第13章 両親の別離後の共同監護権:ドイツにおけるエビデンス
この記事は「共有身上監護~子どもの監護の取決めにおける学際的な洞察 ~」の第13章を翻訳したものです。この文献はオープンアクセスです。原題名、原著者名は以下の通りです。
掲載書:Shared Physical Custody
Interdisciplinary Insights in Child Custody Arrangements
原題名:Chapter 13
Shared Physical Custody After Parental Separation:
Evidence from Germany
原著者:Sabine Walper, Christine Entleitner-Phleps,
and Alexandra N. Langmeyer
なお、Shared physical custody を共同身上監護、parentingを子育て、careを養育、childcare, child rearingを育児、co-parentingを共同子育て、shared careを共同養育に訳出していることを予めお断りしておきます。
文献の本文を読む前に(訳者より)
家族法制審議会家族法制部会第5回会議で、西谷教授がドイツの家族法についてプレゼンテーションを行うとともに、その後に質問に対して書面で回答をしています。それによれば、ドイツの離婚後の監護を次のように纏めることができます。
⑴ドイツは離婚時に申立てにより離婚後単独配慮としたケースは2%で、98%が離婚後も共同配慮が継続している。
⑵共同配慮の態様は、「引取り型」と「共同養育型」に区別されている。
⑶「共同養育型」を実践している家庭は全体の4~7%である。
⑷「引取り型」でも週末の宿泊付交流+長期休暇の半分を別居親と過ごすのがスタンダードである。
そうすると、ドイツは離婚後も共同配慮を継続すると表現されてはいるものの、アメリカの家族法に置き換えると「共同法的監護&同居親の単独身上監護&別居親の面会交流権」が監護のデフォルトなのではないかと推測され、オプションである共同身上監護の実現方法に関心が湧きます。
更に、このような法律の建付けで、本当に十分な質の面会交流が実践できているのか疑問が湧きます。ドイツの面会交流実態をネットで調べようとしても、面会交流に関わる法律を解説した文献や、交流支援機関に関する調査結果はヒットするものの、実態を分析した文献はこれまで見当たらず、この文献が初見です。今年3月に出版された、二宮周平「子どもの権利保障と親の離婚」(信山社)の第4章では、共同配慮から単独配慮になったケースについて詳細に分析していますが、共同配慮を継続しているとされる98%の家庭の交流内容は分析していません。代わりに、「法律上の外観としては共同配慮が継続しており統計上の数値には表れないが,重要事項の共同配慮すら行われず,事実上の単独配慮の状態が生じていることも推測できよう」「ドイツの例をみても共同配慮を原則とする立法を行っているが,その実態については必ずしも完全な共同配慮とも限らない」という気になる文言が記載されています。
今回翻訳したこの文献は、少なくとも私にとって、これまで詳細不明だった「ドイツにおける離婚後の監護の実態」を知る、貴重な文献です。文献のテーマが共同身上監護の実態分析であるため、単独身上監護における交流内容の分析は殆どなく、且つ、直接的に読み込むことができません。しかし、表13.1の各セルの構成比率より、分析対象1022件のうち、45件が共同身上監護、977件が単独身上監護。単独身上監護977件のうち、「頻繁に別居親と交流している(少なくとも週1回)」は151件、「稀に交流する(多くて月1回)」が260件、「全く交流していない」が166件で、子どもと別居親の交流は十分とは言えないようです。
なお、共同身上監護の実現方法については、神野教授の文献を参考に下記コラムに纏めてみました。興味あれば、ご一読下さい。
第13章
両親の別離後の共同監護権:ドイツにおけるエビデンス
サビーヌ・ウォルパー、クリスティーン・エントレイトナー・フレプス、アレクサンドラ・N・ラングマイヤー
要旨 両親の別離後の多地域居住、二地域居住、共同監護は、親の役割をより平等に分担し、子どもが両方の(実)親に平等にアクセスできるようにするために最も適していると考えられるため、多くの国で議論が高まっている。しかし、ドイツでは、共同身上監護に関する情報は殆どない。本研究では、ドイツの大規模調査「ドイツで育つ」の第2波(2013~2015年)を用いて、別離後の共同身上監護に関しての考えられるアウトカムは勿論のこと、普及状況、前提条件を調査している。サンプルは、別離した親(母親の報告)を持つ1042人の子ども(18歳未満)で構成されている。子どもたちのそれぞれの親との宿泊数から判断すると、二地域居住の取決め(どちらかの親と過ごす時間が50:50~60:40%)で暮らしていた子どもは5%未満であった。共同身上監護は、母親と父親の住居が近接している場合や、母親の教育水準が高い場合に多くみられた。予想通り、両親が積極的な協力(共同養育)関係にある場合、共同身上監護になる可能性が高くなるが、共同養育の問題には独立した影響がないようである。この結果は、異なる養育の取決めへの自己選択の問題や、より平等な男女の役割を促進するためのドイツにおける共同身上監護が依然として限定的な役割であることを扱う他の研究との関連で議論される。
キーワード 共同身上監護権・法的監護権・別居親とのコンタクト・共同養育
13.1 はじめに
過去数十年の間に、殆どの欧米諸国では家族やジェンダーの役割に大きな変化が見られ、それは母親の就業率の上昇だけでなく、父親の育児への関与の増加にも反映されている(例:Hall 2005)。このような父親の更なる育児関与の傾向は、核家族で指摘されているが、別居家庭や離婚家庭でも顕著であり、別居する父親が子どもに接する機会が増えていることも指摘されている(Amatoら 2009、Westphalら 2014)。父親の関与が全体的に高いことは、別居や離婚後の養育時間の分割や子どもの身上監護権に関する両親の決定に影響すると考えられる。実際、家族法の法定ルールは勿論のこと、別離家庭における子育ての取決めは変化している。多くの国では、別居親が子どもの養育時間と責任を(ほぼ)平等にする子育ての取決めを選択する割合が増加しており、法制度上、この解決策を支持する国さえある(Fehlbergら 2011)。
ドイツでも、このような二地域居住の共同監護権または共同身上監護権について盛んに議論されている。共同身上監護権の支持者は、一方の親(通常は母親)が単独で監護権を持ち、そこで子どもが暮らすことが望ましいという伝統的な考え方よりも、別居親とその子どもにとってより良い解決策になると考えている。特に、共同身上監護権は、父子関係(BjarnasonとArnarsson 2011)だけでなく、別れた母親の就業機会(Sünderhauf 2013参照)、そして特に子どものウェルビーイングにとって、幅広いメリットを提供すると提案されている(例えば、Nielsen 2018b)。しかし、子どもの世帯間移動を規範として形成し、子どもがどちらの世帯でも家庭を感じないことのないように、両方の世帯で家庭を感じるようにする上で、親と子どもにかかる要求の増大と潜在的なストレスについても懸念されている(例えば、Kinderrechtekommission des Deutschen Familiengerichtstags e.V. 2014)。
今のところ、ドイツの現行家族法は、この子育ての取決めにまだ適応していない。共同法的監護権は離婚した親にとって最も一般的な取決めとなっているが、身上監護権に関する家庭裁判所の決定は、単独身上監護権を強く支持している。更に、子どもの養育費支払いに関する規則も同様に、一方の親が単独身上監護権を持つ子どもの居所に対する伝統的な優先順位を反映している(Schumann 2018)。ドイツの家族法によれば、子どもの養育費は、厳密に均等な共同身上監護時間を持つ場合にのみ減額され、非対称型の共同身上監護権は養育費支払いに関する法的決定において考慮されない。この問題は明らかに世論を煽るものである。ドイツの家族法と税法という複雑な法制度に適応することが必要であるという点では、ある程度の合意が得られているが、こうした変更の適切な範囲については、論争も起きている。別離家庭の新たな規範とするべきとして、共同身上監護権を要求する者がいる一方で、身上監護権を決定する際に事案ごとの条件や子の最善の利益に配慮する、より慎重なアプローチを支持する者もいる(Kinderrechtekommission des Deutschen Familiengerichtstags e.V. 2014)。
ドイツにおける別離家庭の状況は、明確になっているとは言い難い。公式統計は、別離後の子育てに関する取決めを報じておらず、ごく少数の調査データから、共同身上監護について極めて限定的な知見を得ることができる(Bjarnason and Arnarsson 2011; Institut für Demoskopie Allensbach 2017; Kalmijn 2015)。本論文は、このギャップを埋めようとするものである。ドイツにおける未成年の子どもを持つ別離家庭の様々な子育ての取決めの分布に関するデータを提示し、可能性の高い予測因子を反映していると思われる相関関係を特定する。以下では、国際的な研究で明らかになっている共同身上監護に関する知見を議論し、ドイツの別離家庭に関する背景情報を提供する。
13.2 別離家庭における共同身上監護:国際的なエビデンス
別離した両親間の共同身上監護権は、多くの国において、家族法のみならず、社会科学研究でも大きな課題となっている(Fehlbergら 2011)。共同養育の是非に関する激しい議論を考慮すると、多数の調査が単独監護と比較した共同監護のアウトカム、特に子どものウェルビーイングに焦点を当てている(Bauserman 2002; Bergströmら 2015; Nielsen 2018a; Steinbach 2018)。それに比べて、共同身上監護への選択的なアクセスと利用の問題を取り上げた研究の数はより限られている(例えば、Poortman と van Gaalen 2017; Sodermansら 2013)。しかしながら、両研究は同様に重要であり、実際、相互依存関係にある。更に言えば、子どものウェルビーイングのための身上監護の役割に関する問題は、こうした様々な子育ての取決めを選択的に用いることに注意を払わなければ、適切に対処できないからである(Fehlbergら 2011)。
13.2.1 共同身上監護と単独身上監護を区別する定義と普及率の変化に関する問題点
宿泊は子どもの親との居住の重要な要素とみなされているため、子どもの各親との宿泊に大きな焦点が当てられている(Baudeら 2016)。一方、日中だけ親と会うことは、たとえ子どもがかなりの時間をその親と過ごすとしても、非監護親の訪問とみなされる。共同身上監護の定義は、養育時間が50:50(宿泊が厳密に等しい)のものから、70:30までの非対称な宿泊分布のものが殆どである(Baudeら 2016; Sünderhauf 2013)。
このような差異があるため、国や研究によって、共同身上監護の割合、予測因子、アウトカムを比較することは困難である。更に、実証研究の対象となる集団やサンプルにも違いがあるため、結果の比較も複雑である。離婚した家庭の子どもだけを対象とした研究もあれば、未婚の別居親や同居経験のない親の子どもも対象とした研究もある。更に、社会的背景や法的な背景の違いも考慮しなければならない。
比較データは、共同身上監護がスウェーデンで特に普及していることを示している。スウェーデンは、家族制度における平等主義的役割を強く支持し、別離後の法的対立がある場合に家庭裁判所が共同身上監護を命じることを認めている。2011年の調査データによると、核家族で暮らしていない4歳から18歳の子ども全体の約42%が、共同身上監護で育てられている(HakovirtaとRantalaiho 2011)。新世紀最初の10年間にオーストラリア(Fehlbergら 2011)やベルギー(Sodermansら 2013)で行われた家族法改正も、法規範としての共同身上監護を強化するものである。このことは、共同身上監護の増加に寄与し、別離家庭が共同身上監護を実現する条件にも変化をもたらしていることは言うまでもない。例えば、ベルギーの初期の離婚コホートでは、両親の葛藤が少ない条件下で共同身上監護をより注意深く選択していたが、最近の離婚コホートではこの優位性は消滅している(Sodermans ら 2013)。
しかし、共同身上監護の傾向は、必ずしも上向きとは言えない。オランダでは、2009年に家族法の改正が行われ、共同身上監護が強化される前とその直後に共同養育が増加した。1980年代から1990年代にかけての5%という低い水準から出発して、離婚したばかりのカップルの間で共同身上監護は増加し、2008年(改正前)には20%、2010年(改正後)には28%まで上昇したが、翌年には減少して2013年には22%になった(Poortmanとvan Gaalen 2017)。この傾向の変化の理由は全く分からないが、両親が共同身上監護を実践した経験から、その課題や要求が明らかになり、後に離婚する親が共同養育を選択することに警告を発した可能性があると思われる。このような観点から、共同身上監護は単独身上監護に比べ、時間的な安定性が低いことが示されたのは興味深い。両親が離婚したときに共同養育をしていた子どものうち、約20%が単独身上監護に移行し、その多くは母親が監護していた。一方、母親が監護していた子どものうち、共同身上監護に移行したのはわずか2%だった。これは、親と子どもにとって共同身上監護に関わる課題を反映していると考えられる(Poortmanとvan Gaalen 2017)。
13.2.2 共同身上監護の選択に影響する条件
親と子が共同身上監護を最良の選択肢として評価した場合でさえ、そのロジスティックスを管理するには多大な要求が生じる可能性が高い。入手可能なエビデンスによると、別離した親が子育ての取決めを選択することは、個人、家族、文脈レベルでのリソースや障壁と関連していることが示唆される。
個人レベルの条件:年齢、社会経済的条件、教育水準
多くの調査結果は、子どもの年齢が重要であることを示している。乳幼児の親が共同身上監護を選択することは少ないが(HyestとAbout 2007; Jubyら 2005)、この取決めは3歳から12歳の子ども(Jubyら 2005; Sodermansら 2013)、特に小学生に最もよく使われている。乳幼児の場合、母親の母乳育児を可能にするため、また、幼い子どもの安定した状況に対する高いニーズを満たすために、母親の単独監護が好まれることがある。更に、父親は乳幼児の世話をする能力や快適さをあまり感じないかもしれないが、子どもが就学前や学齢期になる頃には次第に関与するようになる。青年期には、共同身上監護の子どもの割合は減少する(SpruijtとDuindam 2009)が、これは仲間との関係がより重要になるためと考えられる。友人と過ごす時間を更に増やしたい若者にとって、両親の家を行き来することは、自己決定的な余暇計画の妨げになると考えられている。しかし、両親が別離した時点の年齢も、やや異なる影響を及ぼす可能性がある。カナダのエビデンスは、子どもの青年期に離婚した場合、離婚直後の両親との親密さを保つためか、共同養育を行う傾向があることが示唆されている(Jubyら 2005)。このことは、親が離婚してからの時間が、更なる役割を担っていることを示しているのかもしれない。若者は、しばらく共同養育を実践した後、共同身上監護から離脱する傾向があるのかもしれない。
様々な研究や国において、両親の社会経済的資源-教育や収入-が高いほど、共同身上監護を選択する可能性が高くなることが、確認されている(Jubyら 2005; SpruijtとDuindam 2009; Kaspiewら 2009)。これは、共同身上監護では、両方の家庭で適切な住居条件や子ども関連の設備が必要となるため、経済的要求が高くなることを反映していると考えられる。同時に、共同身上監護は、より高い経済的資源に依存するだけでなく、母親が家庭の責任と有給の雇用を両立しやすくなるため、より高い収入を得ることができる可能性もある。母親の就業機会の向上と経済的自立は、共同身上監護の中核的な利点であると考えられている。しかし、収入に関して提起された問題と同様に、共同身上監護と母親の雇用との関連は全く明確になっていない。共同身上監護は母親の雇用を促進する可能性がある一方で、別居や離婚に直面した場合、働いている母親がより強く共同身上監護を希望する可能性もある。
この文脈では、離婚前の家庭状況に関するデータが特に注目される。オランダの前向き研究では、両親の教育水準のみが、離婚前の収入ではなく、共同身上監護の選択に関連することが明らかになった(Poortmanとvan Gaalen 2017)。更に、離婚前の母親の労働時間が長く、父親の通勤時間が短い場合、共同身上監護が選択されやすかった。しかしながら、カナダの前向き研究のデータでは、離婚前の収入が高い家庭ほど共同身上監護の割合が高く、離婚前の収入の独立した効果が確認された(Jubyら 2005)。興味深いことに、この後者の研究では、大学教育を受けた親だけでなく、高校卒業資格を持たない親でも共同身上監護の割合が高いことが判明した。恐らく、これらの後者の家庭は、養育費支払い難を補うために共同身上監護を利用したのだろう。更に、父親が母親より高い教育資源を持っている場合、教育資源が同等または母親の教育資源が高い家庭と比較して、共同身上監護がより一般的であった。雇用条件も、親の教育や収入とは無関係に重要であることが判明した。Poortmanとvan Galen(2017)は、両親の離別前の母親の労働時間が長い家庭で共有養育の割合が高いことを報告した。他のデータも同様に、親の離婚前に母親が少なくともパートタイムで働き、父親が夜間や週末に働いていない場合、共同身上監護がより高くなることを示唆している(Jubyら 2005)。まとめると、親の学歴と離婚前の雇用状態は、共同身上監護により一貫した影響を与えるが、収入に関する知見は異なるようである。
家族レベルの条件
新しいパートナー関係は、子育ての取決めに関する条件も変化させるようだ。カナダのデータでは、母親が新しいパートナーと同居する場合、母親単独の養育よりも共同身上監護が多いことが示唆されている(Jubyら.2005)。オーストラリアの調査結果も同様に、母親が新しいパートナーと暮らす場合、一人暮らしの母親と比較して、共同身上監護が2倍であることを裏付けている(Kaspiew et al.2009)。誰も立ち入れない新しいパートナーとの時間を確保できることは、共同身上監護の利点とみなされ、再婚の母親にとってより魅力的な選択肢となる可能性がある。しかし、ドイツにおけるデータでは、母親の再婚によるこの効果は支持されていない。特に、今回使用したデータの以前の分析では、1人暮らしの母親と再婚の母親を比較した場合、共同身上監護の割合に差異は見られなかった(Walper 2016)。
離婚前に父親が家事に関与していたかが重要であることを指摘するエビデンスもある。Jubyら(2005)は、離婚前の父親の主たる活動の中に家族の世話が含まれていたのであれば、共同身上監護を選択する可能性が高くなることを明らかにした。また、他のデータでは、父親の離婚前の日常的な育児への関与が特に関連する要因であることが示されている(Fehlbergら 2011; Poortmanとvan Gaalen 2017)。パートナー関係が終了しても、このように父親が育児の役割に関与し続けることは、数十年前の知見とは全く対照的である。過去には、父親の子育てへの積極的な貢献は、母親とのパートナー関係による枠組みにより強く依存していた-父親の関与とパートナー関係の「抱き合わせ契約」という概念に示されるように(Amatoら 2009)。
親の協力意欲と能力は特に興味深い。これは、共同身上監護には単独身上監護よりも親の協調が必要であることを示唆しているからである。この予想に沿うように、オランダの前向き研究は、離婚手続き中の葛藤は勿論のこと、離婚前の親同士の葛藤が、共同身上監護の選択にマイナスの影響を与えることを示している(Poortmanとvan Gaalen 2017)。また、他の研究では、共同養育を行う離婚した親は、単独身上監護で子どもを持つ親よりも、葛藤、特に子育てに関する葛藤が少ないことが報告されている(Cashmoreら 2010)。
しかし、親同士の葛藤と共同子育てとの関連性に関する知見は一貫しておらず(Nielsen 2013)、共同養育において親同士のコミュニケーションは保証されていない。オーストラリアのデータによると、共同身上監護を有する両親の大多数が少なくとも週1回のコンタクトを報告しているが、共有養育を実践する親の少数派は月1回以下か全くコミュニケーションをとっていない(Kaspiewら 2009, p. 160)。共同養育をする親の約5分の1は、もう一方の親との関係が葛藤状態にあり、険悪でさえあったりしたと報告している。
状況レベルの条件
状況的な条件は、子育ての取決めの選択肢や好みを形成する。例えば、両親ともに家事と仕事の両立がより強く求められる中、柔軟で家族に優しい労働条件は、共同身上監護を促進する(Nielsen 2013)。更に、前述のように、法的条件の変化は、誰が共同身上監護を選択するかに影響するようである。ベルギーでは、両親が離婚後の子育ての取決めについて意見の相違がある場合、裁判所は共同身上監護を検討しなければならない。この規則が家族法に導入されると、共同養育を実践する両親の葛藤が少なくなるというそれまでの利点が薄れてしまった(Sodermansら 2013)。オーストラリアの研究者も同様に、共同身上監護は、身上監護の問題を解決できない高葛藤の両親の妥協的解決策となる可能性が高まっていると警告している(Fehlbergら 2011)。興味深いことに、スウェーデンの質的研究は、幼児を持つ親が、例え葛藤状態の関係にあっても、共同身上監護は子どものウェルビーイングに有益であることと示している(Franssonら)。このことは、親同士の関係の質に拘らず、共同身上監護が規範化されていることを示唆している。しかし、ドイツでは、共同身上監護が殆ど普及しておらず、家族法にも殆ど定着していないため、状況は異なると思われる。
最後に、両親の自宅間の距離は、共同養育のロジスティックスに影響すると考えられる。自宅が離れていると、共同身上監護を維持することが難しくなり、子どもが両親のどちらかの家に滞在しているときに、定期的な育児に関与し、通学を見守り、友人に会うことを保証するのがより困難になる。幾つかの研究によると、両親の家が近接していれば、共同身上監護の可能性は高くなる(Kaspiewら2009)。2009年に実施されたドイツの調査「ドイツで育つ」(AID:A)の第1波のデータは、これらの知見と一致しているが、そのデータはコンタクト頻度に関するもので、宿泊数に関するものではない。別居している父親との頻繁な(少なくとも週1回の)コンタクトは、子どもと父親が同じ町や村に住んでいる場合にかなり多く、父親が遠距離の場所に住んでいる場合はコンタクトの欠如につながった(Schier and Hubert 2015)。
13.3 ドイツの別離家庭
13.3.1 家族形態の変化と労働の分担
他の多くのヨーロッパ諸国と同様に、ドイツは夫婦関係のかなりの不安定に直面している。3件に1件の結婚が離婚に至ると推定され、2件に1件の離婚が子どもを巻き込んでいる(Statistisches Bundesamt 2018c)。2017年には、少なくとも12万4千人の未成年者が親の離婚を経験した。離婚率はわずかに低下しているが、この傾向は、一般的に結婚の安定性が高まっていることを示すものではない。同棲は、子どものいないカップルだけでなく、親の間でもますます一般的になってきている。2017年には、子どもの3人に1人(34.7%)が未婚の親から生まれた(Statistisches Bundesamt 2018b)。未婚の親の大部分は、子どもが生まれると同棲するが(約80%)、このような同棲カップルは、婚姻した親よりも別れる可能性が高い(Langmeyer 2015; Schnor 2012)。2017年、未成年者のいる全世帯の11%は未婚の親2人が世帯主であった(Baumannら 2018, p. 59)。更に19%はひとり親世帯で、殆どが世帯主は母親でであった(88%; Baumannら 2018, p.67)。ステップファミリーは公式統計では特定できないが、調査データから全家族の7~13%と推定できる(Bundesministerium für Familie Senioren Frauen und Jugend 2013)。
1998年以降、結婚している親が離婚する場合、共同法的監護権がデフォルト事案になった。殆どの未婚のカップルは、子どもの誕生と同時に正式に共同法的監護権を確立し、法的なデフォルトとして、別居をしても共同法的監護が継続する。家庭裁判所によって監護権を変更することは可能であるが、殆どの別居親は共同法的監護権を保持している。しかしながら、身上監護権は、法的監護権と甚だしく異なる。ドイツの家族法では、共同身上監護を否定しているわけではないが、一方の親-主に母親-が単独身上監護を持つことは、子どもの継続性へのニーズを満足させるのに最も適していると考えられていたため、望ましい取決めと見做されていた(現在も見做されている)。この点について、ドイツ家庭裁判所評議会「子どもの権利委員会」は、次のように警告している: 「両親とのコンタクトの継続は、子どもの生活環境の不連続性を犠牲にしてのみ実現する」(Kinderrechtekommission des Deutschen Familiengerichtstags e.V. 2014)。極めて重要なことは、シングルマザーの割合がシングルファーザーと比較して高いことから分かるように、(母親の)単独身上監護は、母親が家事や子育ての主な責任を負うという伝統的な家族の役割にも最も合致していることである。
家族の役割分担を見ると、男性一家の稼ぎ手モデルとその近代化された形態がドイツでは依然として広く普及している。2016年には母親全体の74%が就業していたが(Statistisches Bundesamt 2017b)、その大半はパートタイムのみで働いており(2017年には69%)、パートナーと暮らしている場合は更にその傾向が強い(Statistisches Bundesamt 2017a)。未成年者のいるカップルの世帯では、母親の71%がパートタイム雇用であるのに対し、父親のパートタイム雇用は僅か6%であった。この男女差は、ひとり親家庭では僅かに低いが、シングルマザーの約58%がパートタイム雇用であるのに対し、シングルファーザーのパートタイム雇用は12%に過ぎない(Statistisches Bundesamt 2017a)。家族の仕事を見ると、パートナーがいる女性は、家事と育児を含む家族の仕事の大半を依然として遣り繰りしている(NitscheとGrunow 2016)。家事、育児、有給の仕事を平等に分担することは、まだ稀な例外である。他のヨーロッパ諸国に関して言えば、ドイツは雇用時間における男女格差が最も大きい(経済協力開発機構(OECD)2017)。ともにほぼフルタイムで働き、家事と仕事をほぼ平等に分担する共働き夫婦は、全体の1.2%に過ぎない。平等主義的な男女役割分担意識が広く浸透しており(BlohmとWalter 2018)、父親は子どもの人生に積極的に関わろうと努力しているが(Zerle-ElsäßerとLi 2017)、ドイツにおける家族の役割は平等主義からはほど遠い。
結婚したカップルに対する税制上の優遇措置は勿論のこと、伝統的な分業により、ひとり親世帯は貧困の大きなリスク要因になっている。EU-SILC 2016のドイツのデータによると、ひとり親世帯の32.6%が貧困リスク(人口の需要加重中央値の60%以下の収入しかない)にあるのに対し、子どものいるカップルは僅か11%であった(Statistisches Bundesamt 2018a)。別居親が金銭的な養育費を支払っているのは2人に1人だけ、最低限以上の金額を支払っているのは4人に1人だけのようである(Lenze 2014)。支払うことができない父親もいるだろうが、このことはドイツで別居している父親の子どもに対する責任が広く欠如していることも示している。
13.3.2 ドイツにおける共有の監護権
これまでに報告された調査結果は、ドイツにおける共同身上監護の有益な条件を示唆していない。これは、離婚後の子育ての取決めに関するデータにも反映されている。Kalmijn(2015)は、CILS4EU(2010/2011)のデータを用いて、ドイツ、オランダ、イギリス、スウェーデンの14歳の学生の離婚後の父親とのコンタクトと父子関係を比較した。その結果、父親とコンタクトしていない若者の割合が最も高いのはドイツ(20.7%)であった。逆に、共同身上監護の割合はドイツ(9.8%)が最も低く、次いでイギリス(10.9%)、最も高いのはスウェーデン(36%)であった。しかし、父親との関係の質は、ドイツの別居家庭の青少年ではかなり良好で、51.6%が「非常に良好」な関係と回答している。国による違いを考慮すると、共同身上監護は、非移民、SESの高い家庭、母親が就業している場合、そして子どもが男性の場合より一般的であった。
更に、欧米36カ国の学齢期の子ども(11歳、13歳、15歳)20万人以上を対象としたHBSC研究(2005/06)から比較データを入手することができる(BjarnasonとArnarsson 2011)。この研究の目的は、親子のコミュニケーションパターンは勿論のこと、各国の子育ての取決めを調べることだった。ドイツは、共同身上監護の割合が低い国に属していることがわかった。ドイツの非核家族出身の青少年のうち、共同身上監護で育った子どもは僅か4.2%であった(独自計算)。その一方で、共同身上監護で育ったドイツの青少年は、父親とのコミュニケーションにおいて、全児童の平均よりも有利であるように思われた。ドイツでは、本当に悩んでいることを父親に話すことが困難であると感じていた子どもの割合は、共同身上監護で育った子どもは15%だけだったが、核家族の子どもは35%だった。国別の平均では、この差はもっと小さかった(29%対32%)。興味深いことに、ドイツでは、共同身上監護に関する同様の優位性が母親とのコミュニケーションにおいて認められ、全体としては、核家族の子どもと共同身上監護の子どもとの間に差はなかった。これらの結果は、ドイツにおける共同身上監護のポジティブな効果を反映しているのか、それとも十分に機能して離別家庭が特に選択的にこの取決めを利用しているのかは不明である。
最近の研究では、ドイツにおける共同身上監護にもっと光を当てようとした(Institut für Demoskopie Allensbach 2017)。603人の別離中の母親と父親のうち、共同身上監護について知っている、もしくは聞いたことがある親は3分の2だった。しかし、これまで報告されてきた数字とは異なり、別離した親の22%が、ほぼ均等に子育てを分担していると回答している。更に41%が、別離前にほぼ均等に子育てを分担していたと回答している。しかし、それぞれの親の貢献度についてより具体的な質問をすると、共同身上監護(「交代モデル(共同養育型),Wechselmodell」)を確認したのは15%だけで、実際に共同身上監護における宿泊の標準基準を満たしたのはその半数の7%にすぎなかった。これは予想された結果であり、ドイツの家族パネル「pairfam」のデータでは、別離家族のうち共同身上監護を有しているのは5%未満であることが明らかになった(Walper 2016)。
共同身上監護権に関する親の推定は明らかに客観的な基準ではないが、この研究のさらなる知見は、親の協力が共同養育を促進することを示唆している(Institut für Demoskopie Allensbach 2017)。別離した親全体の平均と比較すると、育児の分担がほぼ均等と回答した親は、子どものもう一方の親との関係が良好または非常に良好であると回答する頻度が2倍であった。相互協定―協力的な共同子育てを示す―がうまく機能していることは、育児を分担している親にかなり多く見受けられた。育児に関係する責任を分担している親の大多数は、「子どもに両親のそばにいてもらう機会を与えたい」と説明している。また、約半数が、育児を共有することで、親が仕事や自分の時間を持ちやすくなることに同意している。共同身上監護を、元パートナーに支払う養育費を減らすチャンスと見做す親は、僅か11%だった。現在の子育ての取決めに対する満足度は、育児に半分以上関与している親の方が、育児に参加していない親よりも大幅に高い。約51%が、ほぼ均等に育児を分担することを理想と捉えている。
13.3.3 研究上の課題
このように幾つかの発見があるにも拘らず、ドイツでは共同身上監護に関するデータが明らかに不足している。入手可能なエビデンスは、共同身上監護はまだ稀であることを示唆している。共同身上監護ではない家庭の予想される異質性に注目するため、別居親とのコンタクトのバリエーションも検討した(例えば、SpruijtとDuindam 2009を参照)。私たちの分析は、以下の研究上の課題を解決するものである:
ドイツでは何世帯の離婚家庭が共同身上監護を選択しているのか、また、別居親とのコンタクトの程度は様々であるが、単独身上監護の家庭と比較して監護の分担割合はどうなのか。私たちは、4つの子育ての取決めの分布に関心を持った。:⑴共同身上監護、⑵別居親と頻繁にコンタクトする単独身上監護、⑶別居親とのコンタクトが稀な単独身上監護、⑷別居親とのコンタクトがない単独身上監護
別離した親が共同身上監護を選択するのは、どのような要因が関係しているのか。入手可能な国際的なエビデンスを検討すると、両親の自宅の距離は勿論のこと、子どもの特性(年齢、性別)、母親の特性(教育水準、雇用形態、新しいパートナーとの関係)が関連要因であると予想された。また、別離後も連絡を取り合っている親に関して、私たちは協力的な共同子育ては共同身上監護の割合の増加に関連しているが、共同子育てにおける葛藤は養育を分担する上で妨げになる可能性があると予想した。ドイツでは共同身上監護が法的に制度化されていないことから、例えばベルギー(Sodermansら 2013)における先行研究結果と同様に、葛藤の少ない親ほど共有養育を選択する可能性が高いと想定した。
13.4 方法
13.4.1 データとサンプル
私たちの分析は、出生から32歳までの2万5千人以上の子どもと若者を対象とした、ドイツの大規模な代表的調査の第2波のデータ(「ドイツで育つ」;AID:A, 2013-2015; Walperら 2015)に基づいている。サンプルは全国規模の登録データから抽出し、専門の面接者が参加者に連絡を取り、面接を行った。面接は全て電話で実施した。9歳以降の面接を受けた対象となる参加者に加えて、一方の親-殆どの場合母親-が、社会人口統計学的および構造的データを含む未成年の子どもに関する追加情報を提供した。本研究では、私たちはサンプルを最大化し、全ての未成年の子どもに関する情報を含めるために、親の見解にのみ焦点を当てた。AID:A調査は、ストレッサーや緊張、家庭生活、育児、学校教育、職業訓練と仕事、余暇活動、社会経済状況、ウェルビーイングを含む、子ども、ティーンエイジャー、若年成人の生活に関する広範な情報をカバーしている。
研究課題に沿って、私たちはサンプルを別居または離婚した親を持つ17歳までの子どもを対象にするように制限した。別離前の両親の婚姻状況は選択基準ではなかった。従って、このサンプルには、未婚の親は勿論のこと、以前に結婚した親が含まれている。これらの基準に基づき、AID:A第2波のサンプル全未成年者の8%に当たる1,090人の対象児童のサブサンプルを特定できた。殆どのケースで、母親が参加し、家庭の状況や子どもに関する情報を提供した。父親が家庭の情報を提供したケースは47件のみであった。このようなケースは、(母親から報告される)母親の状況に焦点を当てたため、除外せざるを得なかった。最終的なサンプルは、別離した親を持つ未成年の子ども1,042人で、男児53.4%、女児46.6%であった。子どもの平均年齢は10.54歳(SD=4.97)であった。子どもの20.2%が学齢未満、24.8%が小学生(6~10歳)、半数以上が11~17歳(55.1%)であった。
婚姻状況に関しては、母親の31.8%が未婚、38.3%が離婚、16.4%が結婚しているが一生別居、13.5%が再婚であった。3分2(65.8%)のケースで、母親は父親と共同法的監護権を有していると報告した。母親の4人に1人(25.7%)が、新しいパートナー関係の下で生活していた。
13.4.2 指標
分析に使用した指標は、対象児童の母親から提供された情報に依存している。
共同身上監護は、子どもがそれぞれの親と宿泊した日数で定義し、宿泊数の分布に僅かな非対称性(60:40)を許容した。現行のドイツ家族法では、宿泊日数の割合が70:30であれば、長時間のコンタクトを伴う単独身上監護と見做すため、この厳しい基準を採用した。しかし、私たちの調査結果は、それほど厳密でない宿泊の基準(70:30まで。考察参照)を用いた場合でも、非常に堅牢であることを述べておかねばならない。共同身上監護は、子どもや青年が一方の親の家で月に12泊(40%)以上、もう一方の親の家で19泊(60%)以下している場合に1としてコード化した。単独身上監護(コード0)の場合、子どもは一方の親の家で月に19泊以上(60%以上)、もう一方の親の家で12泊未満(40%未満)していた。重み付けをしていないデータでは、共同身上監護で暮らす子どもは4.3%に過ぎなかった。
単独身上監護のケースでは、子どもと別居親とのコンタクトは3段階に分けられた。別居親と子どもとのコンタクトには、個人的なコンタクト、電話、その他のコンタクト方法(手紙、郵便、電子メールなど)があった。関連項目で取り上げた子どもとのコンタクト方法の多さから、母親が報告した子どもの別居親とのコンタクト頻度はかなり高いことがわかる。そこで、父親とのコンタクトが少なくとも週1回以上ある子ども(コンタクト頻度が高い)、コンタクト頻度が低い子ども、別居する父親とのコンタクトがない子どもに区別した。子どもの半数以上が、別居する父親と少なくとも週1回のコンタクトがあった(非加重データ: 53.2%)。また、コンタクト頻度が低い(月1~2回、またはそれ以下:25.0%)子どもは、4人に1人であった。最後に、親が別離している全ての子どもの17.5%が父親とコンタクトしていなかった(非加重データ)。
両親の自宅の距離は、母親が推定して5つのカテゴリーで評価した:1=同じ家、同じ地域、2=同じ町や村にあるが15分以上離れている、3=別の村だが1時間未満の距離、4=かなり離れているがドイツ国内、5=かなり離れていて別の国。私たちの分析では、この指標を連続変数として使用している。
両方の生物学的親の子どもに対する法的監護権は、母親の自己申告で評価した(1=なし、2=あり)。母親の新しいパートナーは、新しいパートナーが母子と同じ世帯に住んでいる場合に考慮した(1=世帯にパートナーなし、2=世帯に新しいパートナーあり)。母親は、子どもの年齢と性別についても報告した。母親の居住地域(東ドイツと西ドイツ)は、面接者から提供された情報をもとにコード化した。地域を含めた理由は、東ドイツでは、西ドイツよりも未婚の親から子どもが生まれる割合がかなり高く、別離した東ドイツの父親は子どもへの関与が少ないことが示唆されるためである。
母親は、世帯構成、正味の世帯収入、自分の教育、雇用状況について詳細な情報を提供した。貧困リスクは、一人当たりの純所得を世帯の必要消費で加重したもの(OECDの新しい尺度にしたがって世帯構成で指数化したもの)を基準とした。貧困リスクの閾値は、EUが設定した、必要所得調整後の等価所得の中央値の60%で、サンプルを2つのグループに分けた(0=貧困閾値以上、1=貧困閾値未満)。母親の就業状況は、二項対立の指標とした(1=母親が無職、専門学校や大学や継続教育の学生、専業主婦、出産休暇や育児休暇、退職を含む、2=母親が就業している、である)。母親の教育水準は、「先進国における社会的流動性の比較分析(CASMIN)」(Braunsら 2003)を用いて分類した。このプロジェクトでは、職業訓練や学術訓練は勿論のこと、一般的な学校教育のレベルを考慮している。幾つかのカテゴリーではサンプル数が少ないため、以下のようにカテゴリーを統合した:1=基礎教育(中学2年生と高校3年生を修了した後に授与される中等教育修了証あり/なし、及びその他の学校卒業証明書ありで、職業訓練の有無は問わない);2=中等教育(10年間の学校教育(アメリカの高校卒業資格にほぼ匹敵)の後に授与される教育修了証明書ありで、職業訓練の有無は問わない);3=大学入学資格(中等教育終了時の最終試験、即ち職業訓練の有無に拘らず12年または13年の学校教育の後の最終試験)、4=高等3次教育(専門学校または大学の学位)。第二段階では、これらの4つのカテゴリーを、大学入学資格(1=なし、2=あり)で定義される2つのカテゴリーに分類した。更に、子どもの性別(1=男性、2=女性)を追加した。子どもの年齢を3つの年齢層分けた(1=0~5歳、2=6~10歳、3=11~17歳)。これは、学齢期に共同身上監護の割合が多くなることを想定し、非線形効果を検証するためである。
別離した親の共同子育ての質に関する課題は、両親間のコンタクトがある場合に限定している。それは、それぞれの指標が、両親間コンタクトや遣り取りを最低限必要とするためである。AID:A調査で使用した項目は、ドイツ版の「親の問題チェックリスト」(DaddsとPowell 1991)から転用したものである。共同子育ての2つの次元が測定された:協力(2項目尺度、クロンバックのα係数=.81 例:「私たちは親として良いチームです」)と消極的な共同子育て(葛藤、三角関係、相違、7項目尺度、クロンバックのα係数= .87 例:「私たちは子育てについて一般的に異なる見解を持っています」)。両方の下位尺度は負の相関があった(相関係数r .31, p値 < .001)。
今回の分析では、共同身上監護を実践している回答者のグループサイズが小さいため、中央値分割によって回答者を二分した。
13.4.3 分析戦略
私たちはまず、低学歴の回答者の割合が比較的少ないことを補うため、加重データを用いて、共同子育ての取決めと父子コンタクトの分布に関する情報を提示する。記述的分析と多変量解析は、重み付けをしていないデータで計算した。私たちは、子育ての取決めと予測変数の間の二変量リンクを分析し(カイ二乗検定)、標準化残差を検査して、観察された区画の頻度と期待される区画の頻度との間の局所的な偏差を特定した。標準化残差値が最低2.0(または-2.0以下)に達した場合に留意が必要である。これは、観察値が期待値から標準偏差の2倍以上の差があることを示している(Haberman 1973)。
次に、ロジスティック回帰を用いて、予測因子の相互依存性を統制し、子育ての取決めとの独自の関連性を検証した。これらの分析では、共同身上監護と単独身上監護とを区別し、父子コンタクトのバリエーションは無視した。私たちは以下の3つのモデルが検証した:⑴大規模サンプルに関連する要因についての情報を提供するため、私たちは当初、全てのケースで利用可能な予測因子に分析を限定し、子ども関連の要因、社会経済的地域的要因、住居の距離、母親の世帯構成(ステップファミリーの形成)を取り上げた。共同子育ての質に関する情報は、親同士のコンタクトがあるケースについてのみ入手可能であったため、これらの分析では、予測因子として共同子育ての質を除外した。この予測因子を加えると、親同士のコンタクトがない家庭は除外されることになる。⑵次に、同じ分析を両親が共同法的監護権を持つ家族に限定した。これらの分析は、共同子育てを法的にどのように規制するかという現在の議論の文脈で特に興味深い。なぜなら、一貫した法改正では、共同子育てを共同法的監護権に基づき、それに限定した取決めと解釈するのが最善であると主張されている(Wissenschaftliche Dienste 2018)からである。⑶最終的な分析は、両同士のコンタクトがある家庭に限定し、予測因子として共同子育ての質を含めた。なお、後者の2つの分析でさえ、共同法的監護権や親同士のコンタクトがある家庭に焦点を当てるとサンプルサイズが小さくなるため、簡単に比較することはできないことに留意する必要がある。
13.5 結果
13.5.1 記述的な結果
上で示唆したように、共同身上監護を実践している家族はごく僅かであった。これは重み付けしたデータを使用すると更に顕著になる。:別離した親を持つ子どものうち、共同身上監護(60:40)で暮らしていた子どもは僅か3.3%であった。別居している父親と週1回以上コンタクトしている子どもは半数弱(加重データ:48.0%)、27.4%は別居している父親と稀にコンタクトし、21.3%はコンタクトがなかった。
私たちの最初の一連の分析は、これらの子育ての取り決めと、予測因子の可能性があるように思われるそれらの相関関係との間の二変量リンクを取上げた。表 13.1 にその結果を示す。予想通り、父親が近距離に住んでいる場合、共同身上監護が有意に多く、頻繁なコンタクトも距離が短いほど多かった(χ²値=147.19, 自由度df=12, p値 < 0.001)。父親が同じ家や近所に住んでいる場合、共同身上監護は、同じ町や村に住んでいても15分以上離れている場合(7%)の2倍(13.1%)であった。両親の自宅が1時間以上の距離にある場合、共同身上監護は全く実現されていなかった。最も近接した場合の標準化残差の正値が高いことからわかるように、共同身上監護と別居している父親との頻繁なコンタクトに関する観測値は、期待値を大きく上回った。一方,父親とのコンタクトが殆どない,あるいは全くない場合の標準化残差は負であり,近接度が高い事案では、このような取決めを結ぶことは有り得ないことを示している。父親が母親の住居から1時間以上離れた所に住んでいる場合(ドイツ国内または他国)、子どもは母親と暮らし、別居している父親とのコンタクトは、稀か全くないことが有意に多かった。
法的監護と身上監護も強く関連していた(χ²値=194.948, 自由度df=3, p値 < 0.001)。別居している父親との頻繁なコンタクトは勿論のこと、共同身上監護は、いずれも共同法的監護と強く関連していたが、単独法的監護は別居している父親とのコンタクトがない家庭でより多く見られた。社会経済的要因については、母親の学歴(χ²値=50.15, 自由度df=9, p値 < .001)、母親の雇用状況(χ²=23.66, 自由度df=3, p値 < .001)、貧困リスク(χ²=8.74, 自由度df=3, p値 < .05)も子どもの子育ての取決めに関連していた。基礎教育を受けている母親の子どもは、父親とのコンタクトがない可能性が有意に高かった。一方、母親が高等3次教育を受けている場合、共同身上監護である可能性が非常に高くなった。興味深いことに、共同子育ての可能性は貧困や失業には影響されなかったが、父親とのコンタクトがないことは、母親の失業や貧困リスクのある生活をしている場合に特に可能性が高くなった。
子どもの年齢も子育ての取決めの選択に関係した(χ²値=21.59, 自由度df=6, p値 < .001)。共同身上監護は学齢期に最も多く、コンタクトなしは6歳未満の子どもで有意に多く見られた。
最後に、両親の共同子育ての質も、子育ての取決めと有意に関連していた。両親の協調性が高い場合は、協調性が低い場合よりも、共同身上監護、別居している父親への頻繁なコンタクトが大幅に多かった(χ²値=110.31, 自由度df=3, p値 < 0.001)。消極的な共同子育て、子どもの性別、地域(東ドイツと西ドイツ)、母親の新しいパートナーとの同居は、子育ての取決めと関連していなかった。
13.5.2 多変量解析の結果
第二段階として、私たちは他の要因との関連で考えた場合、どの要因がより重要であるかを検証した。私たちは2分変数である従属変数(1=共同身上監護 vs 0=それ以外の全ての形態)と9つの予測因子を用いたロジスティック回帰モデルを使用した。最初のロジスティック回帰モデルは、記述的結果(表13.1参照)から、共同身上監護と貧困リスクを除く殆どの要因を統合したものである。共同法的監護は共同子育ての法的前提条件であり、私たちが関心を持つ他の効果を仲介する-あるいは、この場合、曖昧にする-可能性があるため、共同法的監護を除外した。貧困リスクは、子育ての取決めの選択に影響を与えるだけでなく、(例えば、母親の就労を通じて)その影響を受ける可能性があるため、除外した。従って、貧困を予測変数として考えるべきか、結果変数として考えるべきかは、あまり明確でないように思われた。
表 13.2 に示すように、モデル1では、母親の学歴、別居している父親の住居までの距離、子どもの年齢の3つが、共同身上監護の有意な予測因子となった。多くの知見と同様に、母親の高学歴は共同身上監護を促進することがわかった(オッズ比OR = 3.31, p値 < .01)。更に、父親の元に行き来する距離が長いと、共同子育ての可能性が低下した(オッズ比OR=0.38、p値<.001)。子どもの年齢に関する二変量の調査結果と同様に、学齢期(6~10歳)と比較して、幼児(6歳未満:オッズ比OR=0.33、p値<.050)および年長の子ども(11歳以上:オッズ比OR=0.46、p値<.050)では、共同身上監護の可能性は低かった。二変量の記述の結果と比較すると、母親の雇用は、共同身上監護との関連はなくなっていた。共同法的監護権を持つ家庭に限定したモデル2でも、モデル1と同様の頑健な結果が得られた(表13.2参照)。
3つ目のロジスティック回帰モデルは、共同法的監護と親同士のコンタクトがある、更に対象数の少ない家庭のサンプルに基づいている(表13.2の3列目参照)。これにより、共同子育ての両側面(積極的な協調と消極的な共同子育て)が監護状況の描写に追加される。予想通り、共同子育ての質は重要であり、別離した親が育児によく協力している場合、共同身上監護の可能性が約5倍高くなる。更に、消極的な共同子育ては、予想外の僅かなプラス効果をもたらした。平均以上の消極的な共同子育てをする親は、殆ど消極的な共同子育てをしない親よりも共同身上監護を選ぶ可能性が高い傾向にあった(p 値=.07)。幼い子ども(6歳未満)は、共同身上監護を経験する可能性が低くなかったが、これは恐らく、父親とコンタクトしていない幼い子どもがかなりの割合でこの分析に含まれていないためと考えられる。共同子育ての質とは無関係に、年長の子ども(11~17歳)は学齢期の子どもよりも共同身上監護で生活する可能性が低かった。母親の学歴と父親の家までの距離は、引き続き共同身上監護と有意に関連していた。
13.6 考察
今回報告された調査結果は、ドイツにおける共同身上監護とその予測因子に関する重要な知見を提供するものである。それぞれの親との子どもの宿泊をあまり徹底してカウントしていない調査結果(Institut für Demoskopie Allensbach 2017; Kalmijn 2015)と比較すると、共同身上監護の割合がかなり低いことを私たちは見出した。しかし、私たちのデータは、共同身上監護の別離家庭は5%未満であることを明らかにしたドイツの家族パネルpairfamの調査結果(Walper 2016)とよく一致している。従って、ドイツでは共同身上監護はまだ稀な例外であると結論づけざるを得ない。宿泊の共有率を70:30までとする、より制限を緩めた基準では、共同身上監護の割合が倍増するが、その相対頻度は依然として非常に低い(Walper, Langmeyer と Entleitner-Phlepsが準備中)。
このことは、核家族における夫婦の伝統的な役割分担を考えれば、驚くにはあたらないだろう。別離前の父親の育児関与は、共同身上監護の重要な予測因子として指摘されており、父親の育児関与の機会が少ないために共同身上監護の低いままであると説明し得る。しかし、残念ながら、今回使用したデータには、父親の別離前の育児への関与についての情報がないため、別離後の子育ての取決めの選択における予測的役割を検証することができない。今後の研究では、ドイツにおける別離前と別離後の父親の育児関与との関連性を明らかにする必要がある。
全体として、子育ての取決めとその相関関係との二変量のリンクおよび回帰モデルに関する記述結果は、国際的な知見と一致するものであった。親の社会経済的資源、特に親の教育が非常に重要であることは一貫して証明されている(Fehlbergら 2011; Jubyら 2005; Poortmanとvan Gaalen 2017)。このことは、私たちのデータにおける母親の教育と共同身上監護の間の強い正のリンクによって支持される。私たちの分析は教育資源に限定されたが、共同身上監護にはより高い出費が伴うため、家計も役割を果たしているとの仮定が立てられている。しかし、母親の所得は共同身上監護の選択に影響を与えるだけでなく、その影響を受ける可能性が高いため、調査結果の解釈は不明瞭である。このことは、ある程度、母親の雇用についても当て嵌まる。なぜなら、別離した母親が有給で働く機会が増えることは、共同身上監護の重要な利点であるはずだからである。しかし、前向きな調査結果は、別離前の母親の雇用が子育てモデルの選択に影響を与えることが示している(Poortmanとvan Gaalen 2017)。私たちのデータでは、二変量リンクも回帰モデルも、共同身上監護と母親の雇用の間の有意なリンクを示唆していない。母親の雇用と子育ての取決めは二変量レベルで有意に連動しているが、これは共同身上監護における雇用率が高いためではなく、寧ろ子どもの父親とコンタクトを取っていない母親の失業率が高いためである。今後の研究では、ドイツにおける共同身上監護が、最終的に労働市場におけるシングルマザーのチャンスを広げる道を切り拓くことができるかどうかを監視する必要がある。
両親の居住地が近いことは、共同身上監護においてより重要で強固な要因であった。実際、15分以内の近距離は特に共同身上監護に適しているようである。しかし、別離している親が子どもの共同身上監護を計画している場合、居住地の近さを選択する可能性があるため、因果関係の解釈は誤解を招く可能性がある。この点については、前向きな研究が最も有益であろう。
最後に、私たち分析は、共同子育ての質は、ドイツで共同身上監護を確立するための重要な要因であることを示した。協力が上手く行き、信頼できるものであれば、共同身上監護の可能性が明らかに高くなる。しかし、同時に、共同身上監護を実践する親には、共同子育ての問題が(僅かながら)多いという予想外の逆相関が見られた。この影響はほんの僅かに有意であり、再現しない限り過大評価さすべきではないが、その解釈を検討する必要があるように思われる。葛藤する親は、子どもを最も均等に分けることで対立を最小限に抑えるため、共同身上監護を選択する傾向にあるかもしれない。代わりに、共同身上監護は、より多くのコミュニケーションを必要とするため、より多くの対立を引き起こす可能性もある。このような問題は、縦断的な研究で対処する必要がある。
全体として、私たちの調査結果は、共同身上監護の定義が変わっても、非常に頑健であると思われる。追加分析(Walperらが準備中)では、ごく僅かな影響の変化、例えば、共同身上監護の取決めが普及するにつれ、共同子育ての問題の重要性が増すこと、10歳までの期間における年齢差が減少することだけを指摘している。このことから、より対称的な形態の共同子育てを実践している親とそうでない親との間の違いは、非常に限定的であるように思われる。とはいえ、具体的な比較は、いつどのような形態の共同身上監護をアドバイスするかという法律家の決定を導くのに役立つと思われる。
本稿で調査しきれなかった要因が更に存在する。例えば、移住の背景は、幾つかの理由で分析に含めなかった。面接への参加にはドイツ語の習得が必要であったため、サンプルに占める(第一世代および第二世代の)移民の割合は公式統計の予想よりも低かった。また、本サンプルに含まれる移民の大半はヨーロッパ系であるため、文化的多様性の問題は軽視されざるを得ない。しかし、更なる研究により、この要因についてより詳細に取り上げる必要がある。
今回の調査結果が、ドイツにおける共同身上監護に関するより詳細な研究の出発点となることを期待する。必要な法改正を導く上で、特に、子どものウェルビーイングに関し更なる洞察を提供することが重要であろう。子どものウェルビーイングは、親が別離後の子育ての取決めを選択する際の最も重要な基準であるべきだから。
謝辞 この章は、オープンアクセスを可能にしたアントワープ大学の人口・家族・保健センター (CPFH) の支援の恩恵を受けました。
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サビーネ・ヴァルパー ドイツのミュンヘンにあるルートヴィヒ・マクシミリアン大学にて、ドイツ青少年研究所研究ディレクター、教育・青少年研究教授を務める。主な研究分野は、家族の多様性、家族関係、子育て、さまざまな家族状況における子どもと青少年の発達の問題に取り組んでおり、貧困にある家族や別居・再婚した親を持つ家族に焦点を当てている。心理学者、心理セラピストとして訓練を受け、子育てプログラムの開発および評価を行う。ドイツ家族パネルpairfamの共同研究者であり、ドイツ青少年研究所で実施している大規模な全国調査「ドイツで育つ-日々の文脈」と全国プログラム「早期予防(Frühe Hilfen)」の監視を担当している。政治的なコンサルティングにも積極的に取り組み、現在は「ドイツの家族に関する第9次全国報告書」の専門委員会の委員長を務めている。
クリスティン・エントライトナー・フレップス ミュンヘンのドイツ青年研究所(DJI)研究ディレクターサビーネ・ヴァルパー教授のチームで働く。インスブルック大学で教育学と社会学を学び、ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン校で博士課程を修了した。主な研究テーマは、離婚や別居後の複雑な家族構造とその日常的な家族生活の実践に特に焦点を当てた量的家族研究である。
アレクサンドラ・N・ラングマイヤー ミュンヘンのドイツ青年研究所(DJI)で「子どもの生活状況と発達状況」作業部会の責任者を務める。ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン校で教育学、心理学、法学を学び、同校で博士号を取得。博士論文は、同居家族における共同子育てと身上監護に関するものである。日常生活の実践、子どもの発達とウェルビーイングに焦点を当てた量的研究を行っている。特に、家族と離婚研究の文脈においてである。
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(了)