不払い養育費の確保のための支援に関するタスクフォース(第2回)議事要旨
この記事は、法務省ホームページに掲載されている「不払い養育費の確保のための支援に関するタスクフォース(第2回)議事要旨」を転載したものです。
1 日時
令和2年7月17日(金)午後1時30分~午後2時30分
2 場所
法務省民事局会議室
3 議事要旨
○ 自治体の取組事例等について
(第2回会議では,同日午前に開催された「法務省・養育費不払い解消に向けた検討会議」において実施された東京都港区及び兵庫県明石市からのヒアリングの結果を踏まえ,不払い養育費の確保のための支援の在り方について,以下のとおり議論された。)
東京都港区では,全国平均に比べて離婚率が高いという状況を受け,ひ とり親家庭の子の支援に力を入れており,具体的には,令和2年4月から,DV加害者更正プログラムの利用助成,ひとり親が保証会社と養育費保証契約を締結する際の費用を補助する保証推進事業,ADRの利用助成等の取組をしているほか,同年10月からは離婚前後の弁護士相談を実施する予定であるとのことである。自治体によっては家庭裁判所の調停の利用を勧めるところもあるが,港区では,夫婦間の対立が激しくなく,本来は話合いができるのに取決めをしていない者らに対し,紛争解決手段の選択肢を増やし,取決めを促進するという観点からADRの利用助成の取組を行 っているとのことである。
調停手続は費用が安いというメリットがあるが,弁護士に委任しなけれ ばならないというような心理的負担を感じる人がいたり,期日が平日昼間 に指定されるために仕事を休まなければならない人がいたりして,ハード ルが高いと受け取られる実情もあるのではないか。その意味で,港区のA DRの利活用を促進するという方向性は参考にすべきである。更に,AD R機関を利用した結果としての和解合意について,執行力付与の問題も検 討すべきではないか。
民間のADR機関が関与した和解合意について執行力を与えることにつ いてハードルが高いのであれば,諸外国の例も参考に,行政機関が関与す るADRを検討してみてはどうか。
家事問題に関するADR機関は東京に偏在しているのが実情のようであ る。仮にADR機関の利用促進について横展開を検討するのであれば,オ ンラインでのADR(ODR)を可能とすることが不可欠なのではないか。
厚生労働省の「離婚前後親支援モデル事業」では,令和2年から養育費 の履行確保に関する支援を行っており,港区のような自治体の先駆的な取 組について補助することが可能である。
兵庫県明石市から,運用面の改善で実現することができる事項について, 自治体の戸籍の担当部署とひとり親支援の担当部署の連携が課題の一つと して紹介された。養育費について尽力している同市においても,戸籍の担 当部署とひとり親支援の担当部署との連携が課題だというのであれば,連 携不足は全国的な課題だと思われる。戸籍の担当部署と関係のある法務省 民事局と,ひとり親支援の担当部署と関係のある厚生労働省子ども家庭局 家庭福祉課とが協力して,何かできないかを考えたい。
○ 運用改善事項について
離婚や養育費について悩みを抱える人は,自治体の戸籍窓口やひとり親 支援窓口に行くことになるから,自治体の職員の手助けとなるようなQ& Aを作成することが考えられるのではないか。
離婚する人は離婚届を提出するために,戸籍窓口に行くことになるが, 担当者において,離婚届のチェック欄の記載から養育費に関する取決めをしていないことを知ったとしても,そこから,ひとり親支援の担当部署に 引き継ぐことができていないのが実情であるとの指摘がある。そこで,法務省と厚生労働省において両窓口の連携モデルを考案し,自治体において 実践してもらうことも考えられるのではないか。
自治体の戸籍窓口において,離婚届用紙の交付と同時にパンフレット等 も配布しているとのことだが,離婚届用紙をインターネットでダウンロー ドして入手する人のために,ダウンロードページで養育費等の情報提供を するなどの工夫が考えられる。
厚生労働省がFPICに委託している養育費相談支援事業と法テラスに おける法的支援の関係・役割分担等についても,整理・連携して支援につ なげていく必要があるのではないか。
○ 次回の会議について
次回の会議は,両省の令和3年度予算概算要求を踏まえつつ,自治体の 窓口間の有機的な連携について,両省がどのような支援ができるかなどに ついて検討することとしたい。
以 上
[配布・参考資料]
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