可愛い子には旅をさせよ
こんなタイトルだが、別に自分のことを「可愛い子」と言っている訳ではない。
だが、しかし。
私は決して美人ではないが、愛嬌はあると思っている。(ポジティブ)
おじいちゃんおばあちゃんウケのいい顔なのか、地元でお年寄りと話す機会があれば、大体可愛がってもらえるのだ。
そんな私は今、地元である青森を離れて、北海道の離島に住んでいる。
この状況に、「可愛い子には旅をさせよ」ということわざがなんとなくしっくり来てしまったので、今回はこのタイトルとした。
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リゾートバイトの契約期間が確定した。
予定より少し延長して、今月いっぱい島にいることとなった。
島で過ごすのも残り20日ほど。
朝起きた時の寒さに、秋の訪れを感じる今日この頃だ。
昨晩、ご飯を食べながら、勤務先の奥さんと色々なお話しをした。
旦那さんは知り合いと飲みに出掛けていて、もう1人の住み込みの女の子は、早々に食べ終えて仕事へ向かったので、奥さんと、食べるのが遅い私の2人きりだった。
奥さんの趣味だという星占いの話、私のケーキ屋勤務時代の話、奥さんの出身地である札幌の美味しい回転寿司の話…話している時の奥さんは、せかせかと忙しそうな勤務中とは別人の様に、リラックスした雰囲気だった。
話は色々な方向に枝分かれし、旦那さんのお母さん、奥さんからするとお姑さんにあたるおばあちゃんの話になった。
たまにお店に現れるおばあちゃんは、普段はのんびりと島で暮らしていて、お店が忙しい時にお手伝いに来てくれているものと思っていた。
しかしそうではなく、普段は近くの旅館で朝から晩まで働いているそうだ。
驚いた。
聞けば、もう80歳を過ぎているらしい。
数年前に病で倒れた時も、復帰は難しいかもしれないと言われたのにも関わらず、物凄い生命力で回復したのだという。
運良く島から札幌の大病院に運ばれたことも、功を奏したようだ。
何かと「持っている」おばあちゃんなのだ。
来ると店の空気が良い意味で変わるし、みんなが慕っているのが分かる。
それを聞いているうちに、自分も頑張らなければという気持ちになった。
話してくれた奥さん自身も、ここに嫁ぐことを決めるまでに色々と葛藤があったのだと思う。
勤め先を辞めて、次は何をしようか考えていた時、知人に誘われて働きに来たこの島で、旦那さんと出会った。
そして、なんでもある都会の札幌から、自然豊かだが何かと不便な島へ住むと決めた。
そういう運命だったんだろうね〜、と微笑む奥さんは、なんだかとてもタフで、素敵に見えた。
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島での体調管理は、なにかと気を遣う。
人が少ないにしても、お店に来るのは団体の観光客だし、休日遊びに行く島の観光スポットだって、島外から来た人が集まるだろう。
しかも、徐々にではあるが冷え込む様になったので、季節の変わり目に風邪をひかないようにしなければならない。
島のカフェでうっかりカフェインを摂って具合が悪くなったり、低気圧や生理など、どうしようもないこともあるけれど、早寝早起きや、身体を冷やさないようにするなど、出来ることはやっていきたいと思う。
島を出る日の航空券を購入し、青森へ帰る前に寄る予定の、札幌観光の計画も立てた。
大きな事件が起こることなく穏やかに、島での残りの時間が過ごせたらいい。
島に来て改めて、心と身体の健康の大切さを実感した。
クレープを販売するキッチンカーが島に来ているとの情報を聞きつけ、早速行ってみた。
奥さんからは、あまり美味しくないよとの事前情報をもらっていたのだが、自分で確かめてみることにした。
メニューは種類豊富だったが、悩むことなく「あんバター」を注文した。
お味はというと、やや奥さんの言うとおりであった。
素人の手作りです。という感じだったが、3時のおやつには丁度よかった。
今日は退勤時にドーナツもいただいてしまったので、明日は間食を控えようと思う。
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帰る場所があることは、とても幸せだ。
島に行くことを、青森でお世話になっている住職さんにLINEで伝えた時、こんなふうに返ってきた。
「いつ帰って来ても良い場所があるから大丈夫。ガンバレ!とてもかっこいいよ」
冗談ではなく、泣いてしまった。
正直なところとても不安だったのだ。
でも、そうか。私には帰る場所がある。
そう思うだけで心がふっと軽くなり、どこへでも飛んでいける気がした。
旅をして、たくさんのものを見て、感じて、帰ってこようと。
未来は当たり前だけれど不確定で、今こうして生きていること自体奇跡なのに、ついついその現実を忘れてしまう。
だからこそたまに空を見上げて深呼吸して、ありきたりだが、今ある幸せに感謝したい。
そして、親しくしている友人から、「ポストカード届いたよ」と連絡があった。
とても素敵だと、思わず涙が出そうになったと、そう言ってくれた。
とても会いたい。家族、友人、その他大好きな人たちに、早く会いたい。顔を見て話したい。
それと同時に、島で出会った素敵な人たちともたくさん話して、自分の記憶にしっかり刻み込みたいと、そう思った。
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