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ハロウィンで地域活性化? コスプレと仮装の違いとは
暑かったり寒かったりの10月も終わり、11月の連休に入って皆さまどうお過ごしでしょうか?せっかくハロウィンで盛り上がった直後なので、地域の活性化やポップカルチャーと絡めて考えてみたいと思います。
ハロウィンでヒト、モノが動く
ハロウィンには10月に入ってから月末までだんだん雰囲気が高まっていくという期間の長さがあります。また飲食からインテリア、ファッションまでの幅広い商品・サービスと組み合わさることで市場規模は拡大し、バレンタインデーと並ぶかそれを超えた、と言われるようになりました。
ポップカルチャーの世界でも様々な作品が世界観を超えてハロウィンとコラボして、それぞれの界隈を盛り上げています。
このようなビッグウェーブを地域の活性化に取り込もうと、10月に開催される地域のイベントにハロウィンの要素を取り入れ、にぎわいづくりに利用する例が増えています。私が実行委員会で関わったお祭りでも「ハロウィンの仮装をしてきた方にお菓子をプレゼントする」企画で数百個のお菓子が午前中になくなってしまうほどの賑わいでした。
ウサ耳つきカチューシャを受付直前で着用してくれたら「ハイ仮装ですね、お菓子をどうぞ」とゆるゆる~な判定でしたが、地域のお祭りに子供連れで行ってみようかなと思う一つのきっかけになっているようです。
コスプレと仮装の違いについての仮説
ハロウィンの時期、街なかを歩いているとコスプレイヤーさんの姿をよく見かけました。
「普段とは違う服装をする」ことはコスプレと仮装に共通しているので、コスプレイベントを主催していると「コスプレとハロウィンの仮装とどう違うの?」と尋ねられることがあります。
自分なりに考えた結果、「コスプレをする人が好きなのは『ヒト』で仮装をする人が好きなのは『コト』ではないか」という考えに至りました。
コスプレをする人が好きなのはマンガやアニメなどに登場する特定のキャラクターからVtuber、実在の配信者や俳優など実存性に濃淡あってもヒト。私は好きなヒトの外面や内面を解釈して自分の身体で再構成する活動がコスプレだと考えています。
一方でイベントや祭りなどのコトが好きな人がドレスコードに従うのが仮装だと考えています。クリスマスならサンタの格好、ティラノサウルスレースをするならティラノサウルスのきぐるみというのもその時々のドレスコードを遵守する行為だと言えます。
特定のヒトが好きでコスプレをする人は環境が許せば毎日コスプレをしたいと考えますが、期間限定のイベントというコトが好きで仮装する人はイベントが終わったら普段の服装に戻るのでハロウィンが終わると仮装している人はほぼいなくなります。
ハロウィンの起源は2千年以上昔の古代ヨーロッパに生活していたケルト人が悪霊を避けるために仮面を被ったお祭りとも言われています。日本人が海外から取り入れたものを「魔改造」するのはよくあることで、日本のハロウィンは「この時期は普段と違う格好をして街に出てもOKなイベント」に変化して魔除けも仮装もコスプレも受け入れる懐の広さを手に入れたのかもしれません。
なぜか地元にカネが落ちない?
一方でハロウィンの期間は街なかで仮装の人を多く見かけても飲食店はそれほど混んでいない、という事態が起きています。ハロウィンの仮装が人を街に呼ぶにぎわいづくりに効果を発揮していても、地域の活性化に必要な消費に繋がっていない…この矛盾には2つの理由が考えられます。
近年のハロウィンは友人とおそろいの仮装で街に繰り出し、写真撮影や交流を楽しむイベントになっています。そのため、「仮装をした人」というハロウィンならではのコンテンツを路上や公園、広場といった公共空間で無料かつ大量に受動的に楽しめます。ところが飲食店に入るとせっかくの楽しさが減ってしまう…。「だったらお店に入らずに街なかをブラブラ歩いて楽しいことを探したい」となってしまいます。渋谷のハロウィンで問題視され、条例で規制された路上飲酒も「仮装する人が多くて一番楽しいところで安くお酒を楽しみたい」というニーズがあるから多発します。
次にハロウィンを楽しむための衣装やメイク、小道具を買うことで可処分所得がその分削られ、飲食をする余裕が減るということも考えられます。ハロウィンの季節になると雑貨店が特設売り場を作り、衣装が売れるのは恒例の行事になっており、矢野経済研究所の「クールジャパンマーケット/オタク市場の徹底研究」はそのような消費行動を「コスプレ衣装」の項目で取り上げていました。
ハロウィンのおかげで人出は増える、しかし飲食店での消費は伸びない、落としていくのはゴミばかりとなれば渋谷区のようにハロウィン客お断りとなるのも仕方なく思えます。
池袋の事例に学ぼう
一方でハロウィンの最大のコンテンツは集まってくる人たち自身、と見ることで新しい商品やサービスを提供するチャンスが生まれそうです。
渋谷区がハロウィンの人出を条例まで作って抑制したのとは対照的に、豊島区の池袋では日本最大級のイベントが開催されています。
このような取り組みは普段からオタクの街として人が集まる池袋でないとできないのか、コスプレ関連企業が協力しないとできないのか。そのどちらもない地方都市でも、ギリギリまで衣装を探す人で雑貨店の衣装やカラコンコーナーは賑わっています。着替え場所がなくてトイレや車内で着替える人向けに更衣室やクロークを提供することも考えられます。ハロウィンで地域を盛り上げるには、単なるお菓子のばらまきだけではなく、街なかに集まる人が求めている商品やサービスの提供も必要です。
ハロウィンで集まった人たちが捨てたゴミの回収をその人たち自身に楽しみながら集めてもらう取り組みのような、消費から価値創造への転換が必要かもしれません。
この記事を書いた人
文化資源研究開発☆地域間ネットワーク 副会長 佐竹信彦
(PopTownProject代表 ㈱佐竹代表取締役社長)
熊本市内で不動産賃貸業を経営しつつ、ポップカルチャーで地域を活性化する活動、PopTownProjectの代表としてイベントの企画運営を行っている。
現在12月開催のイベント「アミュコス」に向け準備中!
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