家族法制部会 委員・幹事からの質問に対する御回答(金先生)
この記事は法制審議会家族法制部会第9回会議(令和3年11月16日開催)の資料「参考資料9-7 家族法制部会 委員・幹事からの質問に対する御回答(金先生)」を転載したものです。
なお、Note機能の関係上や読み易さを考慮し、括弧つき数字、半角数字を点付き数字、全角数字に見直していることをお断りしておきます。
【御回答】
監護に関する紛争の事件数:レジュメ 4 頁の「5統計」に記載があります。
対応する裁判所・裁判官の数:家庭法院が設置されている地域(ソウル・仁川・水源・大田・大邱・釜山・蔚山・光州)は家庭法院が対応し、そうでない地域では地方法院が対応しております。「各級法院に配置すべき判事の数に関する規則」によれば、ソウル家庭法院に30名、仁川家庭法院に10名、水源家庭法院に12名、大田家庭法院に5名、大邱家庭法院に 7名、釜山家庭法院に6名、蔚山家庭法院に4名、光州家庭法院に5名(いずれも部長判事を除く。)を配置すべきものとされていますが、実 際にその人数が配置されているかどうかは不明です。
審理に協力する行政機関・独立機関(例:英国のカフカス)の担当者の数:把握しておりません。
支援の民間団体数および財政支出:民間団体としては、韓国家庭法律相談所や大韓法律救助公団、大韓弁護士協会を挙げることができます。財政支出の点については把握しておりません。
【御回答】
上述の韓国家庭法律相談所や大韓法律救助公団、大韓弁護士協会のほか、最近では養育費履行管理院も挙げることができます。韓国家庭法律相談所は、戸主制廃止など韓国の家族法改正に大きな役割を果たした団体であり、大韓法律救助公団は、日本の「法テラス」に類似するものとの理解で差し支えないかと思います。韓国家庭法律相談所および大韓法律救助公団は、いずれも「法律救助法人」であり、法律救助法第4条に基づいて予算の範囲内で補助金が支給されています。
【御回答】
協議書のひな型は別添資料2のとおりです。家庭法院における手続は、別添の資料1をご参照ください。簡単に説明いたしますと、夫婦双方の出頭による離婚意思確認申請→離婚に関する案内受講(この時点から熟慮期間が進行)→相談委員による相談(任意。ただし、ソウル家庭法院では2014年より相談の義務化を実施している。)→協議書作成・提出→子の福祉に反しなければ意思確認という流れになります。
【御回答】
管見の限り、データは存在しませんが、申し上げた通り、家裁実務では①を原則としているといえます。
【御回答】
「家庭能力犯罪の処罰等に関する特例法」第2条第1号では、「家庭構成員間の身体的、精神的または財産的被害を伴う行為」と定義されています。そして、同条第3号に家庭暴力犯罪に該当する具体的な行為が列挙されていますので、それを基準に認定されると思いますが、下記⑥も併せてご参照ください。
【御回答】
離婚熟慮期間短縮または免除を申請する際には、まず相談委員の相談を受けることになっています(「協議離婚の意思確認事務及び家族関係登録事務処理指針」第6条第1項」)。そして、担当判事は、相談委員の意見を参考として免除または短縮の可否を判断します(同条第2項)。疎明資料については、相談委員との相談の中で指示ないしは説明がなされると思いますが、いずれにしても相談委員の意見が重要であるといえます。なお、離婚熟慮期間は協議離婚に適用されるものですので、現実の問題として協議を期待できないDV等の事案では調停を開始するのではないかと推測されます。
【御回答】
担保提供命令は、養育費を定期金で支払う債務者の資力が変動する(=安定しない)場合(この意味で自営業者を主な対象としているといえます。)に発せられるもので、一時金支払命令は担保提供命令に違反した場合の制裁措置です。養育費履行管理院によれば(担保提供命令申立件数に関するデータそのものは見当たりません。)、同院が支援した担保提供命令の申立件数は、2015年が9件、2016年が47件、2017年が33件、2018年が20件、2019年が5件、2020年が4件となっており、ほとんど利用されていないことがうかがえます。
(了)