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【movie】David Byrne's American Utopia : Spike Lee / artist : Maira Kalman

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https://mairakalman.com/broadway-american-utopia

 開演の「台詞」から捉まれました。机一つの演劇の舞台装置からのスタートでした。主人公が語りだす物語が始まるのです。ただその舞台にはきらびやかな飾りはないシンプルな仕掛けでした。ミュージカル・ショーが開幕するような雰囲気ではないままに進行していきます。
 「Lazy(怠ける)」四曲目からステージ・ライブが始まっていたことに気が付きました。「歌詞」(字幕)に引きずられままに聞き入っていたのです。バンド・メンバーが徐々に増え、リズムが振幅を大きく揺らしていくうちに劇中歌のシンコペーションにハマっていたのです。ステージの上のバンド・メンバーが繰り出すリズムをバックにデイヴィッド・バーン(David Byrne)が淡々と語る「台詞」に引き込まれていきました。ライブショーで「歌詞」を意識することは、あまり経験したことはありませんでした。21曲最後までゆっくりと高揚していく様は、バンド・メンバーの表情にも表現されていました。最初は緊張の面からだんだんと解放されていく過程は、手に取るように画面に記憶されています。ラストにはバンド・メンバー全員が笑顔と満足感いっぱいの崩れた表情に一変していました。デイヴィット・バーンを除いては。
 わたしと同年齢の彼には、100分を超える公演はかなりハードな舞台だと思われます。メンバーたちが次第に解放されていく中、バーンの緊張が増していくようで、最後の彼の表情には虚脱感さえ見受けられます。度々の舞台の充足の度合いが満たされるほどに、緊迫した心情が差し迫った仕草に表現されるのでしょうか。緊張感のある映像でした。
 コードレス・ギター、コンパクトなキーボード、ハンドリングなリズム楽器、シンプルな衣装、飾り気のないステージ、淡彩な照明などは決して安易な仕掛けではなく、計算され尽くした演出であり、見た目にはモノクロームなステージの構成になっていますが、舞台の上で踊る12人のミュージシャンは、多様な表現によってある瞬間は舞踊家になり、時にはマーチングバンドを装い、そして最高のリズム・マシーンであった。半数がパーカッション編成のバンドは、素晴らしいパフォーマンスを魅せてくれました。多様なバンド・メンバーとシンプルなステージが織りなす「演劇」は、軽快な振り付けと多様なリズム楽器と「台詞」「歌詞」、それに舞台幕をも絡めたトータル・アートの世界でした。
 シルク・ド・ソレイユのテイストもある Angie Swan – electric guitar のプレイ(ダンスを含む)とトーキング・ドラム Gustavo Di Dalva – percussion の叫びは、こころ踊る瞬間でした。


David Byrne – lead vocals, occasional guitar
Chris Giarmo – dancing, melodica
Tendayi Kuumba – dancing
Karl Mansfield – keyboards, musical director
Angie Swan – electric guitar
Bobby Wooten III – bass
Mauro Refosco – percussion, musical director
Tim Keiper – percussion
Gustavo Di Dalva – percussion
Jacquelene Acevedo – percussion
Daniel Freedman – percussion
Stephane San Juan – percussion
All provide percussion; all except Byrne provide backing vocals.

Spike Lee - Director
Annie-B Parson - Choreographer
Ellen Kuras - Cinematography
Adam Gough - Editer
Alex Timbers - Production Consaltant

"Here" (from American Utopia)
"I Know Sometimes a Man Is Wrong" (from Rei Momo)
"Don't Worry About the Government" (from Talking Heads: 77)
"Lazy" (from Muzikizum by X-Press 2)
"This Must Be the Place (Naive Melody)" (from Speaking in Tongues)
"I Zimbra" (from Fear of Music)
"Slippery People" (from Speaking in Tongues)
"I Should Watch TV" (from Love This Giant)
"Everybody's Coming to My House" (from American Utopia)
"Once in a Lifetime" (from Remain in Light)
"Glass, Concrete & Stone" (from Grown Backwards)
"Toe Jam" (from I Think We're Gonna Need a Bigger Boat by The Brighton Port Authority)
"Born Under Punches (The Heat Goes On)" (from Remain in Light)
"I Dance Like This" (from American Utopia)
"Bullet" (from American Utopia)
"Every Day Is a Miracle" (from American Utopia)
"Blind" (from Naked)
"Burning Down the House" (from Speaking in Tongues)
"Hell You Talmbout" (from The Electric Lady by Janelle Monáe)
"One Fine Day" (from Everything That Happens Will Happen Today)
"Road to Nowhere" (from Little Creatures)
"Everybody's Coming to My House: Detroit" (End Credits)


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