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変化に弱い心への理解と支援の難しさ

結婚が決まり、挙式の準備と新居探しを始めたAさんだったが、日に日に様子がおかしくなった。

遅刻寸前に出勤するようになり、朝から大きなため息をつき「頭が痛い」「眠れない」と言うようになった。
仕事でもミスが目立ち、大事なことを忘れてしまうため、周りのスタッフから注意されていた。

Aさんと面談すると、とにかく朝が起きられなくて辛いと言う。
物忘れは「自分でもわからないんです」と。
「仕事も、先輩たちも、お客様のことも好きだし、こんなにいい仕事ができて嬉しいです」と言っていた。

その時はいわゆるマリッジブルーかもね、という結論になった。
そうは言っても、挙式も引っ越しも日にちが決まっているのでやることは山積みになる。
Aさんは何とか頑張って準備を進めた。

数週間後、無事に挙式も引っ越しも終わらせたAさんだったが、遅刻寸前の出勤と、仕事のミスは一向に改善しなかった。
むしろミスが増え、今までできていたことができなくなっているように見えたし、店長に叱られるたびに泣くようになり
「朝起きられない」「頭痛がひどい」「夜眠れない」と毎日のように不調を訴えるようになった。

Aさんが環境の変化に弱いということは、周りも理解していたが
私たちがどうしても理解できなかったことがある。
それは、彼女が食欲旺盛だったことだ。

午前中にメソメソと泣いていたのに、昼になると美味しそうなものを買い込んできて、楽しくランチする。
そして午後の仕事で、ミスをして店長に注意され、泣く。

休みの日はSNSにカフェ巡りや、何とかフェスに言って食べてきた、などの楽しい写真が投稿されていた。そして翌日は体調を崩して欠勤する。

という繰り返しだったため、とうとう店長が私に泣きついてきた。

店長もスタッフもよく対応してくれたし、異動を考えた時
連休明けにAさんは出勤できなくなった。
「朝起きたら呼吸が苦しくて、今日は休みたいです」と言う内容のLINEが送られてきた。
LINEの文章もおかしく、誤字脱字だらけだったため、只事ではないと思い
直接電話をすると
「く、苦しくて、、、すみません、、、」と過呼吸のような状態だった。

それからAさんは一日も出勤できていない。
今まで通院していた心療内科を変え、精神科にしたと言う。


大人になるに従って、自分の身に起こることは大きくなるものだ。
受験、就職、結婚、出産、育児、病気、介護、死別、、、
その都度、自分の身に起こったことと向き合わなければならない。
特に結婚は、人生の大きな岐路であるから、希望も不安も大きいに決まっている。

Aさんは子供の頃から、お母さんが道を作ってきたのだと思う。
だから自分で考えたり、対処することができず
答えを見つけることができないのだ。

今月末にAさんと面談することになっている。
彼女ができる範囲で頑張って欲しいと思っているが、
私も専門家ではないから、話す内容はなかなか難しい。

Aさんに限らず、心を病んでいる人は多いと聞く。
彼女が通っている精神科も、待合室は多くの人で溢れているらしい。
子供、赤ちゃんを抱いた若いお母さん、サラリーマン、杖をついたご高齢の方まで。
これからの社会、このような人はもっと増えていくだろう。
会社としても、どのようなサポート体制をとるのかをしっかり決めないといけないと思う。
しかし難しい問題だ。。。














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