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付属資料6 家族仲裁人協会(IFLA)チルドレン・スキーム 「私はどうなるの?」両親離別後の家族への支援を見詰め直す

「私はどうなるの?」
両親別離後の家族への支援を見詰め直す
家族問題解決グループの報告書
(私法作業部会のサブグループ)
2020年11月12日

家族仲裁人協会(IFLA)仲裁スキームの主な利点

ナディア・ベケット FCIArb(家族仲裁人フォーラム議長) 著

1.チルドレン・スキーム
  このスキームは、子どもに関する通常の私法上の紛争に利用することができます。チルドレン・スキームにおける仲裁人の決定は、「裁定Determination」と呼ばれます。

2.仲裁と裁判
  裁判手続きは、困難で、複雑で、費用がかかるものです。家事事件では、ただでさえ苦しい時期に、葛藤や対立が激化することは避けられません。対照的に、家族仲裁は、あまり正式ではなく、ナビゲートするのは比較的簡単です。
  仲裁は、見た目や印象が訴訟に似ていますが、メディエーションの特質を多く持っています。当事者が家族法の仲裁規則に従うことを同意する場合にのみ、仲裁を行うことができます。当事者が仲裁に同意することが必要条件であり、この同意を得て訴訟とは別に仲裁を設定します。メディエーションと同様に、当事者は、問題の紛争を解決するために仲裁を使用することに同意する必要があります。仲裁人とプロセス上の取決めに関する合意がなければなりません。このため、仲裁は、当事者がその紛争を第三者により裁定してもらうことに合意していても、その性質上、本質的に協調的なものとなっています。それにも拘らず、当事者は、訴訟に従事する場合、彼らが行うプロセスに対して遥かに多くのコントロールを持っています。

3.仲裁の主な利点は以下の通りです。
   a.スピード
     単純な子どもの紛争の大部分では、仲裁人が任命されてから4~8週間以内に決定することができます。
   b.選択
     当事者が仲裁人を選びます。両者が合意できない場合、IFLAが仲裁人を選定することができます。これにより、当事者は、問題によって必要とされる専門的な知識または経験を有する仲裁人を選択することができます。
   c.柔軟性
     手続きは当事者「自身が行う」ことになります。自分たちのニーズに合わせて手続きを調整し、紙、電話、ビデオ、対面など、仲裁をどのように行うかを決定します。仲裁人は、当事者の仲裁準備を支援し、当事者は、裁判所の手続きに拘束されない仲裁人と直接コミュニケーションをとることができます。
   d.コントロール
     当事者は問題を「自身で処理する」ことになります。仲裁人がどの問題を扱うかは、当事者が決定し、管理します。仲裁人は、当事者が全ての問題について拘束力のある結果を達成できるように、決定事項に含めることができますが、合意された問題を検討したり、裁定したりすることはありません。
   e.守秘義務
     この仲裁プロセスは非公開であり、秘密保持されます(安全保護や危害からの保護に関する通常の例外、または法律上開示しなければならない優先的な義務がある場合を除きます)。
   f.一貫性
     指名された仲裁人は、最初から最後まで紛争に対処します。この一貫性により、多くの明白な利点が生まれます。
   g.紛争のタネの除去
     仲裁のスピードと協力的な側面から、紛争を減らすことができます。
   h.コスト削減
     手続きを合理化できるため、通常、大幅なコスト削減につながります。仲裁人の費用は分担し、最初に確定します。ついでながら言うと、現在請求されている手数料のレベルは、1,000ポンドから5,000ポンドの間です。
   i.最終性
     仲裁人の決定は最終確定であり、拘束力を持ちます。

4.仲裁と本人訴訟人
  仲裁は、経済的な立場に関係なく、全ての依頼者に適しています。 特に、本人訴訟には最適です。
  仲裁人は、専門家の派遣や指示書の作成の手伝いを含め、プロセスを進める上で、当事者に指導や支援を提供することができます。

5.仲裁とメディエーション~最高の組合せ
  メディエーションは、当事者が全ての問題に合意できない結果、しばしば決裂します。そこで、メディエーションと相性が良いのが仲裁です。当事者は1つの問題を仲裁に委ねることができ、これは「細事にこだわり大事を逸する」ことなく紛争を解決する、迅速で効率的かつ費用対効果の高い方法です。メディエーションで成立した合意は、裁定の一部を構成することができます。
  未解決の問題を仲裁することに早期に合意することで、訴訟の脅威からメディエーションを武器にすることを防ぐことができます。
最後に、メディエーションでは、カップルが前進するのを助けるため、早期に中立的な評価を与えることを目的に仲裁を呼び出すことができます。この仕組みは、カップルがメディエーションの提供する自律性を保持しながら、仲裁の主要な利点の一つを十分に生かすことができます。

(了)

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