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抜け駆け天橋立
大阪で暮らす最後の2連休。
突然、天橋立へ行こうと思い立った。関東に戻ってからでは遠くてもう行きにくくなるから。
慌ただしくホテルと高速バスを予約する。準備らしい準備はしていないけれど、それがかえって気楽。
高速バス乗り場に向かいながら、「銀の龍の背に乗って」をきいた。
天橋立へ行こうと思ったきっかけは、Dr.コトー、心の中でそう呼んでいる精神科医の友人の影響だから。
コトーについては前にも書いた。
いつか、帰りの電車で並んで座っていたとき、コトーが聞いてきた。
「ねえ、どこか旅行したいところある?」
そのとき、正直、何も思い浮かばなかった。
つまんない答えしか出せなかった。
「逆に、どこか行きたいところあるんですか?」
と聞き返すと、彼は「あまのはしだて」と答えた。
担当しているうつ病患者が、他のことは全く何も話せないのに、天橋立のことだけは何度も語るらしい。
「だから、どんなに美しいんだろうって思って、自分の目で見てみたいんだ。神秘だよ。」
と、真剣な顔で言っていた。
神秘ねえ、とその時は小馬鹿にして笑ってしまったけど、それがずーっと頭の片隅にあった。
抜け駆けしてごめんね、Dr.コトー。
わたしは、完全な一人旅はこれが初めて。
これまでにも一人で遠くまで行ったことはある。でも、現地で必ず迎えてくれる友人や親戚がいた。
だから今回みたいに、誰の意見も聞かず、行き先も宿も予定もすべて自分で決める旅は、実は初めてだったのだ。
25歳にもなって、そんなの当たり前だと言われそうだけど、だれにも相談しなくてもいいし、止められたり反対されたりしないんだと改めて実感すると、大人になったんだー!と思った。わたしはもう、自由なのだ。
天橋立は、それはもうほんとうによかった。いろんなことをして、いろんなものを見た。レンタサイクルで風を切って歌いながら走り、ケーブルカーやリフトにも乗り、観光船にも乗った。紅葉も見た。
よく見る天橋立の股のぞきできる場所より、なにより感動したのは、自転車で走りながら見た海だ。わたしは知らなかったのだ。こんなにも美しい海があるなんて。これが全部海だなんて…
この景色をいつか思い出すときが来るのだろうか。もしまた、また…うつが襲いかかってきたとき、わたしはこの光景を思い出せるだろうか。忘れたくない。ずっと。
ホテルに着いて、余韻に浸りながら写真を見返した。ほんとうは家に帰ってから投稿しようと思っていたのだけど、どうしても我慢できなくて、少しだけ写真をここに載せることにする。お裾分けです。
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そして今夜はホテルで、好きなだけ本を読む予定。リンドバーグの『海からの贈物』を鞄に入れてきた。静かな夜にぴったりの一冊だと思う。
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明日も楽しみがたくさん。また帰ったら投稿します。おやすみなさい。