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付属資料5 協力的な子育てを支援するプログラム(SCPP) 「私はどうなるの?」両親離別後の家族への支援を見詰め直す

私はどうなるの?
両親別離後の家族への支援を見詰め直す
家族問題解決グループの報告書
(私法作業部会のサブグループ)
2020年11月12日

A.現在利用可能な育児プログラムの多様性

1  現在、様々な子育てプログラムが提供されています。
1.1  労働省DWPには以下のプログラムがあり、パイロット版の評価が行われています。
  ・「4R2S家族強化プログラム」
  ・「トリプルP強化版」
  ・「家族検査と介入」
  ・「家族変遷トリプルP」
  ・「信じられないほどの年(進化版)
  ・「メタライゼーションに基づいたセラピー」
  ・「両親プラス-別居後の子育て」
  ・「私の手の届くところに」

1.2  サウスロンドン&マウズリーNHS財団トラストは、全米EPEC(親に力を与える、コミュニティに力を与える)を有しています。

1.3  その他のよく知られている子育てプログラムは以下の通りです。
  ・「別離親情報プログラム(SPIP)」
  ・「別れの後の子育て」
  ・「トリプルP」
  ・「ソリフルのアプローチ」
  ・「信じられないほどの年」
  ・「子どものための行動」
  ・「子どもが第一優先」
  ・「カフカス積極的共同子育てプログラム」
  ・人種平等財団がイングランド全土(全地域ではない)で提案する「家族を強くし、コミュニティを強くする」 https://raceequalityfoundation.org.uk/sfsc/

2  利用可能な子育て支援には様々なものがあり、そのどれもが異なる名称を使用していることから、私たちは、「協力的な子育て支援プログラム」(SCPP)を、葛藤している親や別離している親を支援し、親同士の関係を改善し、子どものために最善のアウトカムを確保できるようにしようとする全ての認定プログラムに使用することを勧告します。

B.SCPPの基準
3  品質を保証するために、全てのSCPPプロバイダー向けの基準を設けることを勧告します。

4  イギリス規格協会の認証や品質保証のプロセスが検討され、そのようなプロセスに付随する問題が指摘されました。その代わりに、私たちはSCPPの基準/認定を行う機関を設立することを勧告しました。この場合、基準/認定機関の会員になるのは任意であるため、必然的に自己規制的なアプローチとなります。しかし、自己規制になることで、裁判前、裁判中、裁判後にSCPPを広く紹介するために必要な基準と品質保証が確保できるでしょう。

5  また、SCPP会員機関の継続的な会員資格の要件として、初回認定に続いて、SCPPの基準を定期的(年1回)に監視することを勧告します。

6  ウェスト・ミッドランド州では、その基準設定方法の原則も含めて、専門家レベルの基準の設定/定義を開始しています。

C.認定SCPPプロバイダーリスト
7  自主規制の基準/認定機関の設立により、SCPPの認定リストの作成と監視がより容易になります。認定リストの作成により、認定SCPPに関する情報へのアクセスがより容易になります。私たちは、認定された、役立つSCPPのリストを作成し、公表することを勧告します

8  自主規制の基準/認定機関とSCPPの認定リストが作成されれば、プロバイダーの増加につながると考えています。

D.SCPPの促進
9  私たちは、SCPPを普及させ、親の出席を広く確保するために、幾つかの勧告を行っています
   ・法廷以外の経路、法廷の経路、その他の手段を通じて、また、法廷以外/法廷前/法廷中/法廷後、いつでもSCPPを促進することに改めて焦点を当てること。
   ・新しい2020年離婚・婚姻解消・別離法は、「協力的な子育て」と「SCPP」への出席に焦点を当てて、早い段階で子どもの取決めに同意することの重要性を強調するために使用すること。
   ・裁判所に申請する前に、法定MIAMへの出席義務に加え、SCPPへの出席義務を課すこと。
   ・別離中の家族と接触する人々、学校、開業医、保健師、青年支援カウンセラー、市民相談協会、家族のハブは、親がSCPPに出席するよう道筋を示すための詳細を備えていること。
   ・早期情報および評価会議において、SCPPへの道筋を示すこと。
   ・法定MIAMの一環としてSCPPとメディエーションへの出席に道筋を示すこと。
   ・SCPPの要素/構成要素/利点について、他の専門家の教育に一層注力する。
   ・裁判官を含む全ての法律専門家が、SCPPと子どもに焦点を当てた短縮コース(法律専門家向けにあわせた)に参加し、その利点を理解し、裁判手続きが始まる前に紹介することを奨励する。

E.専門的な協業と計画配置
10  メディエイター、家族弁護士、子育て専門家などの専門家間の協力は、法廷外、法廷中、法廷後の仕事におけるSCPPの促進を発展させるために奨励、勧告されるべきです。
   ・SCPPの基準/規制機関は、この協業を実現するための手段を開発するべきです。
   ・協業/紹介経路に参加する関連専門家の計画的配置を実施します。これは、SCPPの基準/規制機関が行うことができます。DWPが資金提供する地域資源は、特定の地域内の地域サービスの計画配置を開始する際に役立ちます。

11  もし、新たに「別離家族のハブ」を設置するのであれば(あるいは、新たに「共同子育てのハブ」を設置するのであれば)、他の専門家(子どもセラピスト、カウンセラー、子育てプログラムなど)のために、地域や国の優れたリソースを含む法律の専門家を対象としたセクションを設けることを勧告しました。依頼者のために利用可能なものを知ろうとして、依頼者と同様に専門家が、圧倒されることがあります。そのため、早い段階で適切な紹介を促すとともに、地域や国のリソースにアクセスできるようにする必要があるのです。地域や国レベルで利用できるものについて適切な「計画配置」が必要であり、常に最新の状態に保つ必要があります。

F.専門家の紹介経路
12  紹介経路を増やすことは、SCPPの利用と利益を発展させる方法と考えられています。

13  私たちは、SCPPの基準/規制機関が、メディエーションサービスとSCPPの間の相互紹介をより促進するための紹介経路を開発することを勧告します。特に、SCPPの研究から、SCPPから得られる最大の利益は、SCPPで得られた学習/洞察により、メディエーションへの切れ目なく迅速な紹介が可能になることだと指摘されています。そこで、私たちは次のことを勧告します
   ・メディエーションへの紹介はSCPPの中に組み込まれるべきである。
   ・SCPPへの紹介は、メディエーションに先立って、あるいはメディエーション中に組み込まれるべきである。
   ・認定SCPPは、メディエーションサービスによる提供のために開発され、メディエーションの利用とともにSCPPの利用と価値を簡素化すべきである。

G.別離家族支援連合とSCPP
14  国内の幾つかの地域では、「別離家族支援連合」が発展しています。ここでは、2つの例を挙げ、別離家族支援連合が担うべき主要な機能について勧告します。

15  ドーセット州・別離家族支援連合の運営グループは、Covid-19の規制が施行された際に会合を開きました。このグループは、ドーセット州議会とBCP(ボーンマス、クライストチャーチ、プール)評議会の早期支援関係者、これらの地域のDWP試験の現地実施を支援する関係者、および市民相談協会CABで構成されています。そのアプローチは、まず、その地域で別離家庭を支援するために利用できることを理解し、その支援への道標を作る機会を設けることです。これを達成するためには、家庭と接する幅広い人材が、別離している親を支援するための知識、技能、態度、行動を身につける必要があります。

16  ウェスト・ミッドランズ州では、家族連合委員会が設立され、ウェスト・ミッドランズ地域のより広い家庭崩壊システムにおける主要な関係者の機関となる予定です。その目的は、家庭崩壊の分野で働く専門家や、それを直接体験する子どもや家族の経験や専門知識が、ウェスト・ミッドランズ全域の全ての組織で共有されるようにすることです。これにより、連合の活動が適切で、アクセスしやすく、影響力のあるものになることを保証できます。そして何より、ウェスト・ミッドランド州で家庭崩壊を経験した子どもや家族への支援を改善するニーズを反映しています。

17  ウェスト・ミッドランズ州・家族連合委員会は、主要なステークホルダーを巻き込み、地域の枠組みを検討する議題を設定し、以下の措置を行うために代表機関を設立する予定です。
・ウェスト・ミッドランズ州における主要な問題や新たな問題について、家庭崩壊の影響を受けている人々から情報や洞察を提供し、広報手段として行動する。
  ・全国連合の戦略的アプローチと優先順位設定に情報を提供する。
  ・ウェスト・ミッドランズ地域全体で最善の方法を共有する。
  ・連合内の組織と連合外の組織が、家庭崩壊を経験する人々が利用できる支援のレパートリーをすべて理解し、それによって全国連合がイングランドとウェールズの幅広い層と地域に到達できるよう支援する
  ・他のステークホルダーに対して連合活動の支持を支援する
  ・ウェスト・ミッドランズ州で家庭崩壊に巻き込まれた人たちに、主要なステークホルダーとの意思疎通経路とフィードバックを受ける機会を提供する
  ・ウェスト・ミッドランズ州の家庭崩壊システムの改善に継続的に取り組む
  ・ウェスト・ミッドランズ州で家庭崩壊を経験した子どもや家族のために、地元や全国で利用できるリソースについての認識を高め、アウトカムを改善するために継続的に努力する

18  私たちは、「別離家族支援連合」がすべきことを以下に勧告します
    18.1 自己の領域内のSCPPと介入を計画配置することを要求する。
    18.2 国のプログラムに関する知識と利用が促進されるようにする。
    18.3 連合内の別離した親と家族の専門家に、地域のSCPP配置に関する情報を提供する。

19  家族のハブを午後や夕方に利用し、SCPPの開催地を提供することが可能であることが指摘されました。

H.SCPPの内容に関する開発すべき基準
20  ゴードン・ハロルド教授は、労働省DWPの両親間葛藤低減プログラムより、SCPPに必要な構成要素/要素に関する助言を依頼されています。(Covid-19のため、遅れる可能性があります)。更に、両親間葛藤低減プログラムによって委託された現在の証拠は、両親間葛藤を解決するための法廷外の道筋に情報を提供すべきです。

21  一方、私たちは全てのSCPPは、以下の構成要素/要素を含むことを勧告します
  ・セーフガードの原則と基準
  ・心理的な要素に加え、子どもの感情的な健康や精神的な健康
  ・一方の親との関係が不足/関係がない場合の話合い
  ・コミュニケーションの改善/葛藤の緩和
  ・親が子どもの最善のアウトカムを導き出すためのサポート

22  ゴードン・ハロルド教授のSCPPの構成要素に関する情報を待つ間、私たちはカフカスに別離親情報プログラムSPIPの構成要素に関する情報を求めました175。具体的には、以下に示す特定された要素/構成要素をなぜ、どのように実施するのか。
  ・子どもの視点、両親の葛藤が子どもに与える影響、子どもを「部屋の中」に置いておくことに一貫して焦点を当てること。
  ・通常、両親が別々のグループに参加することで恩恵を受け、他の方法では得られないような学習ができる。
  ・参加者は、プログラムの目的について準備と明確化を必要とする可能性が高く、フォローアップの恩恵を受けることができる。
  ・ファシリテーターと教材は、個々の問題を解決しようとすることに流されることなく、参加者の問題に取り組む必要がある。
  ・男女混合および視点混合の参加者のグループと、これらの異なる視点を引き出す資料が、効果的である可能性がある。
  ・裁判前と裁判中の参加者が同じグループになることで、両方の恩恵を享受できる。
  ・最適なグループサイズは、恐らく参加者が8人から12人の間です。(グループサイズが小さいと十分な視点の混在が見出せず、また個人に気を取られやすい)。
  ・熱心でよく訓練されたファシリテーターがペアで、理想的には男性と女性のペアで、作業することが重要です。
  ・個人ワークとグループワーク、対面式とデジタル配信の教材を組み合わせたアプローチが最も効果的であるようです。
  ・資料がBAMEコミュニティ(黒人・アジア人・少数民族社会)に関連し、英語が母国語ではない人や感覚障害のある人に配信できるように注意する必要があります。
  ・以下のような資料
    O オーディオビジュアルを使った子どもの視点からのプレゼンテーション
    O お別れの旅
    O 感情的なウェルビーイング
    O 強みの自己評価
    O 視点を共有かつ挑戦する活動、および問題に対する考え方を再構築する活動
    O 行動を変え始めるための効果的な次のステップ、例えば、行動モデリングトレーニング
    O親が支援ネットワークについて考える手助けをする
    O 役立つ支援に関する情報
  ・業務は、一貫性のある高品質の提供を支援する枠組みで実施する必要があります。

23  ゴードン・ハロルド教授のSCPPの構成要素に関する情報を待つ間、私たちは独立した子育てプログラムのプロバイダー176から、SCPPの構成要素に関する情報を求めました。その情報は以下の内容を提供します。
  ・子どもの発達と親の葛藤が子どもに与える影響:アタッチメント-強い人間関係、神経科学の基礎、子どもの発達、力に基づく子育て
  ・人間関係の理論、葛藤の理解(建設的と破壊的)、コミュニケーションとしての行動
  ・離別した親に関する法律と法的指針、児童保護に関する法律と保護手続きの理解
  ・親がプログラムにうまく参加できない場合における、子どもへのリスクや危害を減らすために必要な適切な行動の理解
  ・家庭内別居や家庭崩壊の前後において、子どもが受ける身体的・心理的被害影響の理解-発達中の脳は人間関係における経験、大脳新皮質と大脳辺縁系の機能(例えば、2階の脳と1階の脳)によって形作られる、有害な経験によるダメージは良好な人間関係と安全によって軽減されうる
  ・発見と位置づけ、治療の基本原則の理解-共感、一致、無条件の肯定的な評価;子どもの声-ウェルビーイング、欲求、希望、悩み、発見-現状、位置づけ-親の心情
  ・考え方を変える-両親を教育する、関係性の再構築、葛藤(建設的または破壊的)を回避する、両親を(葛藤から)連れ戻す-子どもの声を増幅させる
  ・子育て:両方の親を一緒にサポートする;子育てパートナーシップの関係構築;開示する思想とアイデアの共有、子どもに焦点を当て続ける、挑戦しながらの承認、子どもの取決めに関する合意の支援
  ・機能している子育ての取決めの文書化と編集;信頼関係と相互尊重、子どもの心の健康や肯定的な精神状態に関する情報を親に伝えること
  ・優れた記録管理、しっかりとした報告書の作成、正確な情報共有の重要性

I.勧告の概要
24  「協力的な子育てを支援するプログラム(SCPP)」という用語は、葛藤状態にある両親や別離した両親が二人の関係を改善し、子どものために最善のアウトカムを導き出せるよう支援しようとする、全ての承認プログラムに使われるべきものです。

25  裁判になるまでの間に資金提供されたSCPPに出席すれば、裁判所の利用が減ることを確認するため、調査したパイロットを実施するべきです。

26  別離中の親が利用可できるデジタル情報を評価し、デジタル情報源の関わりを通じて裁判所の利用が減少することを確認するために、調査したパイロットを実施すべきです。

27  全てのSCPPは、上記21節で特定した5つの構成要素/要素を含むべきです。

28  現在多様に利用できるSCPPの品質を保証できるよう、全てプロバイダーに対して基準を策定すべきです。

29  自主的かつ自己規制的なアプローチに基づいて、SCPPの基準を設定し、認定する機関を設立すべきです。

30  初回認定は、SCPPの基準を定期的(年1回)に監視してフォローアップすべきです。

31  SCPPを列挙して利用可能にし、公表すべきです。

32  法廷以外の経路や法廷での経路を通じてSCPPを推進することに、改めて焦点を当てるべきです。

33  法定MIAMへの出席義務に加え、SCPPへの出席義務も設けるべきです。

34  全てのメディエイターは、法定MIAMとメディエーション出席の一環として、SCPPへの道筋を示すべきです。

35  SCPPの要素/構成要素/利点について、同僚の専門家を教育することにもっと焦点を当てるべきです。

36  裁判官を含む全ての実務家は、SCPP/SPIP/子育て/子どもに焦点を当てた短縮コース(法律専門家向けにあわせた)に参加すべきです。

37  新離婚法は、協力的な子育てに重点を置き、早い段階で子どもの取決めに合意することの重要性を強調するために使われるべきです。

38  提案した基準/規制機関は、法廷外、法廷中、法廷後の仕事において、SCPPを推進する手段を開発すべきです。

39  協業/紹介経路に参加する家族専門家の配置は、提案した基準/規制機関が実施する可能性があります。

40  新しい「別離家族のハブ」や拡張された新しい共同養育のハブについては、法律専門家を対象としたセクションを設け、地域や国のリソース、地域や国レベルで利用できることを定期的に更新して「配置すること」を含めるべきです。

41  提案した基準/規制機関は、メディエーションサービスとSCPPの間の相互紹介をより奨励するために、紹介経路を開発すべきです。
・メディエーションへの紹介は、SCPPの中に組み込まれるべきです。
・SCPPへの紹介は、メディエーション前/メディエーション中に組み込まれるべきです。
・認可SCPPの開発は、メディエーションサービスで提供するために開発されるべきです。

42 別離家族支援連合は、以下を行うべきです。
・自分の地域内のSCPPと介入を計画配置する。
・国のプログラムに対する知識とアクセスを促進する。
・離別した親と家族専門家がSCPPの地域配置に関する情報を利用できるようにする。

(了)

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