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さよなら島

私は明日の夕方、飛行機に乗って島を旅立つ。
島で過ごした、約40日間。
長いようで、あっという間だった。
今日は島での暮らしを振り返りながら、今の心境をそのまま書きたいと思う。

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8月25日、私は島へスーツケース1つでやってきた。
季節はまだまだちゃんと夏で、島が寒いと聞いて半袖を持ってこなかったことを少し後悔した。
右も左もわからない状態から、少しずつ新しい環境にもまれて、馴染んでいった。
島を散歩して、時にはバスに乗って色々なところへ行った。
絶景、島の美味しいもの、優しい人との出会い。
数えきれないほどの、かけがえのない体験をした。
泣いたり笑ったり、怒ったり喜んだり、喜怒哀楽の濃い時間を過ごした。
暮らしに慣れてくると、島の穏やか過ぎる時間に退屈を感じることもあった。
窓を開けると海が見えて、こんなにも絶景だというのに、それすら慣れてしまうものなのだと、少し寂しくもなった。
けれど、自分でも意識していないうちに、島の自然に癒されていると気付いた。
あっという間に季節は秋になった。
山は初冠雪を記録して、ぐっと寒くなった。
季節が変わっても、静かで、穏やかな島は、他所から来た私を受け入れてくれていたと思う。

島の猫たちにも、最後のお別れをした。
明日は、掃除やら荷造りやらでバタバタするだろうから、今日のうちに行こうと決めていた。
強風の中、相変わらずのんびりと過ごす猫たち。
君たちにたくさん癒しをもらったよと、ありがとうの気持ちを伝えた。
これから厳しい冬がやってくるけれど、どうか元気で。

なんだかまだ実感がない。
明日もエプロンを着て、バンダナを巻いて、出勤するような気がする。
セイコーマートで買い物をして、海を眺め、野良猫に会いに行くような気がする。
けれど、もう終わりなのだ。
もう少し早く帰る予定だったけれど、オードブルや会食が入り、少しだけ契約期間を延長して働いた。
延長期間もう終わって、いよいよ私は、青森へ帰る。
家族や友人をはじめ、会いたい人たちがたくさんいる。
たった1ヶ月ちょっとでも、会いたくて仕方がない。
それと同時に、少しだけ寂しさも感じている。
ずっと住まわせてもらった部屋にも、毎朝眺めていた海や岬や山も、あと少しでさよならだ。

最後に、再び神社へ行ってきた。
見守っていてくれたであろう島の神様へ感謝を伝えるのと、10月になったことだしと思っておみくじを引いた。
結果は、来た時同様末吉であった。
何はともあれ、無遅刻無欠勤でおおよそ元気に過ごすことができて良かった。
どこで何をするにも、まずは健康第一だ。

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本当のことを言うと、昨日が最終出勤日だったので今日帰っても良かったのだが、何故か航空券がやたらと高かったのである。
というわけで、今日1日滞在してからの旅立ちとすることにした。
今日は風が強いし、明日のこともあるので、午後は大人しく家にいようと思う。
明日も晴れることを祈る。
風も穏やかだったら最高だが、多くは望まない。
飛行機が飛んでくれればそれでいい。
無事に帰るまでがリゾートバイト、ということで。

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