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悪運

 ああ、何も上手くいかない。家を出た後に今日のプレゼンの資料を持ってないことに気づいたり、ガソリンを前日に入れ忘れていたり、楽しみにしていた合コンが不開催になっ…

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2年前

精神の崩壊

 ああ、やはり……。私は欠落品だったのだ。  「全部気のせい。誰も自分が思っているほど他人に興味ない。気にするな」  誰もがそう言う。そんなことはわかっている。…

新庄いに
2年前

悪運

 ああ、何も上手くいかない。家を出た後に今日のプレゼンの資料を持ってないことに気づいたり、ガソリンを前日に入れ忘れていたり、楽しみにしていた合コンが不開催になったり……。  「厄年どころじゃないぞこれ」  二度あることは三度あるとは言うが酷すぎやしないか。何かこうきっかけがあれば、この悪運も去っていくのではないかと思いたい。しかし、それが比にならないほどに現在、頭のアラームが鳴り響いている__緊急事態だ。  「頼む。これだけは……防ぎようが」  不幸の積み重ねとはこの

精神の崩壊

 ああ、やはり……。私は欠落品だったのだ。  「全部気のせい。誰も自分が思っているほど他人に興味ない。気にするな」  誰もがそう言う。そんなことはわかっている。それでも『気になってしまう』のだ。私は知ってしまったのだ。『人は恐ろしい生き物である』ということに。だから、もう止められない。  長年信頼を築いてきたはずの繋がりは、たった一度の会話で消滅するだけでなく、自己を崩壊、人としての根本を壊す。人を信頼しやすい人ほど、その衝撃は強く根強いものにさせる。  「人が信じら