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表現〜心に響くもの〜

【表現】(ひょう-げん)
心理的、感情的、精神的などの内面的なものを、外面的、感性的形象として客観化すること。また、その客観的形象としての、表情・身振り・言語・記号・造形物など。

デジタル大辞泉

先日、東京有楽町のガード下でお酒を飲んでいると、突然その席にギターを持った流しのお兄さんがやってきて、「一曲いかがですか?」と尋ねてきた。

初めてだった。

私は、極度の人見知りで、初対面の人に話しかけること、ましてや、酒に酔っている人に話しかけることなど、決してできない。
よほど場数をこなしてきているのだろう、
彼は、まるで自分の居場所かのように、スッと、我々の中に入り込んできた。

流しというと、正直、あまり良い印象はない。
プロになれない、
くすぶっている、
実力不足な、
など、マイナスなイメージが強い。

促されるまま、曲をリクエスト。
自作の譜面をテーブルにセットし、演奏が始まる。

1曲目「空も飛べるはず」スピッツ

驚いた・・・!
声の良さ、声量の質、ギターの技術はさることながら、
真っ直ぐな表現!
いや、
嘘でも冗談でもない、
想いを伝える力!
声が、直接、心に響く。
言葉と共に、想いが届く。
とにかく、
その第1声で、
彼は、
私を魅了した。

彼の歌は続く。
2曲目「シングルベッド」シャ乱Q
3曲目「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」アンジェラ・アキ
4曲目「銀河鉄道999」ゴダイゴ
5曲目「ワインレッドの心」玉置浩二

したたかに酔っていたので、記憶は定かではないが、これぐらいの曲を披露してくれたと思う。

彼は言った。
「人様の曲を借りて表現するには、自分がどれだけその曲を大事に歌うかが重要。自分にはこの声しかない。この声を活かすために必要なことはすべてやっている。大好きなお酒も辞めた。こうして初めて出会う人たちに、自分の声を聞かせて、少しでも気持ちよく帰って欲しい。その時、少しでも気持ちのいい言葉をかけてもらえれば、僕は満足です。」

表現とは。

彼は私に、それを教えてくれた。

ickey(2024/02/17)

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