バレリーナスポットライト浴びる雨 浴びない雨の彷徨う香り 旗を振る見上げた空でUFOが 頑張っている君へ、for you だいたいね思い出なんて煌びやか だったらもっと磨いてしまえ 並木道歩き続ける僕と君 花は散ったが枝は残った 彼の眉毛が太くて海苔みたい 違うよこれはマレーヴィチの黒 夜がつづく手持ち花火が消えた後 闇のスクリーンに咲いた花 何回も挑戦すると見えてくる 僕らはそれをギフトと呼ぼう バルコニー珈琲飲んで朝日みる 洗濯干してよと妻の声 長所より短
横軸を時間t、縦軸を位置f(t)とすると、ジャングルにて人は現実的な夢に住みたがる。 車は四足歩行になりたがり、犬たちは車輪走行をしたがる。 隣の迷惑な客を見ながら、そう思った。 妻が久々に弁当を作ってくれた。 昼休み、弁当箱を開けると氷が一つだけ入っている。 なぜ溶けていないのか、何かの比喩なのか、単なるサプライズなのか。 どうやら、科学、文学、日常が通用しない世界にまた来てしまったようだ。 そして、ディスクは散らかっている、無関心に。 昨日出会ったのが模倣の女
84円切手の蛇が、140円切手の犬を噛もうとしているのを止めるのも郵便局員の仕事。 今日も社会は理不尽を受け入れて動いている。 隣の幾分広い部屋からは、しなやかな打音と男性の犬の鳴き声が聞こえてくるし、 僕は大通りで声をかけられた黒髪の女性にシンボルを貪られる。 犬と蛇のボイスが共鳴する。 環状線沿いのホテル•マンイーターの看板には、シンボルをよりシンボルらしく。と記載あり。 鏡を3つに割ったのではなく、良きパートナー、まっとうな社会人、真面目な母親の自分を見るため。
春雨が降る夜、その女性がコートを脱ぐと、漆黒のランジェリー姿となった。 俺はミルキーホワイトのシャツにアッシュグレーの下着姿でコーヒーを飲んでいた。 二人に挟まれたテーブルで咲いているローズピンクの花束が気の毒だ。
彼女が壁に書いた兎の絵のメタメッセージは、あなたがいてわたしは嬉しい。 初夏が過ぎた頃から、色相が灰色に彩度も低くなり、センスのない壁の色と調和し始めた。 誰かを憎むには暑すぎる夏で、自分を責めるには雨が多い夏だった。 なので、絵に影を書き足した。
昨日はキャメル色で、今日はターコイズブルー、明日はアッシュグレー。 靴は様々な色へ変わって行くがもう同じ道を通る事はないんだろうな。 誰かが「大人が下を向いて良いのは靴を履くときだけだ」と語ってきたので、僕は「後ろを振り返って良いのは、美女が通り過ぎたときだけだ」と皮肉で答えた。 今日もそろそろ家に帰る時間だ。 海に色を返そう。
84円切手の蛇が、140円切手の犬を噛もうとしているのを止めるのも郵便局員の仕事。 今日も社会は理不尽を受け入れて動いている。
2000年の春、雨上がりの心地良い夜明け前の出来事であった。 わたしが住んでいた控えめな住宅街の夜明けは、集中すれば子供達の寝息さえも聞こえそうな静寂に包まれていた。 当時、学生だった私はマンションにいても特にやることもないのでコンビニに出かけ、とりわけ興味もない雑誌の立ち読みをしていた。 数分たった後に2人組が入ってきた。 多分始発で帰ってきたのだろう。 男性はキャメル色のスーツと桜色のシャツを着ていて紺と白のストライプのネクタイが良く似合う40代前半で、女性は黒の
通り雨が降った。 私の家の車庫では、品の良い40代の女性が犬と雨宿りをしている。不幸にもここは住宅街で何もない。 隣家の庭にはキノコが生えていて、蝶々と赤トンボがその下で雨宿りをしている。 私はその女性に傘を貸し、暫くして蝶々と赤トンボが飛び立った。 雨の物語。
彼とどうしてもデートがしたかったので、彼女は早起きをして雑巾で空から降る1億の雨を拭き取った。 快晴の日に窓を開けるとき、いつもその女性を思い出す。
悪魔から絞り出した黒い液体で、雲にメッセージを刻んだ。 そして、それは美しい物語となり人々に届いた。
世界の端にあるモノクロームで小さな街の人々が鈍色な鐘を鳴らすと、 世界のどこかでカラフルな花が咲く。
太陽から黄色の光を盗んだ翌日、向日葵が庭一面に咲いた。
「人間みな、闇を持っています。それは残酷で冷静で気が狂っている塊かもかもしれません」 精神科医は続けた 「それは形を変えて、心のドアをノックするかもしれません」 僕は少し考えて 「それに対して、デリヘルみたいに『チェンジ』って言えないのですか?」
雨の日、路地裏の飲み屋に入った。 ステージでは女性達が際どい格好で踊っていた。 座り心地の悪いソファーに座り、彼女達を見ていた。 その時、一人が両手をあげた。 「パーティーを始めましょう」 彼女達はバンパイヤに変身した。 残念だが、こちらにも策はある。
今になって思えば、と彼は話し始めた。 彼女に裏切られる日の深夜、彼がトイレに起きたときだった。審美的な月の光が、隣に寝ている彼女の影を壁に映し出した。 それは統一性がなく、浅く、奥行きのない悪魔の世界だった。 その日の朝、彼女が少し違って見えた。