ICT支援員の憂鬱!
今回はICT支援員の憂鬱について書いたみたい。
何故憂鬱なのか。
ICT支援員になって4年目
ICT支援員になって4年目が始まろうとしている。振り返ってみると、コロナ禍での急なGIGA構想で、全国の学校にタブレットが導入され、ばたばたする学校現場を支援するべく、多くの自治体がICT支援員なるものを配置した。
しかし、あまりにも急だったため、採用も自治体の会計年度職員であったり、企業への委託であったり、その採用方法はまちまちで、ICT支援員としての活動内容も、大まかには、機器操作の支援、授業への支援、研修への支援等と決まっているものの、細かな内容に関しては自治体バラバラであったり、学校でもばらばらであった。
しかし、当初は、機器の説明やアプリの説明、クラスルームでの課題の配信やフォームでのアンケート作成、子どもたちのスライド作成支援やジャムボードなどを使った協働学習の支援など、先生方にも、ICT支援員にとっても初めてのことが多く、ある意味やりがいがあった面もある。一緒に何かを作り上げているといった一体感があった。
あれから4年。
あれから4年。作り上げたものは何だったのか。
当初思い描いていた姿は、先生方がタブレットのアプリを駆使して、今までになかった授業を子どもたちと作っている、子どもたちもタブレットを普通の学習道具として日常的に使うようになっている。
教室を覗くと、デジタル教科書はよく利用されている。しかし、子どもの机にはタブレットはない。紙の教科書がデジタル表示されているだけで、授業そのものは、教師主導の一斉学習が多くある。中には、タブレットをどんどん使わせている先生方もいるがそれは少数である。
何故そうなったのか
何故そうなったのか、この3年間、一体学校では何が行われて来たのか。確かに一通り、クラスルームでの課題配信はあった。ジャムボードでの協働学習もあった。社会科ではスライドでまとめる学習もあった。しかし、今、そうした学習が現在、日常的に行われているかといえば決してそうでない。
何故か・・・・。
考えられることは多々
考えられることは多々ある。
タブレットは日常の学習道具ではない
まず、タブレットは鉛筆やノートのような学習道具として扱われていない。必ず、タブレットの授業をするから出しなさいという道具である。習字道具と同じ扱いである。習字の学習が終わったら道具をしまうように、タブレットもタブレットの授業が終わったらしまうのである。これは、机のスペースの問題も大きく影響しているだろう。ノートや教科書を使わない、タブレットだけでいいのなら、朝からタブレットを出したらいいのだが、現状では無理である。本当に薄型のタブレットや折り畳みタブレットが出てくれば違うだろうが、それはまだ何年も先のことだろう。
目立った学習効果?
3年間タブレットでいろいろやってきたけど、思ったほど学習効果も出てないし、タブレットを使った授業を準備する時間がない。従来の授業で充分であるって考えてる先生方が非常に多い。今、危惧しているのが、新規採用や若い先生方にベテランの先生方をつけているパターンが増えてきた。そうすると何が起こるか。若い先生方は新しいことをやろうと思っても、年配の先生に気を使って自由な発想で授業ができなくなっている。タブレットを使おうと思っても、年配の先生がそれっやってみようと動くパターンは実は少ない。プライドがあるからだ。
今の若い先生は、非常にまじめで、争いを好まないので、昔のように自由にどんどん自分を出していって授業を行うということが少なくなっている。まあ、一長一短はあるが、その弊害はあるように感じる。
タブレットは先生の道具
一番の大きな原因は、いつも書いていることだが、このタブレットは、先生の道具というよりも、子どもたちの将来に関わる道具であるという意識を持っている先生がまだ少ない。だから、先生の道具として考えて、今回の授業はタブレットを使わないという発想になる。
これはGIGAがコロナ禍でばたばた始まったことも大きな要因であろう。もっと何年か計画でGIGAの取り組みが行われていたら。もう少し先生方の意識も変わったかもしれない。まあ、今更だが。
ICT支援員はどこにいる?
ICT支援員がもっと現場に入れるような体制が必要であった。ICT支援員そのものがきちんとした研修がないままに、パソコンに詳しければできますよレベルで採用されてしまったことも大きな原因であると思う。機器の操作やアプリの使用が終わったら、次には授業への活用をどうするかという方向に行くのは分かっていたはずなのに、そこへの手立てが薄かった。機器に慣れて、アプリが使えば、先生方は授業にどんどん使っていくはずだなんていう理想を教育委員会も考えていたのではないか。そんなことはありえないというのは、パソコンが学校に導入されて30年以上たっているので、わかる人にはわかる話なのだが、その幻想のまま、この3年間過ぎてしまった。
これからどうすべきかのビジョンをもっている自治体が非常に少ない。ICT支援員は教師ではないので、授業そのものには当然詳しくないが、その授業をやはり知っていなくては、支援の発想が出てこないはずなのである。そのためにはもっと授業に入っていく必要があるが、タブレットも使っていない授業にどこどこ入っていくこともできない。これは体制としてタブレットを使った授業を増やしていく必要があるのだ。そのためにはビジョンや体制が必要だが、そうしたことを行っている自治体は非常に少ない。だからICT支援員は今学校で何をしているかわからないといった状態に陥っている場面が多い。
これから本格的にタブレット活用が始まるはずだったのに、現実は逆戻りをしている。ICT支援員は本当に必要かっていう憂鬱な状態になってる、そんなICT支援員が全国的には案外多いのではないかと思う。どうなんだろう。全国のICT支援員、日々、充実していますか?
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?