見出し画像

9月25日 ヘルスケアビジネスコース成果発表会Vol.3 審査員のご紹介&講評

9月25日にヘルスケアビジネスコースの集大成である成果発表会をオンラインで開催しました!本発表会では、アカデミー生が4〜5名でチームを組み、『新潟のヘルスケア課題解決のためのビジネスプラン』を全8チームが発表しました。

見事受賞された3チームは、以下の結果となりました。

【 最優秀賞 】
テーマ:高血圧症患者が行きたくなるオンラインWORLDを作る     
チーム名:のみんちゅ
【 優秀賞・オーディエンス賞 】
テーマ:女子中学生にFemtechを
チーム名:4smile
【 優秀賞 】
テーマ:「大人自由手帳」高齢者向け手帳による軽度認知障害(MCI)の早期発見
チーム名:Tulips

Vol.1、Vol.2に続く本記事では、審査員としてお越しいただいた5名のご紹介と講評をお届けします。


■審査員長:松本 晴樹氏

松本晴樹プロフィール写真 (5)

松本 晴樹氏 (新潟県福祉保健部長)
2006年:千葉大学卒業後、宮城県石巻赤十字病院での初期研修終了。湘南鎌倉総合病院救急総合診療科の後期研修(1年)を経て厚生労働省に入省後、2016年ハーバード公衆衛生大学院/医療政策専攻に留学。 帰国後、厚生労働省 医政局 地域医療計画課にて、COVID-19対策にも従事し、2020年より現職。

――ビジネスプラン発表会の全体講評とアカデミー生に向けてのメッセージをお願いします。

アカデミー生の皆様は医療従事者や学生の方々が多く、普段はビジネスプランを作る立場というよりはケアの提供や勉強をしている方々だと思います。3ヵ月間という短い期間の間に、専門分野ではないビジネスモデルを作成し、プレゼンを行っていただきました。正直、全チームが素敵なビジネスプランを作成されていたので、本当にすごいと思います!

普段、医療関係の仕事をしていると資金について考える事はあまり無いと思います。利益が出ないのであれば、とりあえずサービスだけを提供してしまう、という考えはよくあると思いますが、一方で、なぜ審査員の先生方がこれだけ口をそろえて利益は必要であるとおっしゃるのか、皆様にもう一度考えて頂きたいと思います。

熱意さえあればなんとかなる、という楽観的なイメージで数年も経過すると、気持ちも資金も続かなくなり結局ダメになってしまう、というプロジェクトを沢山見てきました。やはり、資金が続くという事は、プロジェクトやサービスが続き、患者様も住民の方々もハッピーになるという事です。お金を回すということは、大変重要な事であり難しいですが、この勢いでどんどん色々な事に挑戦していただき、継続してもらいたいと思います。

今回受賞されたチームには、重要なポイントが2つありました。1つ目は知恵です。上手くいかなくなった時に、やはり知恵を絞り、試行錯誤をしていくことが大切です。2つ目は、現場の現状にアプローチする事です。例えば4smileチームのプランでは、コールドコールといって、いきなり校長先生に電話するという手段もあります。現場の現状を教えてくださいとアプローチすると、相手も協力してくれると思います。そのような中でトライアルアンドエラー(試行錯誤)を重ねてほしいなと思います。

また、最優秀賞を受賞したのみんちゅチームは、チームの中にそれぞれのステークホルダーの方がいらっしゃって、どうやったら前進していくのかということをしっかり考えられていた結果なのかなと思っております。

次はいよいよプロダクト開発に向けたコースが開講します!アカデミー生の皆様でぜひチャレンジをしていただき、良いものを作っていただければと思います。


■副審査員長:伴内 富士男氏

画像4

伴内 富士男氏(株式会社BSNアイネット常務取締役)
新潟県出身。法政大学経営学部を卒業後、1986年4月に株式会社BSNアイネットに入社。2006年4月より医療システムソリューション部長として自社電子カルテシステム「Medi-Aibis」の開発・導入を指揮。積極的に医療分野のIT化に取り組む。 2009年より、病院・診療所等医療機関に診療報酬業務・医療事務人材派遣事業を提供している株式会社エム・エス・シー取締役を兼務。 2016年6月BSNアイネット取締役に就任。2018年4月取締役/東京支社長、2020年6月常務取締役に就任。

――ビジネスプラン発表会の全体講評とアカデミー生に向けてのメッセージをお願いします。

今回、優秀賞を受賞された4smileチームは、斬新なアイディアだったと思います。いかに赤字にならないように作るのか、収支計画を早い時期に考える工夫をもう少ししていただけるといいのかなと感じました。

ビジネスプランの作成は、なかなか簡単ではありません。わが社のビジネスプランも、上手くいくこともありますし、こんなはずじゃなかったよねということもあります。さらに、日の目を見ないまま、お蔵入りしてしまったビジネスプランも沢山あります。ビジネスプランを立てるのは本当に難しいです。

今回はビジネスプランの楽しさ、難しさを肌で感じられたことと思います。アカデミー生の皆様は本業をお持ちで、なおかつご多忙でいらっしゃいます。そのような中、チームの皆様で時間調整をされて、少ない時間の中でここまで成果を出してくださったというのは本当に大変なことだったと思います。

10月から、にいがたヘルスケアアカデミーはプロダクト開発コースへと進みます。引き続き、大勢の皆様にご参加をお願いしたいと思います!


■副審査員長:裵 英洙氏

裵先生02

裵 英洙氏(ハイズ株式会社代表取締役、慶應義塾大学特任教授)
1998年に医師免許取得後、金沢大学第一外科に入局、金沢大学をはじめ急性期病院にて外科医・病理医として勤務。勤務医時代に病院におけるマネジメントの必要性を痛感し、10年ほどの勤務医経験を経て、慶應義塾大学院 経営管理研究科に入学。首席で修了しMBA(経営学修士)を取得。現在、ハイズ株式会社代表として、各地の病院経営の経営アドバイザーとして活躍中。また、アカデミックの分野では慶應義塾大学特任教授をはじめ複数の医学部客員教授を務め、病院経営に関して教鞭を取る。さらに、厚生労働省「医師の働き方改革に関する検討会」や「医師需給分科会」の公職を歴任。

――ビジネスプラン発表会の全体講評とアカデミー生に向けてのメッセージをお願いします。

本日の発表会では、皆様方の非常に熱い想いとこれからの未来に、我々審査員そして聴講されている皆様もワクワクさせていただきました。全体講評としては、本当に僅差でしたので、賞を取らなかったチームも自信を持ってこれからまた進んで頂けたらと思います。前回のコースに比べて、皆様のレベルがこの短期間で格段に上がっていて、本当に素晴らしい成長だと感じました。「新潟ならでは」の課題からスタートしているということが、我々、主催する側としてもとても嬉しかったです。

これから皆様が進んでいく際に大切となるヘルスケアビジネスのポイントを3つお伝えします。

1つ目は、ビジネスをするにあたって「ロマンチスト」と「リアリスト」の2つの顔を持っていただきたいということです。ロマンチストのように夢を見る事って大事だと思います。ただし、ビジネスは甘くないので、リアリストの顔も必要です。その割合というのは、当然フェーズに応じて変化していきますが、どちらも忘れてはいけない大切な顔です。

2つ目は、ビジネスの共通言語を意識していただきたいということです。ビジネスでは、共通言語である数字とロジックどちらにもこだわることが大切です。当然ながら、その素地にあるのはハートです。そこは忘れてはいけないですね。

3つ目は、ビジネスを進めていく際に重要な3つのフェーズです。
①想いを固めるフェーズ
②形にしていくフェーズ
③お金にしていくフェーズ

審査員の先生方がおっしゃっていた、③のお金にしていくフェーズ。これが一番難しく、難易度も上がっています。

10月からの新たなステップでは、皆さんの想いを②形にしていくフェーズです。ICTのスマホアプリをベースにして、そのプロトタイプ(試作品)を作っていただきます。いよいよ、手を動かすことに重点を置くフェーズとなりました。引き続き頑張っていきましょう。


■審査員:若山 泰親氏

若山先生02

若山 泰親氏(ブレイクポイント株式会社 代表取締役)
早稲田大学第一文学部卒業。慶應義塾大学大学院経営管理研究科(MBA)修了。大倉商事株式会社にて非鉄金属輸出取引に従事した後、複数の新規事業開発に関与。株式会社イデアインターナショナルでは株式公開準備室長として、資金調達や業務フロー改革、株式公開準備業務を統轄。2004年にブレイクポイント株式会社を設立。これまで300社以上のスタートアップ及びベンチャー企業を支援し、多くの成功事例、失敗事例を経験。慶應義塾大学大学院経営管理研究科非常勤講師、グロービス経営大学院講師を務める。

――ビジネスプラン発表会の全体講評とアカデミー生に向けてのメッセージをお願いします。

今回、すごく良かった点が2つありました。1つ目はマクロなコンセプトです。この領域でこんなことがしたい!と提案したところは、非常にブレなく整理をされていました。この領域であること自体がとても意義があるし、やり方次第でどうなるのだろうみたいな、ワクワク感を感じさせるものが良かったですね。

2つ目は、ビジネスモデルを構築して、仮説としてはこう考えています!と言うのを皆さんがしっかりとプレゼンテーション中に組み込んでいたというところです。断言することで様々な意見を持たれることがあると思います。しかし、そのような経験が、スタートアップや新規事業の立ち上げでは必要です。そういった意味では、とても良いプレゼンテーションだったと思っています。

一番大事なのは、やり続けることです。実際に、受賞したチームも事業コンセプトのリテールが、どんどん変化していくと思います。続けていけば、ヘルスケア領域での非常に良いイノベーションが起きる可能性を感じることができ、とても良かったです。

色々なソリューションが、まさにイノベーターの方々から起こってくるのを楽しみにしています。ビジネスモデルや収益性など、まだまだ弱点が沢山あると思いますので、今回の受賞、そしてご参加していただいたことにはとても価値があると思っています。ここまで頑張ってきたことを糧に、実現するビジネスが一つでも出てくると良いと思っています。


■審査員:久保 健一郎 氏

画像3

久保 健一郎氏(Envista Holdings, Country Manager for Singapore, Malaysia, Philippines and Brunei )
新卒にてボストンコンサルティンググループへ入社。グラクソ・スミスクラインにてマーケティング、ボストン・サイエンティフィックのMBA向け経営幹部育成幹部プログラムの初日本人として入社後、Danaher corporation(現Envista Holdings)にてシンガポール等複数ヶ国のGeneral Managerとして勤務。仕事の傍ら日本のヘルスケア関連の技術の海外展開に貢献する事がパッション。東北大学歯学部、IMD MBA、歯科医師免許(日本)、NUS Computer science graduate certificate趣味は料理、テニス、ランニング、水泳、スキューバダイビング

――ビジネスプラン発表会の全体講評とアカデミー生に向けてのメッセージをお願いします。

今回、優秀賞を受賞されたTulipsチームは、まず、スライドの書き方がすごく綺麗で良かったですし、大変分かりやすいプレゼンでよく出来ていたなと思います。同時に、時間の使い方をもう少し考えなければいけないかなとも思いました。プレゼンというのはあくまでツールの1つです。それよりも、リソースモデルを考えるところに、もう少し時間を使った方が、もっとパワフルになったのではないかと思いました。

他には、多くのビジネスプランで、利益があまり上がらないモデルが多かったなと思いました。アカデミー生の皆様はビジネスの資質はあると思いますので、ぜひ継続性のある事業を作り上げていただきたいと思います。人件費を下げてボランティアをやります、というようなものになってしまうと、やっぱり事業が継続していきません。資金があるからこそ、新しいイノベーションを起こすことが出来ると思いますので、お金を稼ぐという事にもっとどん欲になっていただきたいです。

最後に、プレゼンの方法についてです。つたなくても良いので、ぜひご自分の言葉で話して欲しいです!カンペを読んでいるプレゼンは人の心を動かさないので、カンペは用意をしても良いのですが、文章を書くのではなくて箇条書きにしていただき、後はご自分の言葉で話していただきたいと思います。そのようにしないと、人の心はなかなか動きません。このような様々な経験を重ね、さらに成長していただければ良いなと思います。



――審査員の皆様、ありがとうございました!

審査員の先生から貴重なフィードバックをもらい、アカデミー生の方々は今後のアカデミーへの意欲がますます高まったようでした。次なるステップとなる「プロダクト開発コース」でも、どのような変化が起きるのか楽しみですね!


にいがたヘルスケアアカデミー
受講生:新潟のヘルスケアをより良くしたい!と考えている県内外の方々
主催:ヘルスケアICT立県実現プロジェクト
運営:株式会社BSNアイネット・ハイズ株式会社
後援:新潟県
Twitter:アカデミーの活動や関連情報、新潟のヘルスケア情報や潜在的な課題などを発信しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?