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文学の世界に浸るためのパスポート。『死ぬまでに一度は訪ねたい東京の文学館』

 ペン(先)クラブの部員たちがおすすめの本を紹介するコーナー、第二弾は雨合忍さん紹介の『死ぬまでに一度は訪ねたい東京の文学館』(著:増山かおり)です。なお、以前に学内新聞に掲載された記事を再構成したものです。

本との出会い

 私は新しい趣味を探している。なるべくお金がかからず、人と話す機会があることが条件だ。何か面白そうなものはないか探し続け、殺陣の体験に行ったり語学学習のイベントに参加したりしたものの、どれも続けようという気にならなかった。

そんな折に図書館で見つけたのがこの本。何気なく手に取ってみると、東京近郊を中心とした、各地の文学館の写真が次々と出てくる。「旧江戸川乱歩亭」「ミステリー文学資料館」「少女まんが館」などなど……。

特徴

本書は三章に分かれており、「一人の作家に着目した文学館」「様々な作家を紹介する文学館」「マンガや演劇などジャンルごとに分かれた文学館」とされている。一口に文学館と言ってもその内容は多彩だ。

そして個々の文学館に関しては、開館時間や入館料の基本情報はもちろん、見所や豆知識などが子細に書かれている。加えて地図も収録されているため、どの文学館がどこにあるか分かりやすい。

「文学館についての本」というと堅苦しい印象を持つかもしれないが、そんなことはない。装丁はシンプルであり、紹介に使われている写真が綺麗なのでまるで写真集のようだ。厚さもそんなにないので、持ち歩きにも適している。

文学館へ

 本書を読み、早速文学館に行ってみた。三鷹駅近くにある「太宰治文学サロン」。太宰治の行きつけだったという酒屋を改装し展示室として利用しているそうだ。想像していたよりもずっと小さいスペースではあったが、原稿から年表、他の作家との関係を描いた相関図まで多くの資料が展示されていた。おまけに入館料は無料。

 また、ボランティアのガイドが常駐しており丁寧に説明してくれる。作品の舞台になった場所や住んでいた場所などについて、地図を見ながら教わることができた。質問にも丁寧に答えてくれるので、太宰治について詳しく知りたい人や聞きたいことがある人にはお勧めだ。

まとめ

 本書を読むまで思いつきもしなかったが、「文学館めぐり」は新しい趣味として良いかもしれないと感じた。文学館の入館料は安く、ガイドや職員の方に質問をしたり説明を聞いたりできる。文学が好きな人や気になる作家がいる人は、本書を参考に一度文学館を訪れてみてはいかがだろうか。

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