第3章 子どもと若者のためのサービス 「私はどうなるの?」両親離別後の家族への支援を見詰め直す
「私はどうなるの?」
両親別離後の家族への支援を見詰め直す
家族問題解決グループの報告書
(私法作業部会のサブグループ)
2020年11月12日
※この報告書がハーム・レポート発表半年後に公表されたことに留意して下さい
81. 家族問題解決グループ報告書の一部である本章では、子どもと若者のニーズ検討を任務としたサブグループによって作成された、より詳細な報告書の概要を述べます。私たちが作成した報告書の全文は、付属資料2に掲載しています。
A.方針の背景
82. 理論では、子どもの福祉が何よりも重要であるとされていますが、実際には、ジェームス・マンビー卿(元家族部部長)が指摘しているように、
裁判では何が起こっているのかを敢えて考える場合(殆どの場合、考えませんが)、真実は-そして、子の最善の利益に何があるかについての適切な評価は-両親の間の敵対的なプロセスから何らかの不思議な方法で浮かび上がってくる、という軽率な仮定に基づいて手続きが進んでいきます48。
83. 従来、国は私的な家庭生活に介入することを極端に嫌ってきました。そのため、公法上の問題と私法上の問題で、子どもの声を聞くためのアプローチが異なっていました。伝統的な福祉保護主義の根深い文化は、子どもの意見が彼らのアウトカムを改善する上で果たし得る中心的な役割を理解する妨げになっていました。公法では、子どもの権利と福祉が保護され、代表される明確なプロセスが存在します。一方、私法ではこれに相当するようなプロセスは存在しません。また、そのプロセスを使用する必要があるかもしれない子どもが、アクセス可能で理解できる、普遍的包括的な子ども中心の戦略やルートマップもありません。子どもが関与する私法の申請件数は、毎年、公法の申請件数を遥かに上回っているにも拘らず、です。2019年において、公法上の申請における個々の子どもの数は30,333人、私法上の申請における個々の子どもの数は83,974人でした49。
84. 他の多くの国では認められていない、このような二項対立的アプローチの当然の帰結として、私法上の手続きにおいて、子どもの保護の問題と子どもの声の聴取の両方に関する明確な方針が欠如しています。「別離した親の情報プログラム」(または「ウェールズの子どものために一緒に働く」)や「別離後の子育て」(いずれも素晴らしい取り組みです)などの直接的なサービスは存在しますが、これらは主に大人向けのサービスであり、子どもに一定の(不特定多数の)利益がもたらされることが期待されています。
85. 両親が別離する場合、現在の政府の政策は、子育ての取決めが常に子の最善の利益になるという仮定に基づいて、子育ての取決めの達成を第一の目的とし、その達成に大きく依存しています。家庭崩壊の悪影響を受けている子どもを何らかの形で保護するための政府の主要な対応策は、両親が裁判所に申請する際に法定メディエーション情報および評価会議(MIAM)を導入することであり、これによって意見の相違や争点が裁判のプロセスから遠ざかることを期待しています。これは、私法紛争の大多数から法的援助を撤退したことが背景になり起こっています50。MoJハーム・レポートで明らかにされているように、私法事件における家庭内暴力の発生率と影響が一貫して危険なほど過小評価されていることを考えると、現在の取り決めは特に問題です51。私たちは、子どもの声を聞き、暴力的な家庭にいる、あるいは暴力的家庭にいた子どもの福祉を守るための取決めを早急に見直すことを提言します。
86. イギリスは、家庭崩壊の問題、特に毎年両親が別離している280,000人の子どもへの影響についての取組みが他国に比べて遅れています。歴史的に見ても、私法上の問題で子どもの声を聞くことに関して、国(イングランドとウェールズ)としての明確な方針はありませんでした。省庁を超えた包括的な戦略がないため、断片的なアプローチになっており、生産性も費用対効果もありません。2011年に発表された「家族司法レビュー」は、「子どもに優しい」「子どもを含む」アプローチの重要性を支持しています。このレビューでは、子どもに明確に焦点を当て、子どもの声を確実に聞くことができるよう、専門家のトレーニングを充実させることを求めています。また、このレビューでは、子どもと若者は、事件のできるだけ早い段階で、希望すれば自分の意見を伝えることができる方法を示した選択肢を提供すべきだと提案しています52。残念ながら、それ以来、殆ど進展はありませんでした。
B.子どもの声を聴く
87. 子どもの声を聴くための現在の取決めを見ていて最も印象的な点は、親との別離を経験する子どもがいかに多いか、そして彼らのためのサービスがいかに少ないかということです。この分野での進展が見られないのは、関係者の数が非常に多いことで説明がつくかもしれません。というのは、サービスの提供には、歴代政府が取り組みたくないような多大な資源を必要とするからです。その結果、中心的な役割を担う子どもや若者のうち、相談を受けたり、自分たちの人生についての決定に関与したりする機会は殆どありませんでした。はっきりとした政策の枠組みがない中で、様々な取組みが行われてきました。家庭崩壊に対する国家の介入の主な目的の一つは、子どもの巻き添えを可能な限り抑えることです。しかし、利用可能な介入策が関連する子どもにとってどのような効果をもたらすかについては、限られた分析しかなされていません。実際には、大人が主導する間接的なアジェンダの一部として、子どもの権利や福祉を子どもが不在のまま保護できるという考え方には、根本的な欠陥があります。もう美辞麗句を並べる時代ではありません。私たちの使命は、法的な変更を求めることではありません。しかし、「子どもの声」紛争解決諮問グループの最終報告書で推奨されている、法廷外紛争解決プロセスにおいて10歳以上の若者の声を聞くという法律では規定されていない前提、つまり「メディエイター、協調的実践者などを含む全ての紛争解決の実務家は、子どもに影響を与え、政府の政策を遂行する決定において発言権を持つ子どもの権利を擁護するために、子どもを含める実務遂行を規範として受け入れることができる方法を検討します」53が、切望されていた変化を文化や慣習にもたらさなかったことに留意しています。私たちは、メディエーションや弁護士主導のプロセスを含む、両親間の問題を解決するための全てのプロセスにおいて、10歳以上の全ての子どもと若者に、彼らの声を直接聞く機会を提供することを前提とすべきであるという「子どもの声」紛争解決諮問グループの提言を強く支持します。私たちは、コンプライアンスを確保するために、この前提を法的なものにすべきかどうかを検討するための見直しを求めます。私たちは、この前提は法的なものにすべきだと考えています。
88. この前提を確実に遵守するために、私たちは、弁護士交渉、共同法、仲裁などのプロセスを実施する者が、適切な訓練を受けた専門家54の意見聴取を受けるよう子どもに必ず申し出るよう勧告します(合意された禁忌事項がある場合を除きます)。申し出たか否か、申し出が受入れられたか否か、申し出を断られた場合は断られた理由(分かっている場合)に関して、各事件の年次統計を維持する必要があります。
89. MoJハーム・レポートは次のように述べています。
UNCRCの第12条に従い、これらの(私法)手続きにおいて子どもに意見を聞く機会を与えるために、より多くのことがなされるべきである・・・。パネルは、「子どもの取決めプログラム」への推奨された改革が、・・・私法上の手続きにおける子どもの声を強化するための重要な枠組みを提供すると信じている。パネルは、改革された「子どもの取決めプログラム」を練り上げ、試験的に実施する作業の一環として、子どもの意見を聞き、擁護、代理、支援するための幅広い選択肢をより完全に検討することを勧告する55。
私たちはこの勧告を支持します。虐待が申し立てられている場合、深刻な虐待の場合の個別の代理を含む、若者のための個別の声が不可欠です。フィオナ・モリソンと同僚が近年力説しているように、私たちは「子どもが必要なことを繰り返し研究者に伝える、独立したアドバイス、継続的な支援、信頼関係と情報を保証する子どもアドボカシーのシステム」を必要としています56。
90. MoJハーム・レポートが求めている、若者の個別の代理の拡大を実現するための主たる法律が既に施行されています。2002年養子縁組および児童法第122条は、1989年児童法第41条に基づいて子どもが同時に代理権を持つことができる特定の手続きのリストを拡張し、私法の1989年児童法第8条の手続きを対象に含むように改正しています。第122条は施行されはしましたが、それを有効にするために必要な裁判所規則がありません。私たちは、1989年児童法第8条に基づく私法申請が、必要に応じて子どもを個別に代理できる「特定手続」となるように、2002年養子縁組および児童法第122条に付随する必要な裁判所規則の制定を早急に検討することを勧告します。
91. 労働年金省(DWP)が資金提供した「心のメディエーション」を試験的に実施していますが、最近の評価では、相談を受けることが子どもにとって有益であることが確認されています57。コンタクトの取決めや居所の取決めについて相談を受けたり、取決めに影響を与えることができた子どもは、その取決めに高い満足度を示しています58。子どもの声を聞くことで、より持続性のある合意、親同士の協力関係の改善、より良い父子関係、より協力的な共同子育てにつながります59。メディエイターやカウンセラーに話を聞いてもらえたと感じることが、若者に力を与え、両親の関係崩壊にうまく対処するのに役立っています60。話を聞いてもらえた若者は、それが「カタルシス」をもたらすと報告しています。自分が尊重されていると感じることができます。自分の意見を親が気にかけてくれていると感じ、懸念事項を話し合い、何が起きているかを理解するための感情のはけ口を与え、「誰かが自分のためにいてくれるという感覚」を得ることができます61。適切な場合に子ども参加型メディエーション(CIM)の利用を促進するために、公的資金によるCIMを提供するための資金調達メカニズムを早急に導入することを勧告します。
92. 家庭崩壊を経験した子どもは、大きく4つのグループまたはコホートに分けられます(66節の図1参照)。
・コホート1:国のサービスや介入を受けずに育児の取決めを定めた親の子ども。
・コホート2:メディエーションサービスに参加した親の子ども。メディエーション・プロセス(CIM)の一環として相談を受ける子どももいます。弁護士交渉(子どもが個別に代表される、極めて稀なケースです)や、共同法、仲裁などの他のプロセスにおいて、どれだけの子どもが相談を受けているかは不明ですが、その数は非常に少ないと思われます。
・コホート3:1989年児童法第8条に基づく「法廷内紛争解決」サービスおよび申請に関わる親の子ども(または1989年児童法第10条⑴に基づく申請を行うための裁判所の許可を得たごく少数の若者)。
・コホート4:2010年家事手続きに関する規則(FPR)の第16.4項に基づき、手続の当事者となる可能性のあるごく少数(約1%)の子ども。このような子どもは、公法上の手続きを同時に行う代理人を持つ子どもと同じように、子どもの弁護士と子どもの保護者の両方が別々に代理を行います。
93. 両親が法廷外でどのような取決めをしているかについては、殆ど分かっていません。現在、殆ど全てのリソースが、比較的少数のコホート3と4の子どもに集中しています。コホート2の子どものCIMを支援する公的資金はありません。コホート1の子どもに、情報や支援が広く行き渡って提供されることはありません。カフカス/カフカス・カムリの役割は、子どもの保護と福祉の促進に限定されており、子どもとその家族に情報、助言、その他の支援を提供するのは、これらの子どもが家族訴訟に巻き込まれた場合だけです62。このギャップを埋めるために、私たちは「別離家族のハブ」に子ども専用のセクションを設け、子どものための他の「タッチポイント」に情報やリソースを提供することを勧告します(若者のためのサービスや「タッチポイント」は、イングランドとウェールズでは異なる可能性があることを認識しています)。
94. 公的事件の訴訟手続き前のカフカスの関与は試験的に実施されています63。私たちは、カフカスの正式名称に含まれる「サポート」の「S」が私法事件の訴訟手続き前にも及ぶべきだと考えています。しかし、現在カフカスとカフカス・カムリの両方が業務遂行能力の限界を超えていて、資金がなければ現実的にこの追加の役割を担うことができないことを認識しています。これは、イングランドとウェールズの両政府が、両親が別離している全ての子どものニーズを認識し、それらのニーズに対応するための組織的な政策と資金を導入する必要があることを意味しています。暫定的に、「別離家族のハブ」の設立を待つ間、共同子育てのハブには、若者向けの情報とサポート、およびこれを促進するために提供される資金を備えた、年齢に適した専用スペースを含めることを勧告します。私たちが求めている体系的な変化が現実のものとなるまで、ウェールズの若者を支援するのと同等の資金と取決めで、専用の資金割り当てを行い、その資金を他部門と別扱いにすること、親が別離しているイングランドの全ての若者への支援を監督するためにカフカスの権限を拡大することを検討するよう勧告します。
95. 年間にメディエイターに話しかける若者の人数の微妙な差異をより詳細に明らかにするため、私たち、メディエイターに対し、相談に招かれた子どもの数と、毎年実施されたCIMの数に関する年次統計をFMCに提供するよう求めることを勧告します。10歳以上の子どもが関係する事件で、メディエイターがCIMは適切でないと判断した場合、メディエイターはその理由を記録するべきです。メディエイターがCIMを提案したものの実行されなかった場合には、母親、父親及び/又は子どもが辞退したかどうかの記録を残すべきです。
96. 前述の66節の図1は、「別離家族支援アライアンス」を通じて調整され得る、情報、相談、必要に応じて代理権を提供する、普遍的で偏見のない、道標の完備したサービスの基盤を示しています64。これらのサービスは、国連条約に準拠し、現代の子どもに対する倫理的実践の基準を満たしており、これらのサービスを利用する必要のある子どもや若者に対する直接的な支援サービスの首尾一貫した枠組みを発展させるのに有効です。これは、親の別離や裁判の時だけではなく、その後、専門家の関心が薄れ、子どもが合意された生活を送るようになった時にも言えることです。
97. 私たちは、図1(上記の66節)のUNCRC第12条に準拠した基盤を、両親が離婚または別離している子どもや若者のためのサービスを開発するための枠組みとして採用することを強く勧告します。
C.親同士の関係が子どもと若者に与える影響
98. 両親がどのように別れるかは、その後の子ども時代の経験に大きな影響を与えることが証明されています。親の別離後、「温かさと親のサポートは、(若者の)社会的能力、主観的なウェルビーイング、外在的問題の欠如と関連しています」65。人間関係は、母親、父親、子どもの間だけでなく、母親と父親の間でも重要です66。両親が揃った家庭でも両親が別れた家庭でも、両親の良好な関係は子どもの保護要因となります。
99. 対照的に、頻繁で、激しく、解決が不十分な両親間葛藤の影響は、現在および将来の子どものアウトカムを悪化させます。子どもは、別離している両親間のネガティブなコミュニケーションを認識し、それによって影響を受け、親同士の葛藤が子どもの人生行路に長い影を落とすリスクが高まります。私たちは、親同士の葛藤が続くことを「子ども時代の有害な経験」として認識することを勧告します。
100. サセックス大学のゴードン・ハロルド教授の研究によると、親同士の関係の質、特に両親がどのようにコミュニケーションをとり、どのように関係を築いているかが、効果的な子育ての実践や子どもの長期的な精神的健康や将来の人生の可能性に主に影響すると認識されるようになってきています67。このことが広く理解されているとは思えません。多くの親は、自分と子どもとの関係の質を重視し、一方の親との関係の質が子どもにどのような影響を与えるかを十分に考慮しません。私たちは、親同士の葛藤が子どもに与える危害と、親同士が互いに敬意を持ち協力する行動が子どもに与える利益について社会的認識を高めることを目的としたキャンペーンに政府が資金を提供することを勧告します。
101. 子どもは、両親がパートナー関係から共同子育てに移行する際に、お互いに適度な敬意を払って行動することを基本的に必要としています。大人は礼儀正しく、最低限の基準として、日常的な引き継ぎの際にはアイコンタクトをとるべきだと提案されています68。安全上の問題がない場合、このような行動は、別れて暮らす親同士の間で文化的に期待される行動の基準であるべきだと私たちは提案します。
102. 全国青年アドボカシーサービス(NYAS)が2010年家事手続きに関する規則(FRP)第16.4項の申請において子どもを代理することで得た技術や知識の蓄積は、敵対する両親間で高葛藤の法廷闘争を繰り返しながら育った子ども時代が、長期的に及ぼす影響を示しています。親の離別は、子どもにとって人生の危機的状況として常に経験されるものですが、それ自体が永続的な心の傷の原因となるわけではありません。親の別離が子どもに与える影響を敏感に察知し、子の最善の利益のために一緒に力を合わせようとする親の意思と能力にかかっています。
103. 家族司法青年委員会(FJYPB)は、親が、訴訟手続きが子どもにどのような影響を与えているかを確認できるように、カフカス/カフカス・カムリの「子どもへの影響」声明を法廷で利用できるようにすることの重要性を強調してきました。私たちは、同様の「子どもへの影響」声明を、親の別離プロセスのかなり早い段階で作成すべきではないかと考えました。親とその支援を任された専門家に、両親の関係と下された決定が子どもに与える影響について考えるように促すものは何でも歓迎します。しかし、殆どのプロセスで、子どもの意見を直接求めていないため、影響の評価は両親を通して行われます。子どもがどのように対処しているかについて、両親が常に最善の判断を下すとは限りません。独立した専門家(カフカス/カフカス・カムリなど)が関与していない場合は、誰が子どもの影響評価書を作成すべきか、という問題が生じます。このような理由から、私たちは裁判所で決定されていない事件に「子どもへの影響声明」の勧告をしないことにしました。
D.情報および指針を与えるサービス
104. 様々な団体が作成した数多くのウェブサイトがありますが、それらがどの程度利用されているのか、またアクセスした子どもたちにとってどの程度有用なのか、体系的な評価は殆ど行われていません。私たちは、親の別離による影響を受けている子どもや若者のための法律や政策に関する普遍的で偏見のない「イギリス規格協会の認証を受けている」ような情報を作成し、オンラインで利用できるようにすることを勧告します。更に、人格的社会的健康教育(PSHE)の一環として学校でこれらの資料が利用できるように組織化された戦略、および子どもや若者が接触するその他の接点(スポーツセンター、青少年センター、ジム、一般開業医の診療所、シネマコンプレックスなど)が必要です。
105. この枠組みは、明確に識別可能で、全ての子どもや若者がアクセスできるものでなければなりません。モデルとなるのは、若者の間で実績があり信頼されている「チャイルドライン」やBBCのオンラインサイト「バイトサイズ」です。全国的に組織化された、年齢に応じた情報発信戦略の一環である、全国子どもコンタクトセンター協会(NACCC)の既存のネットワークを利用するのも一つの方法です。別の方法として、イングランドの家族のハブ・ネットワークを更に活用する選択肢もあります。ウェールズでは枠組みが異なるかもしれません。また、教師、一般開業医、青年支援カウンセラーは、子どものための第12条サービスに関する情報と研修を受けるべきであり、親に関わる全ての家族の専門家は、子どもが第12条サービスを利用できるように親に情報を提供できるべきです。このような子どもへの情報の普及には、特定された組織化された戦略が必要です。
106. リソースパック:2020年離婚・婚姻解消・別離法は、両親が離婚申請をしている子どもに、年齢に応じた情報提供を義務付ける絶好の機会となるでしょう。これは、毎年両親が離婚する75,000人以上の子どもを支援するためのリソースパックの形で、その多くが情報を持っていない子どもに与えられます。このパックには、子どもの擁護とCIMに関する情報が、第12条に準拠した情報サービスへの標識と、地方、地域、および国のサービスへのルートマップとの協議とともに含まれる可能性があります。これは、「セーフティネット」を必要としている、あるいは危険にさらされている子どもに、幾つかの「セーフティネット」を提供することになります。したがって、私たちは、新しい法律上の要件の一部として、両親が離婚した子どもたちにリソースパックを提供することを勧告します。
107. データ:親の別離や離婚に関与した子どもの数について正確な統計を取ることが困難であることを踏まえ、本法と同時に導入される規則に、離婚申請書に夫婦にいる子どもの数、年齢、両配偶者の子どもであるかどうかを記録することを義務付けることを勧告します。これにより、子どもが家庭の変遷や親の別離のプロセスを経た回数を記録することもできます。推定20,000人の子どもが、子ども時代に2回目、3回目の経験をしています。このような子どもは、直接支援サービスの優先度が高いと考えられます。
E.子どもと若者の法廷へのアクセス
108. コホート1、2の子どもは、コホート3、4の子どもと同様に、親が取決めをしてしまうと、事実上その取り決めに縛られてしまい、非常に危険な状況であっても内部告発をする法的なルートがありません。
109. 私たちは、1989年児童法第10条の申請許可要件が見直され、緩和されて、困窮している、あるいは危険にさらされている有能な子どもが、自らの意志で再審するルートを見つけられるようになることを勧告します。これは、子どもや若者が変化を起こす能力に欠けていることを認めて対処し、1989年児童法第8条の子ども取決め命令を変更する可能性がある場合に絶対確実なルートを提供します。
F.子どもと若者のためのサービス〜勧告事項の要約
中核をなす勧告
上述した図1のUNCRC第12条準拠の基盤に基づき、親が別離している子どもと若者のための情報、相談、支援、代理の直接支援サービスの枠組みを確立すること。(96節と97節)
更に、私たちは以下を勧告します。
110. 子どもの声を聞き、暴力的な家庭に住んでいる、または住んでいた子どもの福祉を保護するための取決めを早急に見直す。(85節)
111. メディエーションや弁護士主導プロセスを含め、両親間の問題を解決するための全てのプロセスにおいて、10歳以上の全て若者に対し、彼らの声を直接聞く機会を提供することを前提とすべきです。(87節)
112. 弁護士交渉、共同法、仲裁などのプロセスを行う者は、子どもに適切な訓練を受けた専門家から意見聴取を受けるよう申し出ることを保証しなければならない(合意された禁忌事項がない限り)。申し出たか否か、申し出が受け入れられなかった場合は、申し出が拒否された理由(わかっている場合)について、各ケースの年次統計を維持する必要がある。(88節)。
113. 司法省の「私法上の事件における子どもと親への危害のリスク評価」レビューで勧告されたように、改革された「子どもの取決めプログラム」を練り上げ、試行する作業の一環として、子どもの意見聴取、擁護、代理、支援に関する選択肢の範囲を十二分に検討する。(89節)
114. 2002年養子縁組および児童法第122条に付随する必要な裁判所規則を定めることを緊急に検討し、1989年児童法第8条に基づく私法の申請が、必要に応じて子どもを個別に代理できる「特定手続」となるようにする。(90節)
115. 公的資金が投入されているCIMに適切な新たな資金レベルを提供するために、資金調達メカニズムを緊急に導入する必要がある。(91節)
116. 「別離家族のハブ」に「子ども」専用のセクションを設け、子どものための他の「タッチポイント」に情報やリソースを提供する(若者のためのサービスや「タッチポイント」は、イングランドとウェールズでは異なる可能性があることを認識しています)。(93節)
117. 「別離家族のハブ」の設立を待つ間、「共同子育てのハブ」は若者のための情報やサポート、これを促進するための資金を提供する、年齢に応じた専用スペースを含めるべきです。(94節)。
118. 親が別離しているイングランドの全ての若者への支援を監督するために、ウェールズの若者を支援するための資金および取決めと同等で、専用の資金配分を行い、その資金を他部門と別扱いにすること、カフカスの権限を拡大することを考慮する。(94節)
119. メディエイターは、相談に招かれた子どもの数と、毎年実施されたCIMの数に関する年次統計をFMCに提出するようにすべきである。10歳以上の子どもを含む事件では、メディエイターがCIMは適切でないと決定した場合、その理由を記録すべきです。メディエイターがCIMを提案したが実行されなかった場合には、母親、父親及び/又は子ども供が断ったかどうかの記録があるべきです。(95節)。
120. 親同士の葛藤が続くことを「子ども時代の有害な経験」として正式に認める。(99節)。
121. 政府は、親同士の葛藤が子どもに与える影響と、親同士が互いに敬意を持って協力的に振る舞うことが子どもにとって有益であることを社会的に認識してもらうことを目的としたキャンペーンに資金を提供する。(100節)
122. 両親の別離の影響を受けている子どもや若者のための法律や政策に関する普遍的で偏見のないイギリス規格協会の認証を受けているような情報を作成し、オンラインで利用できるようにする。更に、これらのリソースが人格的社会的健康教育(PSHE)の一環として学校で利用できるようにするための組織化された戦略、および子どもや若者が接触するその他の接点(スポーツセンター、青少年センター、ジム、一般開業医の診療所、シネマコンプレックスなど)が必要です。(104節)
123. 両親が離婚した子どもには、新しい法律上の要件の一環として、リソースパックを提供します。(106節)
124. 同法に伴って導入される規則には、離婚申請書に、夫婦にいる子どもの数、年齢、および両配偶者の子どもであるかどうかを記録することを義務付けることができます。(107節)
125. 1989年児童法第10条の申請許可要件を見直し、緩和することで、再審を必要としている、あるいは危険にさらされている有能な子どもが、自らの意志で再審するルートを見つけることができるようにする。(109節)
(了)