好きなものは好き
9月ももう終わろうとしている今日この頃、皆さまいかがお過ごしだろうか。
私は明日、遂に最終出勤日を迎える。
島で過ごす日々も、今日を含めればあと4日。
いよいよ島ともお別れだ。
長いようで短い、貴重な1ヶ月を過ごした。
観光シーズンも閑散期で仕事もそこまで忙しくなく、人も娯楽も少なく、穏やかに時間が流れる島では「暇だなあ」と思うことも多かったのに、振り返るとあっという間に感じるから、不思議だ。
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契約期間中ずっと、「まかない」というものを食べさせてもらってきた。
メニューは実に様々だった。
昼は、カツ丼、カレー、天丼、蕎麦、うどん、海鮮丼など。
夜は、肉(大体揚げ物)か魚のメインのおかずに、副菜が2品ほどと、何かしらのフルーツが基本だった。
たまにそれに汁物がついたり、小鉢がついたりした。
それを、昼はご夫婦とパートのおばさん、もう1人の住み込みの女の子(もう地元に帰った)と私で、カウンター席に並んで食べる。
夜はパートのおばさん以外のメンバーだ。
私はご飯を食べることが何よりも大好きなので、テレビやスマホを見ずにゆっくりと味わって食べたい。
しかし、それは難しかった。
テレビの音や、ご夫婦と女の子の会話がごちゃ混ぜになり、なんとも居心地が悪かった。
私もたまに会話に参加するのだが、本音を言うと部屋で1人で食べたかった。
女の子は食器を持たずに、しかもスマホをいじりながらご飯を食べていて、私はいつも「行儀悪いなあ、食事中くらいスマホ手放せないのかよ」と内心毒付いていた。しかも私以外みんな早食いで、あっという間に私1人になることが多かった。
私は誰に何を言われようと、ご飯はゆっくり食べたいのである。
そして、まかないはどれも本当に美味しいのであるが、やはり揚げ物や炭水化物ばかり続くとうんざりしてしまう。
私は元々、そういったものはたまに食べるから美味しいのだ、という考え方をしている。
そもそも、旦那さんは腎臓が悪いからうちのご飯は薄味だよ、と来た当初に聞いていた。
だから、毎日のように味の濃い揚げ物たちが食卓に並んでいるのが最初は少し驚いた。
腎臓が悪いと言いながら、サラダにはマヨネーズをかけて、白米も大盛りでおかわりするような
旦那さんに、食事のことで口出しされたことがあった。
まかないだけでは明らかに野菜不足なので、コンビニで買った冷凍ブロッコリーをサラダ代わりにして食べていたら、「ブロッコリーの食べ過ぎだから胃の調子が悪いんじゃないの?」と言われたのだ。
私はその日、まかないが天ぷらうどんだというので胃の調子が悪いと嘘をついて「天ぷらはいらない」と奥さんに伝えていた。
昨晩も天ぷらだったから、連日食べる気にならなかった私は、持参してきた乾燥ワカメを入れてワカメうどんにするつもりだった。
旦那さんはニヤニヤしていて茶化すような口調だったが、私は心底「お前にだけは言われたくねえ」と思った。
表面上は、「そうですね〜でもブロッコリー好きなんですよ〜(精一杯の笑顔)」とだけ答えたが。
しかし、だ。
揚げ物や炭水化物は美味しい。
私だって、身体のために控えることはあるけれど、ちゃ〜んと大好きな食べ物だ。
環境というものは恐ろしいな…と思ったのは、やはり隣でご夫婦が食べているのを見ると、揚げ物を少し残そうか…ご飯を少なめに盛ろうか…という自制が効かなくなるようになってきたのだ。
しかも、毎日のように揚げ物や炭水化物多めの食事を摂ることに慣れてしまい、周りにのまれて食べ過ぎてしまうことも増えてしまった。
テレビを見ながらの、ながら食べ。
日常的に揚げ物や炭水化物(蕎麦、うどん、白米)を多めに食べる生活。
食べたいものを食べられないもどかしさ。
(米の気分なのに麺だった、控えめにしたいのに勝手に盛られている、その逆も然り…など)
食事について人からアレコレ言われること。
そして、火を使ったり包丁を使ったりという、手の込んだ自炊ができない環境。
これらが、私にとってかなりのストレスとなっていることがわかった。
おそらく必要な栄養素が足りていないのであろう、昨晩は白米と甘いものへの欲求が抑えられず、ご夫婦が用事でいないのをいいことにご飯を4回ほどおかわりした挙句、アイスなどのスイーツまで食べてしまった。
唐揚げ、天ぷら、そして大盛りの白米。
〆のスイーツ。
どれも、大好きだ。好きなものは好きだ。
だけど、でも私は、「我慢できない!」となって食べ過ぎてしまうのは嫌なのだ。
ストレスによる食べ過ぎは、身体にも良くないし、後から罪悪感を感じてしまうからだ。
旅行や季節のイベントなど、今日は思い切り食べるぞ!と決めた日に、たくさん食べたい。
味付けや量、調味料の添加物なども、できるだけ自分で把握したい。
揚げ物は、ご褒美としてたまにでいい。
そして、今日は◯◯が食べたい気分だな〜という自分の気持ちも大切にしたい。
これは、リゾートバイトをしに島へ来て、まかない生活を送ったからこそ、気づけた価値観だった。
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「好きなものは好き」という言葉はいいなと思った。
単純な理由でも、ああでこうでこうだから…といくらでも語れるくらいの理由があっても、そもそも特に明確な理由なんか無くても、好きなものは好き。
しかし何事も、好きだからと過剰にやり過ぎると良くない方向に進みがちだ。
アルコールや賭け事などのように中毒になってしまうのではなく、自分の「好き」と上手に付き合うことが大切なのではないかと思う。
しかしながら、まかないを食べることができるのも残り少ない。
感謝の気持ちを忘れず、食べさせてもらおうと思う。