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退会阻止

人の気持ちは常に変化する。
最初はあんなに気持ちが高まっていたのに、だんだんとその気持ちに影が差す。その影に、いろいろな理由をつけて自分を納得させる。
影が自分の中でどんどん大きくなる。
そのうちプレッシャーになり、ストレスになる。
本当に嫌いになる前にお別れしなくては。
そして「終わりにしよう」と決意する。

「退会したい」と申し出てくる人の心境のストーリーはこんな感じだろう。
私の勤めている会社は、会員制の運動施設なのだが
辞めたいという会員さんの話を聞くと、大体上記に当てはまる。
運動施設に限らず、何かが終わるまでのストーリーはお客様自らが作り出していることがほとんどだと思う。

辞めたいと言われた時、皆さんの会社はどうするのだろうか。
対面でのお付き合いのあるお客様から、契約を解除したいと言われた時。

・仕方ない、綺麗さっぱり解約する。
・解約のお手続きをした上で、何が原因だったのかを教えていただく。
・すぐに解約できないように面倒くさいシステムを作っておく。
・少しは引き止めるが、まあうまく行かないよね。
とか?

運動施設で言えば、辞めたいお客様を引き止めることはほとんどしないように思う。最後のアンケートで理由を記入するくらいだろうか。

しかしうちは違う。全力で引き止める。
お客様が辞めたくなったストーリーを聴く。
始めた時の気持ち、やってみてどうだったか。どんな時に成果を感じたのか、気持ちが傾いてきたきっかけがあったのか。

話の中で、完全に会社側の落ち度が露呈する場合もある。そんな時は事実を正直に教えてくださったことに感謝するし、そこから信頼関係は復活できる。

難しいのは、原因がお客様の心境の変化だった場合だ。本音を全部話していただけるように徹底的に聴く。話の中から、ここはひっくり返せるかもしれない、というポイントを見つける。全部話していただけたと思ったら、今度は一気にこちらから思いを伝えていく。

それでも退会阻止できるのは3割くらいか。
お客様が、本心を全て伝えてくださったときは阻止できる。
結論は、人間関係が築けているかどうかで阻止率は決まるということだ。

また、辞めたいと申し出がある前に、兆候に気づいて対処することがもっと大事だ。気づけるポイントはいくらでもある。常にお客様の棚卸しをし、黄色信号の方は誰なのか、対策はどう打つのかを決めて実行する。そういった日々の活動があるから、お客様と信頼関係が強まる。

地域の中で、「あそこはなかなか辞めさせてくれない」と言われているらしいが、それは本当だ。笑

なぜそこまでするのかといえば、理由はシンプルで、健康のためには運動が継続して必要だからだ。他の運動施設に行くのであれば、応援したい。でも多くのお客様は運動自体をやめてしまう。それは阻止したい。

退会阻止は、業務の中でも一番難易度が高いし、めちゃめちゃエネルギーを使う。でも、もう一度お客様と握り合えた時は本当に嬉しい。
月末になると増える「辞めたい面談」。今日も入っていると思うが、ちゃんとお客様に向き合って面談してこようと思う。







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