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【ナノこの! vol. 3】 ゲスト: 街宮供詩さん

もくじ
1. 作品製作について
2. 普段の創作活動について
3. おすすめ作品紹介
4. 部誌作成について


1. 作品製作について

街宮さんは今回、二作品を寄稿してくださいましたが、最初の「二つの経路」は赤い靴がモチーフだったんですね。どういう経緯を経て書こうとなったんですか?
 ー赤い靴っていうのはアンデルセン童話の中でも綺麗だけど残酷な物語なんで、それとミステリを組み合わせたら面白いんじゃないかと思って書きました。
あの童話、結構グロいですよね。
 ー足を切ったりしてるので…横溝正史かって感じですね。
二作品目の「文化会館の百四日と六年」はどのようにして書きましたか?
 ーあれは、異様な犯行動機に対して推理するために、いろんな仮説を立てては否定してくって感じで書いていきました。
制作で苦労した点は?
 ー「二つの経路」はそこまで悩まずに書けて自分でもびっくりしたんですが、しいてあげるなら最後の一行に物語が集約する構造を作るのにちょっと苦労しました。もう一つの文化会館の話は、仮説を何個も考えるのが大変だった気がします。でも、それよりもキャラクターの設定というか…どうすればこの仮説を思い浮かべるのか、どういう状況に置かれればああいう推理合戦が起こるのかっていう人物の心理面を考えるのが難しかったですね。
相手に先を読ませないトリックを考えられるのってすごいですよね。どういうことがきっかけで思いつくんですか?
 ー赤い靴はモチーフから考えに考え抜いてできたやつですね…。決めオチ的に。逆に文化会館の方はポッと出たアイディアを膨らませました。


2. 普段の創作活動について

小説はいつから書き始めましたか?
 ー大学の一年からですね。高校生までずっと書きたいとは思っていたんですけど、なかなか書けなくて、大学入って初めて書きました。
何かきっかけが?
 ーきっかけ…なんですかね?いつの間にか書けるようになってたって感じです。
小説は小さい頃から好きだったんですか?
 ーそれはもう、大好きでした。
好きになるきっかけの作品とか?
 ー小学生の頃は、はやみねかおるが占めてましたね。でも思いっきり推理小説好きになったのは小学校5年生の頃です。泡坂妻夫の「亜愛一郎の狼狽」っていう本を読んで、もう大好きになりました。
それは今に至るまで?
 ーそうですね。泡坂妻夫さんは今も敬愛してやまないです。

普段創作で意識していることは?
 ーこの文章を読んで、読者は何を思うだろうっていうのは常に考えなきゃいけないなと思っています。この文章を読んだら、きっと読者はこう勘違いするだろう、こう考えるだろうっていう、うまく引っ掛かってくれたらなってことは考えたりします。
それで私たち読者は掌で転がされているわけですね…。
 ーあるいは自分でも予想外の方向に転がればいいなっていうのもあったりします。登場人物が勝手に喋ってくれたり。

推理小説を書くことの良さ・好きなところは?
 ー楽しいんですよね。書くのが。どうして楽しいかっていうと、うーん。文章だけで一つの世界を作り上げることができるっていうのが素晴らしいですよね。現実では論理で完璧に割り切れる話って少ないじゃないですか。でもミステリーだとスパッと論理で支配された世界で解決できる。それが自分の理想っていうか、求めてる世界なのかなって思ったりしますね。不可解な謎が論理で解かれていく。そこがミステリーの魅力ですかね。現実にないんだったら書いてやろうみたいな。謎が解かれる前の、謎に支配された幻想的だったり、猟奇的な雰囲気というのは唯一、推理小説にしかない魅力なんじゃないかと思ってます。

普段の製作過程は?
 ー一番最初はノートに細かく書きます。登場人物とか、プロットとか、アイディアとか。紙にガーって書いて、それからWordで書き起こしていく感じです。


そこで、今回寄稿された「文化会館の百四日と六年」のプロットノートを見せていただきました!ネタバレになるのでモザイク入りですが、緻密な設定が伺えますね。

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3. おすすめ作品紹介

おすすめの作品は?
 ー万人受けを考えるとおすすめは泡坂妻夫の「乱れからくり」なんですけど、個人的には「妖女のねむり」とかその辺を推していきたいと思ってますね。
ガチ勢の香りを感じますね。泡坂妻夫の魅力は?
 ーユーモアのセンスがいいっていうのがまず一つあります。ユーモアがあって、それでいて品があるというか、色気立つ感じの文章を書くので侮れない感じがします。軽いだけじゃないっていう。
  ミステリーに関してはトリックというより、奇妙なロジックを使って謎を解いていく感じです。今までに聞いたこのない、というか、こんな考え方で解けるんだ、みたいな感じの意表をつかれる論理で解いていくのが主流で魅力ですよね。それが一番色濃く出ているのが「亜愛一郎」シリーズですね。
では、会話が多いということですか?
 ーそうですね。対話で使う言葉がいちいち響いてきて、今まで考えていなかった回路が開かれていく感じがします。

4. 部誌制作について

今回は部長として部誌を制作してみていかがでしたでしょうか?
 ー短歌とかイラストとか、もちろん小説がうまく入っていて、作品のバラエティに富んだっていうのが一番嬉しいです。1年間溜め込んだ創作意欲が爆発したことで良い一冊になりました。表面的なことを言えばカラーの表紙とか内装も凝れましたしね。テーマを決めなかったのが功を奏したのかもしれません。ぜひ読んでもらいたいです。


最後に、今後書きたい作品とか!
 ー倒叙(とうじょ)ものとかやってみたいですね。
倒叙もの…?
 ー犯人があらかじめ明らかになっているスタイルです。古畑任三郎みたいな。徐々に犯人が追い詰められていく過程みたいなものを書いてみたいです。


今後の作品にも期待です!
街宮供詩さん、ありがとうございました!




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