不払い養育費の確保のための支援に関するタスクフォース(第3回)議事要旨
この記事は、法務省ホームページに掲載されている「不払い養育費の確保のための支援に関するタスクフォース(第3回)議事要旨」を転載したものです。
1 日時
令和2年10月7日(水)午前10時30分~午前11時30分
2 場所
法務省民事局会議室
3 議事要旨
○ 自治体ヒアリングの結果の報告について
(法務省と厚生労働省の担当者が,9月にA自治体及びB自治体を訪問し,戸 籍部門とひとり親支援部門の連携など自治体における支援の強化について,戸 籍窓口の担当者とひとり親支援窓口の担当者から合同でヒアリングを行った。 報告内容は,以下のとおりである。)
法務省の養育費・面会交流パンフレットについて,離婚届用紙を取りに来た全ての人に一律に渡すことは難しい側面もあること,一律に渡すとすれば情報量をかなり絞ったほうが良いこと,インターネットで書式をダウンロードする人のために,パンフレット等のデータも併せてダウンロードできるようにすることも考えられること,若い世代のために,紙媒体よりQRコード等を使ったサービスが考えられることなどの意見があった。
なるべく早いタイミングでの情報提供として,離婚前の別居段階における情報提供,例えば住民票を移す手続をするために窓口に来る段階において婚姻費用等の周知をすることについては,別居の理由には単身赴任など離婚とは関係がないものもあることなどから,両自治体とも消極的であった。むしろ,別居前に離婚届用紙を取りに来る人も多いため,離婚届用紙 の交付時における情報提供が良いタイミングではないかとの意見があった。
戸籍部門とひとり親支援部門の連携について,省庁から何らかの文書が発出されれば業務に組み込むことが可能である,戸籍窓口において,支援が必要なひとり親の情報を,書面を用いて収集・保管等することは現実的ではなく,メーリングリスト等のシステムを用いてひとり親の方から登録してもらい,登録者に対して自治体から情報提供する方が効率的である,自治体から提供できる情報にも限りがあるので,法務省や厚生労働省からどのような情報提供ができるのかということも今後の課題になるのではないかなどの意見があった。
○ 運用改善事項について
法務省のパンフレットの分量が現場感覚からすると多いのであれば,入門的な内容で一枚の分量のものを作成するということも検討の価値があるのではないか。
一枚の分量のものを作成するに当たっては,QRコード等を活用して,詳しい情報が掲載されている法務省のホームページに容易にアクセスできるようにするなどの工夫が考えられる。
婚姻費用については,養育費に比べて周知が足りないとの指摘を受けているところであり,養育費だけでなく婚姻費用や面会交流,財産分与といった情報を総合的に提供することも考えられる。
自治体からすると,弁護士会や法テラスと連携しようと思っても,どのように相談すればよいか分からず,頼みに行きづらいという話を聞く。例えば,法テラスや認証ADR機関,家族法に詳しい弁護士等のリストを作成し,自治体が連絡しやすくなるようにする方策が考えられるのではないか。
○ 養育費に関する令和3年度予算概算要求の概要について
法務省では,令和3年度予算概算要求として,①養育費・面会交流パンフレット/動画作成,②自治体の先進的で実証的な取組等に関する調査研究委託,③シンポジウム等による養育費・面会交流支援団体等の情報共有, ④諸外国の制度や運用実態に関する調査旅費のための予算要求を行っている。
厚労省では,相談支援から取決めに関する支援,その後の確保に関する支援まで,できる限り幅広く拡充を図るということを前提に予算要求しているが,まず,①養育費相談支援センター事業について,SNSによるオンライン相談など多様な方法による相談支援,弁護士等による専門的な相談支援体制の構築のための予算拡充要求を行っている。次に,②養育費等支援事業について,弁護士による養育費等に関する法律相談を行う場合や弁護士会等との連携による個別相談支援を行う場合,SNS等アクセスしやすい多様な方法による相談支援を行う場合などの補助単価の予算拡充要求を行っている。③離婚前後親支援モデル事業については,令和元年度から始めているモデル事業を順次拡大しているところであり,親支援講座といった基本的な取組だけでなく,例えば,戸籍部門とひとり親支援部門との連携強化,離婚の前段階からカウンセリングを行う,公正証書の作成補助,保証契約の保証料の補助,戸籍謄本・抄本等の書類取得補助,弁護士 による個別相談支援等,自治体が養育費確保のために先駆的取組を行って いれば,補助できるような予算概算要求としている。
○ 戸籍部門とひとり親支援部門の連携等自治体における支援の強化について
自治体によっては,LINEのひとり親専用の公式アカウントを作って情報発信する,ひとり親家庭を年に3回訪問してパンフレットを配るなどのアウトリーチ的支援を行っている例があると聞く。
支援が必要なひとり親は,おそらく①自ら積極的に情報を収集しにいく人,②情報に接する機会があれば収集しにいく人,③情報に接する機会が あっても収集することが難しい人,の3タイプに分かれる。③のタイプの 人にどのように情報を得てもらうかが難しく,情報を見てもらうためのイ ンセンティブとしてどのようなものが考えられるかは,引き続き考えてい く必要がある。
○ 次回の会議について
次回の会議では,養育費の確保のために自治体で行われている取組事例について紹介,意見交換しつつ,可能な範囲で立替払い制度や強制徴収制 度等についても意見交換を行いたい。
以 上
[配布・参考資料]
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