ICT支援員 授業サポートから授業提案へ
ICT支援員が配置されたてから3年目。最近少し感じるのが、ICT支援員の役割である。
当初は、先生方や子どもも初めて見るクロームブックや様々なアプリに戸惑い、ICT支援員もそのサポートにまわり、いかにもICT支援員がいないと学校は回らないといった状況で、国が4校に一人の割合で配置というのは頷けることでした。
そして、ICT支援員のサポートを受けながら3年目。タブレットの操作や基本的なアプリの使い方については、先生方や子どもたちも慣れてきて、そうしたことでのサポートというのはかなり減少してきました。
そして3年目、いよいよ本格的に授業にタブレットをどのように活用していくかという段階に入って、自治体間、学校間に多くの格差が生まれてこようとしています。
この状況は、約30年前、学校にコンピュータ室ができて、パソコンが40台導入されて、多いに活用してくださいねといった当時の状況とよく似ています。
この時、このコンピュータを授業に積極的に活かそうと考えている管理職や先生のいる学校では、様々な取り組みがなされました。しかし、そうした管理職や先生がいない学校では、ほとんど利用されないという学校間格差が生まれていました。また、学校の中でも使う先生、使わない先生の格差が問題になっていました。
さて、現在の状況を見てみましょう。3年目に入った今、格差は確実に広がっているように感じます。その状況は30年前の状況とあまり変わらないようにも思えます。
前回と今回の大きな違いは、限られた台数から全員へのタブレットの配布、特定の教員から全員の先生の配布と活用への動きです。しかし、根本的に同じなのは、教員が主体ということです。
生徒主体の授業といっても、生徒が授業案を作るわけではないので、子どもがタブレットを使うかどうかは、教師がタブレットを活用する授業観を持っているかどうかで決まってしまいます。それは30年前も今も全く同じです。つまり格差の要因は管理職や先生方の意識に起因するということになります。
30年前に学校にコンピュータが入ってきた時に、これを活用しようと思ったのはやはり一部の管理職であり先生方でした。県教委等が様々な研修、ときには義務研修などを行いましたが、やはり使う先生は一部の意欲ある先生方という形になり、学校間格差、教員間格差は解決しないままに至りました。そして今、同じ状況が生まれつつある用に感じます。
2021年の導入以降、タブレット活用に関して、県教委中心に義務研修なども盛んに行われています。校内研修なども盛んに行われるようになっては来ています。しかし、普段の授業がそのことで変化しているかというと、授業そのものはあまり変化していないようにも感じます。タブレットそのものは、機器の操作やアプリの体験などで、一時期は盛んに利用されていましたが、ある程度機器の操作やアプリの利用方法が終わると、なんだか使い方分かったし、アプリも使えるようになったのでそのことで満足してしまっているような感じにはなっていないでしょうか。
当初は物珍しさもあり、一緒についていかなくてはやばいぞっといった雰囲気があったので、大きな盛り上がりになりましたが、一旦それが収まり、次の段階ということになった時、まさにそこに教員の意識の問題が大きな課題として提起されるようになってきているように感じます。
どんなにいい教育環境や教育機器が手に入ったとしても、それを実際使うのは先生方であり、その意識が変わらない限り、やはり歴史は繰り返すではないが、使う学校、使う先生といった構図は変わらないのではないかと少し危惧します。
それを打開するのは一つは教育委員会の意識や管理職の意識でしょうが、さて、どれだけの教育委員会や管理職が意識変革をしているでしょうか。代表的な渋谷区のような教育長自らが旗を振ってなんていう自治体は数えるしかないのではないでしょうか。
タブレットが活用され、子どもたちの授業を変えていくのは、最終的には個々の先生の意識である。
考えてみると、タブレットが全員に配布されたから、よし、これを使ってどんどん授業改善していくぞと全員の先生が意識変革するなんてことは当然ありえないのに、それに期待している部分もある意味あるのではないでしょうか。最近は教員のブラック化がクローズアップされてきて、確かにもうこれ以上のことなんてできないよというのが本音かもしれません。しかし、昨今の生成AIの登場から急速に変化している世の中に対して、学校が一番遅れているという状況はやはりなんとかしなくてはいけない問題でしょう。
コンピュータ使ってすごい授業してみみたいだけど、あの先生だからできるんよね、でも、私は私の授業の形を作るわなんていうことで流れていったあの時代が、やはり、今も同じように流れて行こうとしている昨今の状況はは少し考えなくてはいけない問題ではないでしょうか。
そこで、その意識を少しでも変えるためにICT支援員として何をすべきか!
ICT支援員との関係でいうと、確かにICT支援員が入ってくれる場合には、少しICT授業をしてみようかという先生方も増えているのは確かである。しかし、日々の授業が変わらないとそれは本当の活用ということにはならない。 最終的にはICT支援員は学校に配置されない可能性も高い。これは予算的な事も含めて。
ICT支援員がいなくても活用しようというレベルまで変わってこそ、本来のタブレット活用が始まる。そのためには、今後のICT支援員は支援ではなく、先生方が自立できるような提案をしていくことがすごく重要になってくるのではないでしょうか。しかし、そのためにはICT支援員の力量が上がらなければ、授業活用の方法を提案するなんてことはなかなか難しい。
自治体によってはICT支援員という名称はやめて、ICT活用推進員なんていう名称に変えて、積極的に関わっていくように変化しようとしているところもある。しかし、現実にはICT支援員の研修なんてほとんどの自治体は行っていない。企業からの派遣であれば研修もあるかもしれないが、会計年度の契約の支援員ならまずそうした研修の機会に恵まれることも少ない。ICT支援員はほとんどが自己研修に任されている。自己研修は家に帰ってからという場合が多い。その時に当然手当なんてつかない。まさに、教員もブラック、ICT支援員もブラックとさらに低賃金という状態が現状である。しかし、嘆いていてもしかたない。先生方が少しでも活用するようになるためには、単に支援だけでは動かない、授業を提案していくことがこれからますます必要になる。巷には、ブログや各種サイト、ユーチューブをはじめ多くの実践例が出ているが、先生方はそれをじっくり見て授業に反映する時間がないのが現実である。だからこそ、ICT支援員がその情報を整理して、この先生にはこうした授業なら提案できるんじゃないかと動く、まさにこれからICT支援員に求められている力量はこれではないかと思う。
これから3年後、国はタブレットの更新を国費で賄うと決めた。つまり、国民の税金である。これから3年後、どんどん使われて授業改革が行われるのか、それとも今以上に学校間格差、教員格差が広がるのか。来年以降、大きな分岐点がやってくるように感じる。その時、ICT支援員の仕事はどう変化しているのか。ICT支援員自らの意識改革も先生方以上に必要なのではないだろうか。
今回は2学期が始まって、今後のICT支援員、先生方の意識も含めて少し考えてみました。
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