帰宅難民の気持ちを思い知った夏休み
8月14日、兵庫県の祖母の家に帰省した。
家族の予定が合うのがこの日しかなくて、台風も来てて新幹線は終日運休すると言われていたけど、これを逃したらもう会えないかもしれないと思い、半ば強引に規制を決行。
とっていたホテルを延泊して、8/16に帰る新幹線もとって、万全に準備したつもりだったけど…とんだ災難にあって、今鈍行で帰っている。
備忘録として、授業のネタとして、そしていつか笑いのネタとして生徒に話せる時が来るかもしれないという一縷の望みをかけて、書き残しておく。
おばあちゃんに会いに行く
コロナになってからはほとんど会いに行けていなかった。2年ぶりにあったおばあちゃんは、さらに年老いていて、物忘れも多くて、体力も落ちていて、寝るか食べるかの暮らしをしていたけど、でも変わらず、私の知っているおばあちゃんだった。母からは「もうあかん」と言われてたから、想像より全然あかんくなくてホッとした。
8月15日。
東海道新幹線は終日運転を取りやめた。前日から計画運休が決まっていたので、私たちは延泊をして16日に帰ることにした。
新大阪のホテルで缶詰になっていたが、午前中は雨がひどくて外には出られなかった。午後になると落ち着いたので、食料を買い求めて外に出た。
新大阪駅に着いた。が、どこもかしこもしまっている。
それもそのはず、電車が動かなければ人も来ない。台風で物流も滞っている。開けている意味も労力もないので締めるしかない。
セブンくらいあいてるでしょ〜と思ったけど、セブンすらしまっている。このまま餓死か…
30分ほど駅構内を歩き回って、やっとデイリーヤマザキに辿り着いた。デイリーヤマザキに後光が刺して見えた。ありがとうデイリーヤマザキ、このご恩は一生忘れません。
デイリーヤマザキに感謝の課金をするかの如く、夜までギリもつ分の食料を買い込んでホテルに帰った。
明日の新幹線は11:00。朝ごはんを食べたら、おばあちゃんに最後の別れの挨拶をしてから帰ることにした。
8月16日。
在来線は少しずつ復旧していたが、大幅に遅れていた。せっかくだから、また会えるまで期間が空くからと電車とタクシーを乗り継いでおばあちゃんの家へ行き、念入りに最後の挨拶をした。
そのあと11時の新幹線に間に合うように新大阪駅まで送ってもらい、新幹線に乗ろうとすると…
静岡での大雨により、また新幹線が止まっているという。
え!?
新大阪駅はものすごい人。
まもなく博多方面の新幹線も止まり、駅は人でごった返した。
1時間ほど駅構内で待ったがこのままじゃ埒があかないと思い、梅田に移動して続報を待つことに。
しかし、運転再開した後も改札に入れない、ホームまで長蛇の列という情報に
「こりゃ…並べば帰れるんだろうけど、もう無理だな…」
と断念し、2泊目をキメることに。
最後の挨拶を交わしたおばあちゃんに再び再会し「あれ〜あんたらいつ来たん」と言われる。
おばあちゃんの家に雑魚寝し、始発をキメることを決意。
8月17日。
朝は起きれた。予定通りの電車にのり、新大阪駅に着いたのは6時前。
人はあいかわらずごった返していたけれど、前日の混み具合に比べればとてもスムーズに改札を通り、ホームまで辿り着けた。
が、みんな同じことを考えているので、自由席の1〜3号車はどこが列の最後尾なのかわからないほどの人。人。人。
新幹線もあるにはあるが、新大阪に着く車両はどれも回送電車になってしまい、みんな車庫に帰ってしまう。一体新大阪始発の新幹線はいつ出るのか…この人混みの中、クーラーもないホームの上で何時間も…し、しんどすぎる…
というわけで私は弟と別行動で、新幹線を諦めて在来線で帰ってみようと思った。こんな経験滅多にできないし。
近鉄の特急を使って名古屋まで行き、名古屋から特急しなのとあずさを乗り継いで東京まで帰ることにした。一種の賭けである。
急いで御堂線で難波に向かい、7:05発の近鉄特急を乗車予約して飛び乗った。順調な滑り出し!
しかし!
近鉄特急の車内で特急しなのとあずさのチケットをネットで取ろうとするが、クレジットカードの設定的に3Dセキュアがうまくいかず、チケットが取れないことが車内で判明。
心臓はバクバクである。名古屋でアナログでチケットを買うしかない。行けるのか?
名古屋に着いたのは9:36だった。
長野行きの電車が10:00に出る。それまでにチケットを買わないといけない。
何度やってもクレジットカードがダメでサイトからはじかれる。焦る。
しょうがない!と券売機に駆け込んで自由席をとり、切符をハラハラ落としながら、道ゆく人に拾ってもらいながら、切符を入れても改札にピンポンピンポン言われながら、改札を開けてくれた親切な駅員のおねえさんに「特急どこですかァァァ」「10番線でぇす!みぎ!!みぎ!!!」と言われながら、10時ギリギリに特急しなのに乗ることができた。
自由席は7・8号車。私が飛び乗ったのは3号車。ありゃりゃ。指定席を勝ち取った、クレジットカード決済成功者の皆様方を横目にずんずん車内を練り歩く。
6号車。あれ?なんかひとおおいな。7号車、あれ?入れないな?あれれ?
もしや、みんな考えてること一緒…?
というわけで、自由席はパンパン。私は2時間立ちっぱなしを余儀なくされた。
一方ホームで待ち続けた弟は「乗れたよ、座れたよ、進むのは遅いけど」とのLINE。
く、くぅ…こんなはずでは…賭けに負けたか…
はっはっは、旅は始まったばかり。
11:54。塩尻に着いた。やっとだ。
同じような大きな荷物やキャリーケースを持った人たちが続々と降りる。勝手に仲間意識が高まる。
少し遅めに出発した母は、「うん座れたよ、ガラガラだよ、信号変わったら出発するって」のLINE。く、くそ………賭けに本当に負けたか…始発で出てこちとらまだ長野じゃ……こっからが長いんじゃ…………くそ………
悔しい気持ちを、梅田で買った佐藤二郎著「心のお漏らし」が慰める。ありがとう佐藤二郎。買ってよかった。面白い。気がまぎれる。ありがとう。
12:18。特急あずさ新宿行きが来た。
東京の地名が見えてホッとした。新宿なんて怖くて普段は行きたかないけど、いつもなら眉間に皺がよるけど、今回ばかりはホッとした。家に帰れそうだ。
あずさは指定席で座って帰れた。アプリでえきねっとを登録しておいてよかった…。名古屋からが買えなかったから、私のえきねっとはJR東日本の区間しか買えないということなのだろうか…。クレカがダメだった理由が知りたい。
そんなこんなでもうすぐ八王子だ。やっと東京だ。いや、外の景色は圧倒的に森と山だが。ほっとする。
ここまでつらつら書いてきて、やっと賭けに負けた悔しい気持ちが少し和らいだ。はあ、まあこんな日があってもいいか。帰宅困難って本当に大変なんだな。私はおばあちゃんちがあったからいいけど、ホテルしか頼れない人にとっては地獄だ。
17日の朝の時点で昨日の車両がまだ到着していないとアナウンスがあった。中で一夜を過ごした人たち、きっとたくさんの人が乗っているであろう車内で、本当に大変だっただろう。無事に最寄りまでついても、目的地まで足がない人たちだって大勢いただろう。
ホームや改札で並んで待っていた人たちにも頭が下がる。私は早々で諦めてしまった。順番を待つって簡単に書くけど、乗れるかわからない未来を信じるって結構大変で、だからすごい。
なによりも対応してくれた駅員さんたちには本当に頭が上がらない。夜通しずっと稼働し続けていた。ただでさえお盆の一番混雑する時期に、お仕事してくれていることがありがたいのに、自然災害で混乱してしまった状況下で夜通し対応してくれていることがありがたい。
今回のことで大変な思いをした人たち、私を含め全員、なにかいいこと起きろ〜!と切に願う。
そして今回の反省を活かして、何か自然災害がある場合は、日帰りになったとしても計画運休の前に帰ることを誓おうと思う。
あ〜!もうすぐ八王子!やった〜〜!!!
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