶼民文化(当該文化の親族制度を含むが、それに限らない)に従い、ある個人とその子が親族だとされる。
 「ある個人の親族」の定義に対する改正は第4条第1項AB号の「家族の一員」の定義にも適用される結果、「家族の一員」の定義の拡大は以下の項目にも反映される。

  • 第4条第1項の継親の定義

  • 第4条AB項の家族間暴力の定義

  • 第60条CC項第3号⒜の段落にある、アボリジニアやトレス島嶼民の子にとっての最善の利益に関する独立した要因

 「家族の一員」の拡大された定義は、家族法第60条CF項、第60条CH項、第60条CI項のもと、裁判所に一定の事項に関して情報を伝える訴訟当事者の義務には適用されない。拡大された要素を除き、「家族の一員」の定義は、アボリジニおよびトレス海峡島嶼民の訴訟当事者を含め、第60条CF、第60条CH、第60条CIのもとでの義務に適用される。
 第4条第1項の「子の親族」の定義も改正がなされ、アボリジニおよびトレス海峡島嶼民の子に対しては、その子のアボリジナル文化またはトレス海峡島嶼民文化(当該文化における親族関係制度を含むが、それに限らない)において子の親族である個人をすべて親族に含むことになる。
 これらの定義には、家族法第4条第1項に定義された、子のアボリジナル文化またはトレス海峡島嶼民文化を参照した上で考慮および適用されることが企図されている。

クリエイターによる補足:第4条AB項の条文
家族法第4条AB項 家族間暴力等の定義
⑴ 本法律の目的において、家族間暴力とは、ある人物が家族の一員(家族構成員)を強制または支配する、または家族構成員に恐怖を与える暴力、脅迫またはその他の行為をいう。
⑵ 家族間暴力を構成する行為の例には、次のものが含まれる(ただし、これらに限定されない)。
 ⒜ 暴行
 ⒝ 性的暴行またはその他の性的虐待行為
 ⒞ ストーカー行為
 ⒟ 度重なる侮辱的な挑発
 ⒜ 故意に財産を損傷または破壊する行為
 ⒡ 故意に動物を死なせたり負傷させたりする行為
 ⒢ 家族構成員が本来有していた筈の経済的自立を不当に否定する行為
 ⒣ 家族が経済的支援を全面的または主にその人に依存しているときに、家族またはその子の合理的な生活費を賄うために必要な経済的支援を不当に差し控える行為
 ⒤ 家族が家族、友人、または文化とのつながりを作ったり維持したりすることを妨げる行為
 ⒥ 家族またはその家族のいずれかの家族から自由を不法に奪う行為
⑶ 本法律の目的上、子が家族による暴力を目撃または耳にした場合、または家族による暴力の影響を経験した場合に、子は家族による暴力に曝されているとみなされる。
⑷ 子が家族間暴力に曝されている状況の例としては、子が次のような状況にある場合が挙げられる(ただし、これらに限定されない)。
 ⒜ 子の家族のメンバーが子の家族の他のメンバーに対して死または人身傷害の脅迫をしているのを耳にしている
 ⒝ 子の家族の一員が子の家族の他のメンバーに暴行されるのを見たり聞いたりしている
 ⒞ 子の家族の他のメンバーに暴行された子の家族の一員を褒めたり援助したりしている
 ⒟子の家族の一員が子の家族の他のメンバーの財産を故意に損壊した後に現場を掃除している
 ⒠ 子の家族の一員が子の家族の他のメンバーに暴行される事件に警察官または救急隊員が現場に居合わせる

開始・適用についての情報
 第3部の変更は、最終審理が開始されている場合を除き、2024年5月6日以降に開始された訴訟のすべてに適用される。

第4部:子どもの独立弁護士とハーグ条約訴訟

 第4部には、子どもの独立弁護士(以下、「ICL」)の規定に関する改正が記載されており、これら改正には、ICLが子と面会し、子に意見を表明する機会を与える義務が含まれる。また、1980年ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約。以下、「ハーグ条約」)のもとで起こされた訴訟において、ICLの活用を拡大する旨の改正がなされる。

子に面会し、意見を表明する機会を与える義務

 例外が適用される場合を除き、ICLには子に面会し、子に意見を表明する機会を与える義務が課される。これはすべての適切な事例において関与を行うためで、ICLの慣行を全国的規模で一貫して支えるものである。子にとって、意見を表明する機会は大きな重要性をもつことがあり、子の最善の利益を決定する上で役に立ちうる。これらの改正は、子の家族法訴訟への参加をさらに促進すると共に、子どもの権利条約第12条における児童の権利と一致し、児童の安全と厚生を守るものである。
 家族法第60条CE項にもとづき、いかなる内容についても、ICLは子に自らの意見を表明するよう要求してはならない。
 この規定は、こうした義務の遂行方法についてICLの裁量に制約を課すものではない。本法制は、子との面会をいつ、どの頻度で、どのように行うか、また、子に意見を表明する機会をいつ、どの頻度で、どのように提供するかに関して、ICLが裁量をもつことに特化して定めたものである(新しい第68条LA項第5号AA)。この裁量権は、裁判所の命令または指示に準ずる。
 新しい第68条LA項第5号Bのもとで、ICLは子が5歳未満の場合、または、子がICLとの面会もしくは意見表明を望まない場合、義務を果たす責任は課されない。ICLは正当化される例外的な状況がある場合には、義務を果たす責任は有しない。これには安全に管理しえない、もしくは子の福祉に大きな負の影響をもたらす物理的または心理的な害の危険に子がさらされる場合が含まれるが、これらに限定されるものではない(新しい第68条LA項第5号C)。
 これらの義務は、個別事案の事実および環境に左右されるため、ICLが果たすべき具体的な時期は規 定されていない。ただし、裁判所が最終命令を出す前のどこかの段階で、ICLはこれらの義務を果たさなくてはならない。例外的な環境が理由でこれらの義務をICLが果たさなかった場合、裁判所は、義務の不履行を正当化する例外的な環境が存在するか判断しなければならない。こうした環境が存在しないと裁判所が判断した場合、裁判所はそうした義務(単独もしくは複数)を実行するように義務付ける命令を発出しなければならない(新しい第68条LA項第5号D)。環境が例外的かどうかは、各事案の事実および状況によって判断される。
 ICLは、家族コンサルタントなど事案に適切な専門家または治療を提供している専門家の助言など、自らの決断を裏付ける外部の証拠を取得できる。また、ICLは子の親または監護者からの証拠を参照するよう希望できる。こうした助言をどれほど重視するかはICLの専門的裁量であり、裁判所によっても考慮 される。
 法制上のこうした新たな義務は、家族法が定めるその他の義務と並行して適用される。例えば、ICLは子が訴訟関連の内容について表明した意見は、そのいずれについても、裁判所に完全に提示しなければならない(第68条LA項第5号b)。

クリエイターによる補足:子どもの権利条約第12条の条文
子どもの権利条約第12条 子どもの意見表明権
⑴ 締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表面する権利を確保する。この場合において、児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って考慮されるものとする。
⑵ このため、児童は、特に、自己に影響を及ぼすあらゆる司法上及び行政上の手続きにおいて、国内法の手続規則に合致する方法により直接に又は代理人若しくは適当な団体を通じて聴取される機会を与えられる。

クリエイターによる補足:見直し後の第68条LA項の条文
家族法第68条LA 子どもの独立弁護士の役割
●この条項が適用される場合
⑴ この条項は、この法律に基づく訴訟に関連して、子どもの独立弁護士が子のために任命された場合に適用される。
●子どもの独立弁護士の役割の一般的な性質
⑵ 子どもの独立弁護士は、次の義務を負う。
 ⒜ 子どもの独立弁護士が利用できる証拠に基づいて、子にとって何が最善の利益であるかについての独立した見解を形成する。
 ⒝ 訴訟に関連して、子どもの独立した弁護士が子にとって最善の利益であると信じる行動をとる。
⑶ 子どもの独立弁護士は、特定の行動方針を採用することが子にとって最善の利益であると確信した場合、その行動方針を採用することを提案する意見書を裁判所に提出しなければならない。
⑷ 子どもの独立弁護士は、
 ⒜ 子の法定代理人ではない。
 ⒝ 訴訟に関連して子の指示に従って行動する義務はない。
●子どもの独立弁護士の具体的な義務
⑸ 子どもの独立弁護士は、次の義務を負う。
 ⒜ 訴訟当事者との交渉において公平に行動する。
 ⒝ 訴訟に関連する事項に関して子が表明した意見が裁判所に十分に提示されるようにする。
 ⒞ 子に関連する報告書またはその他の文書が訴訟で使用される場合、次の義務を負う。
  (ⅰ) 報告書またはその他の文書を分析して、子どもの独立弁護士が、子の最善の利益を決定するために最も重要であると考える報告書またはその他の文書内の事項を特定する。
  (ⅱ) それらの事項が裁判所の注意を適切に引くようにする。
 ⒟ 訴訟に関連する子のトラウマを最小限に抑えるよう努める。
 ⒠ 訴訟で争点となっている事項の合意による解決を、それが子の最善の利益になる範囲で促進する。
●子と面会し、子に意見を表明する機会を与える義務
(5A) 5B 項の規定に従い、子どもの独立弁護士は、以下の義務を履行しなければならない (必ずしも同時に行う必要はない)。
 ⒜ 子どもと面会する。
 ⒝ 訴訟が関係する事項に関して子に意見を表明する機会を与える。
注記:いかなる事項に関しても子に意見を表明するよう要求することはできない (第60条CEを参照)。
(5AA)  子どもの独立弁護士は、以下の事項に関して裁量権を有する(当該事項に関する裁判所の命令または指示、例えば第68条L⑵⒝項または本条の 5D⒝項に基づく命令または指示に従う)。
 ⒜ 子との面会がいつ、どのくらいの頻度で、どのように行われるか。
 ⒝ 子に意見を表明する機会がいつ、どのくらいの頻度で、どのように提供されるか。
(5B) 子どもの独立弁護士は、次の場合には義務を履行する必要がない。
 ⒜ 子が5歳未満である。
 ⒝ 子が子どもの独立弁護士と面会したり、意見を表明したりすることを望まない(状況に応じて)。
 ⒞ 義務を履行しないことを正当化する例外的な状況がある。
(5C)  (5B)⒞項を制限することなく、その項の目的における例外的な状況には、義務を履行すると次のようになる場合が含まれる。
 ⒜ 子が安全に管理できない身体的または精神的危害のリスクにさらされる。
 ⒝ 子の福祉に重大な悪影響がある。
(5D) 子どもの独立弁護士が(5B)⒞項を理由に義務を履行しないことを提案する場合、裁判所は最終命令を出す前に次のことを行わなければならない。
 ⒜ 義務を履行しないことを正当化する例外的な状況が存在すると確信できるかどうかを判断する。
 ⒝ 裁判所がそのような状況が存在しないと判断した場合、子どもの独立弁護士に子と面会するか、子に意見を表明する機会を与えるよう命じる命令を出す(状況に応じて)。
注記:裁判所は、子の利益の独立した代理を確保するために必要と考えるその他の命令も出すことができる(第68条L⑵⒝項を参照)。
●情報の開示
⑹ ⑺号の規定に従い、子どもの独立弁護士は、次の事項を行う。
 ⒜ 裁判所に開示する義務を負わない。
 ⒝ 裁判所に開示するよう要求されない。
●子が子どもの独立弁護士に伝える情報
⑺ 子どもの独立弁護士は、その開示が子の最善の利益になると判断した場合、子が子どもの独立童弁護士に伝える情報を裁判所に開示することができる。
⑻ ⑺号は、開示が子の意に反して行われた場合であっても適用される。

ハーグ条約訴訟における、子どもの独立弁護士の活用の拡大

 今回の法改正によって、ハーグ条約のもとで提訴された事案においてICLは「例外的な状況」にのみ任命されるという要件が撤廃される。
 従前、ハーグ条約のもとで提訴された事案において、裁判官はICLの任命を、それが正当化される例外的な状況においてのみ許可してきた(家族法第68条L項第3号)。改正の結果、

  • 第68条L項第3号は廃止となり、上記の事案におけるICLの任命に対する制約が撤廃される。

  • 第68条L項第1号にかわり、第68条L項(ICLの任命に関する裁判所の考慮)が、子の最善の利益が最重要である、または、考慮するのが適切である訴訟に適用される点が明示されている。さらには、本項は(ハーグ条約についての)第111条B項の目的のために設けられた規制のもとで生じた訴訟に適用される点が記載されている。

 これらの改正には、ハーグ条約関係の訴訟が第68条L項の適用対象となる点が疑義の余地がない形で明示されている。第68条L項の改正に伴い、家族法のもと、他の家族法の案件と同様に、ハーグ条約訴訟においてICLは裁判所によって任命される。

クリエイターによる補足:撤廃された第68条L項第3号の条文
家族法第68条L項 子の利益の独立代理に関する裁判所命令
⑴ この条項は、子の最善の利益または子の福祉が最優先または関連する考慮事項である本法に基づく訴訟に適用される。
⑵ 訴訟における子の利益が弁護士によって独立して代理されるべきであると裁判所が判断した場合、裁判所は以下を行う。
 ⒜ 訴訟における子の利益が弁護士によって独立して代理されるべきであると裁判所が命じることができる。
 ⒝ 子の利益の独立代理を確保するために必要と考えるその他の命令を発することができる。
⑶ ただし、訴訟が第111条B項の目的のために定められた規定に基づいて発生した場合、裁判所は以下を行う。
 ⒜ 裁判所がそうすることを正当化する例外的な状況があると判断する場合に限り、訴訟における子の利益が弁護士によって独立して代理されるべきであると命令することができる。
 ⒝ 命令を発令する際には、それらの状況を特定しなければならない。
注記:第111条B項は、国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約に関するものである。

⑷ 裁判所は、次の場合に、弁護士が訴訟手続きにおいて子の利益を独立して代理する命令を発することができる。
 ⒜ 裁判所が独自に判断
 ⒝ 次の者の申請
  (ⅰ) 子、または
  (ⅱ) 子の福祉に関係する組織
  (ⅲ) その他の人物
⑸ ⑵号⒝を制限することなく、裁判所は、子の利益を代理する弁護士が訴訟手続きに関連する事項について子の意見を知ることができるように、その項に基づく命令を発することができる。
注記:いかなる事項に関しても、子に意見を表明するよう要求することはできまない。第60条CEを参照のこと。
⑹ ⑸号は、次の理由でその項に従うことが不適切となる場合には適用されない。
 ⒜ 子の年齢または成熟度
 ⒝ その他の特別な事情

第111条B項1Bの廃止-ハーグ条約訴訟における子の反対の例外

 今回の法改正により、家族法第 111条B項1Bはすべて廃止される。1986年家族法(ハーグ条約)規制では、ハーグ条約下での帰国に子が反対する場合、好みや通常の希望を単に表現しているのではなく、感情的な強度をもって反対しているのでなければ、こうした反対を考慮してはならないと定めていた。しかし本改正では、家族法におけるこうした厳しい要件を撤廃する。こうした改正によって、ハーグ条約第13条のもとでの義務と家族法は整合性を帯びることになる。

クリエイターによる補足:撤廃された第111条B項1Bの条文
家族法第111条B項
⑴項は、規定によりオーストラリアが国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約に基づく義務を履行できると定めている。これらの規定は、条約がオーストラリアで発効するまでは発効しないものとする。
(1A) ⑴項で言及している規定には、条約に基づいて子を返還すべきでない場合に立証責任に関する規定を含めることができる。
規定は、子の返還を支持する反証可能な推定を確立し、条約に基づいて子を返還すべきでない場合に養育命令を申請する者を代表する中央当局の役割に対処することもできる。 
(1B) この条項のために定められた規定は、その異議が通常の希望や好みを超えた強い感情を示すものでない限り、条約に基づく返還に対する子の異議を考慮してはならない。
(1C) 中央当局(規定で定義)は、条約に基づいてオーストラリアに返還された子を、裁判所が子の養育、福祉、または発達に関する命令を出すまで、子の福祉を確保するために適切な人物、機関、または団体に預けるよう手配することができる。
(1D) 中央当局は、子がオーストラリアに返還される前に出された裁判
所命令にかかわらず、そうする権限を有する。
(1E) 条約第21条(面会交流の権利)に効力を与えるために定めた規定は、他国が児童の面会の権利に関する命令または決定を行ったかどうか、子がオーストラリアに連れ去られた時期、または子が不法に連れ去られたかオーストラリアに留め置かれたかどうかにかかわらず、効力を有することができる。

クリエイターによる補足:ハーグ条約第13条の条文
ハーグ条約第13条
⑴ 前文の規定にかかわらず、要請を受けた国の司法当局又は行政当局は、子の返還に異議を申し立てる個人、施設その他の機関が次のいずれかのことを証明する場合には、当該子の返還を命ずる義務を負わない。
 ⒜ 子を監護していた個人、施設その他の機関が連れ去り若しくは留置の時に現実に監護の権利を行使していなかったこと、当該連れ去り若しくは当該留置の前にこれに同意していたこと又は当該連れ去り若しくは当該留置の後にこれを黙認したこと。
 ⒝ 返還することによって子が身体的若しくは精神的な害を受け、又は他の耐え難い状態に置かれることとなる重大な危険があること。
⑵ 司法当局又は行政当局は、また、子が返還されることを拒み、かつ、その意見を考慮に入れることが適当である年齢及び成熟度に達していると認める場合には、当該子の返還を命じることを拒むことができる。
⑶ 司法当局又は行政当局は、この条に規定する状況について検討するに当たり、子の社会的背景に関する情報であって当該子の常居所の中央当局その他の権限のある当局により提供されるものを考慮に入れる。

開始・適用についての情報
 第4部は、2024年5月6日に適用が開始される。

  • 第Ⅰ章(子に会う義務)、第Ⅱ章(子の奪取の民事上の側面に関する条約)については、2024年5月6日以降に開始された訴訟のすべて、および、その日に進行していた訴訟のすべてに適用される。ただし、最終審理が始まっている場合には適用されない。

第5部:事案管理・手続き

 第5部には、家族法に新たに導入される2つの章が含まれる。

  • 第Ⅰ章では、「有害訴訟命令」を新たに導入する。これは、訴訟当事者が訴権を乱用して、裁判所の事前許可なしに新たな提訴・訴訟通達を行うことを阻止するためである。

  • 第Ⅱ章は、「家族法実務・手続の最重要目的」および付随する責務を拡大・延長し、家族法のもとで開始される訴訟のすべてに適用するものとする。

有害訴訟命令

 訴訟が進行中であれば、裁判所はいかなる段階でも、自らが率先して、または、訴訟当事者のいずれかの申し立てによって、有害訴訟命令を出す権限をもつ。その際裁判所は、被告にとって追加の訴訟が有害であると信じるに足る合理的な根拠があると確信する必要がある。有害性には、心理的な害、抑圧、大きな精神的ストレス、もう一方の訴訟当事者の子を養育する能力に負の影響をもたらす行動、金銭的な損害が含まれうる。

最重要目的

 家族法実務・手続規定の最重要目的は、下記の点を担保しつつ、紛争の公正な解決を促進することにある。

 ⒜ 家族と子の安全を実現する。
 ⒝ 子の最善の利益が最優先される、家族法のもとでの訴訟に関連して、子の最善の利益が促進される。
 ⒞ 法を遵守する。
 ⒟ 可能な限りのスピード、低コスト、効率性を実現する。

 これに加え、最重要目的に沿って訴訟の当事者と法的代理人が訴訟を進めるという法的な義務も存在する。この義務に違反したと認められた訴訟の当事者と法的代理人には、訴訟費用負担命令が発出されることがある。

開始・適用についての情報
 第5部は、2024年5月6日に適用が開始される。

  • 第Ⅰ章は2024年5月6日以降に開始された訴訟のすべて、および、同日に進行している訴訟のすべてに適用される。

  • 第Ⅱ章は2024年5月6日以降に開始された訴訟のすべて、および、同日に進行している訴訟のすべてに適用される。ただし、最終審理が開始されている場合には適用されない。

第6部:家族法訴訟の詳細の連絡通知

 本改正法の第6部では、家族法第121条を撤廃し、新しい第ⅩⅣ章Bに置き換えている。新しい第ⅩⅣ章Bによって、大きな政策変更が同分野に生じるわけではなく、既存の罰および違反が維持される。新しい第ⅩⅣ章Bの意図は、同規定の表現を簡潔にし、個人の特定が可能な家族法の情報を諸個人が共有できる際の条件を明確化する点にある。

開始・適用についての情報
 第6部の開始は2024年5月6日に予定されており、同日以降に生じた作為および不作為に適用される。

第7部:家族報告書作成者

 第7部の変更によって、家族についての調査報告書を作成する家族報告書作成者が満たすべき基準と要件を定める規制を政府が制定する権限が確立される。本権限は、家族紛争解決手続実施者や家族カウンセラーの規制枠組みの確立を可能にした権限と類似している(家族法第10条A項)。同規制は、関係者とのさらなる協議および規制上の特定の選択肢がもたらす影響を考慮した後導入される。

クリエイターによる補足:家族法第10条A項の条文
家族法第10条A項 認定規則
⑴ 本規定は認定規則を定める。これらは、次の事項に関する規則である。
 ⒜家族カウンセラーとしての人物の認定
 ⒝家族紛争解決専門家としての人物の認定
 ⒞本節の目的のために制定された規定によって定められたその他の役割を果たす人物の認定
⑵ 認定規則が扱うことができる事項の例:
 ⒜認定を求める人物が満たすべき基準
 ⒝人物が認定規則を満たしているかどうかを判断する責任者
 ⒞認定の承認方法(登録簿の設置またはその他の方法など)
 ⒟認定を受けた人物が認定を維持するために引き続き満たさなければならない基準およびその他の義務
 ⒠規則の継続的な要件の遵守を監視する責任者
 ⒡認定者がこの法律および規則の規定を遵守しなかった場合の帰結
 ⒢遵守の監視に関する認定者の義務
 ⒣認定者の認定(または認定の承認)を停止または取消す方法とそれを行う者
 ⒤認定(または認定の承認)を拒否、停止、または取消す決定の審査
 ⒥認定者に関する苦情の処理手順
 ⒦認定者に承認された訓練を提供できる者
 ⒧認定者としての地位について虚偽または誤解を招く表明をする個人またはその他の人物への対処

開始についての情報
 第7部は、2024年5月6日に適用が開始される。
 本改正法の規制権限の結果として策定される基準と要件は、関係者との協議のもとで規制が策定された後に始動する。

第8部:FCFCOAの運用の見直し

 本改正法に伴い、FCFCIA法の見直しの時期が2年前倒しされる。見直しは2024年9月に開始する。

第9部:兼任

 本改正によって、州の家庭裁判所(西オーストラリア州家庭裁判所)で裁判官として勤務しているかどうかにかかわらず、個人がFCFCOA(第1部門)の裁判官として任命され、職務に従事できると明示された。

第10部:改正の見直し

 本改正法は、新たな規定が企図された通り運用されているか確認するため、運用の見直しが行われる。この見直しは、本改正法の始動後3年が経過した後すぐに開始され、12か月以内に完了しなければならない。この見直しの報告書は議会に提出される。

開始についての情報
第8部、第9部、第10部は2023年11月7日に開始された。

(了)

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